スタートアップのオフィスにおすすめなのが、近年注目度が高まっている「フレキシブルオフィス」です。
「コストの低さ」「柔軟性の高さ」を両得できるオフィスは、より上のステージを目指すスタートアップのニーズにぴったりとマッチします。
スタートアップにおすすめのフレキシブルオフィスの種類やメリット・注意点、さらにはオフィス選びのポイントや事例を紹介します。
このページの目次
フレキシブルオフィスとは、コワーキングスペースやシェアオフィス・レンタルオフィスなどの総称です。
契約スタイルが多彩であることが特徴で、スタートアップの企業規模や予算にマッチしたオフィスが見つかります。
2022年に「ザイマックス総研」が行った調査によると、東京23区内のフレキシブルオフィスの総拠点数は1,260件に上ることが分かりました。
2012年の59件と比較すると、10年で20倍以上となっている計算です。
自由なスタイルで展開するスタートアップは、従来の型にはまらない経営スタイルを取るところが少なくありません。
「フレキシブルオフィス」という新しいオフィス形態とは、特に相性がよい傾向があります。
参考:フレキシブルオフィス市場調査2023 | ザイマックス総研の研究調査
一口にフレキシブルオフィスといっても、種類はさまざまです。それぞれの形態の特徴を見ていきましょう。
サービスオフィスとは、賃貸ビルの1室をオフィスとして借り上げる形態です。
オフィスの内装や設備はビジネス仕様に整っており、受付でコンシェルジュサービスも受けられます。
施設内では会議室やラウンジなどの共有スペースはもちろん、ビジネスをスムーズに展開する上で必要なさまざまなサービスが提供されます。
サービスオフィスの特徴は、郵便物の受け取りから電話対応・清掃まで依頼できる点です。
スタートアップの中には、人的リソースの不足に悩む企業も少なくありません。サービスオフィスを活用すれば、自社リソースを温存できます。
シェアオフィスとは、オフィス仕様に整えられた空間を複数の企業や個人で共有する形態です。
従業員の人数や作業規模に合わせてスペースを借りられるので、ムダなスペースにコストをかける必要がありません。
他の企業との距離も近く、ちょっとした雑談が新しいアイデアや企画につながるケースもあります。
シェアオフィスによっては、サービスオフィスと同様に郵便物の受け取りサービスやバックオフィス業務を依頼することも可能です。
コワーキングとは、「Co」(共同)+「Working」(働く)をカタカナ書きしたもの。
「共同で働く」という意味のとおり、オープンスペースを複数人で共有するオフィス形態を指します。
シェアオフィスとの違いは、「個人や小規模の企業に適している」点です。
コワーキングスペースはシェアオフィスよりもコミュニティ色が強く、ユーザー同士の距離がより近い傾向があります。
コワーキングスペース内は基本的にフリーアドレス制で、その日の気分で作業場所を選べます。リーズナブルな料金体系のところが多く、短期の利用も可能です。
レンタルオフィスは、サービスオフィスとほぼ同義です。レンタルオフィスでは、ビジネスに必要な環境が整った専用個室をレンタルできます。
サービスオフィスとの違いは、機能のシンプルさです。レンタルオフィスは必要最低限の施設・サービスに留まるケースが多く、サービスオフィスほど快適性やデザインにこだわりがありません。
「自社だけで使えるスペースがあればよい」と考えるスタートアップなら、より安価でシンプルに使えるレンタルオフィスがおすすめです。
バーチャルオフィスとは、文字通り「仮想の」オフィスです。
バーチャルオフィスが活用されるのは、「実質的な作業スペースは不要だが、事業用の住所は欲しい」というケースです。
例えば法人登記などで事業所の住所を記載する場合は、バーチャルオフィスの住所を利用できます。
このほか銀行口座開設や社会保険加入時に事業所の住所を記入する場合も、バーチャルオフィスの住所によって体裁を整えることが可能です。
スタートアップがフレキシブルオフィスを利用することにより、コスト面・効率面のメリットがあります。具体的に見ていきましょう。
利用するオフィスにもよりますが、フレキシブルオフィスなら賃貸オフィスを借り上げるよりも安価です。
固定費の負担が減り、利益率向上につなげられます。
またフレキシブルオフィスでは、ビジネスに必要なオフィス機能は完備されていることがほとんどです。
