インバウンドマーケティングは、現代の消費者行動に則した新しいマーケティングスタイルです。
魅力的な情報を配信し、顧客を育て、既存のマーケティングと組み合わせることでよりよいマーケティングマネジメントとなります。
ここでは概要や手法、成功ポイントを解説するとともに、おすすめのMAツールを紹介していきます。
これまでのマーケティングとは異なる「見つけてもらう」マーケティングスタイルを取り入れてはいかがでしょうか。
このページの目次
インバウンドマーケティングとは、具体的にどのようなものでしょうか。アウトバウンドマーケティングとの違いと、インバウンドマーケティングの基本情報を詳しく見てみましょう。
インバウンドマーケティングとは、従来のアウトバウンドマーケティングとは異なり、消費者に自社企業や商品を「見つけてもらう」ことを重視するマーケティングスタイルです。
みなさん自身、欲しい物や欲しい情報があるとき、まずどうしますか?多くの人はGoogleやYahooなどの検索エンジンや、InstagramやTwitterといったソーシャルメディアで検索するでしょう。
それは、誰もがインターネットに接続できる端末を持っていて、気になったものを自分から意識的に調べることが出来るようになったからです。
消費者が、自分から意識的に調べ、選び、見つける時代ですので、企業や商品は「見つけてもらう」側となります。
インバウンドマーケティングは、この「見つけてもらう」こと中心にマーケティングを展開します。「まず調べる」現代ではとても重要で、取り入れるべき手法と言っていいでしょう。
不特定多数に向けて情報を流すマーケティングスタイルは、アウトバウンドマーケティングと呼ばれます。
TVCMや電車内の純広告、訪問販売などがそれにあたります。マスマーケティングとも呼ばれ、手法としてはこれが最も効果的だと思われていました。
しかし、アウトバウンドマーケティングを「押し売り」のように感じる人が増加し始めました。
例えば、テレビ視聴中のCM、ネットサーフィン中に突如表示される広告、インターホン越しのスーツ姿の営業に、「求めていない」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
このように消費者が苛立ちや不信感を覚えるようになり、アウトバウンドマーケティングは時に「interruptive(迷惑な) marketing」と表現されるようになったのです。
消費者の求めていることとマーケティングスタイルが合致していない状態では、大きな利益を生み出すことはできません。
情報過多の時代、消費者が情報を取捨選択できるため、マーケティングも変わらなければならないのです。
そもそもインバウンドマーケティングは、2005年にHUBSPOT社のCEOブライアン・ハリガン氏とCTOダーメッシュ・シャア氏が提唱しました。
日本に入ってきたのは2010年頃ですが、従来のマスマーケティングとは違った手法に日本は衝撃を受けました。以来、多くの企業がこれを学び、取り入れ、実践しています。
「inbound」とは「内側に向かう」という意味です。ここでは、ターゲットである消費者が自ら進んで企業のほうに向かってくる、という意味になります。
「outbound」は「外側に向かう」という意味で、企業が自ら外に向かって売り込みをしている、とイメージできますね。
HUBSPOT社の著書では、インバウンドマーケティングは「lovable」愛されるマーケティングスタイルであるとされています。
「interruptive(迷惑な)」スタイルであるアウトバウンドマーケティングとは真逆だと言えるでしょう。
インバウンドマーケティングは、具体的にどのような手法で進めていくのでしょうか。具体的な戦略と、顧客への転換プロセスを見ていきましょう。
インバウンドマーケティングでは、ターゲットである消費者にとって魅力的で有益な情報を提供することで見つけてもらいやすくします。
つまり、自社のホームページを充実させ、有益なコンテンツを展開し、ソーシャルメディアで情報を拡散し、検索した時に「見つけてもらう」数々の工夫を凝らすのです。
ウェブコンテンツの充実、SEO対策、ソーシャルメディアでの拡散、ホワイトペーパーの提供、動画・ブログ記事の配信など、多角的に展開することでその効果が期待できます。
各戦略を簡単にまとめると以下のようになります。
方法 | 具体的な内容 |
ウェブコンテンツ |
|
