【ワーケーション導入事例】誘致している自治体や海外の事情は?

【ワーケーション導入事例】誘致している自治体や海外の事情は?

記事更新日: 2022/05/23

執筆: 宮林有紀

「ワーケーション」とは、旅行先など会社以外の場所で仕事をする働き方です。

導入を検討している人は「社員から反対されそう……」「うまくいかないのでは?」といった不安がありませんか?

そんな時は、実際にワーケーションを取り入れている企業の体験談を参考にしましょう。

当記事では、ワーケーションを導入した大企業の事例&誘致している自治体について詳しく説明します。

他にも、ワーケーションの基礎知識や海外事情も紹介するので、ぜひ役立ててくださいね。

ワーケーションとは

ワーケーションとは「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」を組み合わせた造語です。

「いつも働いている場所以外で仕事をするスタイル」のことで、たとえば旅行中にホテルでテレワークをしたらワーケーションになります。

1. アメリカ発祥の働き方

ワーケーション発祥の地は、2000年代のアメリカだといわれています。

導入目的は、問題視されていた有給休暇の取得率を上げるためです。

アメリカではインターネットが普及した頃、リゾート施設やホテルに「ビジネスセンター」が設置され通信環境が整いました。

その頃から休暇と仕事をミックスさせた働き方が認められています。

2. 日本で注目されている背景

ワーケーションが日本で注目され始めたきっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大で働き方が大きく変わったことです。

テレワーク導入により場所を選ばず働ける人が増えたことで、旅行と仕事を組み合わせる働き方に注目があつまりました。

3. 政府が導入を推進している

観光庁は、感染症の拡大予防のためにワーケーション推進に取り組んでいます。

日本では旅行で訪れる地域や時期が集中する傾向があるので、旅先でも働くスタイルを取り入れて密を防ぐことが狙いです。

政府がワーケーションを推進しているもうひとつの理由は、観光客が激減した地域の復興を目指すこと。

長期休暇をとらなくても旅行ができるワーケーションを導入すれば、観光地など地域の活性化に役立ちます。

4. ワーケーションは4種類

観光庁によるワーケーションの分類は、以下の4つに分けられています。

また「ブレジャー」(Bleisure:Business+Leisureの造語)も、ワーケーションと並んで観光庁が推進している働き方です。

(1) 福利厚生型(休暇型)

有給休暇を活用してリゾートや観光地でテレワークを行う

(2) 地域課題解決型(業務型)

地域関係者との交流を通じて、地域課題の解決を共に考える

(3) 合宿型(業務型)

場所を変え職場のメンバーと議論を交わす

(4))サテライトオフィス型(業務型)

サテライトオフィスやシェアオフィスでの勤務

◆ブレジャー(業務型)

出張先などで滞在を延長するなどして余暇を楽しむ

ワーケーションやブレジャーでどんな過ごし方ができるのか、具体的な滞在中のスケジュールはこちらで紹介しています。

 

5. ワーケーション市場は規模が拡大する予想

株式会社矢野経済研究所は2020年に調査を実施し、国内ワーケーションの市場規模は699億円、2025年度は3,622億円になると予測しています。

画像出典元:「株式会社矢野経済研究所」公式HP

市場が拡大する予測がでているのは、ワーケーションを導入した企業がメリットを感じているからではないでしょうか?

次は実際にワーケーションを導入した企業の事例をみてみましょう。

ワーケーション導入6社の成功事例

事例1:三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行がワーケーションを導入したのは2019年度です。

2018年度には全国に6ヵ所のサテライトオフィスを設けるなど、会社以外の場所で働くための取り組みを始めています。

ワーケーションが実施されているのは、三菱地所が運営する和歌山県のオフィスや長野県軽井沢町にある施設などです。

これらの施設は、休暇の合間に働くことを想定して設置されました。

さきほど紹介した分類の中の「(1) 福利厚生型(休暇型)」の代表的な例です。

事例2:株式会社JTB

株式会社JTBでは2019年4月1日から、海外でのテレワーク制度「ワーケーション・ハワイ」を導入しました。

ワーケーションを実施した社員は、ワイキキの海が見える場所につくられたテレワークスペースで業務が行えます。

体験者からは「普段と違う環境で、いいアイデアが浮かびそうだ」「ストレスなくパソコンが遠隔操作できた」といった感想が聞かれました。

株式会社JTBは、沖縄でのワーケーションも実施しており、休暇中の滞在宿泊施設の適用を拡大中です。

ワーケーションの分類でいうと、(1) 福利厚生型(休暇型)、(2) 地域課題解決型(業務型)、(4) サテライトオフィス型(業務型)をミックスした取り入れ方です。

