商品やサービスを提供する企業では、問い合わせ窓口を設置しているものの対応が追いついていないケースが多くあります。
しかし、問い合わせ対応は顧客の満足度を高め、企業の信頼度を向上させる上で欠かせません。
本記事では、問い合わせ対応の種類、重要な理由、よくある課題や解決のコツについて解説します。
問い合わせ業務を自動化できるツールについても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
このページの目次
問い合わせ対応とは、電話やメールなどで寄せられる問い合わせに個別で対応し、解決に導く業務のことです。
問い合わせの種類には「社外から」と「社内から」があり、問い合わせ元によって、対応する部署と業務内容が異なります。
まずはその違いを整理していきましょう。
社外からの問い合わせとは、顧客や取引先などから寄せられる問い合わせを指します。
具体的には、下記のような内容です。
対応する部署は、カスタマーサポート、営業部門、コールセンターなどです。
迅速・丁寧な対応はもちろん、商品やサービスに関する正しい知識も求められます。
問い合わせの中には、「商品が届かない」「不良品を返品したい」といった苦情やクレームが寄せられるケースもあります。
社内からの問い合わせとは、社内の様々な部署の従業員から寄せられる問い合わせを指します。
具体的には、下記のような内容です。
これらの問い合わせには、情報システム部、人事部、総務部などが対応します。
業務が停滞しないように、問い合わせに対してスピード感を持って解決へ導くことが重要です。
問い合わせ対応がなぜ重要なのか、4つのポイントから解説します。
顧客は自身の問い合わせに対して、迅速で丁寧な対応を期待しており、そのニーズに答えることが満足度に直結します。
顧客満足度が向上すれば、リピーターやポジティブな口コミが増え、新規顧客の獲得にもつながります。
一方で、対応に時間がかかる、顧客の期待する成果が得られないといった場合はクレームに発展する恐れもあります。
問い合わせ対応を重視することは、商品やサービス品質の向上につながります。
顧客からのフィードバックは、改善点や潜在的な課題を見つける貴重な機会です。
その意見を分析し、既存商品の改善・新商品の開発に活用することで、さらに高品質なサービスを提供できるようになるでしょう。
問い合わせ対応に注力することで、競合他社との差別化を図ることができます。
商品力や価格設定が競合他社と同等の場合、アフターサービスなどの充実度が契約の決め手になるケースが多いからです。
例えば、24時間のカスタマーサポートで、顧客の不満や疑問をいつでも解消できる環境を構築する方法があります。
問い合わせ対応を丁寧に行うことで、顧客満足度や商品・サービスの品質が上がっていきます。
それらが新規顧客の獲得や既存顧客の維持につながり、最終的に売上のアップが実現できるのです。
問い合わせ対応は、すぐに結果に結びつく訳ではありませんが、中長期的な視点を持って、丁寧に取り組む価値があります。
社外からの問い合わせを受ける部署では、多くの課題が発生しています。
ここでは、問い合わせ対応の主な課題について4つ解説します。
オペレーターの対応が追いつかず、電話がつながらない状況が慢性的に続くと、顧客は企業に対して不安感や不信感を抱きやすくなります。
オペレーターの負担が大きいため、業務効率や対応精度の低下、さらには離職につながってしまう可能性もあります。
問い合わせ内容によっては、部署を跨いだ確認が必要になり、回答に時間がかかるケースが少なくありません。
マーケティングでは、顧客がサービスやサポートを受ける際に「どれだけの労力を必要としたか」を測定する指標としてカスタマーエフォートスコア(CES)という指標があります。
回答の遅延はCESを高め、満足度やリピート率の低下を招くリスクが高まってしまうのです。
オペレーターの対応精度のばらつきはよくある課題です。
SNSの利用者が増加している現代では、顧客が他者の口コミを見て対応の差に不公平感を覚える可能性もあります。
顧客はオペレーターの回答=企業としての回答と受け取ります。
対応の精度にばらつきがあると、企業のイメージ低下につながってしまうでしょう。
問い合わせ内容や情報が社内で共有できておらず、対応に遅れや不備が生じたというケースも多くあります。
情報を共有できる仕組みが整っていないと、対応が属人化してしまったり、必要な情報が足りずにオペレーターが誤った回答をしてしまったりする可能性があります。
問い合わせ対応の課題を解決するには、いくつかのコツがあります。
下記のような対策を参考にしてみてください。
顧客が使いやすいインターフェースは、問い合わせ件数を減らし、業務の効率化にもつながります。
顧客に必要な情報を詳細に掲載、よくある質問と回答をまとめたFAQページの作成、問い合わせフォームの設置といった方法があります。
インターフェースを整えることで、顧客の利便性が向上し、満足度も高まるでしょう。
