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投資信託のパンフレットやレポートで「ケイマン諸島」という言葉を目にすることがあります。
しかし「なぜケイマン諸島に投資するの?」「どのようなメリットがあるのだろう」と疑問に思ってはいないでしょうか。
ケイマン諸島はタックスヘイブン(租税回避地)として知られており、多くの投資信託ファンドや企業がある場所です。
本記事では、ケイマン諸島やタックスヘイブンの概要に加え、ケイマン諸島のファンドに投資するメリットなどを解説します。
このページの目次
はじめに、ケイマン諸島の場所や特徴について解説します。
引用元:グーグルマップ
ケイマン諸島は、カリブ海の西インド諸島に位置する島です。
グランドケイマン島、ケイマンブラック島、リトルケイマン島の3つの島から構成されています。
ケイマン諸島は独立した国家ではなく、イギリス王室の統治下にあるイギリスの海外領土です。
人口は約6万人、面積は約260㎢ほどで、日本と比較するとかなり小さな島であることがわかります。
ケイマン諸島は、観光業と金融業が主力です。
観光業ではカリブ海エリアのリゾート地として人気が高く、北米やメキシコ、南米などの近隣を中心に多くの観光客が訪れます。
税制優遇制度が適用されていることから、金融業も発展しており、多くの海外企業、ファンドがケイマン諸島に籍を置いていることが特徴です。
ケイマン諸島において観光業が発展している大きな理由は、ケイマン諸島が自然に恵まれたリゾート地である点です。
ケイマン諸島では、他の国や地域ではめずらしい野生のエイやウミガメなどを見ることができます。
ケイマン諸島のリゾート地としての魅力は、主に以下の4点です。
1.温暖な気候:年間を通じて暖かく、過ごしやすいエリア
2.豊富なアクティビティ:シュノーケリングや釣りなどのウォーターアクティビティが楽しめる
3.美しい自然の景色:ウミガメやサンゴ礁など、多種多様な野生生物を見ることができる
4.充実した商業施設:ホテルやショッピング施設が充実しており、リフレッシュや買い物にも適している
ケイマン諸島が注目を集める理由は、自然に囲まれたリゾート地であることだけではありません。
ケイマン諸島はタックスヘイブン(租税回避地)としても有名で、金融産業の地としての顔も持っています。
では、タックスヘイブンとはどのようなものなのでしょうか。
タックスヘイブンとは、英語の「Tax Haven」から由来する言葉で、直訳すると「税金の避難所」という意味です。
日本語では「租税回避地」と呼ばれ、税金を回避するための国や地域を指します。
ケイマン諸島は税制優遇制度があり、タックスヘイブン対象エリアです。
具体的には、株式などの売却益(キャピタルゲイン)や、配当(インカムゲイン)に対する課税がありません。
所得税や不動産税も発生しないため、企業や個人投資家にとって魅力的な地域なのです。
タックスヘイブンのメリットは、納税者だけに留まりません。
ケイマン諸島など、主な産業が乏しい国や経済的にまだ十分発展していない国は、海外から企業を誘致することで経済を活性化させることができます。
企業の誘致は雇用の創出、海外からの移住、外資の獲得にもつながるのです。
その結果として、世界経済の底上げも期待できます。
タックスヘイブンで有名なエリアは、ケイマン諸島以外にも存在します。
たとえば、以下に挙げる国や地域がタックスヘイブンの対象エリアです。
世界では、複数の国や地域において税制が優遇されています。
タックスヘイブンでは、会社を設立する際に必要な手順が少なく済む点もメリットです。
新しい事業を会社として立ち上げる際など、タックスヘイブンを活用することで迅速な事業展開を図ることができます。
タックスヘイブンは資産への課税や所得税が優遇されるため、魅力的な国や地域といえます。
しかしEUは、租税に非協力的として、多くのタックスヘイブン対象エリアをブラックリストに挙げているのです。
ブラックリストに載ると、EUからの支援停止などの制裁を受ける可能性があります。
ブラックリスト対象の一例は、以下のような国や地域です。
ケイマン諸島は2020年にブラックリスト対象として追加されましたが、その後、税制改善の取り組みが認められて現在ではブラックリストから除外されています。
ケイマン諸島は、投資信託などのファンドや企業が籍を置く場所としても活用されています。