事例3:Uber

Uberが取り入れたワーケーションは「(3)合宿型(業務型)」です。

何人かのメンバーで旅に出かけ、課題解決型のプロジェクトを行う合宿(ワーケーション)を導入しました。

目的は、Uberのビジネスをさらに大きくするための新しいアイデアを見つけることです。

通常は一緒に働く機会のない社員と共に旅をすることで、イノベーションが生まれる可能性がアップします。

希望者を募集したところ驚くほど多くの応募があったとのことで、社員からの評判も上々です。

事例4:日本マイクロソフト株式会社

日本マイクロソフト株式会社は、自由な働き方を推進する先駆け的存在です。

ワーケーションという制度はありませんが、もともと働く場所に制限を設けていません

いつでもどこでも仕事ができる環境が整っているので、旅先での業務も問題なく行えます。

【日本マイクロソフト株式会社が働き方改革で行った4つのこと】

1.書類はデジタル化して紙の書類を減らした

2.作業場所を決めないフリーアドレス制で社内のどこでも仕事ができる

3.PCとWi-Fiがあれば会社以外でも仕事ができる環境づくり

4.どこからでも参加できるよう会議には必ずテレビ通話を用意する

【その結果、2010 年から 2015年で起きた4つの変化】

1.ワークライフバランスが 40%改善

2.1人あたりの売り上げが 26%増加

3.働き甲斐が 7%改善

4.交通費が 20%削減

参考:これからの日本の「働き方」~テレワークから、より広いビジョンへ~ 【デジタルファースト】

 

事例5:ヤマハ株式会社

ヤマハ株式会社は「ハイブリッド型ワークスタイル」を取り入れています。

ハイブリッド型ワークスタイルとは、会社と自宅、本業と副業、仕事とプライベートなど、異なるものを融合させて価値を生み出す働き方です。

たとえば、副業で得た知識を本業に生かせば、本業一本で働くよりも価値のある仕事ができますよね。

仕事と休暇を組み合わせるワーケーションは、ハイブリッド型ワークスタイルの一種だといえるでしょう。

ヤマハ株式会社はテレワークとオフィスワークを組み合わせて働くスタイルなので、社員は旅先でのテレワークが無理なく行えます。

事例6:ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社では、働く場所や時間を社員が選べる「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」を導入しています。

その中のひとつ「地域deWAA」は、提携している自治体にあるコワーキングスペースが無料で利用できる制度です。

地域のイベントにも参加できるので、プライベート時間も充実します。

問題点はエンジニアなどはワーケーションが行えても、工場勤務の社員などでワーケーションを実施できない人もいたことです。

そのため「不公平だ」という意見が社内から聞かれました。

しかし、「WAAができないメンバーには、彼らのニーズを満たすためにできることを考える」という方法で対処しています。

休みをとりやすくするなど、工場勤務の社員がワーケーションをしなくても快適に働ける環境を整えれば問題は解決するということです。

別の方法で社員の不満をなくせば、どんな企業でもワーケーションを導入できそうですね。

ワーケーションのメリット

次は、株式会社NTTデータ経営研究所、株式会社南紀白浜エアポート、TIS株式会社が2021年に行ったワーケーションについての調査を紹介します。

(1 )気分の落ち込みや物事に集中できない感覚は、ワーケーション期間中に最大56.2%、終了後も42.5%低減した。

(2) リカバリー経験が、ワーケーション期間中に26.5%、ワーケーション終了後も23.2%向上した。

(3) 仕事に対する活力・熱意・没頭の程度が、ワーケーション期間中に23.9%、終了後も15.9%向上した。

(4)ワーケーション参加群の仕事のパフォーマンスが、ワーケーション終了後も向上した。

(5) 上記(1)~(3)について、在宅リモートワーク群では、ワーケーション参加群で見られたような変化は見られなかった

参考:和歌山ワーケーションは業務生産性および心身健康の向上に寄与 ~在宅リモートワークとの比較


この調査結果から分かるように、ワーケーションの魅力は、従業員と企業の両方にメリットがあることです。

地方自治体にもメリットがあるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

従業員側のメリット

  • ワークライフバランスの実現
  • 働き方を自分で選べる
  • 家族や友達との関係が良くなる
  • ストレスを解消しやすい
  • 斬新なアイデアが思い浮かぶ


従業員は場所を選ばずに働けることでプライベートの時間がとりやすくなり、家族や友達との関係が良くなる効果が期待できます。

非日常空間に身を置けばリフレッシュできるのでストレスがたまりにくく、画期的なアイデアが浮かびやすいのもメリットです。

企業側のメリット

  • 有給取得率が上がる
  • 働き方改革を推進できる
  • 離職率の低下&人材確保に役立つ
  • 生産性やイノベーションが起こる確率の上昇
  • 地域の活性化に貢献できる


