【黒字倒産をわかりやすく解説】倒産する要因と回避方法は?

【黒字倒産をわかりやすく解説】倒産する要因と回避方法は?

記事更新日: 2019/09/17

執筆: 浜田みか

倒産は、赤字企業がするもの。そんなイメージが強いため、黒字倒産がどのようなものなのか、想像しづらいかもしれません。

黒字という言葉が付くとおり、収益があるにもかかわらず倒産してしまうことを指しています。通常、収益があれば倒産しないと思いがちですが、帳簿上収益が発生していても現金がないと会社は倒産してしまうのです。

なぜ現金がないと倒産に至ってしまうのか? それは黒字倒産が起きる流れがわかれば、きっと納得できるでしょう。

ここでは、黒字倒産とはどんなものなのか。用語の解説から黒字倒産が起きる流れと要因、そして黒字倒産の回避方法をわかりやすく解説しています。

これから法人化される起業家や、独立を考えている会社員の方は、ぜひ参考にしてください。

黒字倒産とは

黒字倒産とは

黒字倒産とは、収入が支出より大きい状況で倒産することをいいます。

一方、赤字倒産は収入より支出が大きい状況で倒産することをいいます。

ここで一度、基本に立ち返り、そもそも倒産とは何かについて説明しておきましょう。

倒産とは、株式会社東京商工リサーチが使い始めた言葉が広まったもので、厳密には法律用語ではありません。

株式会社東京商工リサーチでは、倒産を次のように定義しています。

「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。

これを踏まえると、黒字倒産とは、利益があるにもかかわらず、支払い不能に陥るほどキャッシュを失っており、経済活動が行えない状態なのです。

黒字倒産が起こる流れ

黒字倒産に陥る流れをまとめると、次のようになります。


キャッシュ70万円を持つ会社が、A社から100万円分の商品を仕入れ、B社へ150万円で売った場合、通常であれば最終的にキャッシュ70万円が残ります。

しかし、キャッシュ70万円しかない状態で、B社からの入金より先にA社への支払いが発生すると、支払額100万円に対してキャッシュが足りないため、支払うことができません。

B社からの入金のあとにA社への支払い日程を変更できるのであれば、B社からの売上金と合計して170万円のキャッシュになりますから、支払いに応じることができます。

ですが、A社への支払日が変更できない場合は、支払いに充てられるキャッシュがないため、支払い不能に陥って倒産することになります。

黒字倒産と赤字倒産の割合

黒字倒産は、意外にも赤字倒産と同じくらいあります。

株式会社東京商工リサーチが実施した2018年度の「倒産企業の財務データ分析」調査によると、倒産した企業のうち赤字倒産した企業は52.2%、黒字倒産した企業は47.7%でした。

対象企業には、個人企業も含まれています。

黒字倒産した企業の一例

不動産会社「株式会社アーバン・コーポレイション」の場合

株式会社アーバン・コーポレイションは、2008年8月に黒字倒産した不動産会社です。

1963年(昭和38年)6月に資本金およそ265.7億円で創業しました。

しかし、倒産時の負債総額は2558.3億円にまで達していました。

黒字倒産した企業のなかでは、売上高・経常利益ともに順当に伸ばしていた企業だったこともあり、倒産した当時はニュースでも大きく取り上げられたほどです。

そんな株式会社アーバン・コーポレイションは、2002年(平成14年)に東証1部上場。

2008年(平成20年)3月期には順調に利益を上げていましたが、2007年(平成19年)の不動産の金融市場が急速に悪化するなど変調が起こり、2008年にはさらに低迷。

