たとえば飛び込み営業のような従来型のアウトバウンド型のマーケティング手法は、近年敬遠されつつあります。その代わりとして、顧客の立場に立ってサービスや商品の情報を提供するインバウンドセールスがマーケティング手法の中心になりつつあります。
そこでこの記事ではそれぞれの特徴について紹介したうえで、インバウンド型のセールスに移行すべき理由を説明していきたいと思います。
このページの目次
インバウンドということばを聞いて思い浮かべるものはなんでしょうか。ニュースなどでインバウンド需要が高まっているなどということをよく聞くと思いますが、この場合のインバウンドの意味は、日本に訪れる外国人のことを指しています。
このように観光業界では、日本に旅行で訪れる外国人のことをインバウンドと呼びます。では、この場合のアウトバウンドとはどう意味でしょうか。観光業界でアウトバウンドというときは、日本から海外に旅行に行く人のことを指します。海外旅行の人気が高まっているときは、アウトバウンド需要が高まっているということになります。
それではセールスにおけるインバウンド、アウトバウンドとはどう意味になるのでしょうか。一般企業でインバウンド・アウトバウンドということばを使う時は、次のような意味を指しています。
・インバウンド 顧客のほうから自発的に企業に接触してくること
・アウトバウンド 企業のほうから顧客に接触していくこと
それではインバウンド型のセールスとはどういったものを指すのでしょうか。
・顧客が企業へ来訪すること
・電話やメールなどをとおした顧客からの企業に対する問い合わせ
・顧客が企業の運営するウェブサイトに訪問すること
・顧客が企業の運営するSNSなどにコメントしたり、シェアしたりすること
インバウンドマーケティングとは、上記のように顧客自らが企業にアプローチしてくれるように誘導するマーケティング手法です。
たとえば、顧客が気になるような魅力的なコンテンツをウェブサイトなど公開したり、インスタ映えするような商品を販売したりすることは、インバウンドマーケティングといえます。
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では、アウトバウンド型のセールスとはなんでしょうか。同じく具体例を見てみましょう。
・企業が顧客開拓のために営業を行う
・企業がテレビCMやウェブサイトなどに広告を出す
・企業がチラシなどの広告を送る
・企業がポスターを貼る
飛び込み営業のようなスタイルは、アウトバウンド型のセールスの典型といってよいでしょう。
従来型のマーケティング手法は、このようなアウトバウンドマーケティングでした。しかし近年は、このような押しつけがましい手法に不快感を覚える人も多くなっています。
そのため、今後は顧客のほうから自発的に企業に接触を図るインバウンドマーケティングの重要性が増していくと考えられています。
アウトバウンド型のセールスとは、企業のほうから顧客へアプローチをする営業手法です。具体的には、飛び込み営業やテレホンアポインター(テレアポ)などのことを指します。
現在最も多く行われているアウトバウンドセールスはテレアポでしょう。テレアポには、自社のサービスや商品に関心を持つ人に、広くそして直接働きかけることができるメリットがあります。
しかし、突然相手に電話をかけて自社のサービスや商品を説明するテレアポのスタイルは、強引な印象を持たれて嫌がられるケースが多いのも確かです。
飛び込み営業は、なんの面識もない相手に対し突然訪問して営業をかける手法です。ただし、近年は面識のない相手への訪問は断られてしまうことも多いため、飛び込み営業を取り入れる企業は少なくなってきています。
アウトバウンドセールスには、顧客を選んで営業を行えるというメリットがあります。しかし、営業を行う側から顧客に対してアプローチを行うことになるため、相手がそのサービスや商品に興味を持っていないこともありえます。
そのため、アウトバウンドセールスでは話を聞いてもらうことが難しく、さらに成約まで進むケースはごくごく少数になります。どんなによいサービスや商品でも、顧客に理解してもらうためのハードルが高いため、営業担当の力量次第ではよい結果につながらないことも多いのが実情です。
従来のアウトバウンドセールスとは異なり、インバウンドセールスは顧客のほうから企業に接触を図ってくる機会を活かす営業手法です。インバウンドセールスには、セミナーや展示会などのイベントを開催したり、メールマガジンによる営業活動をしたり、テレビCMやWebサイトの広告などの手法があります。
