法人が赤字でも税金はかかる!法人税やその他税金について解説

法人が赤字でも税金はかかる!法人税やその他税金について解説

記事更新日: 2019/10/18

執筆: 奥谷佳子

会社を経営していくうえで、避けて通れないのが「納税」です。このうち法人税については「赤字決算」であれば納税する必要がない!とお考えの方もいるのではないでしょうか?

しかし、赤字でも納税は発生します。今回は赤字でも支払わなければならない法人税と、その他税金のうち、大きな納税額になり得る消費税について解説していきます。

まずは知っておきたい法人税のしくみ

法人税とは?

法人税とは、株式会社等の法人が各事業年度の利益(所得)に対して納めなければならない税金のことです。

会社を設立する際に作成する定款の中で、事業年度をうたっている法人が多いかと思いますが、ある一定期間の利益(所得)=期間損益を確定させる基準となるのが「事業年度」です。

例えば「当社の事業年度は毎年1月1日から12月31日とする」とした場合、利益の金額は「1月1日から12月31日の間に稼ぎ出した利益」が対象となります。

そしてこの利益に対して税率を乗じ、法人税を計算します。

「事業年度」の最後の月のことを「決算月」と呼び、決算月から2ヶ月以内に決算を行って利益を確定し、税額を計算して税務申告(確定申告)をする義務があります。

この税務申告は下記、1. ~3. の3ヶ所に提出する必要があり、納税もそれぞれに行うこととなります。

1. 国

2. 都道府県

3. 市町村

納税の方法は納付書を記入して現金納付する方法のほか「ダイレクト納付」「ネットバンキング納付」といった電子納付や、クレジットカードを使った納税方法があります。

 

法人税の分類と種類

税金は大きく分けて以下の3つに分類され、法人税は会社の利益(所得)に対して課税される税金の分類になります。

1. 収益から経費を差し引いた「所得」に対して課税されるもの
「源泉所得税」「申告所得税」「法人税」など
2. 所有する「財産」に対して課税されるもの
「固定資産税」「自動車税」など
3. 対価を支払って購入した「物やサービス」に対して課税されるもの
「消費税」「軽油税」など

そして、法人税には以下のような種類と納付先があり、これらを総称して法人税と呼びます。

種類 納付先
1. 法人税
2. 地方法人税
3. 法人都道府県民税 都道府県
4. 法人市町村民税 市町村
5. 法人事業税 都道府県
6. 地方法人特別税 都道府県

 

法人税は会社の利益(所得)に対して課税される税金

法人税は会社の利益(所得)に対して課税される税金ですが、経営不振や設備投資の影響などで赤字決算(利益がマイナス)となる年度もあると思います。

法人税の納税額は「利益(所得)×法人税率」となり、利益(所得)がマイナスの場合は0円として計算します。

0円(所得)×法人税率=0円(納税額)

ですので「赤字決算となった場合は税金を支払う必要はない」とお考えの方もいるのではないでしょうか?

しかし、赤字決算であっても法人税の納税は発生します。

赤字決算でも発生する法人税とは?

「都道府県民税」「市町村民税」の均等割

前述した法人税の種類のうち3. 「都道府県民税」と4. 「市町村民税」については、赤字でも最低限支払わなければならない税金が定められている「均等割」という制度があります。

 均等割の金額は、各都道府県や各市町村によって多少の相違はありますが、資本金が1億円以下で従業員50人以下の会社であれば、都道府県へ2万円、市町村へ5万円、合計7円の納税が必要となります。

「法人事業税」「地方法人特別税」の外形標準課税

また、5. 「法人事業税」と6. 「地方法人特別税」については、「外形標準課税」という制度により、一定の条件を満たす法人は所得だけではなく事業規模に対する税金も支払う必要があり、赤字決算とは関係なく税金が発生します。

※上記4つの税金を合わせて「法人住民税」と呼ぶこともあります。

誤解が招く納税に注意!

このように、赤字決算と関係なく支払わなければならない法人税のほかにもう1つ、「利益」と「所得」の違いを誤解することで予想外の納税が発生するというケースがあります。

決算書の利益は「収益-費用」で計算され、差し引いた金額のことを「利益」と呼ぶのに対し、法人税の計算をする際にはこの「利益」に、税法上認められない費用を足し算(損金不算入、加算と呼びます)して「所得」を求めます。

表面上の「利益」は赤字であっても税金の計算過程で、費用として認められないものが利益に上乗せされた結果、所得が黒字になる場合も有り得るのです。

加算されるものの具体例

・定期同額給与、事前確定届出給与以外の役員報酬

・法人税の予定納税額(法人事業税、地方法人特別税を除く)

・減価償却費の償却超過額…など

上記に挙げた経費を決算書に計上している場合には、その経費の支払いが「なかったもの」として利益を見なければ、後で納税として跳ね返ってきますので十分に注意が必要です。

法人税以外の税金「消費税」について

大きな納税額になり得る消費税

赤字決算で、例え法人税の納税額が0円であったとしても安心はできません。

法人税以外にも赤字黒字に関係なく支払わなければいけない税金が他にもあるからです。

中でも大きな納税額になり得るのが「消費税」です。

課税売上高が1,000万円を超える事業者の方は消費税の納税をしなければなりません。

消費税の課税事業者には「原則課税事業者」と「簡易課税事業者」の2種類があります。

  • 原則課税事業者の場合…もらった消費税から支払った消費税を差し引いた額を納税
  • 簡易課税事業者の場合…売上高に一定割合を乗じた額を納税

いずれの場合も利益や所得の多寡に関係なく消費税額を計算するため、赤字決算であっても納税が発生します。

特に簡易課税事業者の場合は、売上高に割合を乗じて計算しますので売上高が0円にならない限り、毎期必ず消費税を納めなければなりません。

 

税務調査の修正に伴う納税に注意!

消費税は、税務調査を受ける際にも注意が必要です。

棚卸の計上漏れや経費の税務上否認により所得が増加したとしても、赤字決算であれば税務調査により増加した所得を赤字と相殺することができますので、余程大きな修正がない限り法人税の追加納税が生じることはありません。

しかし、消費税は所得の多寡に左右されずに計算しますので、赤字決算であっても間違いが見つかれば納税に直結します。

また、青色申告の届出をしていれば、会社が計上した赤字は最大で10年間繰り越すことが認められています(繰越欠損金制度)。

仮に修正申告で当期の経費が否認された場合には、この繰越欠損金を使って法人税の修正申告の納税額を抑えることが可能ですが、消費税には適応されません。

消費税に関していえば、税務調査による追加納税のリスクは毎年必ず発生します。

赤字決算であっても、消費税の処理については特に細心の注意を払って間違いがないよう慎重に処理しましょう。

まとめ

法人税に限っていえば、赤字決算は納税額が0円ですので、結果として節税につながるということができるかもしれません。

しかし、解説してきたとおり、赤字決算でも支払わなければならない法人税や消費税等がありますので、納税資金を事前に準備しておくことが大切です。

同時に、税金の還付や軽減につながる繰越欠損金制度などを正しく理解し活用しましょう。

画像出典元:o-dan

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