知っておきたい赤字決算!メリット・デメリットをわかりやすく解説!

知っておきたい赤字決算!メリット・デメリットをわかりやすく解説!

記事更新日: 2019/02/04

執筆: 編集部

「赤字決算は節税対策になる」という言葉を経営者の方から聞くことがありますが、赤字決算は本当に節税対策としてのメリットがあるのでしょうか?そもそも、赤字決算とは一体どういうことなのでしょうか?

本記事では、赤字決算についてのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

決算とは何か?

赤字決算の解説をする前にまず、決算とは何でしょうか?

決算とは、簡単に言うと事業者が納税をするために、ある一定期間の「会社の損益を集計する」作業のことです。 

法人は決算月までの1年間、個人事業であれば1月~12月までの期間「儲かったのか?損をしたのか?」を計算します。そしてその計算結果として最終的に作成するのが決算書です。

1. 黒字決算

その年に儲かったのであれば黒字決算。

所得(儲け)に対して課税される法人税(個人の場合は所得税)を国や地方(県・市町村)に支払わなければなりません

2. 赤字決算

その年に損をしたのであれば赤字決算。

前述したように、税金とは所得(儲け)に対して課税されるものですので、所得がゼロであれば税金もゼロとなります。

(ただし法人の場合、赤字でも払わなければならない税金(均等割や事業所税など)もあります。) 

法人にせよ個人事業にせよ、1年間苦労して積み上げた儲けを削って、高い税金を納めるというのは正直嫌だ…という方もいるのではないでしょうか。その点、赤字決算であれば税金を支払わなくてもいいわけですから、これを節税対策とする見方もあるかとは思います。 

しかし、会社にとって赤字決算が本当にメリットのあることなのでしょうか?

赤字決算になるとどうなるのか?

1. 赤字決算のメリット

赤字決算の最大のメリットは、損をした年度(年分)の税金を払わなくてよい点と、そのマイナス金額(赤字)を翌年以降に繰り越すことができるというところです。

例えば、決算の結果が次のとおりだったとします。

  1期目 2期目 3期目
決算の結果 -100万円の赤字 +50万の黒字 +100万円の黒字
納税額 なし なし +50万に課税
赤字の繰越金額 -100万円 -50万円 なし

※ここではわかりやすいよう法人住民税の均等割りと事業所税は計算から除外しています。

【1期目】

-100万円の赤字なので、税金は0円。

【2期目】

+50万の黒字ですが、1期目の-100万円の赤字を繰り越しているので、2期目の+50万円と1期目の-100万円を相殺でき、結果として2期目も税金は0円。

つまり、黒字でも納税しなくても良いということになります。さらに相殺しきれなかった-50万円をさらに翌期に繰り越すことができます。

【3期目】

+100万円の黒字なので、繰り越した赤字の-50万円と+100万円分相殺し、残った+50万円に対する税金を納めるだけでよいことになり、一度赤字を出せば、そのマイナスが消えるまで税金を払わなくて済むというわけです。

◆メリットを受けるための条件

しかし、このような赤字決算のメリットは、全ての会社・個人が無条件で受けられるわけではありませんので注意が必要です。 

赤字の繰越をするためには、税務署に「青色申告の承認申請書」をしていることが条件です。この届出がなければ、どんなに赤字が出ていてもその年度(年分)で消滅してしまいます。 

届出を提出した日の翌期(翌年分)から、法人であれば平成30年4月1日以降開始の事業年度で10年間、個人であれば3年間、赤字を繰り越すことができます。 

承認を受けるためには、複式簿記で帳簿を作成することが要件となり、収入と費用を集計するだけでOKな白色申告より高度な帳簿作成が求められます。

事務手続きが煩雑になるかもしれませんが、赤字の繰越の他にも様々な税法の特典がありますので、会社を設立する(事業を開業)する際には是非、青色申告の届出をしておくべきでしょう。

さて、ここまで読むと「なら決算書は赤字の方がいいのでは?赤字にして節税対策をしよう!」なんて思ってしまうかも知れませんが、赤字決算は決して良い事ばかりではありません。 

