組織の目標達成を促進するため、「チームビルディング」という考え方に注目が集まっています。
チームビルディングとはチーム全体の結束だけでなく個々のメンバーが成長することにも焦点を当てた概念であり、採り入れることでより骨太な組織づくりが望めるでしょう。
そこで今回は、チームビルディングの概要や効果、段階ごとの具体例などについて解説します。
また、実際の企業における事例やおすすめの書籍の紹介も行っていますので、ぜひご覧ください。
このページの目次
チームビルディングとは、チームに属する個々人が能力や経験を最大限発揮し、成果につなげられるチームを作ることです。
「チーム」とは同じ目的を遂行するために協力する集団を意味し、単なる共通項や属性などによって集められたに過ぎない「グループ」とは性質が異なります。
メンバー同士で目標に向かって協力し合うという点では「チームワーク」とも似ていますが、メンバー個人の成長にまで注目しているのが「チームビルディング」だと言えます。
チームビルディングの対象者はとても幅広く、以下の通り新入社員や新メンバーだけでなく中堅社員やベテラン社員、経営層と、会社に関わる全てのメンバーに有用です。
対象 | チームビルディングの目的 |
若手・新入社員 | 社会人としてのイロハや仕事への主体性を身につけること |
中堅社員 | チームリーダーとしてのスキルや牽引力をみにつけること |
経営者・管理者 | ビジョンの共有や目標達成に向けた体制作り |
チームビルディングは、組織内に新しい変化を起こす時に必要です。
上記のような変化・挑戦の際にチームビルディングを行うことで、組織に前向きな変化を起こすことができるでしょう。
チームビルディングはメンバーのモチベーションアップにつながります。
チームが共通の目標のために一つとなっている実感やチームで何かを成し遂げた経験を得ることで、メンバーの仕事に対する姿勢を前向きにすることができるでしょう。
チームビルディングの実施は生産性の向上にもつながります。
チームビルディングによってメンバー間の信頼関係ができてコミュニケーションが活発になると、意見交換が活発化して問題点の改善がよりスムーズにできるようになるでしょう。
また、信頼関係の向上という意味では、心理的安全性の確保という観点が非常に大切です。
心理的安全性とはチームメンバーが安心して自分の考えを自由に発言し、行動に移すことができる状態を指します。
自分が何か発言をしても、不当に否定されたり罰せられたりすることの無い状態は、チームビルディングによりメンバー同士の理解が進み信頼関係を構築することで生み出すことが可能です。
特にプロジェクトが始まったばかりの段階や新入社員・新メンバーが入ったばかりの段階においては、チームビルディングを行うことでチーム目標の共有と浸透が図れます。
目標を共有することで、チームに一体感を生み出すことも期待できるでしょう。
チームビルディングは、行うことでメンバーの考え方や価値観、得意分野などをリーダーが把握することにもつながります。
管理者がメンバーそれぞれの正確や適性を理解しておくことで、適材適所の役割分担や過不足のない人員配置につなげることができるでしょう。
特に新規プロジェクトの立ち上げ期や新人が入ってきた段階などでは、ゲームを行うことが効果的です。
メンバー同士がお互いの事を知り相互理解を深めることで、以後の業務進行の円滑化が期待できます。
なるべく事前準備の手間が少なく、チームメンバーが協力して進めるようなゲームがチームビルディングには最適です。
また、マネージャーレベルの社員に対するチームビルディングには、経営やマネジメントのシミュレーションができるゲームが適しているでしょう。
ここでは、編集部おすすめのゲーム型ワークショップをご紹介します!
画像出典元:「レゴ®シリアスプレイ®メソッド」公式HP
レゴ®シリアスプレイ®メソッドは、レゴ®ブロックを活用した、研修・ワークショップです。
参加者にレゴ®ブロックで表現する作品のテーマを提示。(※事前のヒアリングで課題や企画趣旨に合わせたテーマ設定)
完成した作品をストーリーとして語りあいます。レゴ®シリアスプレイ®メソッドは、
質疑を通じて、参加者がそれぞれ見落としていた観点や価値観の発見と相互理解を深めていきます。
ワークの振り返りから、事業や組織の課題を共有、メンバーの意識改革につなげることで、アクションを喚起します。
※詳しくは以下の個別記事で紹介しています!
※その他、チームビルディングに効果的なゲームは以下の記事で紹介しています!
