【例文付き】10月上旬~下旬に使える時候の挨拶をビジネス・カジュアル別に紹介

【例文付き】10月上旬~下旬に使える時候の挨拶をビジネス・カジュアル別に紹介

記事更新日: 2024/09/30

執筆: 川崎かおり

10月の「時候の挨拶」にはどんな言葉を使えばよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

本記事では、10月の上旬・中旬・下旬にぴったりの時候の挨拶を、ビジネスシーンとカジュアルな場面にわけてご紹介します。

書き出しや結びの言葉の例文も用意しましたので、ぜひ相手の心に届く挨拶文を作成してください。

10月の時候の挨拶の書き方

10月の時候の挨拶を書く前に、基本を押さえておきましょう。時候の挨拶の基本や季語の選び方を紹介します。


時候の挨拶の例文をすぐに確認したい方は、「10月の挨拶状はこう書こう!【全文例】」の章にスキップしてください。

季語を入れる

時候の挨拶とは、その季節にふさわしい季語を入れた挨拶文のこと。挨拶状では、頭語の後に続けます。

注意したいのは、「季語にはふさわしい時期がある」という点です。

時候の挨拶の季語は、二十四節気という古代中国の暦に基づいています。

現代日本の季節感よりも「先取り」となっていることが多いため、言葉選びは慎重に行いましょう。

上旬・中旬・下旬にマッチした季語を選ぶ

10月の時候の挨拶で季語を選ぶときは、二十四節気の節気で「上旬・中旬・下旬」を考えます。

  • 上旬:秋分(しゅうぶん):9月23日頃~10月7日頃
  • 中旬:寒露(かんろ):10月8日頃~10月22日頃
  • 下旬:霜降(そうこう):10月23日頃~11月6日頃

