Edtech,Fintech…
〇〇techと呼ばれるものを耳にする機会が多くなってきたのではないでしょうか。
これらは、「X-tech(クロステック)」とも呼ばれており、既存の事業に最新の技術(technology)を掛け合わせて新しい価値を産み出そうとする動きです。
ただこのX-techは種類が多い上に、具体的にどんなものなのか文字を見ただけではわかりにくいものも多いです。
この記事では、そういった「X-tech」の種類と具体的な内容をわかりやすく説明していきます。
このページの目次
「◯◯Tech」のような形を「X-Tech(クロステック)」と呼び、「掛け合わせる」という意味の「X(クロス)」と「Tech(=Technology)」を合わせた造語です。
これは簡単に言うと、既存の産業とITなどの最新技術を掛け合わせて、新たな価値を創造しようとするビジネス領域です。
従来であれば、ITなどの最新技術は限られた業界でしか活用されていませんでしたが近年では業界問わず受け入れられており、様々な業界で活用されています。
Ed TechのEdは「Education(教育)」という意味です。
教育領域においてテクノロジーを導入し、新しい価値を築きます。
最近ではコロナ禍のオンライン授業の導入など、このEd Tech領域は飛躍的に成長しました。
Fin Techの「Fin」は「Finance(金融)」という意味です。
金融領域においてテクノロジーを導入し、現金でなくても買い物が可能になったり、ネットで決済ができるようになりました。
キャッシュレス決済や仮想通貨、クラウドファンディングなどが具体例で挙げられます。
Food Techはそのままの意味で、「Food(食)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
具体的に、フードロスを解決するためのフードシェアリングサービスや、植物由来の肉(代替肉)の開発などがあります。
「フードロボット」と呼ばれる、調理や盛り付け、配膳などを行うロボットの実用も始まっています。
「agriculture(農業)」とテクノロジーを掛け合わせたものがAgri Techです。
農地に設置したセンサーで温度や湿度を計測し、基準値を超えたらアラームが鳴るなど、計測や情報管理が手間なくできるようになりました。
ドローンによる農薬の自動分布などは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
人事を表す「HR(Human Resouces)」とテクノロジーを合わせた造語です。
労務や採用など、人事分野における様々な業務をテクノロジーを用いて効率化します。
人材確保競争が高まったり、働き方が変わる今、HR Techwp導入する企業が増えています。
Med Techは、「medical(医療)」とテクノロジーを合わせて新たな価値を生み出す領域です。
意外にも医療領域では、長らくIT導入が遅れていると言われていました。
しかしここ数年ではAIを駆使した医療サービスが登場したり、手術の実戦練習にVRを取り入れるなど、デジタル化進んでいます。
Gov Techとは、「Goverment(政府)」とテクノロジーを合わせたものです。
幅広い領域で「X Tech」の動きが見られる中で、国や地方自治体が提供するサービスにもテクノロジーを活用しよう、という狙いがあります。
行政では、まだ「対面」「紙」文化が根強く残っており、そうした行政内の業務のデジタル化、またデジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を高める取り組みを行なっています。
「Legal(法律)」とテクノロジーを合わせた造語です。
人工知能(AI)を始めとした様々な技術の力で、裁判や契約に関する諸業務の効率化を測ります。
リーガルテックの市場規模は300億円、2023年には400億円にまで到達するとも言われています。
「紙」や「判子」などが面倒だった契約分野でのサービスが最も多いようです。
出典元:リーガルテック業界カオスマップ
「Sals(営業)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
営業においてテクノロジーを活用することで、営業活動の効率化や生産性向上を図ります。
「なぜ売れるか」ということを分析、営業活動においての強みや弱みを分析することで、トップセールスマンを量産させるという期待もあります。
[SFA(営業支援システム)カオスマップ]
Mar Techは、「Marketing(マーケティング)」とテクノロジーを掛け合わせた造語です。
ECの発達やスマホを使ったサービスが拡大したことを背景に、デジタルプラットフォームで上でのマーケティングが必須となりました。