それによって金融機関の融資条件が厳しくなり、さらには不動産関連の投資ファンド市場が収縮して増資が受けられないという状況に陥ったのです。

また、自社が持つ物件を売却するなどして債務返済のための原資を確保しようと事業転換を図ったものの、売却が上手く進まず、原資を集めることが困難になりました。

他方では、金融機関に担保していた自社株式が想像以上の下落となり、ここでも損失が発生したのです。

その結果、資金繰りの悪化を止められず、倒産に至りました。

2008年3月期の年商は1324.7億円を超え、単体ベースでの経常利益ですら555.5億円を超えていた同社。

この年の8月に支払予定があり、その額はおよそ100億円。利益だけを見れば、支払い可能に見えます。

しかし、支払いに回せる資金100億円を用意するために資金集めに奔走するも、市場の悪化によって上手くいかず、八方塞がりになってしまった末の倒産劇でした。

同社は2008年8月13日に東京地裁に対して、民事再生手続き開始の申し立てを行っています。

化学薬品商社「江守グループホールディングス」の場合

化学薬品商社「江守グループホールディングス」が2015年(平成27年)4月に倒産しました。

同社は、1906年(明治39年)に江守薬店という名で創業し、それから徐々に工業薬品や化学薬品などで業容拡大を続け、2006年(平成18年)に東証1部上場を果たした企業です。

好調に業績を伸ばしていたものの、一方で中国市場に依存する経営状態になっていたことが、結果的に倒産の引き金になっています。

先に紹介した株式会社アーバン・コーポレイションは、国内での事業展開を主にしていました。

ですが、それでも市場悪化の影響を受けて、資金繰りが困難な状況に陥っています。

対して、江守グループホールディングスは、海外市場への過大な依存と同社の放漫経営が原因で倒産に至っているのです。

もともとは国内だけで事業展開を図っていた江守グループホールディングス。

1994年(平成6年)11月に事業拡大を狙い上海に事務所を設立し、2年後には現地法人をつくりました。

そこを拠点にして海外展開を行うという、まさに順風満帆な状態でした。

それを表すように、2011年(平成23年)3月期の連結売上高およそ949.3億円が2014年(平成26年)の3月期には2倍以上の売り上げ(連結売上高2089.3億円と)を誇るようになっています。

連結当期純利益も、2014年には33.2億円を計上しており、4年連続で過去最高値を更新していました。

順調な事業成長の背景には、中国経済市場の急成長あったからです。

ところが、中国経済の成長が減速。

その影響からか、中国の大口取引先から代金回収が滞り、さらには中国に設立していた子会社の不正取引が明らかとなったことで、信用リスクが増加します。

貸倒の462億円が特別損失に、純損失は439.7億円を超えました。

その結果、2014年12月末には234億円を超える債務超過に陥ったのです。

手元資金は139億円をわずかに超える程度。

この時点でキャッシュフローが破綻していることがわかります。

自力再建を図るも信用を棄損しているため、中国市場は完全撤退して国内事業だけに絞るも、上手く資金が回らずに倒産へと至っています。

黒字倒産が起こる要因

1.現金化できる資金の枯渇

上記で紹介した大手企業ですら、支払いに充てられる手元資金がないために支払いができず、倒産に追い込まれています。

つまり、現金化できる資金の有無が黒字倒産リスクに直結すると考えて差し支えないでしょう。

2.どんぶり勘定による管理と運用

事業運営するうえで、資金の流れを把握するのは当然だと誰もが思っています。

しかし、何らかの理由で経理や財務が正常に管理されておらず、どんぶり勘定になっていることもあります。

株式会社のように経営状態を公開する組織であっても、支払い不能に陥ることがあるのですから、ずさんな管理・非計画な運用は黒字倒産のリスクを引き上げる要因になりうることは容易に想像できます。