企業にとってのメリットは、有給取得率が上がることです。

働き方改革を推進でき、働きやすい会社になれば離職する職員を減らせます

企業価値が向上することで、人材が集まりやすいのも大きなメリットです。

人口が減少した地域などの活性化に役立つので、企業イメージを向上させる機会にもなります。

地方自治体側のメリット

  • 知名度が上がる
  • 雇用の増加&地方経済がうるおう
  • 地域独自の良さをアピールできる
  • 部外者と交流することで新しい魅力を発見できる
  • 移住者が増えるなど人口増加のきっかけになる


ワーケーションを導入すると、たくさんの人が訪れることで地域の地名度が上がり地方経済がうるおうでしょう。

その地域にしかない良さを全国の人に知ってもらう機会となるうえに、外部からの意見を聞くことで新しい魅力にも気づけます。

人口流出が問題になっている場合は、ワーケーションで訪れた人が移住するなど人口増加のきっかけになるかもしれません。

ワーケーション誘致に力を入れて支援金を出している自治体もあるので、次は積極的に受け入れをしている地域を紹介します。

ワーケーションを誘致している日本の主な自治体

長野県

画像出典元:「信州リゾートテレワーク」公式HP

長野県は「信州リゾートテレワーク」を提案しています。

茅野市、佐久市、軽井沢町、松本市、白馬村、安曇野市など、たくさんの地域から好きな場所を選べて、支援金も用意されています。

対応宿泊施設リスト:長野県ワーケーション対応宿泊施設

※※支援金については最新の情報をご確認ください!※※

【岡谷市の支援金】

交通費:補助率2分の1(上限10,000円・1人1回)

宿泊費:補助率2分の1(上限5,000円・1人1泊)

レンタカー借上代:補助率2分の1(上限10,000円・1企業1日)

ポケットWi-Fi無料貸し出し

うなぎ券(2,000円/1人)をプレゼント など

参考:岡谷市テレワーク支援金


画像出典元:「信州リゾートテレワーク」公式HP

夏の避暑地としての長期滞在テレワークなら、原村(八ヶ岳西麓)に足を運んでみませんか。

空気が澄んでいるため星が美しく「星降る里 原村」と呼ばれています。

原村ならカップルでロマンティックな夜をすごしたり、お子さんに自然と触れ合ったりする機会をつくることができるでしょう。

原村にあるペンションでは、ワーケーション向けのプランが用意されていて快適に働ける環境が整っています。

参考:ペンション イメージハウス ワーケーション向けプラン

熊本県

画像出典元:「ワーケーションinくまもと」公式HP

熊本県は、ワーケーションを受け入れる宿泊施設への支援に力を入れている自治体のひとつです。

最高100万円の補助金を用意したり、利用者1人あたり3,000円の割引額を助成したりする「テレワーク促進事業」を行っています。

ワーケーション熊本」というサイトがあるので、地域ごとのおすすめモデルプランをチェックしてみましょう。

たとえば、阿蘇市では仕事をしつつ大自然を思う存分満喫できる具体的なプランが提案されています。

阿蘇市は支援体制も充実しています。

【阿蘇市のワーケーション支援】

阿蘇大観峰の麓に位置するコワーキングスペースを無料で利用できる

飲食店で使える1,000円券×3枚綴り=3,000円を半額の1,500円で購入できる

参考:阿蘇市ワーケーション
参考:阿蘇市キャンペーン


また、リモートワークNo.1を目指して作られた「みんなでつくる熊本リモートワークガイド」があるので通信環境の整った場所をすぐに探せます

レンタルサービス(モバイルWi-Fiルーターなど)があるのも魅力的です。

東京都式根島

画像出典元:「式根島観光協会」公式HP

東京都式根島は島全体でデジタルシフトに取り組んでいる場所です。

2019年頃からワーケーション導入のための準備を進め、2020年には東京都の「ワーケーション普及促進等モデル実証事業」に選ばれました。

通信環境が整っているため、人気の海水浴場でも都市部と同じ環境で仕事が行えます

観光、グルメ、島のくらしなど各分野専門のサポーターがいるので、余暇時間を楽しむための支援も充実しています。

【モニターツアーの感想】

 

空がきれいとか、⽇常の⾏き帰りだけでも⾃然を感じることができたのは⾃分にとって すごくリフレッシュになったなと思う。

 

 

初めてのワーケーションかつ初めての島⽣活で、滞在前は不安に思っていた部分もあったが、島の皆さんのお⼈柄やおもてなしのおかげで楽しく快適に過ごせた。

 

