オフィス移転は非常に大がかりで多額な費用が必要となります。
そのため、移転担当者は移転がスムーズに進むよう多くの事項を決めていくと同時に、費用の予算組みをする必要があります。
しかし、予算組みと言ってもどのくらいの費用がかかるものなのでしょうか。
オフィス移転にかかる費用項目・相場について、「現オフィスでかかる費用」「新オフィスでかかる費用」「引越し費用」「その他の費用」の4項目にわけて詳しく解説していきます。
このページの目次
オフィス移転が決定し移転の予算を決める際、何にどれくらいの費用がかかるものなのかなど、あらかじめ移転費用の相場を知っておくと、予算を組む際よりスムーズに行うことができます。
なお、オフィス移転にかかる費用として大きく4つに分けることができます。
「現オフィスでかかる費用」「新オフィスでかかる費用」「引越し費用」「その他の費用」の4項目です。
現在使用しているオフィスについては「原状回復費用」と「廃棄物の処理費用」が主な費用となってきます。
現在契約している物件(オフィス)を解約する際、契約した当初と同じ状態へ戻さなければなりません。このように契約時の状態へ戻す工事のことを「原状回復工事」と言います。
ちなみに原状回復工事は、一般住居・事務所契約(事業用)関係なく、いずれも退去時には必ず行うもので、工事費に関して一般住居の場合は貸主と借主の双方が分担し、一方の事務所契約(事業用)の場合は全て賃借人負担となるケースがほとんどです。
次に原状回復工事の費用相場ですが、原状回復工事費は物件の広さなど規模によって異なり、工事費用の目安としては10坪から50坪の広さで2万~5万円/坪、それ以上だと5万~10万円/坪が相場です。
ちなみに、現在建設業界では人手不足が進んでいる一方で、工事の発注件数が増えているという状況にあります。
したがって、原状回復工事費用も数年前に比べて全体的に高騰していると言われています。
原状回復工事の予算を組む際は、少しゆとりを持って計算をすると良いでしょう。
オフィス移転では古くなったデスクやイス、書棚にOA機器など、あらゆるものが不用品として大量に発生することが考えられます。
こうした不用品を廃棄物として廃棄業者に処分を依頼すると廃棄処理費がかかります。
その場合の廃棄物処理費用の相場は2トン車1台分で約7万~8万円、4トン車1台分で約10万~15万円です。
※廃棄物処理を外部委託する場合は許可業者と委託契約書を締結し、マニフェストを交付する必要があります。正しく処理されなかった場合、責任を問われる可能性もあるためルールに従って処理を行いましょう。
もし不用品が出た際に、まだ十分に使えそうなものだと感じた場合は、一度リサイクルショップで引き取ってもらえるか相談してみるもの良いでしょう。
新オフィスでは、新しい物件の契約費やオフィスレイアウトに伴う内装工事費、オフィス家具など什器の新規購入費などがかかってきます。
一般的に賃貸物件を借りる場合、
賃貸契約を交わす際は上記のようなイニシャルコスト(初期費用)が必要です。
このイニシャルコストは事業用物件になると一般の住居よりも高額になるということを知っておきましょう。
なお、賃貸契約に伴うイニシャルコストの一般的な目安は下記のとおりです。
賃料の滞納、もしくは賃借人の過失によって物件に損害を与えたなど、万が一の時の担保として契約時に物件管理者に支払うのが敷金(保証金)です。
なお事務所物件として契約する場合、敷金(保証金)の費用目安は、賃料の6ヶ月~12ヶ月分が一般的です。
礼金は物件を契約した際、賃借人がその物件のオーナーに対してお礼という意味で支払うお金のことで、費用の目安は賃料の1ヶ月~2ヶ月分です。
なおこの礼金に関しては、アパートやマンションなど一般住居の場合で多く発生するもので、賃貸オフィスなど事業用(テナント)では礼金が発生することは少ないです。
ただしオフィス物件でも、物件によっては礼金が発生するケースもあるので、礼金に関して事前確認が必要です。
契約時に入居を始める当月の家賃を支払うことです。
たとえば3月に物件の契約を済ませ、4月から入居し始めるとすると、4月に支払う賃料を前もって契約時に支払います。
また、月の途中から入居する場合は、その月の残り日数を日割りで計算した額と翌月分の家賃を同時に支払うといったケースが多いです。なお共益費も同様です。
万が一火災が発生した場合、借主は貸主に対して損害賠償責任を果たさなければなりません。
そういった万が一に備えておくのが損害賠償火災保険で、契約時には加入が求められます。
なお、加入する保険内容によって費用が異なってきますが、相場としては2~3万円となっています。
オフィスの契約が成立した際、その物件を紹介してくれた不動産会社に支払う手数料のことを仲介手数料と言います。
この仲介手数料は、宅建業法にて家賃の1ヶ月分が上限であると定められています。