SEO対策 = Search Engine Optimazation (検索エンジン最適化)対策 |
|
ソーシャルメディア |
|
ホワイトペーパー |
|
動画・ブログ記事 |
|
このような施策を通じて、消費者を惹きつけ、まずは「見つけてもらう」ことが先決です。
ウェブページなどに訪問してくれた人(潜在顧客)を顧客に転換するプロセスを確認しておきましょう。
ウェブページなどに訪問し、興味を持ってくれた人の中で、個人情報を提供してくれた人(見込客)には欲しい物や欲しい情報を渡すことで繋がりを構築します。氏名・メールアドレスを提供することで可能となる「会員登録」や、住所が必要となる「試供品の送付」などがそれにあたります。
見込客には、購買意欲を高めるような情報をタイムリーに提供し、買ってくれる人(顧客)に転換します。例えば、会員登録した先のマイページで、登録情報に基づいたお知らせの提要や、試供品を使用して効果を実感している頃合いにアンケートやお得情報などを送ることが企業側に求められるでしょう。
しかし、膨大な数の見込客に一人一人に対して手作業でタイミング確認と情報送付などを進めていては、業績アップは見込めません。顧客に転換するプロセスを自動化するマーケティングオートメーションツール(MAツール)を活用し、時間・コスト削減と業績アップを目指す企業が増えているのはこのためです。
さて、顧客を満足させ続けることができれば、その顧客は口コミで周囲に情報を拡散してくれる人(推薦者)へと変わっていくでしょう。
潜在顧客→見込客→顧客→推薦者へと転換させていくのもインバウンドマーケティングの手法の内です。
「見つけてもらう」だけでなく、いかに魅了し、企業や商品のファンを育成していくかが大きなポイントなのです。
インバウンドマーケティングを成功させるためには、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
なぜコンテンツを作成し続けなくてはならないのか、こんなことをしても結局素通りされてしまうのではないだろうか、と思った人もいるでしょう。
もちろん、素通りされてしまうこともあるでしょう。しかし、積み重ねることで意味が生まれる可能性はマーケティング戦略として無視できません。
昨日アップロードしたコンテンツが爆発的に拡散されたとします。この時、興味本意の訪問者の中で、そのコンテンツだけでなく、関連したコンテンツなどを過去に遡って閲覧し始める人は、意外と多いのです。
そこからファンが生まれる可能性は否定できません。配信されたコンテンツは、削除されるまで機能し続けるのです。蓄積されたコンテンツは企業の資産と言っていいでしょう。
コンテンツマーケティングやデジタルマーケティングは、インバウンドマーケティングに包括されるマーケティング手法です。
インバウンドマーケティングを実践する際には間違いなくそのノウハウやスキルが活かされるでしょう。しかし、真逆のアウトバウンドマーケティングついてはどうでしょう。
一切合切を捨てますか?いえ、その必要はありません。
アウトバウンドマーケティングのみでは、新しい市場を開拓するのが難しいのは事実です。しかし、「あ、あそこのメーカー、新商品を出したのか」と世間一般の認知を高めるためには、アウトバウンドマーケティングが最も適していると言えるでしょう。
よりよいインバウンドマーケティングにするために、これまでのノウハウを活かしてアウトバウンドマーケティングと組み合わていくことが重要です。
インバウンドマーケティングで展開する戦略には、ウェブコンテンツの充実、SEO対策、ソーシャルメディアでの拡散、ホワイトペーパーの提供、動画・ブログ記事の配信などがあります。
一つ一つを検討して自力で推し進めていくには膨大な時間と労力がかかるでしょう。外注(アウトソーシング)やツール利用でのオートメーション化ができるのであれば、利用しない手はありません。
購買行動の自動解析やマーケティング状況の分析など、様々なツールが登場しています。効率的なマーケティングマネジメントのために、金額や期間などを考慮して、検討してみるのはいかがでしょうか。
インバウンドマーケティングに特化したツールにはどのようなものがあるでしょうか。数ある中からおすすめのツールを紹介していきます。
画像出典元:「Pardot」公式HP
初期費用 | Growth | Plus | Advanced | 無料お試し |
0円 | 150,000円/月 | 300,000円/月 | 480,000円/月 | × |
