会計報告書とは?書き方や文例、おすすめのテンプレートも紹介!

会計報告書とは?書き方や文例、おすすめのテンプレートも紹介!

記事更新日: 2023/03/06

執筆: TAK

「数字が苦手なのに、所属している団体の会計担当になってしまった」

「会計報告書を作成するのに何からすればいいかわからない」

と悩んでいませんか?

今回はそのような方に向けて、会計報告の意味や必要性、記載する項目といった基本から、実際の報告書を作成する方法やおすすめのテンプレートまでをわかりやすく解説しています。

会計報告とは?

会計報告は「活動内容の収支報告」

そもそも会計報告とは何かについて見ていきましょう。

会計報告とは、特定の目的を持って活動している団体の活動内容に関する収支報告を意味します。

わかりやすく言ってしまえば、ある活動をした時にどのくらいのお金がかかったか等を報告することです。

会計報告が必要となる場面は後ほど紹介しますが、例えば飲み会をイメージするとわかりやすいでしょう。

特定の仲間と作った飲み会において、いつメンバーが集まり、どのお店でいくらの飲み代がかかったかを、会計担当が定期的に報告するようなものが会計報告のイメージとなります。

会計報告は「活動を可視化」するために必要

では、会計報告はなぜ必要になるのでしょうか?

会計報告は法人のように、何かしらの法律で定められているわけではありません。

それでも会計報告を行うのは、杜撰な管理を防ぎ、活動内容に適した活動が行われているかを収支と紐づけて把握するためです。

もし会計報告そのものがなかったらどうなるかを考えてみてください。

先ほどの飲み会を例にあげるならば、メンバー5人が1万円ずつ出して合計5万円で作った「仕事に使える情報交換を目的」とした仲間内のグループがあるとします。

適切な会計報告がされていれば、いつメンバーが集まり、どのような情報を交換し、飲み会にいくら支出して、残額がいくらかを適切に把握することが出来ますよね。

反対に、会計報告が適切になされていなければ、情報交換という目的を果たさない活動外の支出にお金が使われていても、誰も気付かず資金管理が杜撰になってしまうことでしょう。

会計報告の内容と必要性について、まずはしっかりと理解してみてください。

会計報告書はどんな場面で使う?

実際にどのような場面で会計報告書が使われるのか紹介していきます。

町内会や自治会

まず最初にあげられるのが、町内会や自治会といった場面です。

町内会や自治会は、ある範囲の地域に住む住人たちの協力によって成り立っている任意団体です。その地域に住む住人たちがより快適に、不自由を感じることなく生活出来ることを目的に作られています。

そして、主に町の清掃活動や防災訓練、お祭りのようなイベント運営といった活動をしていることが多いかと思います。

町内会や自治会によって活動内容は異なるものの、参加している住人たちの会費や寄付金・交付金を元手に活動をしている以上、活動内容にかかった支出も含めた会計報告が必要となります。

学校のPTA

次に会計報告が必要となる場面としては、学校のPTAがあげられます。

ご存知の方も多いでしょうが、PTAとは子どもの健全な成長を目的とした、保護者と教師を中心として成り立つグループのことです。

PTAも町内会や自治会と同じく、所属している場所によって活動内容は異なるでしょうが、主に運動会や文化祭といった学校行事や、パトロール活動、校内広報といった活動を行っていることが一般的です。

PTAにおいても、所属している保護者(家庭)からの会費をもとにして、様々な活動をしているため、活動にかかった収支の報告をする必要があります。

以上のように、町内会や自治会、学校のPTAは一例ではありますが、特定の目的を持って活動をしている団体であれば、会計報告は必要になると考えて問題ないと言えます。

なぜならば、会計報告を実施することによって、活動内容に沿った収支管理の把握や、継続的で適切な活動を推進していくことが可能になるからです。

部活

部活やサークル活動においても、所属している団体の活動を維持するために、収入と支出の内容を把握する必要があることから、会計報告を求められるケースがあります。

同じような年齢の人の集まりであっても、活動を過去のメンバーから引き継ぎ、次の代に伝えていくため、会計年度をしっかり区切って会計報告をまとめるようにしましょう。

会計報告書に記載する項目は?

会計報告書の記載事項リスト

実際に、会計報告書にどのような項目を記載していけばいいかについて解説していきます。

前提として、会計報告書に記載すべき項目は決まっていないので、所属している団体やグループの方針を理解・尊重していくことが大切になります。

その上で、会計報告の目的を果たすために記載しておいた方が良い最低限の項目をここでは取り上げていきます。

結論から言うと、最低限書いておくべき項目は以下の表の通りです。

上記は「一般会計」と言われる内容で必要となる項目です。

活動団体によっては、これ以外にも積立金に代表されるような「特別会計」を記載しているケースも見受けられますが、活動内容によって特別会計の意味も異なるため、ここでは割愛しています。

実際に会計報告書でどのように記載するかはこの後紹介しているので、そちらを参考にしてください。

会計報告書の書き方

会計報告書の全体イメージ

では実際に、会計報告書の書き方を見ていきたいと思います。

会計報告書に決まった型はありませんが、ここでは上記で紹介した記載項目を反映した会計報告書を作っていきます。

最終的に作りたい会計報告書が以下のようなイメージとなります。


これに、先ほどの記載項目Noと紐づけた報告書が下記となりますので、これを見ながら各項目の説明をしていくことにします。


 

【記載事項①】年度(会計報告期間)

