労務の重要な役割の一つに年末調整があります。
年末調整は適切な手順と注意点を理解しておくことが大切です。
この記事では、労務が行う年末調整の業務を改めて理解し、それを効率化するシステム活用についても理解していきましょう。
このページの目次
年末調整の目的は「本来支払うべき所得税」と「源泉徴収した金額」とを合わせることです。
源泉徴収は見込みで税金を天引きしますので、最終的な金額と年末調整で合わせるのです。
なお、年末調整は「税金が還元される仕組み」と考えている人が多いかもしれませんが、税金を支払う場合もあります。
最終的な金額に天引き金額が達していなければ、年末調整でそれが徴収されるのです。
年末調整は雇用主の義務です。
そのため年末調整をしなければ、その雇用主には罰則が適用されます。
具体的には年末調整に関わる法律で定められており、年末調整をしないと「10年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金もしくはその両方」の罰則を受けてしまいます。
勤務先で年末調整に対応してもらえない場合は、管轄する税務署に相談をしましょう。
対象者であるにも関わらず年末調整をしてもらえていない場合は、税務署からその企業に指導が入ります。
担当者は全社的に年末調整の案内をします。
ただ、年末調整の内容は毎年変更がありますので、先に変更内容の確認が必要です。
税務署の公式サイトに案内が出ていますので、担当者であれば目を通しておきましょう。
また、変更があるとそれを踏まえて社内案内などを作成する必要があります。
毎年使いまわしている場合は、変更点を確認し修正するようにしましょう。
内容によっては専門家のアドバイスをもらったほうが良い可能性も考えられますので、はやく確認するに越したことはありません。
年末調整の配布は、紙に印刷して配布をする場合もあれば、データで配布をして各自印刷してもらう場合もあるでしょう。
なお、説明会などを実施するのであれば、このタイミングで日程の案内をしましょう。
特に年末調整を簡略化するために「年末調整システム」「マイナポータルとの連携」「国の年末調整支援ソフトウェア」などを導入する場合は説明会を開くようにしましょう。
これらは事前準備などが必要ですので、口頭で説明したほうが良い内容です。
特段説明会などを開催しない場合は、具体的にやるべきことが分かるマニュアルなどを作成するのが理想的です。
従業員の人数や労務の負荷状況を確認し、年末調整の期限日を設けましょう。
生命保険料小規模企業共済など控除に必要な書類を従業員が取り寄せなければならない場合があります。
そのため、あまりに短い期間は設定しないようにしましょう。
スケジュールを案内する際には、よくある質問とその回答を展開しておくと良いでしょう。
年末調整に関連する書類を展開すると、様々な質問が来るものです。
質問事項が早くに集まっている場合は「第一弾」「第二弾」などと段階的に展開する方法もあります。
なるべく早く展開しておくことで、同様の質問件数を減らせます。
質問も収まり従業員が対応できれば、回収を進めましょう。
まとめて対応すると時間がかかりますので、回収したものから内容チェックなどを進めます。
他の書類と混ざってしまうと、重要な書類を見落とす可能性があります。
専用の受け取り口などを用意して、郵便物として分けてもらうのが理想的です。
年末調整で回収した書類をもとに、労務で集計作業を行います。
様々な控除の適用などが判明し、所得税が変更になる人も多いでしょう。
場合によっては集計の過程で書類不足が判明することがあります。
そのような時は、なるべく早く従業員に連絡をしましょう。
1月30日までに年末調整に関連する書類の提出が必要です。
管轄の税務署に所得税と書類を提出し、自治体へ給与支払報告書を提出します。
なお、自治体への提出は従業員が住んでいる市町村へそれぞれ提出します。
居住地域が多ければ多いほど手間がかかりますので、年末調整だけではなく書類提出のことも考慮しておきましょう。
年末調整に関連する法律は毎年改正されます。
そのため、必ず法律がどのように改正されたかを確認しましょう。
確認する法律は多岐にわたりますので、専門家などのアドバイスを踏まえるのが一番です。
例えば2020年は、新型コロナウイルスの影響もあり多くの法律が改正されたり新設されたりしています。
例を挙げると以下のとおりです。
これらは一例ですが2020年は法律が大きく変化しています。
税務署のホームページなどで変更内容をよく確認しておきましょう。
年末調整は従業員一人ずつ行う必要があり、申告書を作成するためには時間と労力がかかります。
年末調整システムを導入すれば、事務作業の効率化につながり、人件費の削減も可能となります。
