FA(M&Aアドバイザー)は必要なのか。目利きの方法を紹介!

FA(M&Aアドバイザー)は必要なのか。目利きの方法を紹介!

記事更新日: 2018/10/04

監修: 前川英麿

M&Aによる売却を検討する経営者にとって、FA(M&Aアドバイザー)が必要なのかどうかは難しい問題かもしれません。

しかし結論から述べると、FA(M&Aアドバイザー)は必要です。

この記事では、M&Aアドバイザーはなぜ必要なのか、何をしてくれるのか、費用はいくらかかるのか、そしてどう選べばいいのかを解説します。

またM&Aアドバイザーを使うにあたって、損をしないための注意点がいくつかあります。どこに注意して、どう対処すればいいのかを紹介します。

FA(M&Aアドバイザー)とは?

M&AアドバイザーはM&Aにおけるすべての業務をサポートしてくれるスペシャリストだと理解してください。FA(Finacial Adveser)などとも呼ばれます。

実際のM&Aの交渉の流れは以下のようになっていますが、買い手候補選びからデューデリジェンス(DD)、クロージングまでさまざまな局面でサポートしてくれます。


当然ながら、M&AアドバイザーはさまざまなM&A案件を経験しており、M&Aの流れや進め方、財務会計・税務・法律に精通しています。


M&Aの流れ

2パターンの着任形式

M&Aアドバイザーには着任の仕方が2パターンあることを覚えておきましょう。アドバイザリー形式と仲介形式です。

アドバイザリー形式では、買い手・売り手それぞれにアドバイザーがつき、それぞれの立場にたってサポートを行います。

一方仲介形式では、アドバイザーが買い手と売り手の間にたって、中立の立場で両方のサポートを行います。


アドバイザリー形式と仲介形式の違い

本来的には、自分の立場にたってサポートをしてもらえるアドバイザリー形式が望ましいといえます。

仲介形式だと一人のアドバイザーが買い手と売り手の両方の言い分を聞いて対応するため、交渉を上手くまとめることを最優先にしてしまう恐れがあります。

実態としては、それほど大きくない規模のM&Aでは仲介形式で着任することが多いです。

もちろん規模がそれほど大きくない場合でも、アドバイザリー形式で対応してくれるM&A仲介はあります。

FAは実際何をするの?

さきほど紹介したように、M&Aアドバイザー(FA)の仕事はM&A全体のサポートです。基本的には、M&Aアドバイザーに任せておけば特に問題なく進んでいきます。

多岐にわたるM&Aアドバイザーの仕事の中でも、特に重要となる業務として以下3つが挙げられます。

  • 買い手候補の選定
  • 企業価値評価(バリュエーション)
  • 条件交渉

買い手候補の選定

M&Aアドバイザーの仕事としてまず挙げられるのは、買い手候補の選定です。

普通の企業に買収のオファーが勝手にくることはなかなかありません。

そこで、M&Aアドバイザーの仕事は買い手候補となる企業を紹介することになります。

ここでのM&Aアドバイザーの仕事は、マッチングです。マッチングで重要になるのが母数の大きさです。

卑近な例ではありますが、異性とのマッチングアプリを使うならできるだけ利用者数が多い方がいいですよね。なぜなら、母数が大きいとそれだけマッチングの確率が高まるからです。

M&Aにおいても同じことがいえます。大手のM&Aアドバイザーを使った方が、より多くの買い手候補を紹介してもらえる確率が高いです。

会社の売却額も、結局は需要と供給の関係で決まる部分があります。

そういった意味でも、多くの買い手候補と接触するというのは非常に重要です。

企業価値評価(バリュエーション)

売却額を決めるときに、まず参考にするのが企業価値(バリュエーション)です。

バリュエーションの付け方には、DCF法、マルチプル法、時価純資産法など様々なものがあり、またどれを採用するかによって計算結果を変わってきます。これは、適正な企業価値なんて誰にも分からないからです。

よってM&Aのバリュエーションにおいて重要なのは、買い手企業が納得するかどうかだといえます。

しかしこれはなかなか難しいことです。買い手企業は買収にかかった額を回収できるかどうか真剣に考えるため、当然バリュエーションの付け方についてもシビアにチェックしていきます。

バリュエーションの評価を行うにあたって検討すべき事項は少なくありません。細かい部分まで目を配り、かつ説得力のあるロジックを組むのは、M&Aの素人である経営者にはかなり負担になります。また実際のバリュエーションにおいては相場感も必要です。