こういったさまざまな手法を活用して、顧客のほうから企業や企業のサービス・商品に興味を持ってくれるようにするのです。顧客にとって有益となる情報を企業が発信することで、顧客がサービスや商品に興味を持ち、最終的にはそのサービスや商品を購入してもらうようにつなげていきます。
このようにインバウンドセールスは顧客の利益や立場に立って行う営業活動といえるでしょう。アウトバウンドセールスのように営業側の都合にあわせて行われるわけではないので、相手に好まれる営業手法だといえます。
インバウンドセールスには、顧客に好かれることで信頼を得られるというメリットがあります。顧客の立場に立って役に立つ情報を提供していくなかで、自社のサービスや商品を紹介することで成約へつなげることができるのです。
また、Webサイトやインターネットを活用することで効率的に集客ができることも、インバウンドセールスの特徴です。飛び込み営業やテレアポでは手間や時間のわりに商談に進めることは少ないですが、顧客から接触してくるインバウンドセールスでは、商談が成立しやすい条件がそろっています。
このようにさまざまなメリットがあることインバウンドセールスですが、ここからはもう少し詳しく具体的な活用事例を見ていきましょう。
テレアポで新規顧客を開拓することは非常に難しいといえます。一方的にサービスや商品の内容を説明したとしても、顧客のほうでその商品やサービスに興味がなければ商談に進むことはできません。むしろ、強引な印象を持たれて敬遠されてしまう可能性すらあります。
インサイドセールスの場合は、顧客が興味を持って調べたり探したりしているサービスや商品を売り込みます。たとえば、自社のWebサイトから資料のダウンロードが行われたサービスについて、相手のアクセス記録をもとに商談を進めていきます。
顧客のほうはそのサービスに興味があるので資料をダウンロードしたわけですから、その内容をもとにメールや電話をすることによって、相手の興味を引くことができます。
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また、SNSを活用したインバウンドセールスも有効です。YouTubeやTwitterなどで、商品の宣伝を行うのではなくユーザーが求める商品の利用方法などのアフターフォローの情報を積極的に流すことで、商品に興味を持ってもらうことができるのです。
アウトバウンドセールスのデメリットとして、営業担当の成績にばらつきがあることが上げられます。アウトバウンドセールスでは、自分から顧客に売り込んでいくため、売り上げは営業担当者の力量によって大きく異なってしまいます。
インバウンドセールスでは、すでに企業側に見込み客の情報があります。問い合わせや資料請求のあった顧客に対し、電話やメールでのアプローチをするわけですから、営業担当ごとの成績のばらつきを減らすことができます。
また顧客にアプローチするタイミングや頻度などを営業担当全員で共有することで、せっかく興味を持ってくれた見込み客を逃す恐れを減らすこともできます。
これまでは飛び込み営業やテレアポのようなアウトバウンド型のセールスが営業手法の中心でした。しかし、企業の側から顧客に営業をかけるやり方は、相手が興味を持ってくれないなど商談が成立する確率が低く、また強引な印象を受けて敬遠されがちになっています。
インバウンド型のセールスは、顧客のほうから興味を持って企業に近づいてきてくれます。Webサイトやインターネットを活用して、顧客が興味を持った情報を得ることで、顧客のニーズにあった営業を行うことができます。
インバウンド型のセールスは、新規顧客の開拓や営業担当間の成績のばらつきなどを解消できる可能性を秘めています。また、顧客の側に立って顧客のためになる情報を伝えるインバウンド型セールスは、顧客からの信用を得ることもできるため商談にもつながりやすいという利点があります。
見込み客の潜在的なニーズや課題を発見し、その解決を図るために顧客にとって有益な情報を提供したりアドバイスしたりするインバウンド型セールスは、これからの時代の営業手法の中心となっていくでしょう。
画像出典元:Burst
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