本音を知れる社内アンケートの質問例11選!テンプレートも

本音を知れる社内アンケートの質問例11選!テンプレートも

記事更新日: 2022/08/26

執筆: ながい まり

人手不足が深刻化するなか、人材の確保・定着に神経を使う企業が増えています。加えて、働き方改革の浸透により、従業員の側でも勤める会社の労働条件や働きやすさを意識する機会が増えているのではないでしょうか。

企業にとって従業員満足度を高めることは喫緊の課題であり、社内アンケートを活用した従業員満足度調査の重要性が高まってきています。

この記事では、社内アンケートの具体的な質問例をご紹介するとともに、調査を設計する際の注意点もあわせてご紹介します。

このページの目次

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アンケートを作成する際に気をつけるべきこと5つ

1. 社内アンケートの実施目的を明確にする

社内アンケートがどんな問題意識にもとづいて実施され、どう活かされるのかが明確でなければ、有効な調査票の作成や実効性のある調査結果の活用に結びつきません。

経営者側の考え方とすり合わせながら、調査の目的を明確にすることが必要です。

2. 目的に沿った質問項目を設定する

社内アンケートに答える従業員の側でも、調査の目的や回答結果がどう活かされるかによって社内アンケートに対する態度は変わってきます。

質問の意図が不明確であったり、一貫性のない質問項目であったりする場合には、調査自体の信頼性が失われます。

3. 中立性と公正さを保つ 

社内アンケートは経営者側と従業員側の橋渡しとして機能するものです。

一方の視点に偏った質問項目を設定することで実態の把握が難しくなり、調査の目的を果たすことができなくなります。

中立な立場を意識した質問項目を作成しましょう。

4. 作為や意図を感じさせる質問を避ける

中立性に関連し、質問文に作為や意図が感じられた時点で、回答する側は率直な考えや意見を質問表に記入することを躊躇してしまいます。

経営者側に忖度するような質問や圧力が感じられるような質問は避けるべきです。

5. 改善につなげることを意識する

調査を実施してそれが改善に活かされなければ、社内アンケートを実施する意味がありません。

社内アンケートの実施目的を意識し、課題や改善点を抽出するために効果的な質問項目を設定します。

アンケートに入れたい必須項目8選

社内アンケートの質問項目として一般的なものを8つご紹介します。

従業員満足度の測定を想定し、仕事へのモチベーションの高さを見る「動機づけ要因」と職場の不満に関わる「衛生要因」の2種類の質問項目を設定する必要があります。

基本情報

性別・年齢・勤続年数・所属部署・役職など、回答者の属性を聞く質問項目です。従業員の属性ごとの傾向や特徴を明らかにするための基本情報となります。

年齢・勤続年数・所属部署・役職については、記述してもらう回答方式と選択肢を用意する方式があります。質問項目の数やサンプル数の規模などによって柔軟に選択しましょう。

業務内容について

それぞれの従業員が、自分の仕事に対してどれくらい満足しているかを明らかにする質問項目です。

従業員満足度のなかの「動機づけ要因」にあたり、仕事に対するモチベーションや責任感、目標達成意欲などを見ることを目的としています。

仕事へのやりがいや興味・関心の度合い、成長に対する意欲などが明らかになり、これらの評価が高い場合は従業員満足度が高いと考えられます。

反対に、低い場合でも不満足にはつながらない評価項目ですが、組織の生産性や成長性につながる要素であることから、これらを高める施策を検討することが必要です。

社風について

会社が持つ独自の価値観や文化が、従業員にとって好ましいものであるかどうか、日常業務のやりやすさや成長を促す組織風土があるかどうかなどを尋ねます。

スムーズなコミュニケーションやチームワークが機能する職場の雰囲気があるかどうか、自主性が認められ、承認欲求が満たされている職場環境かどうかなどが具体的な質問の内容です。

