「お願いできますでしょうか」は二重敬語!正しい表現や言い換えは?

「お願いできますでしょうか」は二重敬語!正しい表現や言い換えは?

記事更新日: 2024/02/01

執筆: 太田繙

「お願いできますでしょうか」という言葉を無意識に使用していませんか?

ビジネスシーンでよく使われる「お願いできますでしょうか」は、実は文法的に誤りなのです。

今回は、「お願いできますでしょうか」が間違っている理由、目上の人や上司に伝えるときはどう言い換えればいいのかを紹介します。

編集部

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「お願いできますでしょうか」は文法的には間違い!

何気なく使っている「お願いできますでしょうか」という敬語は、文法的には誤りなのです。

こちらでは、「お願いできますでしょうか」が間違っている理由や正しい敬語表現を紹介します。

文法的に間違っているのは二重敬語だから!

「お願いできますでしょうか」が誤りとされるのは、2つの丁寧語が含まれているからです。

「できる」の丁寧語である「できます」と「だろうか」の丁寧語である「でしょうか」が、同時に使われており、丁寧語が重複しているので文法的には間違いといえます。

このように「丁寧語+丁寧語」など、同じ種類の敬語を二重に使ったものが「二重敬語」です。

「お願いできますでしょうか」を正しく言い換えると、「お願いできますか」「お願いしてもよろしいでしょうか」などと表現できます。

以下では「お願いできますでしょうか」の他にも、うっかり使われがちな二重敬語をまとめてみました。

おっしゃられました
尊敬語「おっしゃる」+尊敬の意を表す助動詞「られる」で誤り。
正しくは「おっしゃいました」。

伺わせていただきます
謙譲語「伺う」+謙譲語「させていただく」で誤り。
正しくは「伺います」。

お帰りになられる
尊敬語「お帰りになる」+尊敬の意を表す助動詞「られる」で誤り。
正しくは「お帰りになる」。

 

最近は使用する人も多い

厳密には文法的に誤っている「お願いできますでしょうか」ですが、現在は多くの人が使っているため使用が許容されつつあるのです。

今まで何度も「お願いできますでしょうか」という表現を使用していたとしても、あまり落ち込むことはありません。

それでも人によっては、「二重敬語を使っている……」と思う恐れもあります。

特に、目上の人や上司、取引先に対しては、正しい敬語を使用したほうが、信頼関係も築きやすいでしょう。

「お願いできますでしょうか」は文法的に誤りということを認識し、状況に応じて使い分けてみてください。

「お願いできますでしょうか」が使用される理由

「お願いできますでしょうか」が間違った表現にも関わらず普及しているのは、「相手に敬意を示したい」という考えが根底にあるからです。

「目上の人や取引先に失礼のないように……」「お願いする立場だから丁寧な言葉を使わなければ……」という気持ちが強く出てしまい、二重敬語が使われています。

ビジネスシーンで無礼な態度をとってしまうと、お客さんとの取引が中止になったり、自身の評価が落ちてしまったりなどのリスクがあるのです。

相手から「お願いできますでしょうか」といわれたとしても、丁寧な気持ちを考慮して寛大な態度で対応しましょう。

ケース別「お願いできますでしょうか」を使った例文

一般的に「お願いできますでしょうか」はどのように使われているのでしょうか?

「電話編」「メール編」の2種類に分けて、例文を用いながら解説します。

1.電話編

電話で「お願いできますでしょうか」を使用するのは、以下のような表現が考えられます。

・お忙しい中恐れ入りますが、〇〇課の◇◇様をお願いできますでしょうか。
・誠に恐縮ですが、折り返しのお電話をお願いできますでしょうか。
・先日お送りした書類のご確認をお願いできますでしょうか。


ビジネスシーンで相手に何かをお願いするときは、丁寧な表現を心がけましょう。

「もしよろしければ」「お手数おかけいたしますが」など、クッション言葉を前置きとして伝えると、柔らかい表現になります。

電話は、声のトーンや話し方にも気を付けることが大切です。

柔らかい口調を意識することで、相手に好印象を持ってもらえるでしょう。

2.メール編

メールで「お願いできますでしょうか」を使用するのは、以下のような文例が考えられます。

・勝手を申しまして恐縮ですが、打ち合わせ日程の再調整をお願いできますでしょうか。
・〇月〇日に送付したメールのお返事をお願いできますでしょうか。
・〇月〇日までに見積書のご送付をお願いできますでしょうか。


依頼メールも電話と同様に、丁寧な言葉遣いと相手への配慮が必要です。

内容を明確に説明するのはもちろん、「なぜお願いしたいのか」「いつまでに回答が欲しいのか」も伝えましょう。

メールの締めには「お手数をおかけいたしますが、ご協力をお願い申し上げます」などを記載し、相手への気遣いを忘れないようにしてくださいね。

「お願いできますでしょうか」を正しく言い換えると

「お願いできますでしょうか」を文法的に正しい表現に言い換えると、どのような言葉になるのでしょうか。

敬語は相手によって表現方法が異なるので、今回は以下3つのシーンを想定します。

・同僚
・上司
・目上の人や社外の人

 