消費者がスマホを見ているとき、どのようなデザインだと目を引くか、どのような行動を取るのか、単に店舗だけでなくデバイス上での消費者の行動のリサーチや分析が重要となり、今ではマーケティングとテクノロジーは切っても切り離せない関係となっています。
「Advertising(広告)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
ここでの「広告」は、インターネット広告を指します。
例えば、私たちは普段SNSやWebサイトを見る時に、必ずと言っていいほどディスプレイ広告などを目にします。
こうした配信技術に欠かせないものがアドテックです。
Mar Techと少し似ていますが、Mar Techの方が、「販売促進領域」として広義であり、Ad TechはMar Techの一部ということになります。
BO Techとは、「Back Office(バックオフィス)」とテクノロジーを掛け合わせた造語です。
経理・財務・人事・総務・労務などの企業管理を行うバックオフィス業務においての効率化を指します。HR TechやAccounting Techなどがこの部類に入り、主に企業のバックオフィス全般のIT化を表す際にBO Techが用いられます。
「retail(小売)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
簡単に言えば、小売業に最新技術を取り入れるという意味ですが、例えばコンビニのセルフレジの導入などが身近な例です。
他にも、アメリカの「ウォルマート」では天井に1,000台のカメラを取り付けて在庫管理をするというシステムも導入しているそうです。
「Healthcare(ヘルスケア)」とテクノロジーを掛け合わせた領域です。
センサーを活用した高齢者見守りシステムや、つけているだけで健康状態がわかるウェアラブルデバイスなど、ヘルスケアが重要視される近年の波に乗り、この領域も年々拡大しています。
「Insurance(保険)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
2019年での市場規模が890億円、2022年にはなんと2,450億円に達するとも言われている、注目の領域です。
保険業のIT化が進むと、保険会社の業務の効率化はもちろん、契約者側にとっても保険が選びやすくなったり加入手続きが簡単になったりと、メリットがたくさんあるようです。
保険加入者の健康データがビッグデータとして蓄積され、それをもとに保険料や保険の種類などを選べるようになるそうです。
名前の通り、「Sports(スポーツ)」とテクノロジーを掛け合わせた領域です。
Sports Techでは、選手を「支える」、スポーツを「観る」、スポーツを「する」という大まかに3つのカテゴリーがあるといいます。
今では「e-sports」などが話題になっていますが、「スマートディスプレイ搭載の水泳ゴーグル」や、パフォーマンス測定デバイスなど、私たちの見えないところで、最先端技術が活用されているようです。
その名の通り、「Fashion(ファッション)」とテクノロジーを掛け合わせた領域です。
ファッション業界の効率化と活性化を目的にテクノロジーを活用します。
「ECサイト」や「ライブコマース」はこのコロナ禍を期により拡大しました。
ファッション業界では、AR技術を使った試着サービスの開発が進んでいるようです。
実際の自分が試着をしなくても、自分と同じ体型のアバターがデバイス上で試着をする、という技術。まだあまりイメージが湧きませんが、実際に活用できたらものすごく便利なサービスです。
Travel Techは、「Travel(旅行)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
今は当たり前と化していますが、移動手段の手配や宿泊の予約が気軽にオンラインでできるようになりました。
従来では電話で予約を取るしか方法がありませんでした。しかし今では移動手段、ホテル、旅先でのアクティビティなど旅行における全てのアクションをネット上で簡単に完結させることができます。
コロナ禍で大ダメージを受けた旅行業界の復活の担い手になることでしょう。
「Famel(女性)」とテクノロジーを合わせた造語です。
一般的には、生理、妊娠、出産、更年期など、女性特有の課題をテクノロジーを活用して解決するサービスを指します。
フェムテックの領域も幅広くさまざまなサービスがあり、2025年までには市場規模は5兆円にのぼると言われています。
具体的には、月経時期を予測するアプリ、ピルのオンライン処方などがあります。
「Real Estate(不動産)/ Property(資産)」の頭の文字とテクノロジーを合わせた造語です。