(例外もありますが)基本として「赤字になる=損をした分だけ手持ち資金が無くなる」ということです。

ボランティア活動でない限り、事業とは儲けてお金を増やすことが目的であり、赤字を出して手持ち資金が溶けてしまうという状態は会社として良い状態ではありません。

「納税しなくて良かった」などと喜んでいる場合ではないのです。

2. 赤字決算のデメリット

では、具体的にどのようなデメリットがあるのかを説明したいと思います。

それは「金融機関の査定が下がる」ということ。 

運転資金の全てを自己資金でまかなうことができる事業者であれば問題はありませんが、一般的に会社は、銀行から融資を受けて運転資金を確保しています。 

そして銀行もまたボランティアではありませんから、当然、融資した会社の成績表(決算書)を毎年確認します。 

この時、毎年赤字を出している会社の決算書を見て、銀行はどのような判断をするでしょうか?まず間違いなく、以降の追加融資をしようとはしません。 

ちなみに、銀行は一定の査定基準を設けて融資先にA~E、1~10などの格付けをし、赤字決算が続いた融資先は格付けの変更を行います

2期連続で赤字決算となると文字通りの赤信号。格付けの見直しが行われ評価が下がります。そして一旦下がった評価は、翌期黒字を出したとしてもすぐに上がるわけではありません。 

赤字決算最大のデメリットは、銀行からの融資が受けられなくなり会社が運転資金に窮し倒産に至るリスクが高くなるということです。 

「赤字になる=損をした分だけ手持ち資金が無くなる」ことに加えて銀行融資もストップ…。一時的には税金が抑えられるかもしれませんが、長い目でみたとき、赤字決算は事業存続が危ぶまれるほどのデメリットを抱えることになるのです。

デメリットを回避する方法

しかしながら、どんな優良企業であっても赤字になってしまう場合があります。

同じ赤字決算といっても、

1. 創業赤字(創業期に起こる赤字)

2. 臨時的な赤字(災害などの外的要因や設備投資など)

3. 慢性的な赤字(業績不振)

などがあります。

先に挙げた赤字(マイナス)を繰り越せる青色申告のメリットは、「1. 創業赤字」や「2. 臨時的な赤字」の会社を救済するための特例措置であるという捉え方をする方がいいでしょう。 

では、やむなく赤字決算になってしまった場合、デメリットを最大限抑えるためにはどうすれば良いのでしょうか?

いくつかのポイントを挙げてみます。

ポイント1:翌期は必ず黒字にする

前述した通り、赤字決算が2期続くと銀行は格付けの見直しを行います。ですので、赤字を出した翌期は必ず黒字決算にすることです。

なかなか難しいことではありますが、例えば、翌期に発生すると予想される多額な費用(大規模な設備投資や修繕工事、役員退職金など)があれば実行を前倒して赤字決算である当期に全て費用計上してしまい、翌期の費用発生を軽減し黒字決算を作りやすくする、というのも一例です。

ポイント2:債務超過を長引かせない

債務超過(いわゆる自己資本割れ)は銀行が一番嫌う財務状態です。

このような状態を長引かせないためには、もし役員から借入金があれば債務免除をして利益を計上し自己資本を増加、場合によっては増資を実行するなどして積極的な自己資本の充実を図るべきです。

ポイント3:特別償却より税額控除

青色申告をしている会社が設備投資(=固定資産の購入)をし、一定の要件を満たす場合には税法上多くの特典があります。その中の一つに減価償却費という経費を、通常認められる額以上に経費として計上(即時償却・特別償却)できる、というのがあります。

通常なら決算を赤字にしてまでこの即時償却・特別償却の特典を受けようとすることはないと思いますが、赤字の繰越を節税対策と捉えた場合、敢えて適用を受けておこうと考えるケースもあろうかと思います。

(※この特例を受けられるのは当該設備投資をした年度(年分)のみであるため) 

こういった場合、おすすめなのが特別償却よりも「税額控除」です。これは納める税金から一定の割合引き算ができるという特典です。 

特別償却との併用はできませんが、通常なら設備投資した金額しか「減価償却費」として費用計上できないところ、この特典を使うことで「減価償却費」に「税額控除」のオマケがついてくるので、トータルすればお得になります。 

翌期以降、経常的に黒字決算となることが予想される会社であれば是非おすすめします。 

また、この特典は赤字決算でも申告さえしておけば翌期に限って繰り越すこともできますので、忘れずに申告しておきましょう。

まとめ

節税は会社にとって確かに大事なことですが、最終的に無駄な節税は逆に会社を弱くするという分かりやすい例を一つご紹介します。

1,000万円儲かり、300万円の税金を払うとします。

そのまま普通に納税すれば、

1,000万円-300万円=700万円

手元には700万円の自己資金が残ります。

しかし、税金を払うのが嫌で納税を避けるため1,000万円の臨時ボーナスを支給し、所得0円にしたとしましょう。

確かに税金は0円ですが、ボーナスを支給したため手持ち現金は、

1,000万円-1,000万円=0円

つまり自己資金0円ということになるのです。 

赤字決算のメリットとは、あくまでも「救済措置」であるということ。経営者の目的は「いかに税金を払わないか」ではなく「いかに良い決算書(会社)を作るか」であることを認識する必要があります。

画像出典元:PAKUTASO、pixabay

 

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