1.同僚へ使う「お願いできますでしょうか」の類語

同僚にお願いしたい場合は、以下のような表現をしてみましょう。

  • お願いします
  • お願いできますか
  • お願いいたします

「お願いできますでしょうか」を最もシンプルに言い換えた表現は、「お願いします」です。

場合によっては威圧的に捉えられることもあるので、「お願いできますか?」と疑問形で伝えてみるのもいいでしょう。

さらに丁重な言い方にしたいなら、「お願いいたします」という表現を使ってみてください。

自身が依頼するという立場だからこそ、同僚にも丁寧な対応を心がけることが大切です。

特にメールの場合は、「文章が攻撃的になっていないか」「失礼な内容ではないか」などを再度確認してから送ってくださいね。

《例文》

  • 企画会議で使用する資料を送るので、ご確認をお願いします。
  • 以下のURLから、アンケートのご回答をお願いできますか。
  • 送別会を実施するので、ご参加をお願いいたします。

 

2.上司へ使う「お願いできますでしょうか」の類語

上司へ依頼をしたい場合は、以下のような敬語を使ってみましょう。

  • お願いいたします
  • お願い申し上げます
  • お願いしてもよろしいでしょうか

上司へお願いをするなら、「お願いします」や「お願いできますか」は砕けた表現と捉えられてしまいます。

相手を敬っていることが伝わるように、丁寧な言い回しを心がけてみてください。

上司への依頼メールで意識するのは、依頼内容と緊急度合がすぐに分かる件名を作成することです。

さまざまな業務をこなす上司には毎日たくさんのメールが届くため、時間をとらせないためにも件名には配慮しましょう。

緊急の場合に電話でお願いする際も、「お忙しいところ恐れ入りますが」などを先に伝えます。

《例文》

  • 〇日に送付した資料のご回答をお願いいたします。
  • お忙しい中恐縮ですが、プレゼン資料へのアドバイスをお願い申し上げます。
  • 以下の目的により、〇〇訪問へのご同行をお願いしてもよろしいでしょうか。

 

3.目上の人・社外の人へ使う「お願いできますでしょうか」の類語

目上の人や社外の人にお願いしたい場合は、以下の敬語を使ってみましょう。

  • お願いしたく存じます
  • お願い申し上げます

特に社外の人に依頼するときは、同僚や上司よりもへりくだった言葉遣いが求められます。

「お願いしたく存じます」「お願い申し上げます」は非常に丁寧な表現です。

もし社外の人へお願いする際、「詳細を綿密に伝えなければいけない場合」と「こちらに落ち度がある場合」は必ず電話で行いましょう。

一方、「相手が多忙な場合」や「エビデンスを残したい場合」などはメールを選んでください。

どちらも遠回りな表現は避けて、分かりやすく簡潔にお願いしましょう。

《例文》

  • 添付いたしました資料のご確認をお願いしたく存じます。
  • 〇月〇日にお話させていただいた案件につきまして、ご回答をお願い申し上げます。
  • 以下の条件にて、お見積書のご送付をお願い申し上げます。

「お願いできますでしょうか」を外国語で伝えたい!

何か依頼をする際に、外国語を使用する機会もあるでしょう。

今回は、よく使われる外国語として「英語」と「スペイン語」における丁寧なお願いの仕方を例文で紹介します。

英語

英語で「お願いできますでしょうか」を伝えたい場合は、以下の表現を使いましょう。

  • Could you〜?
    (~していただけますか?)
  • I was wondering if you could~.
    (もしできれば~してもらいたいのですが)

「Could you〜?」は、能力や物理的に可能かを尋ねる敬語であり、相手を配慮しながらお願いをすることができます。

似ている表現で「Would you〜?」がありますが、「お願いを聞く意志がある?」というニュアンスになってしまうので、ビジネスシーンでは避けましょう。

「I was wondering if you could~.」は、相手に対して控えめにお願いを伝える表現です。

こちらもビジネスシーンでよく使われます。

《例文》

・Could you consider our proposal?
(こちらの提案をご検討いただけますか?)
・I was wondering if you could reschedule the meeting.
(できれば会議の日程を変更してもらいたいのですが)

 

スペイン語

スペイン語で「お願いできますでしょうか」を伝えたい場合は、以下の表現を使いましょう。

  • ¿Podría〜 ?
    (~していただけますか?)
  • Me permito〜 .
    (~をお願いいたします。)

「¿Podría〜 ?」は、英語の「can」にあたる動詞の変化形を用いた敬語です。

非常に丁寧な表現なので、取引先へのメールに記載しても問題ないでしょう。

「Me permito〜 .」は、「permitir(許す)」を活用した敬語表現です。

上記の表現に加えて、「si le parece bien(もしよろしければ)」も併用すると、さらに丁寧な伝え方ができますよ

《例文》

・¿Podría hacer copias de estos datos?
(このデータをコピーしていただけますか?)
・Me permito solicitar una cotización de los siguientes productos.
(以下製品の見積もりをお願いいたします。)

 

まとめ

今回は、「お願いできますでしょうか」がなぜ間違っているのか、目上の人や上司に向けた言い換えの敬語表現を解説しました。

「お願いできますでしょうか」は二重敬語なので文法的には誤りですが、多くの人が使っていることから昨今では許容されています。

それを認識したうえで、目上の人や取引先には「お願いしたく存じます」「お願い申し上げます」など正しい敬語を心がけることで、信頼も得られスムーズなコミュニケーションにつながるでしょう。

画像出典元:Unsplash

 

 

 

 

 

 

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