自社の内定辞退率が高い場合は、採用活動を見直す必要があります。
本記事では、内定辞退率の改善に力を入れている企業の取り組み事例や、内定辞退率を下げるための対策を詳しく解説していきます。
自社の課題解決に役立つ情報がきっと見つかります。
採用の質を上げたいと考えている採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
内定辞退率とは、企業が内定を出した求職者のうち、入社を辞退した人の割合です。
内定辞退率 = (内定辞退者数 ÷ 内定者数)× 100
たとえば、10人に内定を出して、3人が入社を辞退した場合、内定辞退率は30%となります。
内定辞退率が高いと、あらためて採用活動を行わなければならず、採用コストが増大します。
つまり、内定辞退率が高い場合は、自社の採用活動を見直す必要があるのです。
画像出典元:「就職みらい研究所」就職プロセス調査(2020年卒)【確報版】
株式会社リクルートキャリアの2020年3月度の調査によると、2020年度卒の学生の内定辞退率は66.9%と非常に高い数値となっています。
半数以上の学生が何らかの理由で内定を辞退しており、採用担当者としてはできるだけ内定辞退率を下げておきたいところです。
なぜ採用面接を受けた求職者が内定辞退を選んでしまうのでしょうか?
内定辞退が起きてしまう原因として次の4つが考えられます。
原因1. 希望していた条件と折り合いがつかなかった
原因2. 抱いていた企業のイメージと違った
原因3. 面接時の面接官の態度や言動で悪印象を持ってしまった
原因4. 志望順位が低い
一つずつ確認していきましょう。
最も多い内定辞退の原因は、企業が提示した条件と求職者の条件に折り合いがつかないことです。
選考が進み、細かい条件や待遇がわかってくると求職者の中でギャップが生じてしまうこともあるようです。
また採用面接時には緊張や採用への不安から条件面のすり合わせができず、内定辞退を選んでしまう求職者もいます。
求職者が当初抱いていた企業のイメージと、実際に選考が進んでから感じたイメージの相違が内定辞退の原因と考えられます。
説明会や会社訪問など企業への理解が深まり、事業内容や社風などにイメージギャップが起こると入社意欲の低下につながります。
面接採用時に企業説明や条件をうまく伝えられなかった時も、ミスマッチだと勘違いされて内定辞退されてしまう場合もあるようです。
面接官の言動など面接時の印象で企業への不信感や不安を感じて、内定辞退につながってしまうケースです。
「自社の良い点だけ説明されて、悪い部分の説明が一切なかった」「他の企業を下げる言動が多かった」など、何気ないやり取りの中でも求職者が内定辞退してしまう原因となり得ます。
また「時計ばかり見ていた」「目を合わせてもらえなかった」など態度が気になる求職者もいるので、一度面接時の言動を見直してみてもいいでしょう。
内定辞退の原因として最後に考えられるのは、求職者からの志望順位が低い可能性です。
求職者の多くは、面接の経験や採用される可能性を広げるために多くの企業へ応募します。
より自分の条件に合う他の企業から内定が出てしまうと、内定辞退されてしまう可能性があるでしょう。
しかし、選考が進むにつれて志望順位が変わったという求職者もいるので、採用担当者はありのままの自社の魅力を伝えることが大切です。
株式会社エン・ジャパンが自社サービスを利用している企業を対象に行った調査によると、選考辞退で最も多いタイミングが内定後の辞退となっています。
回答した60%の企業が内定辞退を経験しており、採用担当者の多くが採用に悩みや課題を感じていることが伺えます。
ここからは、求職者が内定辞退を決断するタイミングとして考えられる理由を確認してみましょう。
志望順位が高い企業から内定が決まった時、求職者は内定辞退を決断するようです。
滑り止めとして複数の企業で選考を進めている求職者は多いため、志望度を高めるには選考時にどれだけ自社の魅力を伝えられるかが鍵でしょう。
内定を出す際は、内定承諾書や誓約書の提出を求めるケースが一般的です。
しかし他の企業の選考結果待ちや入社を決断しきれず、書類の提出期限が迫ったタイミングで内定辞退を決断する求職者もいます。
内定までのスピード感が遅いと、先程の他の企業で内定が決定してしまうケースもあるので求職者とのスケジュールはすり合わせが必要でしょう。
自社の内定辞退率が高くなる原因を特定できたら、自社の採用活動を見直し、改善しましょう。
内定辞退率を下げるための効果的な対処法を5つご紹介します。
対処法1. スピード感を持って選考を行う
対処法2. 求職者の希望条件を把握する
対処法3. 内定後も入社までフォローを行う
対処法4. 面接官のマナーを見直す
対処法5. 発信している自社の情報を見直す
内定辞退を防ぐためには、スピーディーな選考と内定の判断が必要です。
求職者は選考結果が出るまで不安や焦りを感じているケースが多く、早期の結果を求めています。
また選考が長引けば、他の企業で内定が出てしまったり、判断の遅い企業と判断されたり悪い印象につながりかねません。
選考が長引いてしまう場合は、求職者へ「○日までにご連絡します」などフォローを入れておくと好印象を持たれやすいです。
求職者へ不安を与えないよう、可能な限り選考・面接結果は即決し、数日後には結果連絡ができるよう体制を整えておきましょう。
選考中に求職者の希望条件をしっかりと把握できていれば、お互いのミスマッチを避けられます。
特に、給与や働き方など、求職者が重視する条件は、誤解のないよう説明することが大切です。