なお「頃」としているのは、二十四節気の日にちが固定ではないためです。

二十四節気の正確な日付は、国立天文台が1年の太陽の黄道上の動きを計算して発表します。

年によって日にちが大きく異なることもあり、「○日」と断言することはできません。

「漢語調」と「口語調」の使い分け方

時候の挨拶を書くときは、相手によって「漢語調」「口語調」を使い分けるのが一般的です。漢語調・口語調の使い分け方を紹介します。

漢語調を使うケース

漢語調は、礼儀を重んじる挨拶状に使います。ビジネスシーンでも、社外の相手にはこちらを使うことが多いでしょう。

漢語調の時候の挨拶では、「○○の侯」「○○のみぎり」などの言葉を使います。

○○にはその季節にふさわしい季語を入れることで、格調高く美しい挨拶状となるのです。

口語調を使うケース

口語調は、親しい相手にしたためる挨拶状で使います。文字通り口語に近く、語りかけるような文体が特徴です。

「秋も深まってまいりました」などのシンプルな言葉から「秋を満喫しすぎ食欲が止まりません」といったユニークなものまで、自由に言葉を選べます。

漢語調ほどフォーマルではないので、手紙を書く人のパーソナリティを反映させても構いません。

ビジネス用の10月の挨拶

ビジネスシーンでの時候の挨拶は、フォーマルな漢語調で行うのがマナーにかなっています。

挨拶状を出す時期に適した季語を選択し、見栄え良く仕上げましょう。

ビジネスでも使える、10月の時候の挨拶を紹介します。


全文をすぐに確認したい方は、「10月の挨拶状はこう書こう!【全文例】」の章にスキップしてください。

10月全般で使える書き出しの例文

清秋(せいしゅう)の候 貴社におかれましては 益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます

秋天(しゅうてん)の侯 貴社益々ご発展のこととお慶び申し上げます

清秋とは、空気が清く澄みわたる秋の季節のことです。

涼しさや爽やかさが感じられる過ごしやすい時期に用いる言葉で、10月いっぱい使うことができます。

秋天は、文字の通り秋の空のことをさします。気持ちのいい澄んだ空が広がる10月に使うと良い時候の挨拶です。

10月全般で使える結びの例文

清秋の季節 さらなるご発展を心よりお祈り申し上げます

秋冷の折 皆様の益々のご健勝と貴社のご繁栄をお祈り申しあげます

 10月は気温が下がり、秋の気配が一気に深まります。

結びについては、文頭の表現との重複に注意しながら、相手のさらなる発展や健康を願う表現等を添えます。

10月上旬に使える書き出しの例文

仲秋(ちゅうしゅう)の候 貴社におかれましては 益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます

秋分(しゅうぶん)の侯 貴社益々ご発展のこととお慶び申し上げます

仲秋とは、旧暦の8月を指す言葉です。

現在の太陽暦では9月初旬から10月初旬までに該当するため、10月初めの挨拶状では頻繁に使用されます。

秋分は、毎年9月23日頃。二十四節気では16番目に当たります。

次の節気(寒露:かんろ)の前日まで使用できるため、10月初旬の季語として構いません。

10月上旬に使える結びの例文

実りの秋 皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます

寒路(かんろ)の折 貴社の更なるご発展をお祈り申し上げます

実りの秋は、「これまでの努力が結実する」「成果を得られる」ことの暗喩ともなります。ビジネスシーンで使う結びの言葉としては、最適といえるでしょう。

寒路は10月8日頃に訪れる二十四節気の18番目。10月上旬の季語として頻用されます。

10月中旬に使える書き出しの例文

秋麗(しゅうれい)の侯  貴社益々ご清栄の段お慶び申し上げます

菊花(きっか)の侯 ○○様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます

夜長(よなが)の候 貴殿ますますご健勝の段 何よりと存じます

爽秋(そうしゅう)のみぎり 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます

秋麗とは、秋の心地よい気候をたたえる言葉

「のどかな秋晴れが心地よく感じられますね」という意味になります。

夏の気配が消える10月中旬から立冬(11月7日頃)前日までの季語として使われるのが一般的です。

菊花とは、文字通り菊の花のことです。

菊の花が美しい様を秋の喜び・楽しみとして表現しています。菊の花が見頃を迎えた頃に使うとよいでしょう。

10月中旬に使える結びの例文

秋爽(しゅうそう)のみぎり 貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます

秋冷(しゅうれい)の侯 ご自愛専一(じあいせんいつ)にてお願い申し上げます

秋爽は、文字通り「爽やかな秋」という意味の言葉です。

秋の長雨が終わる中旬にふさわしい言葉となります。

「ご自愛専一」とは、「まず自分の体を第一にしてください」という意味です。

相手を労るフォーマルな言い方として、ビジネスシーンなどでよく使われます。

10月下旬に使える書き出しの例文

霜降(そうこう)の侯 貴社益々ご発展のこととお慶び申し上げます

錦秋(きんしゅう)の侯 ○○様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます

秋寒(しゅうかん)の候 貴社におかれましては いよいよご隆盛の由 心からお喜び申し上げます

深秋(しんしゅう)の候 貴社におかれましては 益々ご繁栄の段 慶賀の至りに存じます

霜降とは二十四節気の18番目の節気で、毎年10月23日頃です。

時候の挨拶の季語としては、次の節気である「立冬(11月7日頃)」の前まで使えます。

錦秋とは、紅葉の美しさを「錦(金糸や銀糸で織り上げられた織物)」に例えた風流な言葉です。