従業員の積極性を見る「動機づけ要因」に対して、職場に対する不満足を測る「衛生要因」とされる質問項目に当たります。

会社の制度や評価について

自分が正当に評価されているか、公正な評価が得られる人事制度かに対するそれぞれの従業員の主観的な評価を聞く質問項目です。この質問項目も「衛生要因」にあたります。

給与やポジションなどの処遇面、評価に対して上司による個人的なバイアスがないかどうか、会社の制度として正当性と公平性があるものかどうかが具体的な質問の内容です。

ワークライフバランスについて

健全な日常生活を送る上で、仕事の負荷が過大なものになっていないかどうかを聞く質問項目です。休日・休暇や残業時間などがテーマとなります。

労働条件に関連し「衛生要因」のなかでも、職場の不満につながりやすい項目です。

心身について

日常業務が身体の健康に及ぼすマイナス要因や、職場の人間関係による心の面での健康に配慮する質問項目です。

労働条件とともに「衛生要因」のなかで重要な要素といえます。

特に仕事上の悩みやハラスメントといった精神面の不調は退職に結びつく原因となる可能性もあるため、アンケートを通じて把握することが必要です。

コンプライアンスについて

日々の業務のなかでの法令違反があれば重大な問題となるのは当然のこと、セクハラやパワハラといった社会倫理に背く状況があることを見過ごすことはできません。

そういった芽がないかどうかを把握することも社内アンケートの役割のひとつといえます。

表に出にくい事柄ではあるものの、社内アンケートはそれに気づくひとつの機会になるものです。

総合的評価

これまでに挙げた項目を総合的に評価した場合の満足度について問う質問項目です。

職場を人にすすめられるかどうか、今後もこの職場で働き続けたいか、全体的な満足度はどの程度かといったことを質問項目とします。

実際の質問例(テンプレート)

前に挙げた質問項目の具体的な例文をご紹介します。

基本情報以外の質問項目は、質問の文章が5段階でどの程度当てはまるかを回答してもらう方式を取ります。

肯定文で書かれた質問に対して、回答者が肯定的な態度が否定的な態度かを定量化できる質問方式です。

「当てはまる」「やや当てはまる」「どちらともいえない」「ほとんど当てはまらない」「全く当てはまらない」という形で段階を設定し、中立の選択肢を設けます。

中立的な選択肢と、両極と中立の間の選択肢を設けることで、YES or NOで割り切れないデリケートな問題に対して回答しやすい質問方式です。この回答方式はリッカート尺度と呼ばれます。

基本情報

基本情報はアンケート対象者の属性を答えてもらう質問項目です。属性ごとの傾向や特徴を見るために必要な項目なので、該当する選択肢に漏れのないように設計します。

・性別

1.男性 2.女性 3.答えたくない

・年齢

1.20代 2.30代 3.40代 4.50代 5.60代以上

・勤続年数

1.1年目  2.2~4年目  3.5~9年目  4.10~14年目  5.15~19年目  6.20~24年目 7.25~29年目  8.30~40年目  9.40年目以上

・所属部署

1.営業・販売  2.生産・製造  3.人事・労務  4.経理・財務  5.総務  6.購買・調達 7.品質・生産管理  8.研究開発  9.企画・広報  10.情報システム  11.その他

・役職 

1.役員  2.部長  3.課長  4.係長・主任  5.一般社員  6.契約社員・派遣社員  7.その他

 

業務内容について

現在の仕事に対する満足感を測るための質問項目です。

  • 仕事にやりがいを感じられる
  • 仕事に対する興味・関心の度合いは強い
  • 仕事は自分の適性に合っていると感じている
  • 仕事に価値の高さや意義の大きさを感じている
  • 仕事は顧客や社会に対して大きな役割を果たしている
  • 仕事のなかで達成感や満足感を得ることができる
  • 仕事が認められ、自分に対する適切な評価を得られている
  • 仕事に自分の考えや意見を反映させることができると感じている
  • 仕事の中でスキルや能力を高められる環境がある

 

会社の方針・企業理念について

自分が所属する会社そのものに対する満足度を問う質問項目です。

  • 会社の経営ビジョンや企業理念に共感でき、それを達成したいと思う
  • 経営上層部は社員を信頼し期待する姿勢を持っている
  • 会社の方針や経営計画など、経営に関する情報を適切なタイミングで知ることができる
  • 現在の会社の業績(収益性・成長性・安定性など)に満足している
  • 経営上層部は社員のことを大切にしている

 

上司に対応について

従業員にとって上司は、日々の仕事のやり方に大きな影響を及ぼす存在です。上司との信頼関係、適切な指導・援助が得られるか、認められているかなどを問います。

  • 上司との相性がよく、互いに信頼できる関係である
  • 上司とは円滑なコミュニケーションを取ることができ、連携しながら仕事を進められる
  • 上司は仕事の方向性を明確にし、適切な指示や指導を行っている
  • 上司は自分や同僚に対して客観的で公平な評価を行っている
  • 上司から自分の成長につながるフィードバックや指導を受けることができる
  • 上司から自分は部署の一員として、また、一人の人間として認められている

 