このような専門的な部分をサポートするのがM&Aアドバイザーの仕事です。企業の業績データをもとに説得力のあるバリュエーションを導いてくれます。

もちろんすべて任せきりもいけません。自分でも納得がいくバリュエーションかどうかはきちんと確認するようにしましょう。分からないことはしっかりと聞く姿勢が重要です。

条件交渉

M&Aの契約内容は非常に煩雑です。

どういったM&Aの手法(スキーム)を用いるのか、売却額はいくらかといった条件はもちろんですが、経営者が所持する個人的な資産などをどう扱うかなど細かい内容まで明記する必要があります。

こういった条件交渉を取りまとめ、契約内容に落とし込んでいくのもM&Aアドバイザーの仕事です。

例えば、リスクが大きい事業で今後の業績が読みづらく、買い手と売り手の間で売却額の合意がとれないときにはアーンアウト条項を設けることで合意を至る可能性があります。

このように、M&Aのノウハウを活かすことでより良い契約内容を実現することもM&Aアドバイザーの役割です。

これら以外にも、デューデリジェンス(DD)の支援や株式譲渡契約書などの契約書作成・修正もM&Aアドバイザーがしてくれます。

 

FAにかかる費用はほぼ成功報酬

M&Aアドバイザーにかかる費用は、着手金と成功報酬に分けられます。

着手金は、相談を経て買い手企業を紹介するときにかかるお金です。ただし、近年は着手金をとらないM&A仲介が増加傾向にあります。

着手金がある場合は、50~200万円が相場です。

M&Aアドバイザーにかかる費用のほとんどを占めるのは成功報酬です。成功報酬はレーマン方式で計算されることがほとんどです。

レーマン方式は決められた料率に基づいて報酬額を計算する方式で、売却額が高くなればなるほど報酬率は低くなります。

もちろん料率はアドバイザーによって異なりますが、だいたい売却額の5%程度が成功報酬になるとイメージしておけば良いでしょう。

 

M&Aアドバイザーにまずは相談

M&Aアドバイザー(FA)が必要なのかと悩む必要はありません。着手金がかからないM&Aアドバイザーも多くあるので、悩むようならまず相談してみると良いです。

ここまで紹介してきたように、M&Aではできるだけ多くの買い手を比較するのが重要である上に、契約は煩雑であるため経験を必要とします。

M&Aアドバイザーを雇う最大のデメリットは費用がかかることですが、M&Aアドバイザーのおかげでより高い額で、より良い条件で売却できると考えれば費用対効果は高いです。

第3者を交えるため、あとから契約条件でもめるといったトラブルが起こる確率も下がります。

これらを踏まえると、すでに絶対的に信用できる買い手が見つかっている、業界に広いネットワークを持っている、買い手側がM&Aに精通しているなどの特別な事情がない限りはM&Aアドバイザーを雇うべきでしょう。

FAを使うときの注意点

経営者はFAの思惑に注意が必要

M&Aアドバイザーを雇うべきといっておきながら…という感じですが、これは一番注意しなければいけないことです。

M&Aアドバイザーは非常に優秀です。言われた通りにしていれば、M&Aが進んでいくのでつい任せきりになりがちです。

しかし彼らもビジネスでやっています。M&Aアドバイザーも自分の利益のために働いているのです。それはがあなたの利益と一致するとは限りません。

目先の大きな利益のために非道徳的な対応をしてくるFAもいるのは事実です。経営者自身の考えや想いを冷静に考え、自分自身でしっかり判断していくことをオススメします。

例えば、多少売り手にとって条件が悪くても妥協するようにあの手この手で説得し、M&Aをなんとか成立させ成功報酬を得ようとするかもしれません。また仲介形式の場合、買い手の意向をより反映した契約内容にする可能性もあります。

こういった事態に気づき、また対処するためにも、バリュエーションがどういうロジックで決まっているのか、細かい契約内容がどうなっているのかを経営者自身が把握することが必要です。

M&Aアドバイザーに隠し事をしない

M&Aアドバイザーに関する失敗で最もありがちなのが「M&Aアドバイザーに隠し事をする」というパターンです。

たとえ不利な事実がある場合でも、それを隠さず正直に明かすことが、M&Aの成功につながります。

隠し事をしてそれがプラスに働くことはありません。交渉中にばれれば、それは買い手側の不信を招き、交渉に悪影響を与えます。またM&Aアドバイザーとの信頼関係も壊れ、それ以降M&Aを進めるのが困難になるでしょう。

