経営理念とは?企業理念との違い・目的・有名企業10社の事例も紹介

経営理念とは?企業理念との違い・目的・有名企業10社の事例も紹介

記事更新日: 2022/07/29

執筆: 太田繙

多くの企業が掲げている経営理念ですが、実はその目的や効果をはっきりと理解している人は少ないのではないでしょうか。

きちんと理解して使えば企業経営に役立つものですが、扱いを間違えると中身のないお飾りになりかねません

この記事では、経営理念について、よく似た企業理念との違いやその目的、良い理念のポイント、失敗の原因などを解説し、有名企業の事例も紹介します。

このページの目次

経営理念とは?企業理念との違いは?

まずはじめに、経営理念という言葉の意味と、よく似た企業理念との違いを知りましょう。

経営理念とは「経営の方針や目的」

経営理念とは、企業が経営するうえで根幹となる「どんな考えを持って活動するか」「何を重んじて仕事をするか」といった目的や方針を表したものです。

ミッションや社訓、行動指針などといわれることもあります。

経営理念を掲げることで、従業員の行動や思考に軸をもたらしたり、理念に共鳴する人を採用できたりするため、一貫性のある組織づくりにつながるでしょう。

長年変わらない経営理念を持つ企業もあれば、時代の変化や経営者の交代をきっかけに理念をアップデートしていく企業もあり、その扱い方はさまざまです。

企業理念は「企業の存在意義やあり方」

経営理念とよく似た言葉に企業理念がありますが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか。

企業理念とは一般的に、「なぜこの企業を経営しているのか」「この企業の価値は何か」など、存在意義やあり方を表したものです。

指針や目的を表した経営理念と似てはいるものの、厳密には異なります。

まずはじめに企業理念があって、それに基づいた経営を行うために経営理念が作られるという関係性と理解すれば分かりやすいでしょう。

なお、企業理念と経営理念、どちらも兼ねた理念を掲げる企業も数多くあります。

経営理念を掲げる目的・メリットは?

続いて、経営理念を掲げることにはどんな目的やメリットがあるのかを知りましょう。

1.経営の判断基準に筋が通り社内で統一できる

経営理念で指針や目的を定めておくことは、社内における判断基準のブレをなくして一貫性をもたらすことにつながります

戦略策定や新規事業の立ち上げなど、経営におけるターニングポイントで軸のない場当たり的な判断をしてしまうと、顧客に一貫した価値を届けられません。

逆に、良い理念があり、それに沿って戦略や事業方針を策定できれば、経営に筋が通り、長期的な利益の向上にもつながるのです。

2.従業員の成長を促し自社への愛着を持ってもらえる

経営理念を掲げることは、経営レベルだけでなく従業員にも影響するものです。

従業員の仕事への考え方や、顧客への姿勢を統一することにつながるだけでなく、共通の目的意識や愛着を持って働いてもらえるようになります。

加えて、優れた経営理念や企業理念があれば、それに共感する人の採用にもつながるでしょう。

従業員の質が上がれば、顧客に届けられる製品やサービスの質も自ずと高まり、長い目で見れば業績の向上にもつながってきます。

3.ブランドが確立され対外的なアピールにつながる

経営理念を掲げることは、社内だけでなく、社外にも効果をもたらします。

経営理念や企業理念はその企業の魅力をシンプルに表現できるもので、ブランドイメージを作り、それを定着させるのにうってつけです。

多くの企業がWebサイト上で企業理念や経営理念をアピールし、それによってブランドイメージを作り上げて売上につなげています。

良い経営理念3つのポイントとは?

