組織活性化は、従業員が気持ちよく働き続けるために必要な要素です。
従業員が職場に不満を感じていると、仕事へのモチベーションも上がらず、サービスの質にも影響しかねません。
サービスの質が低下すれば、長期的に見て企業利益の低下を引き起こします。
この記事では、企業存続に必要な「組織活性化の具体的な取り組み例」などを解説します。
このページの目次
「組織が活性化されている」とは、具体的に以下3点を満たす状態を指します。
1. 経営陣〜現場の従業員まで、全社に経営理念およびビジョンが浸透し、共感を得ている
2. 組織のビジョン達成のために従業員自らが考え、自主的に行動している
3. 組織内のコミュニケーションが円滑に進んでいる
活性化している組織においても、組織の経営理念およびビジョンが共有できていることは重要です。
従業員が自社のゴールを把握できれば必要な行動が見えるため、何をやるべきか迷わずモチベーション高く仕事に取り組めます。
従業員同士の自然なコミュニケーション文化があることで、お互いの状態を気にかけ、必要な場面で協力し合うことが可能です。
全社のコミュニケーションが活発であれば、ボトムアップにより現場の声が柔軟に経営陣へ届きます。
なお、組織活性化の場面では、以下のようなマネジメントのフレームワークを活用することも多いです。
上記で紹介した組織活性化が必要な理由は以下の3点です。
1. コミュニケーション不足を解消するため
2. 従業員の離職を防ぐため
3. 業績の悪化を予防するため
組織が円滑に仕事を進めるには、全社でのスムーズなコミュニケーションが欠かせません。
部署や階級の垣根を超えてコミュニケーションを取ることで、業務効率化が図れるうえに、社内の雰囲気も改善できるのです。
例えば、営業部門・開発部門の間でコミュニケーション不足が発生し、顧客の要望を正しく開発部門に伝達できなかったとします。
顧客の要望が反映されなければ、満足度は下がり業績ダウンを引き起こすうえ、社内の雰囲気も悪化する可能性が高いでしょう。
従業員全員の満足度を高め、気持ちよく働ける環境を整備するには、コミュニケーション不足の解消が必要不可欠です。
上記と関連して、組織活性化によってコミュニケーション不足が解消されることで、従業員の離職を防止できます。
従業員が離職するのは、「社内に対して不満があるから」です。
社員が抱える不満は、以下のようにさまざまな観点から発生します。
コミュニケーションが不足していると、上層部が社員の不満を把握できず、知らぬ間に離職を決意してしまうのです。
上記に加えて、従業員から上がっていた問題点が経営陣まで届かず解決できないことも、社員を失望させ、離職の要因となり得ます。
会社からしても、長年教育した従業員が離職してしまうと、再度教育体制などを見直す必要があるため、極力避けなければなりません。
コミュニケーション不足を解消し離職を防止するには、従業員の不満や考えをヒアリングして組織活性化を図ることが重要です。
ここまで紹介したように、組織が活性化されなければ主に以下の事態が引き起こされます。
上記2つの要素が重なると、将来的に全社で業績が悪化する可能性は高いのです。
顧客の要望を反映できず満足度が向上しなければ、自社サービスから離脱する確率が高いため売り上げは低下します。
サービス提供側である従業員が離職し続けてしまうと、少ない人数で業務を回さなければなりません。
ひとりの業務量には限界があるため、顧客への提供価値も徐々に薄れ、疲労などが原因で社内の雰囲気も悪化します。
組織活性化の失敗は、業績面だけでなく、社内の雰囲気など多方面にわたって悪影響となるのです。
業績悪化を防ぎ、会社を長く継続させるためには、従業員が心も体も元気に働けるよう、組織活性化によって多方面に良い影響をおよぼしましょう。
自社において「組織活性化が促進できているか?」は、以下のチェックリストで確認できます。
チェックリストに当てはまる数が多ければ「組織活性化への改善が必要」ということです。
最初に紹介した「組織が活性化されている3つの状態」ごとにチェックリストを作成しているので、参考にしてください。
1. 経営陣〜現場の従業員まで、全社に経営理念およびビジョンが浸透し、共感を得ている
2. 組織のビジョン達成のために従業員自らが考え、自主的に行動している
3. 組織内のコミュニケーションが円滑に進んでいる
(1)従業員が経営理念やビジョンを知らない
(2)理念やビジョンを丸暗記しているだけ
(3)ビジョンや理念を知っているが正しく理解していない
(4)チームの目標を明確に把握していない
(5)チームの目標に不満がある
(6)上司からの指示を待つ姿勢の従業員が多い
(7)自分に与えられた役割以上の仕事には興味がない
(8)目標達成に必要なアイデアが上がってこない
(9)状況を先読みした仕事ができていない
(10)「周囲もサポートして全員で達成する!」という意識が薄い
(11)従業員から上司に業務に関する申し出や提案が少ない
(12)業務で孤立している従業員がいる
(13)社内で共有漏れや共有によるミスが頻発している
(14)従業員と上司の間で認識の食い違いが発生することが多い
(15)従業員同士が気軽にコミュニケーションを取れていない
あなたの会社はいくつチェックリストに当てはまりましたか?