社風について

人間関係やコミュニケーションを中心に、前向きな姿勢で仕事に取り組むことが出来る環境があるかどうかを問う質問項目です。

  • 自分の考えや、意見を自由に言い合える風通しの良い雰囲気がある
  • 自主性を尊重する企業風土がある
  • 向上心や成長意欲を評価し、人を育てる企業風土がある
  • 失敗してもチャレンジは評価され、前向きな姿勢で仕事に取り組むことができる
  • 社内の人間関係は良く、互いに相談しあえる雰囲気がある
  • 問題が起きた時や課題を抱えている場合に周囲のサポートを受けられる

 

会社の制度や評価について

給与を含めた処遇、それに関連する評価制度は衛生要因のなかでも重要な位置を占めています。キャリア形成のための教育制度についてもこの項目で満足度を測ります。

  • 給与水準は現在の業務内容や仕事の成果に対して納得できるものである
  • 人事制度のなかで、自分は正当かつ公正に評価されている
  • 人事制度や評価の仕組みに対し、多くの社員は納得していると思う
  • 社員の能力や成果を処遇に反映させる評価の仕組みが機能している
  • 能力開発やキャリア形成のための制度が充実している
  • キャリア形成について相談できる仕組みや機会がある

 

ワークライフバランスについて

業務負荷がワークライフバランスの障害になっていないかどうか、個人の事情に配慮したフォロー体制があるかどうかを聞く質問項目です。

  • 仕事のなかで過大な業務の負担・強度を強いられることはない
  • 自分に与えられる業務量は適正である
  • 残業時間は無理のない適切な範囲に収まっている
  • 所定の休日・休暇は適正なものであると感じている
  • やむを得ない個人的な事情による欠勤や早退にも対応してもらえる
  • ワークライフバランスを実現できる職場環境がある

 

心身について

日常業務が身体的な健康や精神面に与える影響について問う質問項目です。

  • 現在の業務は身体的な健康に悪影響を与えるものではない
  • 自分の身体的な特徴に対して業務のなかで配慮されている
  • 現在の業務は体力的に余裕をもって取り組むことができる
  • 業務には精神的な余裕を持って取り組むことができ、過大なストレスは感じない
  • 仕事のなかで解決できないほどの悩みは抱えていない
  • 仕事上の悩みや課題を解決できる方法を知っている
  • ハラスメントを受けたり、ハラスメントの現場を見かけたりしたことはない

 

コンプライアンスについて

会社としてコンプライアンスを遵守する体制が取られているか、自分が所属する組織に法令遵守を軽んじる風土や文化がないかどうかを確認します。

  • 自分が知る会社のすべての業務プロセスは法令を遵守した健全なものである
  • コンプライアンスについての教育指導、管理体制は徹底されている
  • コンプライアンス違反があった場合の相談窓口や上司に相談できる体制が整っている
  • 会社の機密情報は適切に管理されている
  • ハラスメント対策が適切に行われている

 

福利厚生について

福利厚生制度に対する満足度を問う質問項目です。

  • 会社の福利厚生制度は働きやすさにつながっている
  • 会社の福利厚生施設は整備されており満足できるものである
  • 育児や介護などへのサポート体制が整備されている
  • 労働環境の改善に向けた取り組みがなされている

 

総合的評価

会社に対する全体的な満足度を評価してもらう質問項目です。これまでの質問項目にもとづいた総合的な満足度を答えてもらいます。

  • この会社で働いていることに満足している
  • この会社で働いていることに誇りを持っている 
  • この会社で働いていることを家族を友人に自信を持って話すことができる
  • これからもこの会社で働き続けたい

 

アンケートに追加してはいけない質問5つ

質問項目と具体的な質問文を設計するにあたり、注意しなければならない点がいくつかあります。

最も重要な点は社内アンケートの目的を明確にした上で質問項目を設計することです。

その際に、社内アンケートの質問項目として相応しくないもの、また、質問の仕方として工夫すべきものをご紹介します。

1.回答しにくい質問

「回答しにくい」には二つの意味があります。一つは回答する意思はあるのに、選択肢や回答方法に自分の考えを反映しづらいケース。

もう一つは回答するインセンティブが働かない、あるいは、回答することによる不利益が想定されるために答えたくないというケースです。

一つめのケースは、自分の答えたい選択肢がない場合や質問の内容が不明瞭な場合が考えられます。

一つの事柄について問うシンプルでわかりやすい質問文とし、選択肢に漏れがないよう気をつけましょう。

二つめは記名式アンケートや無記名でも属性情報により回答者が特定される可能性のある場合です。

忖度せずに自由に意見を言える組織風土が望まれますが、現実的には社内アンケートの難しい部分といえます。

社内アンケートの運営サイド、さらに言えば、会社側として、誠実な姿勢で従業員の意見を聞き、改善に役立てるための社内アンケートであることを明確にする必要があります。

ネガティブな回答に対しても不利益はないことを明示した上で、従業員の問題意識に働きかける告知や質問項目を設定するとよいでしょう。

2.作成側の圧力を感じるような質問

経営サイドのこれまでの経営施策をことさら強調するような事柄や、業績向上を迫るような内容を質問項目に盛り込むことは、従業員側にとって経営サイドからの圧力と感じられます。