様々な個性を持つメンバー同士の結束を強くしたい場合、社内イベントも非常に効果的です。
社員旅行や各種スポーツ大会などを実施することで年次や立場の違うメンバー同士のコミュニケーション促進が期待できるでしょう。
また、社員イベントを実施することで心身のリフレッシュやストレス解消にもつながります。
特に正社員やパート社員など様々な役職や年齢のメンバーが混在している職場の場合、こうしたレクリエーション性の高いチームビルディング手法は効果的です。
チーム全体の効率性や結束を高めるには、研修や合宿の開催も有効です。
いつもの執務室から離れた場所で行うことで、新たな刺激による創造性の向上も期待できます。
特に、組織改革や新たな考え方を採り入れたいような状況においては、研修や合宿をチームビルディングとして採り入れることが効果的となります。
仕事として接しているとどうしても精神的に距離を取ってしまう方も多くいるため、飲み会やランチ会を企画するのも効果的なチームビルディングの手法と言えます。
いわゆる「飲みにケーション」は日本企業において古くから重要視されてきた傾向にありますが、就業時間外に会社の人と交流したくないという方もいるのが実情です。
飲み会にあまり乗り気でない方が多いケースでは、お昼の時間帯を利用したランチ会を開催してみるのも一つの手でしょう。
特別な方法を取らずとも、日常的な交流機会を増やすことはできます。
ノウハウ共有や業務上の報告、勉強会など様々な目的で定期ミーティングを実施すれば、チームメンバーとのつながりを継続的に感じることが可能です。
また、リモートワーク 環境においても、ビデオチャットやWeb会議ツール、社内SNSなどを活用することによって交流の機会を増やす心がけが大切でしょう。
より実態に即して効果的にチームビルディングを進めていくため、以下のようにチームの発展段階を5つに分類した「タックマンモデル」が良く用いられます。
ここではそれぞれの段階の概要や実際に行うべきチームビルディングの具体的な施策例を紹介します。
チームが作られたばかりの段階を、「フォーミング(Forming)・形成期」と呼びます。
この段階ではまだメンバー同士の理解が不十分でチームの目的も浸透していないため、お互いのことを理解することが大切です。
この時期にはメンバー全員でできるゲームなどを実施することで、お互いに感じている緊張を解いてお互いの特徴や個性の理解を促すことが期待できます。
メンバー同士の意見対立や仲たがいなどが起こってくる時期を、「ストーミング(Storming)・混乱期」と呼びます。
ここでは意見の対立などを必要以上に恐れることなく、相互理解を深めていくことが大切ですから、社内イベントやゲームの実施などが効果的でしょう。
お互いの意見を出し合うようなイベント・ゲームを実施することで、お互いの価値観や考え方などに対する理解を深めていくことが期待できます。
混乱期の対立を乗り越えた後に待っているのが、秩序を意味する段階の「ノーミング(Norming)・統一期」です。
メンバーが相互理解を深めてチームにまとまりが生まれている状態であり、この段階ではメンバーの役割分担や具体的な目標の設定などを行うことが大切だと言えます。
チームビルディングとしては、メンバー同士の協力や情報交換を促し、メンバ―との交流関係を保つことに重点を置くのが良いでしょう。
チームとして機能できている段階のことを、「パフォーミング(Performing)・機能期」と呼びます。
それぞれの役割遂行はもちろん、お互いのフォローなども、目的遂行のために主体的に行うことができる段階ですので、この状態の持続に注力することが大切です。
この段階を長く持続させるため、メンバーへのサポートやチームワーク向上のためのイベントや研修などを実施することが、チームビルディングとしては効果的でしょう。
チームの目標を達成した段階で、「アジャーニング(Adjourning)・散会期」を迎えます。
この時期に見せるメンバーの反応により、チームビルディングの成否を測ることができるでしょう。
ここでは、実際の企業におけるチームビルディングの取り組み例をご紹介します。
フリーマーケットアプリで有名なメルカリ社は、おもちゃの「レゴ」を用いたユニークなチームビルディングを実施しています。
それぞれの思い出レゴ作品を作り、その作品を作った理由をお互いに話すことで対話を生んでいるのです。
不動産や飲食業を手がける株式会社Ton Tonは、「talk note」というシステムを導入し、社員同士のコミュニケーション促進を図りました。
チームビルディングによってチームのパフォーマンスが向上し、利益の大幅増につながった事例だと言えます。
飲食店の検索サービスとして非常に有名なぐるなび社も、「ウォーキング・ミーティング」というチームビルディング施策を採り入れています。
ウォーキングミーティングとは、上司と部下が歩きながらミーティングを行う施策です。
上司と部下のコミュニケーション促進はもちろん、運動によるリフレッシュ効果から、ポジティブな意見が出やすくなったという副次的効果も発生しました。
ここでは、チームビルディングを学ぶためにおすすめの書籍を3つに厳選してご紹介します。
『Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』は、Google社でのエンジニア経験があるブライアン・W・フィッツパトリック氏が自らの経験をもとに書いた本です。
チームが機能するために必要な協力に関する話やチームの作り方、メンバーとの関わり方などがエッセイ風にまとめられています。
『チームのことだけ、考えた。――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか』は、ITベンチャー企業であるサイボウズ社の社長、青野慶久氏が書いた本です。
自社の働き方に変革をもたらした手法や、チームの力を最大限発揮させるための方法などを実体験から記しています。
『斉藤秀樹の最強組織を創るチームビルディング術課長塾 チーム創り課』は、ビジネス界におけるチームビルディングコンサルティングの先駆けである、斎藤秀樹氏が書いた本です。
チームのパフォーマンスを向上させるための方法を、初心者にもわかりやすく実戦的に記しています。
チームビルディングとは、組織の目的を達成するためのチーム力強化を、個々人の成長にまで焦点を当てて考える手法です。
チームの発展段階を分けて考え、それぞれの時期に適したチームビルディングの手法を取ることで、理想的なチーム作りが実現できます。
実際の企業が導入した事例や書籍などを参考にしながら、チームビルディングの成功をより確実なものとしていきましょう。
画像出典元:Burst
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