どちらも「テクノロジーえお取り入れた不動産サービス」を指し、意味合いとしては変わりありません。
この領域では、AIが現状の物件データを読み取り、価格を予測・算出し、地域情報も含めて指数化してくれます。VRを使った物件の内見などもあるようです。
住宅を表す「Home(家)」とテクノロジーを掛け合わせたものです。
先ほどのRe Techと似ていますが、Re Techは不動産取引においてのIT化、Home Techは家自体をプロダクトと見立て、テクノロジーを融合してより快適な暮らしを築く動きです。
Re TechとSmart Home Techの二つを合わせて「Home Tech」と呼ばれることもあります。
具体的にはスマホで玄関のロックの開閉ができる「スマートロック」、「収集日を知らせるゴミ箱」などがあります。
「Factory(工場)」とテクノロジーを合わせた造語です。
荷物を運ぶために工場を駆け回る自走式ロボットや、ARを活用してベテランが現場作業員に遠隔指示を行ったりと、工場でもIT化が進んでおり、この製造業での新たな産業革命が「インダストリー4.0」と呼ばれています。
名前の通り、「Energy(エネルギー)」とテクノロジーをかけ合わせたものです。
エネルギー市場は20兆円という大規模な市場です。
たとえば、「エネオク」という、需要家の法人と電力小売の事業者とのマッチングサービスを行う会社などもあります。
こちらも、エネルギー分野のIT化で、Energy Techと交わる部分がありますが、より「Clean(クリーン)」なものを目指すものとして、エネルギー分野にとどまらず交通、食料分野にも普及しています。
クリーン電力の需要に応える「しろくま電力(パワー)」のCMに、お笑いタレントのゆりやんさんが出ていたのを、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「Automotive(車)」とテクノロジーを掛け合わせた造語です。
Auto Techには大きく分けて二つあり、自動運転がその一つです。
もう一つは車載データの活用であり、損害保険会社と組んで運転のデータから適切な保険料を算出したり、走行距離に応じたタイヤリース料を提供するサービスなどが生まれています。
Deep Techとは、「Deep(深い)」なテクノロジーということですが、これは「差別化されたより高度な科学・エンジニアリング」を指します。
これまで多くの産業がIT技術を活用し新たな価値を生み出す事例を見てきましたが、PCやスマートフォン、ITに関わる全ての技術も作り手が必要です。
リチウムイオン電池、半導体チップ、液晶パネル、4G/5GやWIFI、Bluetoothなどの通信技術、セキュリティ技術など、あらゆるIT技術の基礎を担う領域をDeep Techと呼びます。
Deep Techという言葉はあまり聴き慣れないかもしれませんが、企業だけでなく今日の人々の生活とも密接に関わっており、あらゆる産業のIT化はまさにDeep Techにかかっていると言っても過言ではないので、最も高度で重要な役割をしている領域と言えます。
・AI
人工知能。人間の知的振る舞いの一部を人工的に再現したもの。
・ビッグデータ
一般的な情報処理ソフトでは処理不能なほど、巨大で複雑なデータの集まり。
・IoT
「Internet of Things」で「モノのインターネット」という、様々な「モノ」がインターネットに接続されること。
・5G
移動通信システムの第5世代。4Gよりも高速で大量なデータの移動が可能。
・クラウド技術
特定のハードウェアを持たなくても、インターネット環境さえあればどのデバイスからでもサービスを受けられるシステムのこと。
・ブロックチェーン
複数のコンピュータで情報を共有(鎖につなげる=チェーン)することで不正なアクセスを防ぎ、データの正確性・透明性を保つこと。
・AR
拡張現実。現実世界に視覚情報を重複表示させること。「ポケモンGO」が代表例。
・VR
仮想現実。特殊なゴーグルを装着したクローズドな世界(スクリーン)にリアルな映像情報を表示すること。
スマホやPC、インターネットが当たり前に使われる世の中で、様々な産業で新しい技術を活用する必要が出てきました。
逆に言うと、今後成長するか否かはITの活用が鍵を握っているとも言えます。
既存の産業と最新技術を掛け合わせる「X Tech」の動きは世界中で加速しており、今後はさらに拡大すると見られています。
IT人材の不足が謳われているのは、まさにこういった動きからでしょう。
ここ数年で世界は圧倒的に変化し、私たちの生活はITとは切っても切り離せない状態になりました。
今後ますます拡大するIT化。企業は、私たちの生活はどのように変化していくのでしょうか。
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