TOP > 経営 > 税金 > 会社の税金を徹底解説!払うべき税金の仕組みと計算方法
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無事に会社を設立し、なんとか最初の事業年度を終えたと思ったタイミングでやってくるのが「確定申告」という重要な作業です。そして確定申告を行うことで同時に発生するのが「納税」です。
会社員であれば確定申告及び納税はすべて会社側がやってくれていましたが、個人事業主と法人はすべて自分でやらなければいけません。
今回は会社の主要な税金である「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」の4つの税金についてその仕組みと計算方法について解説していきます。
このページの目次
法人税は会社の税金でもっとも主要なものです。
法人税とは、法人が事業活動により得た所得(利益)にかかる税金のことであり、国に納付する「国税」の一種です。労働者あるいは個人事業主などの個人が労働などにより得た所得にかかる「所得税」の法人バージョンと理解しておけば、おおよそ間違いはありません。
ただし、個人の場合は所得が増えると段階的に税率が上がっていく「累進課税」という仕組みが採用されているのに対して、法人の法人税の場合は会社の規模によって税率(法人税率)が定められます。
そのため、個人事業主として所得税を納めている場合は、ある程度大きな規模になれば法人化した方が税法上有利になることもあり得ます。
よく「会社の税金=法人税」と勘違いしている方がいますが、あくまで法人税は会社の税金のうちの一つであることを理解しておきましょう。
法人税の金額は以下の式により算出されます。
法人税額 = 課税所得金額 × 法人税率
ここでいう法人税率が会社の規模と所得によって以下のとおり設定されています。
※平成31年3月31日までに開始する事業年度は15%
法人税の税率は23.2%か19%のどちらかだと理解しておきましょう。資本金が1億円を超えるか、年間所得(利益)が800万円を超えた段階で23.2%となります。
個人の所得にかかる所得税率は最大で45%になることを考えれば、法人税は比較的低いといえます。
法人税についてさらに覚えておいていただきたいのが、所得が赤字となった場合には法人税は発生しないという点です。特にサラリーマンとして所得税を納める場合には所得が赤字となることはほとんどないためにピンとこないと思います。
しかし、特に起業1年目の企業の場合には初期の設備投資等がかさみ費用が収益を上回ることも多いために、初年度は赤字だったので法人税はゼロ円となることもザラです。
法人住民税は、個人が支払う「住民税」に該当する税金です。地方税の一種であり、法人の事業所が所在する都道府県と市区町村それぞれから課せられます。
例えば東京都武蔵野市に事業所が所在する場合には、東京都に「法人都民税」を、武蔵野市に「法人市民税」をそれぞれ支払うことになります。
実は個人の住民税も同じなのですが、個人の住民税は基本的には都道府県の分を市区町村の分に合わせていっぺんに支払う仕組みになっているのに対して、法人の住民税はそれぞれで納付を行う必要がある点が異なります。
法人住民税は「法人税割」と「均等割」という2つの課税の仕組みに基づいてそれぞれ税額が算出され、それらを合算することで金額が決定します。
法人住民税額 = 法人税割 + 均等割
法人税割と均等割、それぞれの計算方法を見ていきましょう。
まず法人税割は、先ほど説明した法人税の納税金額(法人税額)に住民税率をかけた金額を税額とする仕組みです。
法人税割 = 法人税額 × 住民税率
赤字のときは法人税額がゼロ円になるので、法人税割もゼロ円となります。
住民税率は、都道府県と市区町村とで基準となる税率(標準税率)が異なり、さらに自治体ごとに標準税率をもとにした独自の税率が設定されています。
【平成31年10月1日以前に開始する事業年度】
【平成31年10月1日以降に開始する事業年度】
※制限税率とは自治体が設定できる住民税率の上限のこと
現状では、都道府県の大多数が制限税率に近い4.0%を設定し、規模が小さい企業について「軽減税率」として3.2%を設定しています。一方で市区町村の場合は制限いっぱいの12.1%と標準の9.7%とが半々といった様子です。
各自治体の税率は総務省のホームページで公開されているので、自社の所在する(予定の)自治体の税率を確認してみましょう。
均等割は、下表のとおり会社の資本金額によって課税金額が設定される仕組みです。
