残業は、社員の健康やモチベーションを低下させ、企業の生産性にも悪影響を与えます。
「残業をなくしたいが、どうすればいいのかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、残業が発生する原因と、具体的な対策をわかりやすく解説します。
残業を減らすことで得られるメリットや事例もご紹介しますので、残業時間の削減を目指す企業や労務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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そもそも残業するのは悪いことなのでしょうか?今なぜ残業削減が叫ばれているのでしょうか?
2018年に成立した「働き方改革関連法」で、時間外労働に上限規制が設けられました。この規制は、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から施行されています。
それによって、残業は原則として月45時間、年360時間までに規制され、特別な事情があっても月100時間、年720時間を超えると事業主に罰則が適用されるようになりました。
1ヶ月45時間を超える残業が当りまえの会社はざらにあったので、この規制は経営者にも従業員にも大きな課題を突きつけることになりました。
残業問題がクローズアップされた背景には、長引く不況の中で「残業はさせるが残業代は支払わない」というサービス残業が横行したことがあります。
一部の労働者にしわ寄せされた過重労働による過労死や自殺、うつ病の発症などが多発したことも社会問題になりました。
また、政府が「働き方改革」で残業削減に力を入れているのは、アベノミクスの「経済再生プラン」の柱である「生産性の向上・国際競争力の強化」を実現するためには「残業に頼る働き方を改革しなければいけない」という認識があるからです。
そもそもなぜ残業は発生してしまうのでしょうか。
ここでは、残業が発生する4つの原因について解説します。
社員のスキルや特性を考慮せずに業務を割り当てていると、非効率な作業が発生し、結果的に残業につながることがあります。
管理者が社員一人ひとりの能力を見極め、それを考慮したうえで仕事を与えたり人材を配置する必要があります。
業務に関するノウハウが特定の社員にしか蓄積されていないと、ほかの社員が業務を代行できないため、業務が集中し、残業によってカバーせざるを得ない状況が発生します。
また、部署間やチーム間での情報共有が不足している場合も、特定の社員に情報が集中し、属人化を招く要因となるので注意が必要です。
顧客対応は、企業にとって重要な業務ですが、対応に追われて残業が発生してしまうケースも少なくありません。
特に、製品やサービスに関するトラブルの場合、迅速な対応が求められるため、業務時間外に対応せざるを得ない状況が発生することがあります。
上司が部下の勤怠を把握できていないと、業務で問題が発生していても気づかないため、適切なサポートができず、残業で対応せざるを得ない状況が発生します。
また、上司が部下の勤怠状況を把握していないと感じると、部下のモチベーションが低下し、業務効率が落ちる可能性があるでしょう。
残業時間を削減するには、残業の癖をなくす工夫と、仕事を効率化する工夫が必要です。
そのためには次のような対策が有効です。
残業時間の削減には、現状の労働時間を正しく把握するための仕組みづくりが効果的です。
勤怠管理システムを導入すると、より詳細な労働時間を把握できるほか、システムによっては、残業時間の集計や分析も自動で行えるので便利です。
ノー残業デーとは、例えば毎週水曜日は残業禁止・定時退社と無条件に決めてしまうことです。
それによって、残業の癖をなくし、残業しなくてもすむ計画的な仕事の進め方をする習慣をつけるのが狙いです。
仕事が定時に片付かなかったから残業するという「だらだら残業」を認めず、上司に決められた書式で残業を申請する方法です。
例えば「午後3時までに、簡単な理由を添えて申請が必要」となれば、面倒だから定時で片づけてしまおうという気にもなり、業務の効率化に貢献することが期待できます。
また、その記録があれば、どの部署でどんな残業が多いかも分り、業務効率化を考える参考になります。
社員に日々の業務内容や時間を報告させ、どの業務にどのくらい時間がかかっているのかを把握すれば、業務のボトルネックを特定できます。
また、業務フローを作成して無駄な作業を省いたり、業務マニュアルを作成して属人化を防ぐなど、作業の効率化を図りましょう。
残業時間の削減は、企業の生産性向上や従業員の満足度向上につながります。
ここでは、残業削減のメリットを具体的に紹介します。
残業時間を削減できれば、今まで残業していた時間をプライベートに充てられるようになります。
リフレッシュや自己啓発の時間が増え、心身ともにゆとりある生活を送ることができるでしょう。
残業が減り、定時に帰るのが当たり前になれば、プライベートでリフレッシュする時間が生まれ、仕事へのモチベーションも高まります。
また、社員は限られた時間内できちんと成果を出すために、仕事に優先順位をつけて業務の効率化を図るようになるでしょう。
残業が多い企業は、一般的にブラック企業とみなされてしまいます。
一方で残業削減に成功した企業は、ホワイト企業として社会的な評価が高まり、企業ブランドの向上につながります。
優秀な人材の採用にも有利に働くでしょう。
残業時間が少なければ、ワークライフバランスを重視する若年層を中心に、働きやすい企業として評価され、優秀な人材の採用・定着につながります。
離職率の低下は、人材育成コストの削減にもつながるでしょう。
各企業がどのような方策で残業時間の短縮に取り組んでいるかを、厚生労働省の時間外労働削減の好事例からご紹介します。
各自が今の業務上の課題を抽出して「何を変えたらもっと仕事が早く進められるか」を考えて目標を設定します。
目標の進捗状況については、1か月に1回レポートを作成し、上司に提出。半年後に結果を確認するだけでなく、月1回の進捗報告によって実効性を確保しています。
特定の従業員に業務が集中することで残業が発生しないようにするため、担当業務をローテーションして、各従業員が様々な業務に携われるように訓練しています。
業務ローテーションを行った結果、現状の自分の担当業務以外でも業務のサポートができるようになり、業務量の平均化につながっています。
業務ローテーションによって従業員間のコミュニケーションが活発になり、チームワークが良くなったことが業務効率化につながっています。
パート・アルバイトから、業務改善のための提案を受け付けています。
改善提案を受けた場合には、まず提案のあった店舗で実践し、有効であると確認できたら本部に報告する仕組みになっています。
最終的に会社全体で採用されて、業務マニュアルに組入れられる場合もあります。
パート・アルバイトによる改善提案は、業務が効率化されて残業削減につながるだけでなく、その改善提案が採用されることでパート・アルバイトのモチベーションが向上する効果もあります。
残業時間を削減するには、経営者も管理職も労働者も「なぜ減らすのか」という意味をよく理解して、協力して改善に当たらなければなりません。
形だけ残業時間を減らしても業務効率化には寄与せず、サービス残業を増やしただけという結果に終わる危険性があります。
画像出典元:pixabay
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