投資信託で「ケイマン籍」とよく目にするのは、このためです。
この章では、ケイマン諸島に籍を置く「ケイマン籍」のファンドや企業への投資について解説します。
タックスヘイブンの対象エリアである国や地域は、税制優遇の観点で諸外国の投資家から注目を集めています。
数あるタックスヘイブンのなかで、ケイマン諸島のメリットは「アメリカに近い」ということです。
ケイマン諸島は地理的に、世界経済の中心であるアメリカに近く、アメリカと比べて税制が優遇されています。
そのため、アメリカから膨大な投資資金が集まりやすい傾向です。
さらにケイマン諸島は、アメリカとの時差がない点も好条件といえます。
金融機関は時間内取引、時間外取引といった時間帯での手続きや処理がほとんどです。
経済大国であるアメリカと時差がないことは、スムーズな金融取引が行える点で大きな利点といえます。
投資信託は、大きく分けて「国内籍投資信託」と「外国籍投資信託」です。
国内籍投資信託は日本の法令に準拠しているのに対し、外国籍投資信託は対象となる外国の法令に基づいています。
ケイマン籍の投資信託は外国籍投資信託のひとつなので、従うのはケイマン諸島の法令です。
国内籍投資信託と、ケイマン籍を含む外国籍投資信託との主な違いは、以下のようなものが挙げられます。
国内籍投資信託
外国籍投資信託
上記からわかるように、ケイマン籍など外国籍投資信託の特徴は、投資の選択肢が豊富である点です。
外国籍投資信託は運用方法や投資対象が自由なので、投資対象の大部分を価格変動の著しい暗号資産にすることも可能です。
税制が優遇されていることもあいまって、国内籍投資信託に比べて高利回りを得ることが期待できます。
一方で、高利回りを望める投資対象は、その分リスクも大きくなる傾向です。
外国籍投資信託は、万が一の保証がされていない場合もあるため、慎重な投資判断が必要となるでしょう。
また、日本国内の居住者が投資信託で得た利益については、所得税がかかります。
ここでは、ケイマン諸島に籍を置く企業が多い理由について解説します。
はじめに、ケイマン諸島では会社を設立する手間が少ないことが理由として挙げられます。
ケイマン諸島で企業を作る際は、政府の規制当局の承認が必要ありません。
通常よりもプロセスが少ないことで、3〜4営業日程度で法人化することができるのです。
一方、日本では株式会社の設立に少なくとも3週間かかるといわれています。
ケイマン諸島なら、日本の約5分の1ほどの日数で会社設立が可能です。
ケイマン諸島での会社設立は、コストが少なく済む点もケイマン籍の企業が多い理由です。
たとえば、銀行に資本を前払いする必要がないため、初期費用を低く抑えることができます。
企業経営を続けていくうえで必要な税金も抑えられるので、経営コストを大幅に削減できるのです。
ケイマン籍の企業は、取締役が1人いれば問題ありません。
そのため、取締役や執行役員を複数名選定する人員調整などが必要ないのです。
取締役の国籍や居住地にも制限がないため、取締役をスムーズに選定できるでしょう。
日本では株式を自由に売買できる「公開会社」の場合、取締役は3人以上必要と決まっています。
タックスヘイブン対象エリアは、租税に非協力的とみなされるため、世界的に随時、制度の改正がなされる傾向です。
日本では「タックスヘイブン対策税制」という制度があります。
海外にある子会社の所得を、その親会社の所得とみなし、合算して課税するという制度です。
2017年の税制改正で、対象の子会社の範囲が拡大するなど規制が厳しくなりました。
タックスヘイブン対策税制は、随時見直しされており、今後も規制が厳しくなっていく可能性があります。
カリブ海のリゾート地であるケイマン諸島は、タックスヘイブン(租税回避地)としても有名な地域です。
ケイマン諸島では、課税に対して税制優遇がされていることに加え、スピーディかつ低コストで会社が設立できるなどの利点があります。
投資の自由度が高く、アメリカからの資金が集まりやすいことから、投資先としても注目されているといえるでしょう。
一方、タックスヘイブン対策税制などの法律は、随時改定されています。
投資や会社設立の際は、こまめに最新情報を確認することが重要です。
画像出典元:O-DAN
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