法人税割は赤字となり法人税の納付がなくなればゼロ円ですが、法人住民税の均等割の部分は法人税額に関係なく支払う必要があります。
例えば資本金が500万円で従業員数が10人の法人の場合には、都道府県民税として2万円、市区町村民税として5万円をそれぞれ均等割の部分として納税することになります。
法人事業税は、法人が行う事業に対して課されるとされている税金です。法人が所在する都道府県が課す地方税であるために都道府県に納付することになります。
課税の仕組みは法人税と似ており、所得に税率を掛け合わせて算出されます。また税率は所得の大小に応じて変動する累進課税となっていますが、赤字となれば法人事業税もゼロ円となります。
法人事業税が法人税や法人住民税と大きく異なるのは、翌事業年度の損金に算入できるという点です。
法人事業税の税額は、会社の資本金額及び所得の金額によって設定される仕組みです。下表は総務省が設定している標準税率です。
法人事業税の制限税率は標準税率の1.2倍とされています。
宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県はそれぞれ標準税率より高い税率を設定しており、それ以外の39道県は標準税率と同率に設定しています。
これも総務省のホームページで公開されているので、自社の所在する(予定の)自治体の税率を確認してみましょう。
消費税は国民にとって最も身近な税金といっていいでしょう。
消費税とは消費者が物やサービスを購入する際に納める国税なのですが、消費者が直接国に納めるわけではありません。事業者がいったん消費者から消費税を預かり、あとからまとめて国に治める仕組みになっています。
一方で事業者も他の事業者等から物やサービスを購入しており、この際に消費税を支払っています。つまり事業者は消費税を預かると同時に支払う立場にもある、ということです。
消費税の計算方法は「原則課税(一般課税)」と「簡易課税」の2種類があります。
基本的には原則課税で計算するのですが、この原則課税の計算方法はかなり面倒です。そこで課税売上高が5,000万円以下の法人は、より簡単な計算方法である簡易課税を選ぶこともできます。
それぞれ計算方法を見ていきましょう。
原則課税の計算式は
消費税額 = 売上高×消費税率 ー 仕入高×消費税率
となっています。
ここで注目してほしいのは売上高と仕入高の両方で消費税を算出しなければならない点です。これがかなり面倒な作業なのです。
簡易課税の計算式は以下です。
消費税額 = 売上高×消費税率 ー 売上高×消費税率×みなし仕入れ率
計算式を見ればわかるとおり、簡易課税の場合には売上高の消費税のみを算出すれば良くなり、計算が簡単になります。
みなし仕入率は下表のとおり事業の区分によって率が変わります。
法人税・法人住民税・法人事業税・消費税は事業年度が終わってから2か月以内に、確定申告を行うのと同じタイミングで支払います。
事業年度は会社設立時に創業者が任意で設定するため最初の法人税の支払い時期(確定申告の時期)もそれによって前後しますが、遅くとも創業から1年後にはこれらの税金の支払い時期がやってくると覚えておきましょう。
ただし、消費税については法人の資本金が1,000万円以下の場合、創業から2年間は免税となります。
また、法人税が20万円を超えた法人については翌事業年度の中間で法人税・法人住民税・法人事業税の中間申告を行う義務が発生します。消費税についても48万円を超えると同様に中間申告が発生します。
中間申告は確定申告での納税と比較して計算方法などがより複雑になるので、中間申告が必要になるまで法人の事業規模が大きくなったのであれば、税理士などに相談して対応することがマストでしょう。
なお、税理士の探し方・選び方については以下の記事で解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
法人税、法人住民税、法人事業税、そして消費税は算出方法がバラバラであり、それぞれで会社の規模や所得などに応じて税率が変わるのでかなり計算が複雑になります。加えて先述のとおり納税額が一定を超えると中間申告の必要も生じます。
確定申告による納税に間違いや遅れが生じたりすると追徴課税というペナルティが課せられたりもします。税務署に目を付けられないためにも、納税手続きについては専門家である税理士に相談することをオススメします。
画像出典元:Photo-AC, Pexels
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