TOP > 経営 > 税金 > 消費税の基礎知識から節税のポイントまで簡単解説!
TOP > 経営 > 税金 > 消費税の基礎知識から節税のポイントまで簡単解説!
個人であれ、法人であれ、私たちの生活の中でもっとも身近にある税金「消費税」。
消費税とは、読んで字のごとく「何かを消費した時に発生する税金」のことですが、個人事業主や法人が支払う消費税の仕組みは少々複雑で、選択を誤れば大きな損失を被ってしまう恐れがあります。
そこで今回は消費税の基礎知識から節税のポイントまでをどこよりも簡単に解説します。
このページの目次
個人であれ、法人であれ、私たちの生活の中でもっとも身近にある税はモノやサービスを購入した時に生じる「消費税」ではないでしょうか?
消費税とは、読んで字のごとく「何かを消費した時に発生する税金」のこと。
しかし、全ての消費に税金が発生するわけでありません。
消費税が発生する事柄を「課税対象」といい、課税対象になるにはいくつかの条件があります。
1. 国内における取引であること
2. 事業者が事業として行う取引であること
3. 対価を得て行う取引であること
4. 役務(サービス)資産の譲渡(売買)・貸付(不動産)等を提供すること
上記4つを全て満たすことが条件になります。
では、消費や取引において生じた消費税はどのようにして国に納められるのでしょうか?
【例】事業者Aが事業者Bから500円で商品を仕入れ、1000円で消費者に売った場合。
1. 事業者Aは500円の商品を仕入れたので500円の8%、40円の消費税を事業者Bへ支払います。
2. 仕入れた商品を1000円で販売したので1000円の8%、80円を消費者からもらいます。
3. 事業者Aは、事業者Bに支払った40円、消費者から預かった80円の差額40円を国に納税します。
事業者が日本でモノを仕入れて売った場合、消費税が発生することがほとんどですが、全てが課税対象かというとそうではありません。
ここからは事業者(法人・個人事業主)が事業として行う取引に限定して、代表的な課税対象外の取引について紹介します。
課税対象外取引とは、そもそも消費税がかからない取引のこと。
非課税取引とは、本来は課税取引であるが「政策的な理由」や「消費税の課税にそぐわない」という観点から消費税の課税を免除している取引のこと。
同じ課税対象外でも課税対象外取引とは意味合いが違いますのでこのように区分されています。
課税取引のうち、基準期間の課税売上高が年間1,000万円以下(税込)であれば消費税の納税が免除されます。
ここでいう「基準期間」というのは一般的には「前々期」「前々年」のことで、この期間の課税売上高が年間1000万円以下(税込)であれば翌々期、翌々年には消費税の納税が免除される、ということです。
免除された事業者のことを「免税事業者」といい、逆に1,000万円を越えた事業者のことを「課税事業者」といいます。
「免税事業者と課税事業者、どちらになるのがいいの?」と質問されることがありますが、そもそも選択できるものではなく、この「基準期間」の課税売上高に応じて免税⇔課税が決定されるのです。
あえていうならば、課税売上高が税込で1,000万円ピッタリなら消費税8%分の約74万円の納税が免除されますが、これが1,001万円になってしまった場合、約74万円の消費税を納税しなければならなくなります。
そういう意味では「免税事業者」のほうがお得感はあります。
しかし、消費税を払いたくないという理由だけで売上をセーブしたとしたら、何のために事業を行っているのか?ということになりかねませんよね。
消費税の流れで触れたように、事業者は払った消費税ともらった消費税の差額を国に納めなければなりませが、この計算方法を「原則課税」といいます。
「原則課税」では、消費税の受払を正確に計算するため、取引一つ一つに対して消費税の計算を行い、差額の消費税を計算しなければなりません。
取引には課税取引や不課税取引(課税対象外取引)、非課税取引がありますので、それらを区分するだけでもかなりの労力を要します。