マニュアルやフローチャートといった明確なガイドラインは、対応のスピードと正確性を高めるため有効です。
顧客からの問い合わせ内容は重複しているケースも多いため、回答や対応手順をマニュアル化することができます。
また、問い合わせ内容の傾向を分析し、定期的にマニュアルやフローチャートを整備・改善することで、常に精度を高めることが可能です。
問い合わせ対応をメールやチャットで行っている場合は、予め応答のテンプレートを作成することで、業務を効率化できます。
例えば、よくある質問を事前にまとめ、それに対しての回答をテンプレート化することで対応スピードと一貫性が向上します。
応答のテンプレートがあれば、オペレーターによる対応精度のばらつきを軽減できます。
対応精度のばらつきを軽減するためにも、オペレーター向けの研修を行い、スキルや知識を身につけてもらうのは効果的です。
例えば、よくある問い合わせとその回答、クレーム対応の成功例などを共有し、オペレーターの知見を増やす方法があります。
研修を通じてオペレーターがスキルや知識を獲得できれば、問い合わせ対応の質を向上させることができるでしょう。
より多くの問い合わせに対応するための手段として、IVRやチャットボットを活用し、一部の業務を自動化させる方法があります。
IVR(Interactive Voice Response)は、顧客から電話で問い合わせがあった際に、自動音声で応答するシステムです。
音声に従い、顧客がボタンをプッシュしていくことで、問い合わせ内容に応じた窓口へつながるように設定できます。
チャットボットは、チャットを通して自動応答をしてくれるプログラムを指し、顧客が問い合わせることで、簡単な質問をその場で解決してくれます。
問い合わせ対応の業務が効率化され、人件費の削減にもつながります。
問い合わせ件数や社内リソースの状況によっては、アウトソーシングの活用もおすすめです。
例えば、サポートデスクやコールセンターを外注し、顧客からの一次対応を全て外部サービスへ委託する方法があります。
アウトソーシングを活用すれば、社内のリソースが確保され、コア業務に集中できる環境が作れます。
問い合わせ対応を効率化するためには、管理システムで情報を一元管理する方法が有効です。
メールやExcelだけで管理をしている場合、問い合わせ件数が多くなるほど対応漏れなどのミスが発生するリスクが高まります。
管理システムを利用すれば、誰がどの顧客からどんな問い合わせを受けているのかを社内で共有し合えるため、スムーズな対応につなげることができるでしょう。
オペレーターの負担軽減や顧客への迅速な対応を実現させるためには、問い合わせ業務を自動化させる方法が最も有効です。
続いては、問い合わせ業務自動化に役立つツールを4つご紹介します。
チャットボットとは、チャット上でロボットが自動で会話を行うツールです。
チャットボットには、質問に回答できるFAQ型、システム処理を行える処理代行型、情報を発信できる配信型、何気ない会話ができる雑談型の4種類があります。
問い合わせ対応では、複数の顧客から同じ質問がくることも多いため、FAQ型のチャットボットがおすすめです。
AI電話自動応答サービスとは、人工知能を活用して電話の受発信を自動化するサービスです。
音声認識や自然言語処理技術を活用し、顧客からの質問に答えたり、予約や注文を受け付けたり、特定の手続きをガイドしてくれます。
導入することで、問い合わせに24時間365日いつでも対応できるようになり、通話中や混線による機会損失を防ぐことが可能です。
問い合わせ管理システムとは、顧客からの問い合わせを一元的に管理できるツールです。
メール特化型、複数窓口を集約できるマルチチャネル型、幅広い業務を効率化できるカスタマサポート一体型の3種類があります。
導入することで、問い合わせ対応の抜け漏れや情報共有不足を防ぐことができ、業務を効率的に進めることができます。
ヘルプデスクアウトソーシングサービスとは、社内や社外の問い合わせ対応を外部の専門業者に委託するサービスです。
発注元の企業に駐在して業務を行うオンサイト型、外部のコールセンターとして業務を行うオフサイト型、両方を組み合わせたハイブリット型の3種類があります。
導入することで、社内外どちらの問い合わせであっても、オペレーターのリソース確保が可能となり、コア業務へ集中できる環境を作ることができます。
また、問い合わせ対応のプロに委託できるため、問題解決をスムーズに進めてくれるほか、新たな視点での業務改善も期待できます。
問い合わせ対応の種類、重要な理由、よくある課題や解決のコツ、自動化に役立つツールについて解説してきました。
問い合わせ対応に注力することで、顧客満足度の向上・商品やサービス品質の向上・競合他社との差別化を実現し、売上アップにも繋げることができます。
問い合わせ件数や社内リソースの状況に応じて、チャットボットやAI電話自動応答サービスなどの業務効率化ツールも活用してみてください。
画像出典元:O-DAN