メリットの多い経営理念ですが、特に効果の出やすい「良い」経営理念にはどんなポイントがあるのでしょうか。

1.具体的で分かりやすく誰が見てもわかるもの

経営理念は企業活動の方針や目的を示したものであるため、実際に考え方や行動を変えるようなものでなければ意味がありません。

よって、できるだけ具体的で、従業員の誰が見ても目指すところがわかるような内容にするとよいでしょう。

例えば、アルファベット(Google)の経営理念の冒頭は「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」という、とても分かりやすい言葉です。

これを読めば多くの人が、Googleという企業が顧客を最も重要視して活動しているということを理解できます。

2.ポジティブな内容でモチベーションを高めるもの

当然のことですが、経営理念も企業理念も基本的にポジティブな内容でないと良い成果は出ません。

従業員が企業で働くのはもちろん給与のためでもありますが、同時に自己実現や他者への貢献を求めるからでもあります。

良い経営理念は、そういった従業員のポジティブな欲求を刺激し、方向付けしてモチベーションを高めるものです。

反対に、一部のブラック企業などで掲げられる長時間労働を推奨する内容や、自主性を失わせるような内容は避けましょう。

3.自社の現状をふまえて従業員が納得できるもの

すでに解説したとおり、経営理念は時代や経営者、フェーズなどに合わせて変化していくものです。

理念が企業の現状から離れすぎてしまうと、現実味がなくなり効果が薄れてしまうこともあります。

例えば、軌道に乗っていないベンチャーが「世界一の企業をつくりあげる」という目標を掲げたとしても、大部分の従業員はそれを信じ切れないでしょう。

成長を促すものでありつつ、地に足のついた具体的な内容を掲げると、従業員の理解を得やすい理念になります。

経営理念が社内に浸透しない3つの原因は?

せっかく経営理念を考えて、社内に掲げてみても、なかなか浸透しない場合があります。

そんな時、原因としてどんなことを考えるべきでしょうか。

1.経営理念が抽象的でわかりにくく心に響かない

すでに解説したとおり、経営理念は企業活動の方針を示したもので、実際の行動や思考に影響しなければ意味がありません。

何を目指しているかが分かりにくかったり、「夢」「幸せ」などの抽象的な言葉遣いに終始している理念は、なかなか従業員の心を動かせず、浸透もしにくいでしょう。

その理念をもとにして従業員にどんな行動、考え方をしてほしいのかまで考えたうえで内容を決めることが重要です。

2.従業員が経営理念を認知する機会が少ない

残念ながら、自社の経営理念を覚えていない会社員は数多くいます。

原因はさまざまですが、そもそも理念をインプットしたり、思い出したりする機会が少ないということです。

何度もインプットして、何度も思い出さないと言葉はなかなか浸透しません。

社内資料や名刺、ノベルティに印刷して目に触れる機会を増やしたり、定期的なコミュニケーションによって確認する仕組みを作ってみましょう。

一方で、朝礼で唱和させたりテストのような形で試したりするのは、かえって社員のモチベーションを下げることになりかねません。

押し付けるのではなく、自然と意識するようなやり方がよいでしょう。

3.経営理念と実際の業務や評価制度がリンクしていない

立派な理念があっても、それに基づいた行動をとった時に報われなければ従業員はついてきません

実際にうまくいっていない企業では、経営理念と実際の社内の業務方針や評価制度がかけ離れているケースがよく見られます。

会社のフェーズや状況に合わせた理念を掲げること、そして理念と実態がかけ離れていないかをマネジメントレベルで定期的にチェックする意識が重要です。

有名企業10社の経営理念

参考として、有名企業の掲げている経営理念をピックアップして紹介します。

なお、理念を実際に浸透させるための取り組みとして、トヨタやJALが研修・勉強会の開催、ブリヂストンは15ヵ国語に翻訳した冊子を、工場やゴム農園の従業員なども含め、世界的に配布しているとのことです。

ふだんの会話で経営理念の言葉を意識して使うなど、自社でできることからはじめていきましょう。

1.オープンでフェア「トヨタ自動車」

1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす

2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する

3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む

4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する

5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる

6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす

7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する

引用元:トヨタ自動車公式HP

2.お客さまに最高のサービスを「日本航空」

一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。

引用元:日本航空公式HP

3.誠意をもって、仕事、人、社会と向き合う「ブリヂストン」

誠実協調(Integrity and Teamwork)
常に誠意をもって、仕事、人、社会と向き合うこと。
そして、異なる才能、価値観、経験、性別や人種といった多様性を尊重し、協調し合うことで、よい結果へと結びつけること。