新規移転するときも、家具や設備を一からそろえる必要がありません。最低限の設備投資で快適性・利便性を確保できるのは大きな魅力です。
フレキシブルオフィスなら、企業のフェーズにマッチしたスペースを借りられます。
起業したてで社員が数人の場合は、広いスペースは必要ありません。
一方で経営が軌道にのって企業規模が大きくなれば、より広いスペースが必要です。
賃貸オフィスの場合は引っ越しの検討が必要な場面でも、フレキシブルオフィスなら契約プランの変更で済みます。
会議室や個室のオプションを付ければ、オフィスでの会議や商談も可能です。
フレキシブルオフィスの中には「好立地」「おしゃれなデザイン」「最新のオフィス設備」という特徴を持つものが少なくありません。
「きれいなオフィスで働ける」「柔軟な働き方ができる」ということが大きなアピール力につながり、応募者を集めやすくなります。
またフレキシブルオフィスなら、賃料が高い人気エリアにオフィスを構えることが可能です。
ステークホルダーによい印象を与えやすく、資金調達や商談が有利に進むケースもあります。
フレキシブルオフィスを利用するのは、スタートアップやベンチャー企業が多い傾向です。
同じような規模・フェーズの企業が集まりやすく、刺激を受けながら働けます。
また共有スペースが設置されているフレキシブルオフィスなら、他社の社員と交流する機会も豊富です。
中には入居者を対象としたイベントが行われるオフィスもあり、他の企業の社員と親しくなるチャンスがあります。
スタートアップ同士でケミストリーが起これば、ちょっとした雑談がコラボレーションや協働イベントにつながるかもしれません。
フレキシブルオフィスなら、新たなビジネスチャンスの創出が期待できます。
スタートアップがフレキシブルオフィスを利用する際は、セキュリティや業種との相性に注意しなければなりません。
それぞれのポイントについて詳しく紹介します。
フレキシブルオフィスは複数の企業が同居しており、人の出入りも盛んです。
プライバシーやセキュリティ意識は、常に高く保つ必要があります。
入居する際は、企業秘密の扱い方・個人の身の回り品の保管方法などについて厳密なルールを作成しましょう。
フレキシブルオフィスは、業種によっては適しません。
「大きな音が出る」「光が出る」「真っ暗闇で作業する必要がある」…、このような業務を伴う業種は、他社に迷惑をかける恐れがあります。
審査の時点で入居を断られる恐れがあるでしょう。
また業務上、専門的な器具や特殊な機材が筆ような業種も、フレキシブルオフィスを借りにくいかもしれません。
利用規約や条件はオフィスによって異なるため、事前の相談が必須です。
スタートアップがフレキシブルオフィスを選ぶときは、立地やセキュリティ・コストのチェックがマストです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まず重視したいのがオフィスの立地です。
公共交通機関の駅が近いと、社員の通勤が楽になります。通勤にムダな時間や体力を消費せずに済み、働くモチベーションが下がりません。
企業全体の労働生産性の向上が期待できます。
また企業の住所は、ブランディングの上でも重要です。一等地や人気エリアにオフィスを構えれば、取引先や顧客からの安心感を得やすくなります。
企業イメージを重視したいスタートアップは、オフィスの場所にもこだわるのがおすすめです。
ただし人気が高く好立地の場所ほど、賃料は高くなります。固定費が上がり過ぎないよう、収支のバランスを重視してください。
先述のとおり、フレキシブルオフィスによってはセキュリティの不安があります。
オフィスがどのようなセキュリティ対策を講じているか、しっかりとチェックしましょう。
チェックしたいセキュリティ対策は「物理的なセキュリティ」「ネットワークのセキュリティ」の2つです。
物理的なセキュリティとは、防犯カメラや警備員の配置などを指します。人の出入りや盗難などに対し、どのような対策が行われているかを確認してください。
一方ネットワークのセキュリティとは、SSIDと暗号化キーが設定されているかどうかです。
ネットワークから情報を盗まれるケースもあるため、インターネットのセキュリティ対策は非常に重要といえます。
オフィスを借りる際は、初期費用はもちろん、ランニングコストまでしっかりと概算を立てましょう。
スタートアップなら、少しでも多くの資金を企業成長のために回したいものです。固定費はなるべく低く抑え、ムダを省かなければなりません。