まず最初に明記すべきは会計報告の対象となる年度です。

いつからいつまでの期間に関する報告なのかを明記するようにしましょう。

【記載事項②③】収入の部と支出の部

具体的な内容を記載していく前に、まずはその活動内容が「収入」なのか「支出」なのかがわかるように分類しましょう。

これによって、活動団体の大まかな収入内容と支出内容を把握することが可能となります。

【記載事項④⑤】収入内訳と支出内訳

各活動内容の具体的な内容を、収入と支出にわけて記載していきましょう。

一例ですが、収入の内訳としては、会費や寄付金などが該当し、支出の内訳としては、運営費や会議費などが該当することが多いでしょう。

【記載事項⑥⑦⑧】予算実績と差異の把握

④⑤で記載した各活動に関する金額を記載する場所となります。

⑥の予算欄では、④⑤の活動に予めかかると見積もった計画ベースの金額を記載するのに対して、⑦の実績欄では、④⑤の活動に実際にかかった実績ベースの金額を記載します。

そして、予算と実績の間にどれくらいのズレがあったのかを⑧差異金額欄で把握します。

当該金額が異常に大きかったり小さかった場合には、その原因を分析することをオススメします。

【記載事項⑨】摘要欄

ここでは、④⑤で記載した各活動に関するメモ書きに利用するイメージです。

必ず記載する必要はありませんが、例えば例年発生しない項目があった場合にその理由を記載したり、⑧の差異金額が異常に高いまたは低いような場合には、その理由を記載するのに使うことが出来ます。

【記載事項⑩】残高金額(繰越金額)

ここまでに記載したすべての活動をした結果、どのくらいの資金が残っているかを把握するための場所です。ここでの金額が翌年度に繰り越され、翌年度の活動原資となるため、しっかりと報告時点での状態を把握しておくことが重要となります。

【記載事項⑪】署名欄

会計報告書を作ったのは誰か、会計報告書をチェックしたのは誰かを把握するための記載項目となります。万が一、活動内容や報告内容に問題があったことが事後的にわかった場合、担当者に事情を聞くことも可能となるので、署名欄は日付とともにしっかりと記入しましょう。

以上が会計報告書の書き方となるので、自分で作成の仕方がわからず悩んでいる方は是非参考にしてみてください。

会計報告の仕方(簡易版)

会計報告書の「構成」ベースで報告すればOK

ここで、「どのように会計報告をしていけばわからない」という方のために、簡単な報告方法を紹介しておきます。

基本的に参加者に対しては会計報告書が配布されているかと思いますので、人前で話すのが苦手という方でも、これまでに解説してきた記載項目ごとに読み上げていけば問題ありません。

報告場所や活動団体のルールにもよりますが、基本的にすべて事細かに読み上げる必要はないので、ポイントを抑えて報告することを意識してみてください。

以下に一例をあげておきます。

*****【報告方法の例】*****

それでは、○○年度○○(活動団体名)の会計報告を始めさせて頂きます。

今回ご報告する会計報告の対象期間は「○年○月から○年○月」までとなっております。

本報告書では「収入の部」と「支出の部」にわけ、各活動内容にかかった金額を予算と実績ごとに記載しております。その結果、例年と比べて金額が著しく増減している項目につきましては、概要欄にてメモ書きしております。

実際に各活動について報告致します。

(例年通りの活動内容である場合)

○○(内訳名称)につきましては、例年通り○○(目的)のために発生した活動であり、その結果○○(金額)生じております。これは予算と比べても例年通りの金額であり、特に問題ありません。

(例年通りと比べて特別な事由がある場合)

○○(内訳名称)につきましては、本年に限って○○(目的)のために発生した活動となっています。この活動によって、○○(メリット)といった効果が期待出来るかと思います。また、○○(問題点)という問題があるため、今後は改善していく方向でおります。

以上の結果、本年の資金残高は○○(金額)となり、翌年度に繰越予定となっております。

会計報告の作成は○○(自分)が担当し、監査は○○さんに担当して頂きました。

以上で本年度の会計報告を終了致します。

(必要に応じて質疑応答など)

*****【以上】*****

 

会計報告書のおすすめテンプレート

無料でダウンロード出来るテンプレート

最後に、これから会計報告書を作らなければならないという方向けに、オススメのテンプレートを紹介しておきたいと思います。

自分でExcelを使って作成出来る方は、上記の内容を参考にして作成して頂いても構いません。自分で作るのが苦手という方であれば、Microsoftが提供している無料テンプレートを利用してみてください。

これは町内会・自治会を想定したテンプレートとなっていますが、記載項目を変更して金額を入力するだけで、簡単に会計報告書が作成出来ます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は「会計報告書」について、基本から作成の仕方まで幅広く解説してきました。

法人でなくても、自治会やPTA、部活など、様々な場面で必要とされる会計報告書ですが、基本をおさえればどんな組織でも簡単に作成できます。

会計や数字が苦手という方でも、ポイントさえ抑えれば難しくないので、一つずつ理解して会計報告が出来るようにしてみてください。

画像出典元:Shutterstock

この記事を書いた人

TAK

フリーコンサルタント・公認会計士。公認会計士試験に合格後、大手監査法人のアドバイザリー部に就職し、IFRSやUSGAAP、連結納税、銀行監査などに携わる。その後、中国事業の代表として外資系コンサル会社に転職し、中小日系企業の中国新規進出や現地企業のM&Aサポート、コンプライアンス業務などを担当。帰国後は独立し、フリーのコンサルタントとして生活しつつ、ブログVectoriumを運営。

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