画像出展元:「HATARABA」公式HP
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新しいオフィスのスペースに併せてデスクを並べるだけの単純なレイアウトであれば、内装工事も最小限に抑えられますが、会議室などの個室やエントランススペースなどを検討しているのであれば、それに併せた内装工事が必要となります。
どのようなオフィスレイアウトにするか、によっても費用も大きく異なるので一概には言えませんが、一般的には内装工事費の相場として1坪あたり10万〜30万円程度が目安となっています。
移転するオフィスが比較的小規模で、社員それぞれ協力し合いながら荷物を移動させることが可能であれば、荷物を運ぶレンタカー代くらいで済みます。
しかしながら、やはりそういったケースは考えにくく、オフィス移転は引越し業者に依頼するケースがほとんどです。
なお引越し費用の相場は、引越し作業員1人に対して約2万~5万円、そしてトラックは2トン車1台分で約8万円前後、4トン車の場合だと1台分で約12万~15万円前後が目安です。
また、オフィス移転は 1月~3月・9月~12月がもっとも多く行われる時期です。
そのため、どの引越し業者も年間を通してこの時期がもっとも繁忙期とされ、仮にこの繁忙期に引越しを依頼するとなると、人件費やトラック代など引越し費用が通常よりも1.1~2倍程度まで上がる可能性があります。
オフィス移転の際、引越しにかかるコストをできるだけ安く抑えたいという場合は、あえて繁忙期を外したスケジュール組みをすると良いでしょう。
その他の諸経費とは、オフィス家具など什器の新規購入や取引先などへの移転告知・印刷物の修正費、関係官庁への届出書類代書費用などの費用が含まれます。
新しいオフィスに併せてデスクやイス、OA機器、書棚にロッカーなど、様々なものを新しく購入するといったことが考えられます。
こうした什器・OA機器などの購入費用としての目安は、社員一人あたり約10万円が相場となっています。
オフィス移転を行なえば当然住所が変更となります。そのため、取引先などへ住所が変更となった旨を知らせる挨拶状を印刷し発送する必要があります。
また、会社案内のパンフレットや名刺、封筒など、旧住所が記載されているもの全てを新住所に修正しなければならず、修正費用としては社員一人あたり約1万~2万円が目安となっています。
オフィス移転をした際は、変更内容を記載した届出書を「税務署・法務局・官公庁・社会保険事務所」など、各機関へ提出しなければなりません。
このうち、法務局にて本店移転登記をおこなう際に登録免許税という費用がかかります。
この登録免許税は、法務局の管轄が変わらない場合は3万円、法務局の管轄が変わる場合は6万円がかかります。
※参考:法務局の管轄
このオフィス移転に伴う本店移転登記に関する手続きは、行政書士や弁護士など専門家に依頼するケースが多く、専門家に依頼した場合は約10万~20万円の費用が必要です。
確かに本店移転登記の手続きは手間のかかることですが、自分たちで手続きすることは可能です。そのため、少しでもコストを安く抑えたいという場合は、専門家に依頼せず自分たちで行うようにすると良いでしょう。
また、独力で手続きをする方におすすめなのが、オンライン登記書類作成サービスです。
登記書類の作成に特化しているため、書類作成にかかる労力が抑えられ、そして専門家に依頼する場合よりも安く費用をあげられます。
例えばこちらの「AI-CON登記」であれば移転に伴う登記変更にも対応しており、専門家に依頼する場合の相場と比べて約1/4の費用で登記書類を作成できます。
今回は、オフィス移転においてどのくらいの費用がかかるのか、また見積もりに使える費用項目・相場を紹介してきました。
今回ご紹介した項目に沿っておおよそいくらかかるか計算したものが以下の表になります。
少なく見積もっても3,000万円近くかかることがわかります。
このようにオフィス移転ではやるべきことが非常に多いだけではなく、様々なところで多額の費用がかかってきます。
会社の規模やオフィスの条件などによって費用は異なってきますが、仮に小規模であっても数百万単位の費用は必要になってきます。
そのため、オフィス移転の予算を組む際は社内でじっくり検討し、無駄のないオフィス移転を実行してください。
オフィス移転を安くおこなうためのポイントについては、以下の記事で解説しています。
また、オフィス移転のやるべきこととその流れについては、以下の記事で解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
画像出典元:o-dan
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