社内アンケートの作成にあたっては、中立的な立場から質問内容を考えていくことが重要です。

3.回答を誘導する質問

質問項目の順番や質問文の内容によっては回答を誘導していると受け止められる場合があります。

以下のような例が当てはまります。

「当社は昨年度比で二酸化炭素の排出量を10%削減しました。この取り組みについてどう思いますか」

「当社のSDGSの取り組みを評価しますか」

前の質問で具体例を提示した上で、次の質問で評価を問われれば、ポジティブな回答が増えることは目に見えています。

前後の質問文の関連性や質問文の内容について、誘導質問になっていないかどうかを精査することが必要です。

4.社内アンケートの目的から外れた質問

当記事では従業員満足度を測るための社内アンケートを前提としていますが、それ以外にも離職率低下や組織改革、業務改善など社内アンケートはさまざまな目的に活用されます。

いずれの場合にも、質問項目はアンケートの目的に沿った一貫性があるものでなければ、回答する側の問題意識は散漫になってしまいます。

告知の段階から社内アンケートの目的を明確に示した上で、まとまりのある質問項目とすることが重要なポイントです。

5.特定の組織や職種、人物などを示唆する内容の質問

意図的ではなかったとしても、特定の組織や人物を示唆するような質問項目を設けることは社内アンケートの目的からして相応しくありません。

アンケート調査そのものに作為や意図が感じられることで、回答者からの信頼が得られなくなります

前述したように、中立性と公平性を保つことが社内アンケートの信頼性に大きく関わります。

集計後の対応方法

社内アンケートの目的は従業員の意見を聞いて集計することだけに留まりません。

調査結果として抽出された問題点や課題を明らかにし、改善につなげることが最終的な目的です。集計後に実施すべき対応として以下のようなものがあげられます。

1. 調査結果の分析

調査結果を集計した結果が、実態とかけ離れたものではないかどうかを検証する必要があります。

各部署のマネージャーなどを集めたミーティング等を設けて、社内アンケートの結果を共有して検証を行うことが有効です。

仮に、各マネージャーの認識以上に集計結果がポジティブな内容が見られる場合は、社内アンケートの信頼性が疑われます。

反対に、想定以上にネガティブな結果である場合は、上層部が気づけていない問題点が多数存在するということです。

経営上層部と調査結果を共有することは、社内アンケートの結果を踏まえた改善につなげるための最初のステップになります。

2.経営サイドと共有

社内アンケートは経営側と従業員側のコミュニケーションの一つの方法です。

社内アンケートの集計・分析結果の妥当性が認められれば、経営側には抽出された問題・課題に対応することが求められます。

3.社内に公表

集計結果は経営側だけでなく、回答者である従業員にも公開する必要があります。

従業員側では、自分の認識と従業員全体の認識について違いを知る機会となり、会社に対するエンゲージメントを高めるきっかけとなる可能性があります。

4.改善に対する働きかけ

社内アンケートで指摘された問題点に対する改善は、基本的には経営サイドで取り組むべきものです。

しかし、アンケート調査を行っただけに終わらせないためにも、アンケートの運営主体も関わる形で改善につながる取り組みを行うことが求められます。

全社的な改善が求められる特に重要な課題については、経営側と連携し、関連部署を巻き込む形で改善のためのイニシアチブを取ることが理想的です。

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ここまで、アンケートの設問の作成方法、注意点、集計後の対応方法などを解説してきましたが、アンケート作成、結果の集計や報告・分析にも意外と工数がかかりそうですよね。

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まとめ

働きやすい良い会社にしていくための一つの取り組みが社内アンケートです。

調査項目や質問文の設計にはさまざまな工夫が必要であると同時に、経営側の理解と運営サイドとの連携した取り組みが求められます。

今回ご紹介した質問例は従業員満足度調査のための社内アンケートを想定したものです。

基本的な社内アンケートの内容を理解して、さまざまな社内アンケートに応用してみてください。

画像出典元:pixabay

 

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