求職者は、待遇面ばかり気にする人と思われないように、条件面の質問はしにくいものです。
選考中に、条件面について質問する機会を設けるのも内定後の辞退を避ける一つの手段です。
また内定辞退の申し出があった際は、可能であれば辞退理由を確認しましょう。
別のポジションを提案したり、入社の時期を調整したりするなど、辞退理由への対応で内定辞退を取り消してもらえるかもしれません。
内定後もきめ細やかなフォローを入社まで行うことで、内定辞退を防げる可能性が高まります。
入社までに何の連絡もないと、他の企業から内定が届いた時に心が離れてしまう可能性もあります。
特に新卒採用の場合、内定から内定式まで期間が空いてしまうので不安や働くイメージが薄れて内定辞退につながってしまうケースも。
内定者を集めた懇親会、定期的なフォロー面談や社内イベントなど、できるだけ内定者とコミュニケーションが取れる体制を整えておきましょう。
近頃はLINEや専用のプラットフォームを利用した、オンライン上でのやり取りが人気のようです。
面接官は企業の顔です。
面接官の言葉づかいや態度が、応募者に与える印象はとても大きく、企業のイメージを左右します。
企業理念がどんなにすばらしくても、面接のイメージがよくなければ、内定辞退率は下がりません。
面接官のマナー向上には、ロールプレイングや、マナーに関する研修を実施しましょう。
各部署の代表者が面接官を務める場合は、全社で共通の意識を持つことが大切です。
企業が発信する情報と、実際の働き方に大きなギャップがあると、入社を辞退してしまうきっかけになります。
求人情報に記載されている内容が、実際の仕事内容と合致しているかをあらためて確認しましょう。
たとえば、掲載している企業情報と実際に働いてみてギャップはあるか、どのような印象を抱くかなど、従業員にアンケートをとってみましょう。
また、社内イベントの様子や社員のインタビューなどをSNSで公開し、企業のリアルな姿を伝えることで、応募者の理解を深められます。
なるべく応募者と目線を合わせた情報を発信することが重要です。
応募者とのコミュニケーションを深め、入社を決断するための後押しとなる3つのイベントを紹介します。
どんなに入社の意欲が高い内定者でも、「うまく馴染めるだろうか」「ついていけるだろうか」などと、少なからず不安を抱いています。
懇親会では、内定者とのコミュニケーションを通して、不安や疑問を解消することが重要です。
また、内定者どうしの交流は、「このメンバーと一緒にがんばりたい!」といったように仲間意識を高め、内定辞退を防ぐことにつながります。
ただし、行き過ぎた干渉は、内定者のモチベーションを下げる要因にもなるため、入社を強く迫るような言動には気をつけましょう。
社内見学は、実際に働く場所や仕事内容を見てもらうことで、内定者に入社後のイメージを具体的に持ってもらえます。
休憩スペースや社員食堂など、自社がアピールできる点は、社内見学で積極的に内定者にアピールしましょう。
逆に、社員のデスクが散らかっているだけでも、内定者に悪印象を与えてしまい、内定辞退につながる恐れがあります。
前もって社内見学について周知し、従業員の意識を統一しておくことが大切です。
内定者は「本当にこの企業でよかったのだろうか」「もっと自分に合う企業が見つかるかもしれない」などと気持ちが揺れ動いて、内定ブルーに陥ることがあります。
面談では、このような内定者の不安や焦りを解消し、入社の意思を固める後押しをします。
面談は、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度の頻度で行い、入社の意欲を維持・向上できるようにしましょう。
来社にこだわらず、遠方に住んでいる内定者にも対応できるオンライン面談も検討してください。
ここからは内定辞退率を改善した企業の取り組み事例をご紹介します。
画像出典元:「cybozu Live」特設ページ
サイボウズではワークショップや懇親会、会社参観日の他に、採用担当者と内定者が直接やり取りできる内定者向けのグループウェアを採用しています。
SNSのような使い方が可能でどんな同期がいるか入社前にわかったり、社内イベントの様子を共有できたり、入社前の不安を取り除く取り組みが特徴です。
内定辞退者が0になった年度もある取り組みなので、事例のようにコミュニケーションツールを用いたフォロー方法の導入を検討してみてもいいでしょう。
株式会社エイチームは告白の成功率をヒントに、面談から3ヶ月以内に内定を出すスピード選考で内定辞退率を下げています。
最終選考に進む前に期限日までに進路を意思決定できるか確認し、可能な限り最終面談当日に内定を出しています。
以前までは内定辞退率50%を超える内定辞退の申し出がありましたが、2019年度は学生の内定辞退率を20%まで抑えることに成功しました。
この事例は「エントリー」からではなく、事業内容や就業条件を知った「面談」から3ヶ月以内に内定を出すところがポイントです。
求職者が入社を意識してからクロージングをかけるので、短期間で集中して選考に臨んでもらえる可能性が高まるでしょう。
内定辞退率を下げるためには、スピード感ある選考ときめ細やかなフォローが必要です。
今回の記事をまとめると以下の通りになります。
自社が欲しい人材の獲得に向けて、ご紹介した内定辞退率を改善する対処法や事例をうまく取り入れてみてくださいね。
画像出典元:写真AC、Pixtabay
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