福利厚生とは、企業が従業員に対して支払う給与以外の報酬のことで、社員満足度や会社への帰属意識を高めるツールとして多くの企業で導入されています。
この記事では、身近だけど意外と知られていない福利厚生の基礎知識、人気の福利厚生プランを徹底解説していきます。
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画像出典元:「ベネフィットステーション」公式HP
福利厚生とは、企業が従業員に対して、通常の給与・賞与にプラスして支給する報酬のことです。
福利厚生を受けられる対象者は、従業員だけでなく、その配偶者や家族も対象としている企業が多いです。
元々は、戦後の労働力確保のために、従業員に宿舎や食堂といった設備を提供するため誕生した福利厚生制度ですが、現在では社員満足度や会社への帰属意識を高め、優秀な人材を確保し続ける1つのツールとして多くの企業で導入されています。
福利厚生の種類は2種類あり、法律で定められている法定福利厚生と、企業が独自に定める法定外福利厚生があります。
法定福利厚生とは、法律で定められている福利厚生のことを言い、具体的には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険、子ども・子育て拠出金のことです。
企業は、これらの保険料の一部、または全額を負担します。
法定外福利厚生とは、企業が独自に定めた福利厚生のことで、大きく分けると自社で運用するものと福利厚生代行サービスに委託するものの2種類があります。
法定外福利厚生として扱うことができる範囲は広く、住宅手当、家賃補助、健康診断の費用や資格取得の補助など様々です。
単純に金銭的な補助だけでなく、従業員の「働きやすさ」や「生活の質の向上」などを援助する目的の内容のものが多いのが特徴です。
法律で定められている福利厚生である法定福利厚生は、大きく分けると、社会保険・子ども・子育て拠出金となります。
法定外福利厚生の従業員1人1か月当たりの費用の平均は、2019年度は84,392円となりました。
(引用元:日本経団連『第64回福利厚生費調査結果報告』)
社会保険は、国民が疾病・老齢・出産などに遭遇した際の支援を目的とした公的な保険で、企業がこのうちの一部または全額を負担します。
社会保険は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険を指します。
子ども・子育て拠出金とは、児童手当や子育て支援事業、仕事と子育ての両立支援事業などに充当される税金のことです。
厚生年金の適用事業所の事業主が、厚生年金に加入している従業員全員分の給与の0.34%を国に納め、従業員の負担はありません。
法定外福利厚生は、法定福利厚生の他に、企業が独自で定めた福利厚生のことで、金銭面の援助だけでなく、従業員の働きやすさやモチベーション向上を助ける要素を持つものが多いことも特徴です。
法定外福利厚生の従業員1人1か月当たりの費用の平均は、2019年度は24,135円となりました。(引用元:日本経団連『第64回福利厚生費調査結果報告』)
法定外福利厚生の運用方法は、大きく分けて自社運用と福利厚生代行サービスの利用の2種類あります。
自社で運用する法定外福利厚生は大まかに8程度のカテゴリーに分けられます。
日本経団連の第64回福利厚生費調査結果報告によると、このうち最も高い割合を占めているのが、48.2%で住宅関連の法定外福利厚生費でした。
ここでは、各カテゴリーの代表例と従業員1人当たりの平均利用金額を以下にまとめます。
データ参照元:「一般社団法人日本経済団体連合会」公式HP『第64回福利厚生費調査結果報告』
最も多いのは、住宅関連の11,639円、次いで通勤関連の8,669円となっていますが、住宅関連費は、2000年以降減少に転じています。
一方、医療・健康、介護に関する費用は、近年増加傾向にあり、少子高齢化社会の影響を受けていることがわかります。
福利厚生代行サービスとは、企業の福利厚生を代行する業者・サービスのことで、自社向けの福利厚生の構築・運用を一括で代行してくれます。
福利厚生代行サービスには、パッケージ型とカフェテリア型の2種類あります。
パッケージ型は、従業員1人につき定額料金を支払い、パッケージ化された福利厚生を受けることができるプランです。
プランの内容は、予め決められているため、個人の希望に沿わない場合もあります。
カフェテリア型は、選択型の福利厚生プランで、従業員は会社から支給された補助金の範囲で、好きな福利厚生を選んで利用することができるプランです。
具体的な福利厚生代行サービスについては、以下の記事で詳細をご確認ください。
昔から人気の住宅手当や資格支援などの福利厚生の他にも、現在は様々な福利厚生があり、従業員からも人気を集めています。
この章では、そのうちのいくつかをご紹介します!
昔から定番の福利厚生の1つである社食ですが、最近では、ただ安いだけではなく、健康的で質の高い食事を食べたい時にいつでも食べられるということがポイントになっています。
新鮮な野菜や手作りの味の総菜が、社内の冷蔵庫に届いて、好きな時に好きなだけ安価で食べられるというスタイルが流行っています。
以下の記事では人気の社食サービスを比較していますので、ぜひ参考にしてみてください!
働き方改革やコロナの大流行に伴い、リモートワークが一般的になった企業も多いでしょう。
これまでのように出社や外出前提の福利厚生では充分に活用できないこともあるため、リモートワークに対応可能なプランがあるかがポイントになっています。
例えばビジネス向けSNS運営企業のWantedlyの提供する『Perk』もサービスもその一つで、在宅中でも、一人ひとりが、暮らしや仕事環境を豊かにする好きなサービスを利用できるカフェテリア型サービスです。
2018年に、総合人材サービス企業、マンパワーグループが行った調査によると、「あったらいいなと思う福利厚生」「あって良かったと思う福利厚生」で、トップ2に選ばれたのは、「住宅手当・家賃補助」と「食堂・昼食補助」の2つでした。
生活から切り離せない費用を抑えられることは、従業員にとっては大きなメリットになるようです。
自社の状況や予算にあった、従業員にとって優先順位の高い福利厚生の種類から導入してみてはいかがでしょうか。
画像出典元:pixabay、O-DAN