秋が深まり、紅葉が周囲を染め上げる頃に使うとよいでしょう。

10月下旬に使える結びの例文

向寒(こうかん)の折 皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます

初霜(はつしも)のみぎり 風邪など召されませぬようご自愛ください

「向寒」とは「これから寒くなりますが」という意味。

「初霜」は、霜が降りるほど気温が低くなっていることを示します。

10月下旬になると肌寒さを感じるようになります。

秋の寒さを感じさせる季語と相手の体調を気遣う言葉を伝えるとよいでしょう。

カジュアルな10月の挨拶

親しい相手にフォーマルすぎる挨拶状を送ると、「距離を置かれている」「水くさい」と相手を不安にさせることがあります。

親しみを込めた柔らかい言葉を選んで、受け取った相手がうれしくなるような挨拶状に仕上げましょう。

10月全般で使える書き出しの例文

金木犀の香りが漂う頃となりましたが、お元気でいらっしゃいますか

秋も日一日と深まり、夜長の頃となりました。お健やかにお過ごしでしょうか

 日本では、金木犀の甘い香りが空気に感じられるようになると、秋の深まりを実感できます。

また、徐々に夜が長くなっていく秋の情景をつづって挨拶するのもよいでしょう。

10月全般で使える結びの例文

皆様お元気で、深まる秋を満喫されますことをお祈りしております

好季節となりました。実り豊かな秋をお過ごしください

 10月は気候も良く、心地よい季節です。秋のさわやかな風景が思い浮かぶような言い回しがおすすめです。

ただし、紅葉は地域によって始まりや見ごろが異なるため、注意が必要です。

10月上旬に使える書き出しの例文

暦の上では10月ですが、まだまだ暑い日が続いております。皆様お変わりはございませんか

なかなか会えないうちにもう季節は秋ですね。お変わりございませんか。

秋の長雨に、庭の木々が乾く間もありません。皆様いかがお過ごしでしょうか

秋雨が続く季節になりました。お元気ですか

 年間平均気温が上昇している昨今、10月初旬ならまだまだ暑さも感じます。

挨拶状では「暑さ」を取り上げ、先方の様子をうかがうとよいでしょう。

また9月前半から10月前半までは、日本の南岸沿いに停滞前線、いわゆる「秋雨前線」が表れます。

長雨が続きがちな10月初旬には、「秋雨」「長雨」といった季語もぴったりです。

10月上旬に使える結びの例文

穏やかな秋の夜長 存分に読書をご満喫ください

秋雨前線が去りましたら ピクニックに出かけましょう

読書好きな相手なら、「秋の夜長に読書を楽しんでくださいね」と入れてみてはいかがでしょうか。

また頻繁にお出かけしている友人なら、「近いうちに会いましょう」というニュアンスを入れると親しみのある結びの挨拶となります。

10月中旬に使える書き出しの例文

スポーツの日を迎え、運動とは無縁の私もウォーキングに参加しました。皆様 連休を楽しまれましたか

さわやかな秋晴れの日が続いておりますが、お変わりございませんか

秋祭りの囃子の音が聞こえております ○○様はいかがお過ごしでしょうか

秋の味覚も盛りを迎える中、○○様はいかがお過ごしでしょうか

毎年10月の第2月曜日はスポーツの日で、祝日です。

心地よい秋の3連休を挨拶状の季語として、近況をさらっと伝えてみましょう。

また10月中旬といえば、各地で秋祭りも開催されます。

挨拶状に取り入れれば、穏やかな日本の秋を感じさせる言葉となるはずです。

10月中旬に使える結びの例文

心晴れやかな好季節 どうぞお健やかにお過ごしください

行楽の秋 食欲の秋 スポーツの秋 好季節を満喫しましょう

10月中旬は秋らしさが増してくる時期です。

「過ごしやすく爽やかな秋を満喫しましょう」という雰囲気で締めくくると、爽やかな挨拶状となるでしょう。

10月下旬に使える書き出しの例文

店舗のショーウインドウもハロウィン一色となりました。○○様はお変わりございませんか

秋の深まりとともに、イチョウ並木を歩く楽しさも増してきました。○○様にはいつも暖かいご配慮をいただき 感謝いたしております

街角のケヤキがすっかり色づく季節となりました。ご無沙汰しておりますが、お元気でご活躍のことと存じます

暦の上では霜降となり、肌寒さを感じる季節となりました。お元気ですか

ハロウィンは、毎年10月31日です。

近年は秋のイベントとしてすっかり定着しており、認知度も高くなっています。10月下旬の季語としては最適といえるでしょう。

イチョウやケヤキは、10〜11月に見頃を迎えます。

10月下旬の季節感にマッチしており、秋の美しさを伝える季語としてぴったりです。

10月下旬に使える結びの例文

初霜の便りが聞かれるこの頃 くれぐれもご自愛ください

朝晩の冷え込みも日ごと厳しくなっております 体調を崩されませんよう お元気でご活躍ください

10月下旬は寒さについて言及し、相手の体調を気遣いましょう。

ただし文頭でも寒さについて触れている場合は、重複しないよう言い回しに注意してください。

10月の挨拶状はこう書こう!【全文例】

ここからは、基本的な挨拶状の文例を紹介します。

構成や時候の挨拶の入れ方などをチェックしてみてください。

ビジネス

拝啓 仲秋の候

貴社におかれましては

ますますご清栄のこととお喜び申し上げます

平素は格別なご高配を賜り厚くお礼申し上げます


 さて 先般はお心遣いのお品を頂戴いたし

誠にありがとうございました

本来であれば早急にお礼申し上げるべきところ

ご挨拶が遅れまして大変申し訳ございません

まずは略儀ながら御礼かたがたご挨拶申し上げます

実りの秋 貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます

                         敬具

  令和〇年〇月〇日

            株式会社■■ 営業部 鈴木 花子

 

