【経営者必読】繰越欠損金とは?基礎知識と節税効果を簡単解説!

【経営者必読】繰越欠損金とは?基礎知識と節税効果を簡単解説!

記事更新日: 2019/03/29

執筆: 編集部

繰越欠損金とは税務上の赤字「欠損金」を翌期以降に繰越すことができる制度のことですが、そもそも税務上の赤字とは会社にとってどういう状態なのでしょうか?

経営者の多くが意外と知らない、繰越欠損金を理解するうえで必要な「会計上と税務上の違い」とはなんでしょう?

そこで今回は、繰越欠損金を理解するための基礎知識と、なぜ繰越欠損金が節税になるかを簡単に解説します。

繰越欠損金とは?


「会計」と「税務」の世界は違う

繰越欠損金を説明する前に、会社の決算書で計算する「会計上の利益」と、法人税等の計算をする際に求める「税務上の利益」はイコールではない、ということをまず頭に入れておきましょう。


会計は、会社の収益から費用を差し引き利益を出します。

これは企業会計で認められたルールに基づき収益・費用を計上し作成されるもので、いわゆる「会計上の利益」です。

税務はこの「会計上の利益」に、税法上のルールに基づき「収益・費用の調整」を行って「所得」というものを出します。

これが「税法上の利益=所得」です。

税金の計算をする際に対象となるのは後者の「所得」。

会計における「収益・費用」のことを税務上は「益金・損金」といい、「収益・費用の調整」をすることを「加算・減算」といいます。

例えば、会計で「費用」として認められているものでも、税務上「損金」として見た場合、経費として認められないものがあります。

同様に、会計で「収益」として計上したものであっても、税務上「益金」として見た場合、収益であげる必要がないものもあります。

税務申告とは、このように会計で計上した費用収益の内容を税務上の立場から再度検証し利益の調整を行い、最終的に「所得」というものを計算する作業です。

「収益=益金の増加」「費用=損金の減少」は所得を増やす調整だから「加算」

「収益=益金の減少」「費用=損金の増加」は所得を減らす調整だから「減算」

 

損金(不)算入と益金(不)算入

では、会計上「収益(または費用)」として認められていても、税務上「益金(または損金)」として認められないもの、というのはどのようなものか?

繰越欠損金や税の仕組みをより深く理解するため、いくつか例を上げて説明します。

 

【加算=損金不算入】の例

(法人税等50万円を費用として計上した場合)

税引前当期利益   150万円

法人税等      ▲50万円

当期純利益     100万円


会計上、法人税等として計上した50万円は「費用」としておとせますが、税務上はこれを「費用=損金」として認めていません。

よって税金を計算する際には、法人税等は費用として“なかったもの”として、50万を加算します。これを「損金不算入」といいます。

※「おとす」ことを税務上では「算入」。

100万(当期純利益)+50万(法人税等)=150万(所得)×税率=税金


結果として、会計上の利益である100万円よりも税務上の所得の方が増えることとなります。

他にも具体例をあげると、損金不算入になるものは、延滞税、不納付加算税、利子配当源泉税、交通反則金…など。

損金算入してよいものは、固定資産税、印紙税、(政令指定都市の)事業所税…などがあります。

【減算=益金不算入】の例示

(株の配当金100万円を受け取った場合)

受取った配当金は会計上「収益」として計上されていますが、税法には「受取配当金の益金不算入」という制度があり、税務申告をすれば、配当の種類に応じて20%以上を益金にしなくてもよい、というルールがあります。

20%の益金不算入を適用

当期利益 500万円-(配当金100万円×20%)=480万円の「所得」


結果として会計上の利益である500万円よりも税務上の所得の方が減ることとなり、これを「益金不算入」といいます。

この他にも「損金算入」「益金算入」というものがありますが、要約すると下図のようになります。


上記のように計算した結果、税務上の赤字が出た場合、これを「欠損金」といいます。

次に解説する「繰越欠損金」というのは、この欠損金を翌年以降に繰越してもよいという制度です。

繰越欠損金を活用する

会計と税務における費用収益のルールの違いと、欠損金を理解したところで繰越欠損金についてもう少し詳しくみていきましょう。

繰越欠損金の節税効果

通常であれば黒字に対する税金を支払わなければいけませんが、繰越欠損金が残っている場合は赤字と当期の黒字を相殺することができます

【例】税務上、前期が赤字で当期に黒字が出た場合

前期 ▲500万円の欠損金

当期 +1,000万円の所得

当期の所得1,000万円-500万円=500万円


このように所得が減りますので、結果として税金が減ることになります。

つまり、繰越欠損金の制度を使うことによって節税が可能になるということです。

しかし、無条件でこの「繰越欠損金」制度を使うことができるというわけではありません。

適用要件と注意するべきこと

この制度を適用できる大前提は、青色申告をしていることです。

前述の節税効果の観点から見た場合、繰越欠損金という制度が青色申告の最大の特典といっても過言ではありません。

注意しなければならないのは、青色申告の期限後申告が二回続いてしまうと、青色申告が取り消しになってしまいますので、申告は必ず期限内に行いましょう。

また、繰越欠損金は平成30年4月1日以後に開始する事業年度において、10年間繰越すことができますが、その欠損金がいつの年度に発生したのもかによって繰越せる期間が異なりますので注意が必要です。

ちなみに、決算における繰越欠損金をどう処理(仕訳)をしたらいいのか?というのも気になるかもしれませんが「繰越欠損金」は法人税申告書の中で処理するもの。

よって、会計上は特別な処理は必要なく、繰越欠損金控除後で計算した税金を決算書の「法人税等」に入れるだけでOKです。

まとめ

繰越欠損金は、会計上と税法上の違いにより(使用する用語も違うので)少々混乱してしまう部分です。

まずは基礎をおさえ、徐々に理解を深めていきましょう。

そして活用にあたる際は、税理士さんや会計士さんの協力を仰ぎ、しっかりと相談しましょう。

画像出典元:pixabay

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