社内外から寄せられる問い合わせに対応する業務は、企業にとって非常に重要です。
ところが現場では、「業務範囲が広く対応が難しい」「問い合わせ件数が多すぎる」といった課題が散見されます。
問い合わせ業務に不備があると、顧客満足度が下がるだけでなく、業績にも悪影響が出る可能性があるため、課題を放置しておくのは危険です。
本記事では、問い合わせ業務の効率化について詳しく解説します。
効率化のコツやお役立ちツール、成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
問い合わせ対応は「社内」と「社外」の2種類に分類されます。
それぞれの内容について解説します。
社内からの問い合わせには以下のような内容があり、それに応じて人事や経理、総務といった部署が対応にあたります。
内容は多岐にわたるため、業務の停滞を回避するためにも迅速かつ正確な対応が求められます。
社外からの問い合わせ元は、主に顧客や取引先、株主などです。
カスタマーセンターやテクニカルサポートなどが対応します。
社外からの問い合わせには、商品やサービスについての正確な知識が求められます。
要望やクレームも多いため、新たな不満につながらないよう、対応には十分配慮する必要があります。
問い合わせ対応はその時だけでなく、後々までさまざまな影響を及ぼします。
続いては、問い合わせ対応がいかに重要かについて詳しく解説します。
問い合わせ窓口には、商品への不満や疑問、要望やクレームなどが寄せられます。
そのため、オペレーターの対応品質が顧客満足度に大きく影響します。
迅速かつ的確な対応ができれば、今後も自社商品を愛用してもらえたり、取引を継続してもらえたりする可能性が高まるでしょう。
しかし対応が遅く、ずさんな場合は、他社商品への乗り換えや、取引の打ち切りといったリスクが発生します。
問い合わせの中には厳しい意見もあり、対応に戸惑うこともありますが、その中には、自分たちだけでは気付けない盲点もあり、商品改善のヒントになります。
問い合わせを真摯に受け止め、分析することで新商品の開発やイノベーションにつながる可能性があります。
商品やサービスの品質だけで競合他社と差をつけることが困難でも、問い合わせ対応の品質で優位性を高めることは十分に可能です。。
とくに、アフターサポートを充実させると、商品の付加価値を高めることができます。
問い合わせ対応に注力すると、顧客満足度や商品・サービスの品質が向上します。
これによって、リピーターや新規顧客が増加し、最終的に売上の向上が期待できます。
問い合わせ対応は企業価値を高める上で非常に重要ですが、とくに社外からはさまざまな問い合わせがくるため、多くの課題を抱えています。
そこで本章では、社外の問い合わせ対応業務にありがちな課題について解説します。
問い合わせ対応は、社外からのさまざまな問い合わせに満遍なく対応しなければなりません。
しかし、商品知識やITスキルのアップデート、サービスルールの変更など、すべての分野を抜かりなく網羅するのは困難です。
誤った情報を提供すると、自社の信用を損なう可能性があります。
オペレーターの人数に対して問い合わせ件数が多いと、顧客を長時間待たせてしまうことになります。
とくに繁忙期、新商品発売日やイベント前後などは、その数が増加しがちです。
するとオペレーターの負担が増し、対応品質が低下するという悪循環に陥りかねません。
最近は商品の技術的進化に伴い、問い合わせ内容が複雑化する傾向にあります。
オペレーターに知見がない問い合わせは、他部署への確認など正しい情報の収集に時間を要するので、どうしても対応が遅れがちです。
その結果、「対応が悪い」「すぐに回答がもらえない」といった印象を与えてしまい、顧客満足度の低下につながります。
経験や資質に違いがあると、どうしても対応力のあるオペレーターに集中しがちです。
また、特定のオペレーターにしか情報共有できていない場合、一部のオペレーターが誤った対応をしてしまう恐れがあります。
問い合わせ対応が抱える課題を解決するには、業務の効率化を進める必要があります。
そこで以下の5つのコツを解説します。
問い合わせ業務の効率化には、「顧客の声=VOC(Voice of Customer)」の分析が有効です。
VOCを分析すると、顧客の疑問や不満、改善点などが浮き彫りになります。
その内容を参考にすれば、商品やサービスの品質が向上し、顧客の問い合わせにも的を射た対応ができるようになるでしょう。
結果として問い合わせ件数が減少するので、効率化が促進できます。
業務フローを見直すことにより、無駄なプロセスや改善点が見つかります。