そこで、もっと簡単に消費税を計算する方法が認められています。
この制度は「簡易課税制度」と呼ばれ、売上をその内容に応じて6種類に分類し、それぞれの分類に応じた一定の割合を掛けて税額を計算するというもの。
仕入や経費の取引にかかる消費税を考慮する必要がなく、売上だけ管理すれば消費税を算出することができますので「原則課税」に比べれば事務手続きがかなり軽減されます。
※売上は取引内容に応じて細分化されており、全てが第1種~第6種に分類されます。
また、それぞれの事業に掛ける%も税法で決められています。なお、簡易課税制度の事業区分の詳細は国税庁HPで確認できます。
ただし、この簡易課税制度を使うためには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下かつ適用を受けたい事業年度が始まる日の前日(つまり、前期末・前年末)までに「簡易課税制度選択届出書」を提出していることが条件となります。
つまり、課税売上高が1,000万円を越えて5,000万円以下の事業者は、原則課税と簡易課税、どちらで消費税を計算するかを選択することができるのです。
では、原則課税と簡易課税、どちらで消費税を計算した方が安くなる(節税)になるのか?具体的な例でみてみましょう。
【例】課税売上高3,000万円(卸売2,000万円、小売1,000万円)
課税仕入高2,000万円
売上3,000万円×8%=240万円
仕入2,000万円×8%=160万円
240万円-160万円=80万円
簡易課税制度の事業区分の表
出展:国税庁HP
卸売2,000万円×10%(第一種事業100%-90%)×8%=16万円
小売1,000万円×20%(第二種事業100%-80%)×8%=16万円
16万円+16万円=32万円
計算方法一つでこれだけ大きな金額の差が出てしまいます。
ちなみに、上記の課税売上高3000万円が全てサービス業だった場合に簡易課税制度で計算すると、
3,000万円×50%(第五種事業100%-50%)×8%=120万円
原則課税で計算した方が安くなります。
このように、消費税の計算は法人・個人問わず、取引の種類や経営状態、設備投資の有無や経費の内訳に応じてかなり違います。
どちらを選択すべきかは、翌期(翌年)の予想をたてて計算してみなければ正確には判断できませんが、大まかな目安としては以下の通り。
・翌期(翌年)が赤字決算予想の場合
・翌期(翌年)大規模な設備投資がある場合
・経費の内訳で、人件費等の非課税・不課税取引が多い場合
・もともと仕入等の経費が少ない(利益率が高い)場合
繰り返しになりますが、一番注意しなければならないのは原則課税と簡易課税の選択は適用したい事業年度(年分)の「前年度中」にしなければならないということです。
実務の世界では、大規模な設備投資で支払った消費税の数百万円が、簡易課税を選択していたばかりに引き算できず、丸々損してしまった…などという選択ミスは実際におこっています。
制度適用の有利不利判定は納税に直結する重要な選択であり、そのためにも来期のシミュレーションは正確に行っておく必要があります。会計士や税理士といった税の専門家と話し合い、慎重に慎重を重ねて判断するようにしましょう。
正しい選択こそが消費税の節税につながります。
画像出典元:pixabay、nta.go
▼あわせて読みたい
ボーナスにかかる税金とは?手取り額の計算方法や保険料の種類も解説!
【図解】インボイス制度とは?何をすべきか?をわかりやすく解説!
芸能人が個人事務所を作る事情とは?独立の成功例・失敗例も解説
脱税注意!パパ活やギャラ飲みにかかる税金とは?節税対策や確定申告の仕方も解説
タックスヘイブンとは?対象の国や法人税軽減のやり方をわかりやすく解説
【保存版】起業後かかる税金と納付時期|個人事業主と法人それぞれ解説
ケイマン諸島と投資信託の関係とは?ファンドが多い3つの理由
特定支出控除|会社員のスーツも経費申告できるのか?詳しく解説!
連結納税|制度導入のメリット・デメリットを徹底解説!
脱税とは?申告漏れとの違いや話題のイートイン脱税についても解説!