 

〇〇株式会社 企画部

山田 太郎 様

 

 

 


10月上旬
に適した挨拶状です。

フォーマルな場合は横書きではなく、縦書きで記載しましょう。

注意点は、相手の名前・会社を文の下に書かないこと。下になってしまったら、改行で調整してください。

カジュアル

鈴木次郎

「秋の日はつるべ落とし」を実感する今日この頃 お変わりなくお過ごしでしょうか


さてこの度は おいしい栗をたくさんありがとうございました

鈴木様のお顔を思い浮かべながら 家族で秋の味覚を満喫させていただきました

つきましては 失礼ながら別便にて心ばかりのお礼の品をお送りいたしました

どうかご受納ください


初霜の便りが聞かれるこの頃 くれぐれもご自愛くださいませ

令和〇年〇月〇日

山田 花子

カジュアルな時候の挨拶では、横書きでも構いません。ただし、宛名は最初に記載しましょう。

また親しい相手には、頭語・結語も不要です。

最後に日付と自分の名前だけを書いて、シンプルに仕上げましょう。

親しみを込めたい場合にはこんな挨拶もあり!

鈴木 次郎様

天高く馬肥ゆる秋…ではなく馬走る秋がやってきました。

菊花賞・天皇賞の予想はお済みですか?

さて先日は、素敵な誕生日プレゼントをどうもありがとうございました!

ちょうどカップが欲しいと思っていたところでしたので、ありがたく使わせていただいております。

菊花賞まであとわずか。ご自愛専一になさってくださいね。

令和〇年〇月〇日

山田 花子

 親しい相手なら、形式張る必要はありません

頭語・結語は省略し、口語に近い書き方でOKです。「?」「!」なども適宜入れ、カジュアルで親しみのある文章に仕上げましょう。

なお、菊花賞・天皇賞は中央競馬の重賞競走(G1)のこと。

毎年10月末に行われる、競馬ファンには非常に重要なレースです。

10月を心待ちにするファンも多く、10月のムード満載の季語として使えます。

10月に時候の挨拶をする際のマナーは?

10月の時候の挨拶では、形式以外にも気を付けたいポイントがあります。

「常識が無い」と言われないよう、ポイントを押さえた時候の挨拶を作成しましょう。

実際の季節とかけ離れないよう注意

10月の季語を選ぶときは、実際の季節とかけ離れないよう注意してください。

例えば、秋の長雨が続いているのに「秋晴れの爽やかな季節…」「心地よい秋…」などと記載するのはアンマッチです。

同様に、紅葉が遅れているにもかかわらず「錦秋の侯」などと使うのも避けましょう。

時候の挨拶は、あくまでも「季節のお便り」です。実際の気候とかけ離れた挨拶文では、意味がありません。

相手の繁栄を祝う言葉・体調を気遣う言葉を入れると好印象

時候の挨拶は、相手の繁栄を祝う言葉・体調を気遣う言葉と1セットです。

書き始めでは「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」「ご活躍のこととお慶び申し上げます」などの文言を入れましょう。

また結びの挨拶は、「ご自愛ください」「お体を大切になさってください」「益々のご発展をお祈り申し上げます」などの文言で締めくくります。

いずれかが欠けても無礼で不遜な印象を与えてしまうため、季語選びと同様、続く言葉選びにも注意が必要です。

まとめ

10月は気温が低くなり、秋のムードが高まる時期です。

挨拶状には、秋の風景や気候・行事・食べ物などにちなんだ季語を入れましょう。

ビジネスシーンでの時候の挨拶は、漢語調でフォーマルに仕上げます。

一方プライベートなら、ざっくりとした口語調で親しみを示すのがおすすめです。

10月にふさわしい時候の挨拶で、日頃お世話になっている人に秋の雰囲気を届けましょう。

 

画像出典元:Pixabay、Unsplash

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