TOP > インタビュー一覧 > 性格診断「エムグラム」を社内コミュニケーションの潤滑油に!ITツール活用事例(弥生株式会社)
誰もが知っている会計ソフト「弥生会計」を提供する弥生株式会社。
性格診断で2~3年前から話題になっている「エムグラム」を使うことで社内コミュニケーションを活性化させているといいます。
今回は、そんな弥生株式会社が、どのツールにどのくらいの費用をかけて、どう活用しているのか、取締役 開発部 本部長(取材当時)の安河内崇さんに取材してきました!
記事の最後では、実際に使っているサービスまとめ、おすすめサービスも紹介しています。ぜひ自社のサービス導入・検討の参考にしてください。
このページの目次
ーエムグラム、2~3年前から話題になっていますよね。私も自分の性格診断をしたのを覚えています。弥生さんでは、具体的にどのようにエムグラムを活用しているんですか?
弊社では社内のコミュニケーションツールとしてSlackを利用しているのですが、そのSlack上でコマンドを打つことで、簡単にメンバーのエムグラム(性格診断の結果)が見られるようになっています。
実際のSlackの画面
上の画像のなかの「取説を見る」というのを選択すると、このような形(下の画像)で自分と相手の性格の違いをもとに、どのように接するといいのか、アドバイスを得ることができます。
「取説」の例
ー面白いですね!安河内さんは「# 心配しがち」なんですね(笑)。なぜこのような取り組みを始めようと考えたのでしょうか?
きっかけは2年前です。
もともと私はチームメンバーに時間を使うタイプで、「この人は、こういう性格だから、こういう言い方で伝えたらいいよ」といったことを他のメンバーに教えていたのですが、それがなかなか言葉で上手く伝わらないことにすごく苦労していました。
そういった課題を持っていたときに、エムグラムがSNSで流行っているのを見つけたんです。早速私もやってみたのですが、エムグラムなら自分の特性・性格が視覚的にも分かりやすくて、これだ!と思いました。
たまたまエムグラム社の代表とFacebookのつながりがあったので、そこで連絡をとったのがきっかけですね。
ーメンバーの特性・性格がひと目で分かる、というのがエムグラム導入のきっかけだったんですね。日々の社内コミュニケーションにおいて、エムグラムはどのように活用されていますか?
まず、マネジメントのやり方について、共通の認識を持ったうえで相談ができるようになりました。
例えば「◯◯さんは活動性が非常に高いから慎重にコミュニケーションしたほうがいいよね」といった具合です。
また先ほどの「取説」を使えばメンバー同士の相性も分かりますし、実はチームの傾向分析もできます。
チームとして社交性が低いことが分かればコミュニケーションの場を多めにとるなど、傾向を踏まえてそれに応じたディレクションを心がけることができるようになりました。
チーム分析の例
ー性格や特性の傾向を数値化・言語化して共有することで、根拠をもってマネジメントのあり方について議論できるようになったのですね。他に効果はありましたか?
コミュニケーションのストレスが減ったと感じています。
どうしても意見が食い違ってヒートアップするときってありますよね。
そういうときでもメンバーの性格が言語化されていれば、「ここは価値観・性格の違いが原因で食い違っているんだな」と客観視できる。
ロジックと個人の好み(傾向)を切り分けて考えられるということですね。
ー人事や採用には活用できそうに思ったのですが、使っていないのですか?
人事・採用には活用していないです。
ある種、人にレッテルをつけるようなことになるため、エムグラムのポリシーと異なるというのが理由です。
ー社内コミュニケーションの活性化においては、Slackの活用も重要になってきますよね。どのように活用していますか?
ルールを作って運用していますね。
・メンションをつける
・スレッドをちゃんと使う
・「はい」「うん」などはスタンプで済ます
といった基本的なものですが。
注意していたところがあるとすれば透明性ですね。
弊社ではDM(ダイレクトメッセージ)は基本的に禁止です。
DMを使っちゃうと結局メールと一緒になってしまうので。
ー導入当初からきっちりルールを定めていたのですか?
いや、そんなことはないです。
例えば、最初は自由にチャンネルを作っていいことにしていたのですが、そうすると作りっぱなしのチャンネルが増えて管理が大変になりました。
それを定期的に閉じたり、ルールを定めたりして改善していきました。
これから導入するのであれば、はじめのルール設計はかなり大事だと思います。
ーチャンネルが増えすぎるのはSlackあるあるですよね。ルールはどのように整備していったのですか?