マーケティングチームと営業チームの効果的な連携を実現できるSalesforce Engage for Pardotを利用する場合は、月6,000円/1ユーザーが必要です。
利用方法などのドキュメントやナレッジが多くあるため、割とすんなりと利用できました。たまにレスポンスが悪いことがあります。(IT関連:従業員500人以上)
大量のデータを管理できる点は便利です。貴重な顧客データを個人スタッフが管理するリスクから解放されます。ただ、ルールが多いので、使いこなすまでに時間がかかります。
詳細はこちらの資料をご覧ください。
画像出典元:「b→dash」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
要問合せ | 300,000円 | × |
初期費用なしで月額5万円から利用できるb→dash Liteもあります。
長年蓄積した膨大なデータを活用すべく、 データマーケティングツールb→dashを導入した。今までできなかったOne to Oneマーケティングをスポーツ領域で実現できました。(球団)
非常に使いやすいです。ただ最初の設定に時間がかかります。(広告関連)
こちらの資料から詳細をご覧いただけます。
画像出典元:「MAJIN」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
100,000円 | 100,000円 | 30日 |
オンラインサポートは無料です。
導入時のサポートや導入後のコンサルティングには費用が発生します。
(スタートダッシュサポート:200,000円 コンサルティング:月1,000,000円)
稼働開始までの設定項目が少なく使いやすかったです。他のサービスとの連携ができないところが不満です。(製造業:従業員500人以上)
cookie状態の匿名顧客から、実名化した見込顧客までコミュニケーションでき、役立っています。ただ、ランディングページを作れないのが不便。キャンペーンなどでページを作りたい時もあるので、そこは改善してほしい。(製造業:従業員500人以上)
画像出典元:「List Finder」公式HP
初期費用 | ライト | スタンダード | プレミアム | 無料お試し |
100,000円 | 39,800円~/月 | 59,800円~/月 | 79,800円~/月 | 20日 |
PV数・顧客データ数に応じて、課金される従量課金制ですが、基本プランでも50,000PV・顧客数5,000件まで管理できるので、ほとんどの企業が39,800円で運用できています。
サポート費用は無料です。
メール配信業務を効率化したかった。また、Webサイトのリニューアルの時期が重なったので、アクセス分析が簡単に行えるList Finderを選びました。(経営コンサルティング:従業員約30人)
「使いやすさ」と「コスパ」が 乗り換えの決め手です。(システム開発:従業員約600人)
画像出典元:「Liny」公式HP
初期費用 | スタート | ベーシック | プレミアム | 無料お試し |
49,800円 | 5,000円/月 | 39,800円/月 | 69,800円/月 | 3ヵ月 |
1年間の最低契約期間があります。
顧客にあわせたオリジナルの画面を作成が簡単にできる。他ツールと比較してLinyに決めた理由は使いやすさ。(ブライダルプロデュース)
スタッフ1人でも設計・運用可能です。直感的に操作できるので、急に配信が必要になった時でも2時間でコンテンツを作成できました。(県庁担当者)
起業ログおすすめ5選の機能をまとめるとこのようになります。
Pardotやb→dashがフル機能装備なのに対し、MAJIN・List Finder・Linyは機能に制限があることがわかります。
自社に必要な機能を明確にした上で、ツールを選びましょう。
日本の企業の多くは、マーケティング部門を持っていません。
それゆえ、マーケティングは後回しになってしまいがちですが、マーケティング先進国と張り合うためには、新しいスタイルを取り入れ、積極的に行動していく必要があります。
既存のスタイルに加えてインバウンドマーケティングを取り入れることで、新たなステップを踏み出してみてはいかがでしょうか。
もっと詳しくMAツールについて知りたい方は下記記事を参考にしてください。
画像出典元:Pixabay
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