心理的安全性が職場の生産性を高めるとGoogleが指摘する理由

心理的安全性が職場の生産性を高めるとGoogleが指摘する理由

記事更新日: 2020/04/23

執筆: 編集部

「心理的安全性」という言葉に聞き覚えのない人も多いと思います。

この言葉は2016年にGoogleが「チームのメンバーに心理的安全性があるとプロジェクトチームは生産性・創造性が高まる」と発表してから注目されるようになりました。

この記事では、心理的安全性とは何か、なぜそれが職場の生産性や創造性を高めるのかを分かりやすく解説しています。

心理的安全性とは何か?

4つの不安・心配がない心理状態

心理的安全性(psychological safety)とは、余計な心配をせずに安心して仕事にうちこめる心の状態のことです。

余計な心配とは、次のようなものです。

  • こんなことを質問したり相談したりしたら無知だと思われないか
  • やってみたいことはあるが、もし失敗したら無能だと思われないか
  • 会議で発言して、もしピントがずれていたら、邪魔をしていると思われないか
  • チームがやろうとしていることに疑問があるが、そんなことを言ったらネガティブだと思われないか

こんな心配や不安が大きいと「そんなリスクを冒さずにテキトーにやっておこう」という気持ちになるかもしれません。

チーム内にそんな気持ちの人が多いほど、そのチームの生産性や創造性は低下することになります。

反対に「このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できる」

つまり余計な心配をせずに

「質問や相談」をしたり、「トライ」したり、「発言」したり、「疑問を表明」したりできる

という思いを全員が共有すれば、メンバーそれぞれのパフォーマンスが自由闊達になり、より生産的、創造的な仕事ができます。

これが心理的安全性のある職場(チーム)です。

Googleが証明した、生産性の高いチームの条件

職場に心理的安全性が担保されていることが重要だと最初(1999年)に唱えたのは、ハーバード大学のエイミー ・エドモンソン教授(組織行動学)です。

しかし、この概念が企業の間で広く話題になったのは、Googleが2016年に発表したあるプロジェクトの活動報告の影響です。

Googleは、2012年に「プロジェクト アリストテレス」と名付けた大規模なチームを組んで、社内にある数百のプロジェクトチームを対象に「効果的なチームを可能とする条件は何か」を調査しました。

その結果、「心理的安全性」がプロジェクトの生産性を高めるもっとも重要な要素であると結論づけたのです。

心理的安全性が高い職場にするメリットはなにか?

どんな効果や影響があるのか?

「こんなことも知らないのか(無知)」
と思われる不安がなければ、分らないことや不明な点を聞くことができます。それによって、あいまいな知識のまま仕事を続けてミスをするリスクが減ります。

「こんなこともできないのか(無能)」
と思われる不安がなければ、もしミスを犯してもそれを隠そうという気になりません。それによって、隠されたミスが後々チームにとって重大な結果を招くのを防ぐことができす。

「ピントのずれたことを言う(仕事の邪魔)」
と思われる不安がなければ、新しいアイディアが浮かんだら遠慮せずに提案することができます。それによってチームの仕事に創造性や革新性が生まれる可能性があります。

「否定的な意見を言う(ネガティブ)」
と思われる不安がなければ、現在進めている仕事に問題点があると思ったときに躊躇せずに指摘することができます。それによって、そのまま進んだ場合に生じる危機を回避できることがあります。

要するに、このような不安がないことで、チーム内にフランクな空気が流れ、身構えたり格好をつけたりすることなく、仕事に集中できるようになるのです。

それがチームの効率性を高め、創造的な成果に結びつくのは想像に難くありません。

チームを成功に導く最重要の鍵

Googleの「プロジェクト アリストテレス」が「チームを成功に導く5つの鍵」としているのが次です。

1. 心理的安全性が担保されている

2. お互いに信頼して仕事を任せ合える

3. チームの目標、計画、役割分担が明瞭である

4. メンバーが任せられた仕事に意味を見出している

5. 自分の仕事が会社や社会にインパクト(影響力)を持っていると感じられる

この中でも「心理的安全性は他の4つのを支える土台であり、チームの成功に最も重要な要素であることが分った」と報告しています。
参照 :Googleガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る

また、Googleの報告書は、心理的な安全性が担保されていないチームで働くメンバーは、

  • 自己呈示行動(self-presentation)
  • 自己印象操作(self-impression management)