当てはまったチェックリストに応じ、以下の施策を実施してみましょう。
現状を改善して組織活性化につなげられます。
→定期的にビジョンを共有する場を設ける
→「複数業務担当制」を導入する
→「ナナメ面談」「コミュニケーションツール」を導入する
それぞれの施策について、詳しく説明します。
チェック項目(1)〜(5)に多く当てはまる企業は、自社内でビジョンを共有する機会が足りていません。
経営理念やビジョンの共有には、定期的に話し合う機会を設定することが効果的です。
チームで月に1回程度(全社なら半年に1回など)、会社の目標やビジョンについて話し合い、従業員への理念浸透を促します。
会社やチームの目標やビジョンは、従業員が働くうえで道しるべとなる存在です。
目指すべき道しるべを全員が共有できなければ、働くモチベーションも上がらず、自分がやるべきことも判断できません。
従業員が別々の方向を目指してしまうと、「どうして必要な仕事を完遂しないのか」など、社内での不満にもつながります。
目標の共有は、組織活性化にとても重要な要素であるため、半日〜1日かけてじっくり話し合うことが理想です。
もし時間が確保できれば、合宿を実施しても良いでしょう。
ビジョン共有の時間を通じて従業員それぞれの目標も引き出せれば、個人目標と仕事上の意義をかけ合わせて考える機会にもなります。
チェック項目(6)〜(10)に多く当てはまる企業は、従業員が自主性を持って働ける仕組みの導入が足りていません。
従業員の自主性を促すためには、「複数業務担当制」の導入が効果的です。
日本企業では多くの場合、従業員ひとりに対して専門の役割が割り振られます。
確かに専門の役割を割り振ることで、従業員のスキルが磨かれやすくなるものです。
一方、特定業務しか割り振られないことは、以下のような問題が起こる可能性も含んでいます。
上記のような状況が多くなると、目標達成に必要な仕事への意識が薄れ、従業員と会社の方向性にズレが生じます。
他部署の状況を把握していなければ、「開発部門が対応できない案件を営業が受注してしまう」という事態も起こりかねません。
他部署の状況も把握し、従業員が自分の業務以外に興味を持つ機会をつくるには、複数業務担当制度が有効手段となるでしょう。
複数業務担当といっても、すべての業務をメインにする必要はありません。
従来の業務をメインとしつつ、別案件にサブメンバーとして加われば、全体を通して客観的に物事を見る力が養われます。
他部署の状況がわかれば、担当業務以外で「取り組んだほうがいいこと」を考えるキッカケにもなるでしょう。
「自主性を身に付けよう」と声をかけるだけでは実現が難しいものです。
複数業務担当制度によって、会社から従業員に機会を与えてみましょう。
チェック項目(11)〜(15)に多く当てはまる企業は、組織内のコミュニケーションを円滑に進める仕組みの導入が足りていません。
組織内のコミュニケーションを円滑に進めるには、「ナナメ面談」「コミュニケーションツール」などの導入を検討してみましょう。
主要なコミュニケーションツールとしては、以下が挙げられます。
コミュニケーションツールには、グループ作成機能やスタンプ送信などによって、気軽にやり取りできる仕組みが整っています。
上司への報告には壁を感じやすいですが、気軽に連絡を取りやすい機能であれば、コミュニケーションのハードルも下がるでしょう。
「ナナメ面談」とは、直属以外の上司(他部署など)と面談を実施する制度です。
仕事をするうえで、直属の上司には相談しにくい内容があるかもしれません。
場合によっては、「上司への要望があるけれど直接伝えにくい」ということもあるものです。
直属の上司に伝えにくいことでも、他部署の上司になら打ち明けやすいこともあります。
いつもとは違った角度からの意見やアドバイスをもらえるため、悩みを解決する突破口になるかもしれません。
組織を活性化するうえで、上記の取り組み以外にも、以下のような制度を導入したり意識を強めたりすることがオススメです。
ピアボーナス制度とは、従業員同士で会社独自の報酬を贈りあえるシステムを指します。
「peer(同僚)+bonus(報酬)」を組み合わせた造語です。
Googleが導入したことをキッカケに日本でも徐々に浸透しています。
ピアボーナスシステム提供企業によって異なりますが、以下のような機能であることが多いです。
ポイントや景品贈呈、賞賛機能など、現金以外の視点で従業員のモチベーションアップを図れます。
実際に、「Goodpatch」「CAMPFIRE」「GMOメディア」など、多くの企業で導入されているのです。