フレキシブルオフィスの契約で必要な費用は、契約料や前払い賃料です。
オフィスによっては事務手数料や保証料が発生することもあるので、詳細を確認してください。
またオプションサービスを利用すると、別途サービス費がかかります。
オフィスのサービスを利用した方が安価なケース・外部サービスを利用した方が安価なケースがあるので、しっかりとシミュレーションするのがおすすめです。
ここからは、実際にフレキシブルオフィスを利用するスタートアップ各社の事例をご紹介します。
対象となるフレキシブルオフィスは、三井不動産31VENTURESが東京の「イーストサイド」に立ち上げた、「startup workspace THE E.A.S.T.」。
コワーキング、シェア、プライベートからなる3つの入居プランをそろえた、スタートアップのためのワーキングスペースです。
startup workspace THE E.A.S.T.を利用する企業の声をチェックしていきましょう。
動画マーケティングや動画企画・制作、さらにはさまざまなメディア運営を積極的に展開している「株式会社CACTAS」。
五反田のオフィスから、日本橋の「startup workspace THE E.A.S.T.」へと移転しました。
移転の決め手は、「スタートアップとしてさらに成長できる環境があったこと」。
THE E.A.S.T.にはスタートアップをサポートする担当者が常駐しており、支援を受けやすい体制が整っています。より上のステージを目指すバックアップがあるのは、スタートアップにとっては大きなメリットです。
「きれいなオフィス」「日本橋という好立地」により企業イメージもアップし、オフィスの移転が採用力強化アップにもつながりました。
※株式会社CACTASは、現在は他のオフィスに移転済
ウェブサイト、ウェブコンテンツの企画、デザイン、制作を手掛ける「ファンタラクティブ株式会社」。
渋谷のオフィスから、日本橋の「startup workspace THE E.A.S.T.」へ移転しました。
ファンタラクティブ株式会社が魅力を感じたのは、多彩な働き方に対応できるフレキシブルな仕組みです。
THE E.A.S.T.なら必要に応じて会議室やブースを利用できる上、出社メンバーの数に併せて利用スペースを増減できます。
「その日、自分が最も幸せに感じる働き方を選択する」という企業理念の実現につながるとして、選択の決め手となりました。
きれいなオフィスへの移転は、社員のモチベーションアップにもつながったとか。
固定費は以前の1/3にまでカットでき、THE E.A.S.T.がスタートアップにとって理想的な環境であることを実感しているそうです。
オンデマンド型シャトルサービスを展開する「株式会社NearMe」。
企業の成長によるスペース不足を解消すべく、日本橋の「startup workspace THE E.A.S.T.」を選択しました。
さまざまなオフィスを検討した中決め手となったのは、THE E.A.S.T.の設備バリエーションの豊富さです。
必要に応じて使えるスペースが多いことから、今後企業が成長しても柔軟に対応できると判断されました。
また他のスタートアップ経営者と出会えたことも、THE E.A.S.T.に移転してよかったことの一つなのだとか。
経営者として同じステージの人が近くにいるのは心強い上、企業を展開していく上での大きな刺激となっているのだそうです。
スタートアップがフレキシブルオフィスを選択するメリットは、コストを抑えられること・スペースの融通が利きやすいこと。
人気の場所・エリアでも比較的安価に借りられるため、通勤しやすい・企業イメージがアップするなどのメリットもあります。
企業の状態に合わせた柔軟な借り方ができるフレキシブルオフィスは、スタートアップのニーズ・企業形態との相性が抜群です。
オフィス選びに悩んでいるスタートアップは、ぜひフレキシブルオフィスも選択肢に加えてください。
またこのたびご紹介した「startup workspace THE E.A.S.T.」は、起業家・スタートアップが主役のフレキシブルオフィス。
スタートアップ向けに最適化された設備・仕様がそろっており、新しいアイデアを生み出すための戦略拠点にぴったりです。
日本の商業の中心地で新たなフェーズを切り開いていきたいスタートアップは、ぜひチェックしてみてください。
画像出典:O-dan
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