を行って真の自分を偽りながら働いている、とも指摘しています。

余談:アメリカ人と日本人の違い

「調子はどうだい?」(How are you?)と聞かれたら、日本人なら「まあ、ぼちぼちです」とか「さっぱりや」などと答えるところでも、アメリカ人はよほど親しい間柄でない限り「Fine!」とか「Grate!」と答えます。

移民国家で競争社会であるアメリカでは「なめられたらおしまい」という意識が強く、そんなリスクがある言動を極力避けようとするのです。

そんな「心構え」があたりまえのアメリカの職場では、無知・無能・邪魔者・ネガティブと思われることに対する不安は大きく、そういう評価はただちに大きな罰(クビ)につながる可能性さえあります。

このようなリスクに対する恐れがチームの生産性を低下させるという「発見」は、アメリカのビジネスパーソンにとってはある意味で「虚を突かれる」ものだったかもしれません。

しかし、Googleが数百万ドルの経費をかけて実証した「心理的安全性」の重要性は、日本人の優秀なリーダーならとっくの昔に心得ていたことではないでしょうか

アメリカの経営学や組織学を勉強する日本人にとっては、このような「文化的ベースの違い」がもっとも理解・判断が難しいところです。

丸ごとおし戴くのも間違いのもとになるし、日本人には関係ないと思うのももちろん間違いです。

 

心理的安全性を高める方法は?

チームに心理的安全性があるかないかは、どう測るの?

チームに心理的安全性があるかないかは、そのチームのメンバーがいちばん良く知っています。わざわざ何かを用いて計るまでもありません。

では、チームリーダーがそれを知らないということはあるでしょうか?もしそうだとしたら、よほどボンヤリしたリーダーで、リーダーとしての資質が疑われます

と、日本人なら思いますが、競争社会で他人の心を読むのが下手な人が多いアメリカでは、事情が違うようです。

だぶん日本人的な感性も持っている女性だと思われるエイミー ・エドモンソン教授は次のような測定法を提唱しています。

次の文が自分自身に強く当てはまるかどうかをチームメンバーに尋ねます。

1. チームの中でミスをすると、たいてい非難される。

2. チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。

3. チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。

4. チームに対してリスクのある行動をしても安全である。

5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。

6. チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。

7. チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

引用元:Google ガイド:「効果的なチームとは何か」を知る

この質問にポジティブな回答が多いほどそのチームの心理的安全性は高いといえます。

しかし、心理的安全性がないチームのメンバーにこういう質問をすると、本音が出てこない可能性があるのでその点は注意しなければなりません。

心理的安全性を高めるには

職場での心理的安全性を高めるには、リーダーの役割が決定的に重要です。

Googleの報告書では、職場での心理的安全性を高めるには、リーダーに次のような姿勢が必要だと述べています。

1. 積極的な姿勢を示す : チームメンバーから学ぼうという意欲を持って質問をする。体の動きや仕草に注意する。話を聞くときは少し体を乗り出すようにするか、相手の方に顔を向ける、など

2. 理解していることを示す : 気づかぬうちに否定的な表情(苦い顔や不愉快そうな顔)を浮かべていないか注意する、など

3. 対人関係において相手を受け入れる姿勢を示す : チームメンバーのために時間を割く、友好的な態度を示す(例: 1 対 1 の定例外の会話、意見交換、キャリアに関するコーチングのための時間を作る)など

4. 意思決定において相手を受け入れる姿勢を示す : 人の話を妨げない。妨げようとする人をたしなめる。チームメンバーが成功や意思決定に貢献した場合は、その事実に言及する、など

5. 強情にならない範囲で自信や信念を持つ : 自分の意見に対して、チームメンバーが別の意見がある場合、反論したり異論を唱えるように促す。自分の弱みを見せるー仕事や失敗に関する自分の個人的な考え方をチームメンバーに伝える、など

参照:心理的安全性を高めるためにマネージャーにできること

これを読むと、逆にアメリカの怖いボスがチームメンバーに与える心理的プレッシャーの強さがほうふつとされます。

もちろん日本人にもそういうタイプのリーダーは少なくないので、注意したいところです。

まとめ

心理的安全性が職場内で確保されていると、メンバーが伸び伸びと仕事ができ、それぞれが持つ能力を100パーセント発揮できるだけでなく、お互いに良い協力関係が生まれてチーム全体のパフォーマンスが向上します。

リーダーはハッパをかけるだけでなく、メンバーの心理的安全性にも配慮することが重要です。

画像出典元:pixabay

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