見直しは、現在の業務フローをすべて書き出し、担当者全員の意見を吸い上げながら精査していきます。
それと同時にマニュアルも見直し、最新情報にアップデートできているか、情報共有が不足していないか、現実に即さないルールがないかなどを確認しましょう。
業務フローとマニュアルの改善が済んだら、対応品質を均一にするためにロールプレイング研修を行うのもおすすめです。
想定される問い合わせへの回答をテンプレートにしておくと、回答までの時間を短縮することができ、オペレーターの負担が軽減します。
履歴を残して共有できるようにしておくと、同様のケースやイレギュラーな問い合わせにも対応しやすくなり、対応品質の均一化も進みます。
チャットボットやAIによる自動応答サービスなどを導入して、一部の対応業務を自動化する方法もあります。
想定される質問への回答をプログラムしたり、AIに学習させたりすることでオペレーターを介さずに対応できます。
自動化で対応できない問い合わせのみ有人対応に切り替えると、オペレーターの負担が軽減するでしょう。
問い合わせは、電話、メール、チャット、SNSなど複数のチャネルから寄せられます。
チャネルごとに管理していると、満足な情報共有ができず、対応の属人化にもつながります。
その解決策として有効なのが、お問い合わせ管理ツールの導入です。
ツール上で全チャネルの問い合わせ情報と対応方法を管理できるため、対応時間の短縮化と対応品質の均一化を実現します。
問い合わせ対応を効率化するには、専用ツールを活用するのが有効です。
特におすすめの3つのツールを紹介します。
チャットボットは、ボットが自動で回答するシステムです。
あらかじめ想定される問い合わせに対する回答をプログラムしておくと、チャットが自動で応答します。
24時間・365日対応できるため、顧客はいつでも問い合わせることが可能です。
ボットが回答できない内容は、有人対応に切り替えるとよいでしょう。
作業効率化に加え、対応品質の均一化と人的コストの削減も実現します。
AI自動応答サービスとは、AIがオペレーターに代わり電話で対応したり、チャットで回答したりするサービスです。
電話は、AIが顧客の発話を自動認識して、プログラム通りに回答します。
問い合わせ内容を学習して、対応精度を向上できる点が大きな利点です。
有人のみで対応するより待ち時間を短縮でき、途中離脱による機会損失を防げます。
問い合わせ管理システムとは、問い合わせ業務を一元化できるサービスです。
電話、メール、SNS、LINEなど複数のチャネルを一元管理できるため、迅速な対応と、対応漏れを防ぐ効果があります。
サービスによって機能やコスト、UI、サポート体制が異なるため、自社に合ったシステムを選ぶ必要があります。
問い合わせ対応を効率化するには、いくつかの方法があります。
そこで、実際に効率化に成功した企業の事例を紹介しましょう。
法人の出張手配などを行う株式会社日本橋夢屋では、顧客からのメールを限られたスタッフが担当制で対応していました。
そのため、担当者が休みだと対応ができなかったり、対応件数の多さから残業が長時間に及んだりといった課題がありました。
そこで、これまで個人のメールアドレスで対応していたところを共有メールに変更。
すると「担当者じゃないとわからない」といった属人化が解消され、結果として月の残業時間を以前の4分の1に短縮できました。
参考:株式会社ラクス|個人のメールアドレスから共有のメールアドレスへ
社員の残業が1/4になったメール共有のメリットとは
情報通信機器販売サービスで全国展開する株式会社ベルパークでは、全国278店舗からの採用・人事・総務の管理業務に関する問い合わせを、ほぼ1つの管理部門で対応していました。
しかし、すべての問い合わせに対応するのは管理部門への負担が大きいため、AIチャットボットを導入。
電話対応数の削減に成功しました。
さらに、以前にはほとんどなかった「評価制度や昇格・賞与の基準」などに関する問い合わせが急増したそうです。
人事に気兼ねして質問できなかった潜在ニーズにも対応できるようになりました。
参考:株式会社マネーフォワード|人事・総務ボット「ベル助」が実現した業務効率化と新しい社内コミュニケーション
問い合わせ対応を効率化すると、顧客満足度が向上する上、業績アップも期待できます。
業務効率化のためには、問い合わせ管理システムやAI自動応答サービスといったツールを活用するのが有効です。
自社にとって最適な方法を見つけ、問い合わせ対応の効率化に取り組まれてはいかがでしょうか。
画像出典元:Pixabay