 

リ ゾート地として期待してたことに対しては物⾜りなかった。一方で⾷事は予想以上に充実していたし、⽇常⽣活の利便性も良かった。

参考:式根島 アイランド ワーケーション コンセプトレポート

 

過去にあったワーケーション支援

他にも募集は終了していますが、無料でワーケーション体験を行える機会が設けられています。

今後も同じような支援がある可能性がありますので、参考にしてください。

長野県

【白馬村での無料体験モニター】

日程:2022年6月4日(土)〜6月7日(火)3泊4日

  :2022年6月11日(土)〜6月14日(火)3泊4日

募集期間:2022年5月6日(金)〜2022年5月15日(日)

募集人数:各回10名、合計20名

含まれるもの:宿泊費無料、テントサウナ体験、アクティビティ体験

※現地までの往復交通費、滞在中の飲食費などは自己負担

参考:白馬村無料体験モニター

 

熊本県

【芦北町のワーケーション支援】

期間:2021年9月~2022年2月 

補助内容:1人1日2万円(最大6泊分)を補助

町内のコワーキングスペース「芦北サテライトオフィス計石」の利用が無料。

参考:熊本県芦北(あしきた)町、ワーケーション・視察ツアーを支援、参加企業に1人1日2万円、最大6日分を補助

 

海外のワーケーション事情

日本ではワーケーションを導入している企業はまだ少数ですが、海外ではどうなのでしょう?

ここからは、各国のワーケーション事情について説明します。

1. アメリカのワーケーション事情

ワーケーション発祥の地であるアメリカでは、新型コロナウイルス感染症が拡大する前からリモートワークが普及していました。

厚生労働省の資料によると、テレワークを導入しているアメリカの企業は85.0%(2015年)です。

画像出典元:厚生労働省テレワーク総合ポータルサイト

日本は19.1%(2018年)なので大きな差があり、テレワークが浸透しているぶんアメリカではワーケーションを取り入れやすいと考えられます。

環境は整っていても、「休むと仕事を奪われる」「仕事量が多すぎて休めない」といった理由で有給休暇を取得できない人もいるようです。

この点は日本と少し似ていますね。

2. 欧州のワーケーション事情

次は、実際にテレワークをした人の割合を調べた調査結果を紹介します。

野村総合研究所の調査では、英国、イタリア、ドイツ、スウェーデンは日本よりもテレワーク利用率が高い結果になっています。

画像出典元:新型コロナウイルスと世界8か国におけるテレワーク利用

欧州のリゾート地ではテレワーク可能な施設が増加中で、ワーケーションに関しては日本よりもアメリカに近い状況だと考えられます。

欧州の特徴は、長期間のバカンスをとる習慣があることです。

有給休暇をとりやすい環境なので、今後ワーケーション導入がさらに進む可能性があります。

3. アジアのワーケーション事情

野村総合研究所の調査によると、中国や韓国では感染症拡大の前後ともにテレワークが日本よりも普及しています。

画像出典元:新型コロナウイルスと世界8か国におけるテレワーク利用

中国や韓国は(緊急時限定なら)今後もテレワークを継続したい人の割合が日本よりも高く、アメリカを超えるほどです。

画像出典元:新型コロナウイルスと世界8か国におけるテレワーク利用

アジア圏ではワーケーションがまだ普及していませんが、このままコロナが落ち着かなかったら急速に広がるかもしれません。

4. ワーケーション関連のビザ

ワーケーションの受け入れを推進している国では、海外でテレワークをする人向けのビザを発行しています。

【ワーケーションビザ(デジタルノマドビザ)を提供している国】
  • ドバイ
  • アイスランド
  • チェコ
  • エストニア
  • モーリシャス
  • バミューダ諸島
  • ケイマン諸島
  • モントセラト
  • ジョージア
  • ポルトガル(自営業者のみ)
  • スペイン(自営業者のみ) など


ドバイの場合、月収5,000ドル以上の人が対象で、かかる費用は287ドル+手数料です。

海外移住型のワーケーションを検討する際には、引っ越し費用や旅費も必要になります。

初期費用はかかりますが、海外での生活体験はそれ以上の価値があるかもしれませんね。

まとめ

ワーケーションは日本ではまだなじみの薄いものですが、導入する企業が増えているのも事実です。

重要ポイントは、ワーケーションという制度そのものよりも、企業が目指す働き方にマッチするかどうかです。

「イノベーションを創出したい!」「自由な働き方ができる企業にしたい!」そんな希望がある場合はワーケーションを検討しましょう。

まずは体験ツアーに申し込んで、実際にワーケーションを体験してみるとよさそうです。

画像出典元:O-dan、写真AC

 

 

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