主な福利厚生としては以下5点が挙げられます。
1. 自己啓発手当
2. 財産形成
3. レクリエーション制度
4. 育児・介護関連の制度
5. 健康・医療関連
従業員のスキルアップや成長を支援するための制度です。
以下のような、学習にかかった諸費用を企業が負担してくれます。
従業員の勉強意欲を促進させてくれる制度といえるでしょう。
自己啓発手当(および類する制度)は、以下のような企業で導入されています。
財産形成では、給料以外に従業員の財産形成をサポートするための仕組みが整っています。
以下のような制度が多いです。
将来的に「年金だけでは頼りにならない」という流れが生まれる中で、会社のサポートを受けつつ老後の財産を築けるのは心強いものです。
財産形成制度(および類する制度)は以下のような企業で導入されています。
従業員同士の交流や日頃のリフレッシュを目的として導入されている制度です。
以下のような場面で従業員に補助が出ます。
仕事上だけでなく、プライベートにおける社員同士の交流を支援することで、モチベーションアップを図っているのです。
レクリエーション制度(および類する制度)は以下のような企業で導入されています。
企業側が、育児・介護にかかる負担を多方面から軽減してくれる制度です。
具体的には以下のような制度が挙げられます。
少子高齢化が進む日本において、今後育児や介護の問題は根深くなっていきます。
未来ある子供をしっかり育てつつ、高齢者の介護も両立できる制度が整っているのは魅力的です。
育児・介護関連制度は、以下のような企業で導入されています。
従業員の健康増進を目的として設定された福利厚生です。
具体的には以下のような制度を導入している企業があります。
従業員の健康が侵されてしまうと、働き方にも悪影響を与え組織活性化からは遠のきます。
従業員の健康を守ることも、企業の重要な義務のひとつです。
健康・医療関連制度は、以下のような企業で導入されています。
以上が、現在取り入れられている主な福利厚生です。
こうした福利厚生制度は自社で用意できるのが理想です。
しかし、従来とは全く違う福利厚生を導入する場合、なかなかスムーズに制度を構築できないこともあります。
自社で福利厚生を構築できない場合は、アウトソーシングを行い、代理で内容を考えてもらい導入するのもひとつの手です。
組織活性化には、有休消化率の改善も重要です。
従業員が仕事をすることも大切ですが、しっかり休養を取り英気を養うことも欠かせません。
疲労が溜まっていては仕事へのパフォーマンスに影響しますし、休ませてくれない企業への不満も募ります。
従業員がリフレッシュして気持ちよく働けるように、有給を気軽に消化できる環境を整えましょう。
上司や経営陣など、上の立場にいる人が積極的に有給を消化することで、現場の従業員も取りやすくなります。
従業員同士のコミュニケーションを増やし組織活性化を促すには、社内懇親会の開催も効果的です。
懇親会の場であれば、ふだんの堅い仕事の雰囲気から抜け出して、互いの本音や深い話も期待できます。
とはいえ、単なる飲み会にならない工夫が必要です。
例えば、社内懇親会の幹事を持ち回りで従業員に担当してもらい、組織の一員である自覚を強めるのも良いでしょう。
成果をあげたチームやメンバーの表彰なども実施できれば、より従業員のモチベーションアップを促せます。
懇親会の特別感が薄れないよう、開催は四半期に一度などに限定しましょう。
フリーアドレス制度も、組織活性化の要因となり得ます。
フリーアドレス制度とは、従業員が毎日の気分に応じて自由なデスクで仕事ができる制度のことです。
毎日、仕事場所を変えることでコミュニケーションを取る相手も変わるため、日々さまざまな情報を共有できるでしょう。
普段とは違うメンバーと話すことで新しい刺激を得られ、部署の垣根を超えたコミュニケーションのハードルも下がります。
フリーアドレス制度の導入でコミュニケーションが活発になれば、結果的に職場環境も改善され、組織活性化につながるのです。
組織が長期的に利益を生み出し続けるには、従業員が気持ちよく働ける環境を用意し、組織を活性化させることが重要です。
従業員が気持ちよく働くには、制度や環境を整え、従業員同士の交流を自然と生み出す仕組みづくりが欠かせません。
今回紹介した内容をもとに、組織活性化に向けて制度を整え、従業員のモチベーション向上を促せる会社を目指しましょう。
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