ここでは、厳選した年末調整システムを詳しく紹介します。導入する際に参考にしてみてください。
画像出典元:「オフィスステーション年末調整」公式HP
「オフィスステーション 年末調整」は、従業員全員の年末調整の状況を自動で数値化してくれる年末調整ツールです。
従業員は「変更あり・なし」で回答するだけで済み、変更がなければ余計な入力を行う必要がないため、簡単に申請ができます。
もし変更があった場合には差分データが自動表示されるため、人事担当者も効率的にチェックできるのも、嬉しいポイントです。
・申告の手続きが簡単
・催促メール一括送信
・変更の差分データの自動表示機能
・セキュリティ専門部隊が24時間365日監視
・専門家によるサポート
初期費用が110,000円(税込)、製品利用料が5,000名まで従業員1人あたり550円(税込)です。
従業員が5,000人を超える場合は、「さらにお得になる割引をご用意」と公式ホームページに記載*されていますので、お問い合わせをおすすめします。
(*2022年3月時点)
なお、 従業員数が20名以下の場合、年額利用料一律11,000円(税込)です。
画像出典元:「マネーフォワード クラウド年末調整」公式HP
マネーフォワード クラウド年末調整は、web上での書類配布、入力・回収・進捗確認・差戻、提出(e-Tax、eLTAX 連携による電子手続)に対応しており、従業員も労務担当者も煩雑になりがちで面倒な年末調整業務が、Web上でかんたんに行うことが可能です。
また既存の給与計算ソフトはそのままに、年末調整部分だけクラウド化(電子化)することもでき、大変便利なサービスです。
<年末調整機能の詳細>
・従業員情報登録
・年末調整計算の対象者を一元管理
・従業員情報の更新状況を一元管理
・年末調整計算の進捗状況を一元管理
・年末調整の精算月を選択可能
・給与等総額の自動集計
・各種控除額の自動計算
・年末調整の自動計算
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書出力
・給与所得者の保険料控除申告書出力
・源泉徴収簿出力
【スモールビジネス(小規模法人向け)】
年額プラン:2,980円/月
月額プラン:3,980円/月
【ビジネス(中規模法人向け)】
年額プラン:4,980円/月
月額プラン:5,980円/月
詳細は以下の資料をダウンロードしてご確認ください。
サービス
31人〜50人
勤怠データを取り込んで自動計算してくれる
勤怠データを取り込んで自動計算してくれるところが便利です。以前使っていた給与計算ツールでは手入力のうえに、取り込む時間もかかっていて、精密な自動計算もなく、チェックが大変でしたが、導入後はそのような手間がいらないので助かっています。
その他
31人〜50人
システムが重く価格も高いので要検討を
システムが重い。システムで出来ることは多いが、勤怠システムとのAPI連携やHRシステムとの従業員データ連携等が前提となっている部分もあり、少しハードルが高い。
画像出典元:「ジョブカン労務HR」公式HP
労務担当者300人の声を活かして作られた、ジョブカン労務HR。
年末調整はクリックするだけで必要な書類を自動作成でき、クラウド上でまとめて処理できます。
無料お試し期間中からサポートが充実しており、システム導入時の有料初期設定サポートもあります。
・手続きの自動化・効率化
・従業員情報一元管理
・セキュリティ
・初期費用:0円
・月額費用:400円/1名
500名を超える大規模企業で利用の場合や、詳細については以下の資料をダウンロードしてご確認ください。
サービス/外食/レジャー
51人〜100人
打刻漏れを防げる仕様になっている
勤務管理や経費管理をしてくれるので、「誰が何日出勤して何時間働いた」などが、とても見やすくわかりやすい。打刻方法が色々あったので、打刻漏れを防げる点が一番良かった。打刻漏れを教えてくれる機能も付いていた。経費精算もしてくれるので助かっていた。
派遣会社
51人〜100人
外国人従業員の手続きがスムーズではない
社会保険の加入などの手続きをオンラインで申請できますが、外国人の対応ができませんでした。自分で書類を持って年金事務所に加入手続きを申請しないといけなかったので、それはすごく不便だと思いました。
年末調整は労務が必ず対応しなければならない業務です。
毎年内容が変化しますので、常に最新知識を持って対応するようにしましょう。
なお、年末調整には従業員の協力が必須です。
スケジュールなど、従業員に無理をしいらないように考慮しましょう。
年末調整はシステムを活用すれば業務を効率化できますので、年末調整システムや労務管理システムの導入を検討しましょう。
画像出典元:Pixabey
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