3.資金繰りの悪化

上記事例で紹介した2社は、どちらも最終的には資金繰りが悪化して倒産に至っています。

背景には経済市場など外的環境の影響がありますが、一番の原因は資金繰りが困難に陥る状況を作ってしまったことにあります。

外的環境の影響は変調の兆候をつかんだり、予測を立てて対策を立てたりしておくことで、対処可能だったはずです。

資金繰り悪化の直接的な原因を排除しなければ、負の連鎖が始まってしまいます。

直接的な原因として挙げられるのは、売掛金と買掛金のサイクルがチグハグになり、入金日よりも支払日が先にきてしまうこと。

それから、手元資金の残高が目減りしているのに対処するタイミングが遅いことなどが考えられるでしょう。

黒字倒産を回避する方法とは

キャッシュフロー計算書をチェックする

企業は必ず帳簿をつけていますから、まずはキャッシュフロー計算書で現金の流れの把握を徹底することです。

キャッシュフロー計算書を見れば、現時点での手元資産がどういう状況にあるのかがわかるからです。

会社によってはキャッシュフロー計算書の代わりに「資金繰り表」を使っていることもあります。

これも、キャッシュフロー計算書と同様に現金の流れを管理するための帳簿ですから、どちらを参照してもかまいません。

常日頃から、手元資産がどれくらい残っているのかを把握し、その変化に注視しておくことで倒産を回避することが可能です。

キャッシュフロー計算書の見方は、こちらの記事を参考にしてください。

 

自由資本比率をチェックする

キャッシュフロー計算書では、現金の流れを把握できても自由に使える手元資産が、自己資本のなかでどれくらいの割合で残っているのかを把握するのかは、見ることができません。

手元資金が豊富でも、それが自由に使える資金でなければ、万が一のときに補填に回すことができないからです。

よって、キャッシュフロー計算書をチェックしつつ、自由資本比率も併せて確認しておくのがベストでしょう。

自由資本比率(%)=(営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)÷自己資本増加額×100

自由資本比率を見れば、資金繰りが良好に行われているのかどうかが把握しやすくなります。

資金繰りが悪いと、算出した数値が低くなります。

正常に資金繰りができている会社は、40%以上を超えています。

つまり、40%を割るような状況に陥っていれば、自由になる手元資金がわずかだといえるわけです。

資金繰りが良好な会社は、自由資本比率が70%を超えています。

少なくとも40%以上を維持し、70%を超えるように努力することが黒字倒産の回避に欠かせないといえます。

自己資本比率と当座比率をチェックする

自由資本比率と併せてチェックしておくと良いのが、自己資本比率と当座比率です。

自己資本比率は、自社が持つ返済不要の資本を表す割合ですから、この値が高いほど、自己資本だけで運営できている企業といえます。

また、当座比率は、短期負債に対して即座に現金化できる資産がどれくらい保持できているのか、それを割合で表したものになります。

つまり、入金が待てない状況で支払いをしなければならなくなったときに、その支払いに充てられる資金が多いほど、黒字倒産に至るリスクを低減できるのです。

自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100

自己資本比率は、中小企業で15%が平均値です。

優良企業では40%を超えます。

よって、15%を維持しつつ、40%以上を目指すのが黒字倒産回避に繋がるといえます。

当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100

当座比率は、健全な状態が130~240%です。

数値が高いほどに、短期的負債への支払い能力が高いことを示しています。

少なくとも130%を割り込まないように維持していくことが大切です。

まとめ

黒字倒産は、損益計算書上で利益が出ているにもかかわらず、支払いに回せる手元資金の不足によって会社が支払い不能に陥り、倒産することをいいます。

黒字倒産が起こる要因の最たるものが、「現金化できる資金の枯渇」です。

そこに資金繰りの悪化を招くような外的要因が絡むと、あっという間に倒産に至ってしまいます。

それを回避するには、キャッシュフローの徹底管理と計画的な運用、併せて自由に使える資本を持っておくことです。

日ごろから、自由資本比率・自己資本比率・当座比率を確認しておくようにしましょう。

そうすれば、自社の財務状態が万が一悪化の兆候を見せても、早急に手を打つことが可能になるはずです。

画像出典元:Unsplash,Pexels、O-DAN

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