またM&A完了までばれなければいい、というものでもありません。無事M&Aが完了しても、その後買い手企業にばれればトラブルに繋がり、最悪訴訟になります。多額の賠償金が請求される可能性もあるのです。

こういったリスクを考えれば、隠し事をせず、はじめからすべてのM&Aアドバイザーに伝えるのが最善なのは明らかです。

M&Aアドバイザーの選び方

M&Aを使うと決めても、そのあと悩むのがどのM&Aアドバイザーに相談するか。

そこで、M&Aアドバイザーを選ぶときに押さえておきたいポイントを解説します。

アドバイザーを最初から1社に絞らない

M&Aアドバイザーは最初から1社に絞らず、複数社に相談するようにしましょう。

これは先ほど紹介したように、マッチングでは母数の大きさが重要だから。

M&Aアドバイザーによって紹介できる買い手候補は変わってきます。できるだけ多くの買い手候補と出会うためにも、最初からM&Aアドバイザーを絞ってしまわないようにしましょう。

またM&Aアドバイザーを選ぶときの注意点として次に挙げますが、担当者との相性は大変重要です。担当者との相性は実際に相談して話してみないと分かりません。

こういった実際に話してみないと分からない部分があるため、相談する前からM&Aアドバイザーを最初から絞ってしまうのは、あまり賢い判断とはいえないでしょう。

まずは本命でない、かつ着手金が必要ないM&Aアドバイザーに相談してみて、だいたいの感覚をつかんだところ本命のM&Aアドバイザーに相談するのが良いです。

担当者との相性はいいか

M&Aアドバイザーの担当者は、M&Aを進めていく中で一番接する人です。会社の機密情報を共有しますし、お金の話を一緒にしていくことになるので、担当者と相性がいいか、信頼できるかというのは重要なポイントです。

M&Aアドバイザーとの関係がうまくいかないと、経営者の要望がきちんと伝わらなかったり、無意識に契約内容の確認がおろそかになったりする恐れがあります。

契約内容の確認が不十分になるのは重大な問題です。あとから契約内容の誤認識で、トラブルに繋がる可能性があるからです。

十分な実績があるか

M&Aアドバイザーと素人との最大の違いは、経験にもとづくノウハウです。ですので、M&Aアドバイザーを評価する時に最も有用なのは、今までの実績だといえます。

M&Aアドバイザーの主要実績は、各社のHPで紹介してあるほか、公開案件に関してはリーグテーブルにまとめてあります。

リーグテーブル抜粋

出典元:トムソン・ロイター

注意したいのは、実績は担当者個人としてどのくらいあるのかが重要だということ。まだ2, 3件しか経験がない人が担当につくことも珍しくありません。

実際に選ぶときには、相談するときに今までどんな案件を取り扱ったのかを必ずきくようにしましょう。このとき多くの実績があるかだけではなく、自社と同じ業界か、自社と同じ規模かに着目するのが重要です。

報酬額で選ばない

M&Aアドバイザーを報酬額が安いからといって選ぶのは危険です。

M&Aにおいては、買い手やアドバイザーによって売却額が大きく変わります。その変動幅に比べれば、アドバイザーへの成果報酬額の違いは小さなものです。

報酬の多寡でアドバイザーを選ぶのではなく、できるだけ優秀で信用できるアドバイザーを選び、より良い条件でのM&Aを目指しましょう。

これらのポイントを踏まえたら、実際にM&A会社をみていきましょう。以下の記事では、M&A会社60社を一覧で紹介・比較しています。

 

まとめ

M&Aに関わる業務全般をサポートとしてくれるM&Aアドバイザーは必要です。そして慎重に選ぶことが重要です。

はじめから1社に絞らず、着手金無料の会社も活用しながら、実績や担当者との相性を重視して選びましょう。

M&Aアドバイザーの役割が大きいからこそ、その選び方がM&Aの成否に大きく影響します。良いアドバイザーと良い売却を実現したいですね!

 

監修者プロフィール

前川英麿

プロトスター株式会社代表取締役CEO。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、ベンチャーキャピタルのエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(現大和企業投資)に入社。その後、常駐の経営再建支援に特化したフロンティア・ターンアラウンドに入社。15年2月よりスローガン株式会社に参画し投資事業責任者として、Slogan COENT LLPを設立。16年11月に起業家支援インフラを創るべく当社を設立。その他、経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等。

画像出典元:Pexels

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