進取独創(Creative Pioneering)
世の中で起こっていることを、常にお客様の目線で理解すること。
その上で、将来何が起こるかを想像し、より一層社会の役に立つ様々な「創造」に、積極的に挑戦すること。
人の真似ではない方法で、世の中の新しい需要を作り出すこと。

現物現場(Decision-Making Based on Verified, On-Site Observations)
現場に足を運び、「真実」を自らの目で確かめること。
現状を是とせず、本来「あるべき姿」と照らし合わせ、最善へと向かうための意思決定を行なうこと。

熟慮断行(Decisive Action after Thorough Planning)
物事を遂行する際は、様々な場面やあらゆる可能性を想定し、深く考えること。
「本質は何か」を見定め、進むべき方向を決断すること。
そして、スピード感をもって、忍耐強くやり遂げること。

引用元:ブリヂストン公式HP

4.豊かで快適な生活文化を「TOTO」

私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します。
そのために

  • 水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化を創造します。
  • さまざまな提案を通じ、お客様の期待以上の満足を追求します。
  • たゆまぬ研究開発により、質の高い商品とサービスを提供します。
  • 限りある資源とエネルギーを大切にし、地球環境を守ります。
  • 一人ひとりの個性を尊重し、いきいきとした職場を実現します。

引用元:TOTO公式HP

5.技術を練磨「村田製作所」

技術を練磨し
科学的管理を実践し
独自の製品を供給して
文化の発展に貢献し
信用の蓄積につとめ
会社の発展と
協力者の共栄をはかり
これをよろこび
感謝する人びとと
ともに運営する

引用元:村田製作所公式HP

6.次の欲しいを先取り「ダイキン」

1.「次の欲しい」を先取りし、新たな価値を創造する
2.世界をリードする技術で、社会に貢献する
3.企業価値を高め、新たな夢を実現する
4.地球規模で考え、行動する
5.柔らかで活力に満ちたグループ
6.環境社会をリードする
7.社会との関係を見つめ、行動し、信頼される
8.働く一人ひとりの誇りと喜びがグループを動かす力
9.世界に誇る「フラット&スピード」の人と組織の運営
10.自由な雰囲気、野性味、ベストプラクティス・マイウェイ

引用元:ダイキン公式HP

7.顧客満足主義の実践「クレディセゾン」

私たちは、サービス先端企業として
「顧客満足主義の実践」「取引先との相互利益の尊重」「創造的革新の社風創り」の
3点を共通の価値観として浸透させ競争に打ち勝ち
お客様、株主の皆様、そしてすべての取引先の皆様の
期待に添うようにチャレンジを続け、社会的責任を果たしてまいります。

引用元:クレディセゾン公式HP

8.ユーザーに焦点「アルファベット(Google)」

1.ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
2.1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
3.遅いより速いほうがいい。
4.ウェブ上の民主主義は機能する。
5.情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
6.悪事を働かなくてもお金は稼げる。
7.世の中にはまだまだ情報があふれている。
8.情報のニーズはすべての国境を越える。
9.スーツがなくても真剣に仕事はできる。
10.「すばらしい」では足りない。

引用元:アルファベット公式HP

9.お客様を起点に「アマゾン」

Amazonは4つの理念を指針としています。
お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。
Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。

引用元:アマゾン公式HP

10.会員の皆様に還元「コストコ」

常に経費を節約し、その分を会員の皆様に還元していこう

引用元:コストコ公式HP

まとめ

企業にとって、経営の方針や目的を社内外に伝えられる企業理念、経営理念は欠かせないものです。

うまく活用できれば、従業員の質が向上したり、経営判断に一貫性をもたらすといった効果が期待できるでしょう。

一方で、内容が抽象的だったり、浸透のための取り組みが不十分だと、意味のないものにもなりかねません。

紹介した有名企業の理念を参考にしながら、自社の理念について見直したり、新たに考案してみてはいかがでしょうか。

画像出典元:Unsplash、Pixabay

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