在宅勤務はサボり放題?実状と本当に効果が出る管理方法を徹底解剖

在宅勤務はサボり放題?実状と本当に効果が出る管理方法を徹底解剖

記事更新日: 2021/12/07

執筆: 高浪健司

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、テレワークの1つである在宅勤務を導入する企業が軒並増加傾向にあります。

そうした中、在宅勤務における従業員のサボりについて不安視する声も少なくありません。 

そこで今回は、在宅勤務についての実状やメリット・デメリット、さらには効果的な管理方法など詳しく解説していきます。

在宅勤務の実状

働き方改革でテレワークの導入が進み、加えて新型コロナウイルス感染予防対策の影響もあり、近年では在宅勤務の割合が大幅に増加しています。

在宅勤務は基本的に自宅で仕事を行いますので、通勤などによる心身への負担も減少され、心にゆとりを持って仕事を行うことができます。

しかしその一方で、在宅勤務は仕事とプライベートとの線引きが難しく、なかにはサボる社員が出てきてしまうなど懸念する声も多く聞かれます

マイナビニュースが、2020年にテレワークの経験のある会員181人に行ったアンケートによれば、在宅勤務中のサボりの経験があると答えた人の割合は、全体の7割を超えました

画像出典元:マイナビニュース

ではなぜ、在宅勤務になるとサボる社員が出てきてしまうのか。その要因として以下のことが考えられます。

集中力が低下しやすい

自宅はオフィスなどとは違って他の従業員や上司の目がないため緊張感が薄れます。そのため、ついスマホやテレビを見たりネットサーフィンをしたりしてしまいがちです。

また、子育てや介護をしている場合などでは、子供や親の面倒を見ながら仕事をすることになるため集中力も低下しやすいです。 

在宅勤務には集中力の妨げになる要因が多数存在している。ということが言えるのです。

モチベーションを低下させる

自宅が職場となる在宅勤務。

最初のうちは会社から解放された感で嬉しい気持ちでいられますが、そうした気持ちも数か月後には孤独感に変わることが多いです。これは圧倒的コミュニケーション不足であるがゆえのこと。

在宅勤務で人と会話するといえば、せいぜい進捗確認のための数分程度です。コミュニケーション不足はモチベーション低下の要因となり、やがてはサボりに繋がる可能性が高まります。

在宅勤務のメリットとデメリット

在宅勤務にはそれぞれメリット・デメリットが存在します。

在宅勤務といった勤務形態を導入する際は、メリット・デメリットをしっかり理解しておくことが重要です。

メリット

1. 経費の削減

2. 優秀な人材の確保

3. 事業継続の確立

 

経費の削減

従業員が通勤するための交通費をはじめ、オフィス運営にかかるコストを削減することができます。また、従業員も通勤しなくて良くなるので、通勤や移動による心身的負担も軽減されます。

優秀な人材の確保

多様で柔軟な働き方ができる企業には求職者も集まりやすいといった傾向にあります。特に育児や介護をしている人にとって在宅勤務は働きやすく魅力的な環境ですし、遠方に住んでいる人でも働くことが可能です。

仕事と生活の調和、いわゆるワークライフバランスの充実さは企業にとって大きなアピールとなり、優秀な人材を確保できる可能性が広がります。

事業継続の確立

日本は自然災害の発生割合が比較的高い国であるとされています。オフィスが何らかの災害に見舞われた際でも在宅勤務制度が整っていれば継続して事業を進めることが可能です。

また、コロナウイルスなどのような感染症が発生した際も、通勤などによる一定の感染リスクを防ぎながら継続した業務が可能です。

デメリット

1. セキュリティに関する問題

2. 労務管理が困難

3. コミュニケーション不足に陥りがち

 

セキュリティに関する問題

オフィスワークと違い、在宅勤務は比較的セキュリティに関する問題が発生しやすいものです。

特に従業員がプライベートで使用しているパソコンをそのまま使用するのはウイルス感染などによる情報漏洩のリスクが懸念されます。

在宅勤務を行う場合は、セキュリティ対策の徹底が重要となります。

労務管理が困難

勤務時間や休憩時間、残業時間など、在宅勤務では従業員の労務状況を把握することが極めて難しくなります

なお、従業員の勤怠管理は生産性にも影響してくるため、適切な管理が求められます。そのため、勤怠管理システムツールを導入するなどの対策が必要です。

 

コミュニケーション不足に陥りがち

在宅勤務は、職場の人たちと互いに顔を合わせて会話する機会がほぼないためコミュニケーション不足になりがちです。

コミュニケーション不足が進むと孤独感や不安などによるストレスを与えやすくなるため注意が必要です。

在宅勤務であっても電話やチャットを活用するなど、頻繁にコミュニケーションが取れる体制を整えることが重要です。

サボり防止対策にはこれが有効!