そのうち社内のSlack推進委員会が勝手に立ち上がって、自主的にルールが作られていきましたね。
今はSlackルールが社内Wikiに記録されていて、Slack上でコマンド打ったらそのルールを確認できます。
ー自発的に委員会が立ち上がったのはすごいですね。
Slackの導入サポートの方にも驚かれました。
社内委員会を立ち上げるのはどの会社も一番苦労するところだそうです。
でもやはりメンバー全員が使っていくものですし、そのくらいしないとルールがしっかり定着していかないですね。
Slackの利用ルールをまとめた社内Wiki
ーその他に運用にあたって注意していることはありますか?
立場が上の人が、誰かが書き込んだときにきちんと反応するのが大事だと思います。
そうやって、活発にコミュニケーションをとる雰囲気ができてくるので。
ー使っていて不便な点やデメリットはありますか?
文字列コミュニケーションなので、相手のことを考えながら書かないとすれ違いが起きることですね。
ただ、あまりそこを考えだすと気軽さがなくなるので難しいところですね。
またSlackのアナリティクスをみると、実社会でもコミュニケーション高い人の投稿数が多い傾向があります。
そこをどう補完していくかが課題ではありますね。
ー今社内コミュニケーションツールだと、Microsoftが提供するMicrosoft Teamsが大企業を中心に非常に伸びていますよね。Microsoft 365(Teamsがセットに含まれている)も導入しているというで、乗り換えを検討などはしていないのですか?
正直なところ、そこは少し悩んでいます。やはりMicrosoft 365内の連携は非常に便利ですね。
SharePoint(Microsoft 365のファイル共有サービス)内のファイルをSlackに貼ってセキュアに共有できるなど、Slackでも連携は現在活用していますが、Teamsのほうがより連携が充実しています。
Microsoft 365内での連携でいうと、Outlook(Microsoft 365のメールサービス)からワンクリックでSkypeができて、Web会議中にSharepoint上のファイルをすぐ共有するなどができます。
ーここ最近で新たに導入したサービスはありますか?
経費精算システムの楽楽精算を導入しました。
最終的に楽楽精算かもう1社のサービスかで悩んだのですが、料金と使い勝手の部分で楽楽精算に決めました。
ー具体的に楽楽精算のどういった部分が決め手になりましたか?
スマホとの連携がしやすい点、部門ごとにワークフローが定義できる点ですね。
また、本来の目的である財務のペーパーレス化が達成できそうだったからです。
ー導入はスムーズにいきましたか?
いきなりスムーズにはいかなかったですね。
財務の負担軽減を目的に導入したのですが、営業や管理職の人からすると申請や承認のやり方が変わって面倒に感じる部分もありました。
私も承認する立場にありますが、100件くらいやり直しで返ってきたりすると、申請した人に文句をいいたくなりました(笑)
こういった部分は走りながら改善していきたいと思っています。
ー浸透などはどのように行いましたか?
主部門の人をもりたてる社内ブランディングを行っています。
例えば、今回の経費精算システムの導入目的は財務の負担軽減なので、社内に対しても財務担当のメンバーのやりたいことを優先しようという見せ方をして進めました。
どうしても不満は出てくるので、財務担当の人が言うことなら仕方ないよねって雰囲気にして納得してもらっていました。
また、財務担当のメンバーがやる気をもって、説明書を作って配布したり、社内説明会を開催したりしました。
特に社内説明会では主担当の若手メンバーが自分の言葉でしゃべって進めていて、非常に良かったですね。
ー弥生さんくらいの会社規模になると、利用するITツール・サービスも多岐にわたり、費用も多くかかると思います。費用を抑える工夫は何かしていますか?
やはり従業員目線だとこのサービスを使いたい!というのがどんどん出てきて、契約しているサービスがどんどん増えてきてしまうので、今は開発本部のなかの一部署で全てのライセンス管理を行っています。
そこでは、「サービスの生き死に確認」をやっています。
具体的には、使われていないサービスがないか確認して、使われていなかったらライセンス数下げたり、解約したりします。
ー最後におすすめのサービスを教えて下さい!
やはりSlackですね。
弊社はメンバーの平均年齢が所謂スタートアップやベンチャーと呼ばれる企業と比較すると若干高いのですが、それでもほとんどの社員が問題なく使えているのがいいですね。
メールの次に使っているサービスだと思います。
ー本日はご協力ありがとうございました!
・オフィススイート…Microsoft 365
・経費精算…楽楽精算
・サブスク管理…Zuora
・Web会議…Skype
・ファイル共有…Microsoft SharePoint
・ビジネスチャット…Slack
※取材当時の情報です
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