周囲に同僚や上司の目がない環境だと「サボるのではないだろうか」こうした心配がどうしても出てきます。

では、サボりを防止するためにはどのような対策を行えば良いのでしょうか。在宅勤務における有効なサボり防止対策を紹介していきます。

ビジネスチャットツールの導入

在宅勤務を円滑に進めるためには、こまめなコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーション不足が進むと不安や孤独感が大きくなり、サボりに繋がる可能性が高まります。

ビジネスチャットツールはリアルタイムで業務連絡や進捗状況の共有ができるほか、やり取りもメールより即時性が高いので、よりスムーズな社内コミュニケーションが実現できます。

ビジネスチャットツールには一般的なチャット機能に加え、ビジネスに特化した機能が多数用意されています。

こうしたツールをうまく活用することで在宅勤務におけるコミュニケーション不足を解消しつつ、従業員のモチベーションを向上させることができるのです。

在宅勤務によるコミュニケーション不足は企業全体の業績にも大きく影響します。そのため、手軽にコミュニケーションの活性化が実現できるビジネスチャットツールの導入は、非常に有効的であるといえます。

 

進捗状況報告・成果物提出の義務化

一日における仕事の進捗状況の報告または成果物の提出を義務づけることは、サボり防止対策として非常に有効です。

というのも、そもそも在宅勤務であろうがオフィス勤務であろうが、サボる人は場所に関係なくサボるからです。 

ある一定の人事評価を得ている従業員の行動を分析してみると、積極的に上司と行動目標を定め、進捗状況を報告し、さらにメンバー内で共有していることが分かりました。

つまり、業務に対して「進捗の見せる化」が実行されているのです。こうした「進捗の見せる化」を一定数の企業で実証実験してみたところ、サボる人が減少したといった結果も出ているほどです。 

進捗状況の報告や成果物の提出を義務づけることで責任感を芽生えさせ、それと同時に業務効率化に対する意識も高まり、結果的にサボり防止に繋がるのです。

ジョブ型の雇用形態を導入する

雇用形態には大きく「メンバーシップ型」「ジョブ型」に分けることができます。

メンバーシップ型 人に対して仕事を割り当てること(日本企業では一般的)
ジョブ型 仕事に対して人を割り当てること(欧米諸国では一般的)


ジョブ型は、職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づき、特定の職務を遂行できる人材を採用する雇用形態です。

ジョブ型では、やるべき仕事の内容や範囲、責任が明確に規定されているため、在宅勤務でも責任感を持って進めることができるはずです。

 

こまめにコミュニケーションを図る

前述のとおり、在宅勤務は社内におけるコミュニケーションが不足しがちです。

コミュニケーションが不足してしまうと、その孤独感から帰属意識が薄れ、仕事へのモチベーションも低下し、やがてはサボりに繋がる可能性が高まります。

そのため、定期的なミーティングの開催や同僚などと雑談ができる場所を用意するなど、積極的にコミュニケーションの取れる環境作りが非常に重要です。

管理が監視にならないように

在宅勤務による「サボり」を懸念する声は少なくなく、現在では在宅勤務者の行動を監視するような「社員パソコン監視ツール」などが存在しているほどです。 

確かに在宅勤務を行う従業員の管理は大切なことです。しかし、監視することによってストレスやモチベーションの低下に繋がる可能性があるということを十分に理解しておくべきです。 

心しておくべきポイントは、「管理と監視は別もの」であるということ。

常に監視されていると感じられる行為は明らかに行き過ぎで、行き過ぎた監視や干渉は従業員に必要以上なプレッシャーを与えかねません。 

在宅勤務では、仕事に対する姿勢よりも成果の達成が重視されます。

そのため、結果的に成果を出していれさえすれば、空いた時間は自由に使っても良い。このくらいの余裕があった方が効率よく業務を進めていくことができると考えます。

 

社員のサボりが発覚したら?

在宅勤務中に従業員のサボり行為が発覚した場合、懲戒処分にできるのでしょうか。これについて結論を言うと、サボりの程度によって懲戒処分もあり得る。このように言えます。 

たとえば、在宅勤務の合間に「ネットサーフィンをしていた」あるいは「スマホをいじっていたりテレビを視聴したりしていた」などの場合、行為そのものは好ましくありませんが、業務の成果に支障をきたしていないのであれば、懲戒処分にすることはできないでしょう。 

一方、在宅勤務であることを良いことに飲酒行為を行っていたり、一日中仕事とは関係ないことを行っていたりなど、あきらかに業務に支障をきたしている場合は懲戒処分の対象となり得るでしょう。場合によっては損害賠償問題へと発展していく可能性もあります。 

下記の図は懲戒処分の種類と重さを示したもので、左から順に処分が重くなっていきます。

いずれにせよ、サボりに対してどのような処分が適切なのかは、サボりの程度によって異なります。そのため、しっかりと調査した上で適切な処分を決定すれば良いでしょう。

※注意※
降格や減給など懲戒処分を行う場合は、あらかじめ就業規則にその種類や程度などの懲戒事由を定め、就業規則に基づいて手続きを進める必要があります。

 

まとめ

在宅勤務では、従業員が何をしているのか把握するのは基本的に難しいものです。そのため、企業側からは「サボっていないだろうか」など、従業員の行動に対して不安視する声も少なくありません。

実際のところ、在宅勤務はサボり放題と言われていることも事実としてあります。 しかし、だからといって在宅勤務者を監視するようなことは極力避けるべきです。

在宅勤務では、業務への姿勢ではなく業務に対する成果が何よりも重要で、従業員がサボることなく成果をあげられるようにするためには、適切な管理体制が欠かせないのです。

新型コロナウイルスの影響もあり、オフィス勤務から在宅勤務に切り替えて業務を行っている企業、これから在宅勤務を導入している企業、それぞれ多くあることでしょう。

ぜひ、サボり防止に有効的なツールなどを活用しながら、従業員がやりがいを持って仕事ができる労働環境の構築を目指してください。

画像出典元:O-DAN

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