出資と融資の違いを表で解説!資金調達を成功させるポイントとは?

出資と融資の違いを表で解説!資金調達を成功させるポイントとは?

記事更新日: 2023/09/11

執筆: 編集部

会社を経営していると「設備投資」「運転資金」「業務拡大」と様々な場面でお金が必要になります。

全てを自己資金で補う事ができればいいのですが、実際そうはいきません。多くの企業は資金を調達するために「出資」「融資」を受けることになります

出資と融資はお金を調達するという点では同じですが、それぞれ違ったメリット、デメリットがあります。今回は出資・融資の違いについてわかりやすく解説します。

出資は会社に投資をしてもらうこと

出資とは会社に投資をしてもらうことです。出資の特徴は、出資として受け取ったお金を出資者に返却をする必要がないことです。

出資を受けた会社は受け取ったお金を返却しなくてもよく、このままでは出資者はただお金を投資しただけでは?と思ってしまいますが、出資者は会社の経営関与や配当金の請求を行う事ができます。

出資はお金だけでなく土地、建物、有価証券などの現物出資もあります。

融資はお金を借りること

融資とはお金を借りることです。融資の特徴は、借りたお金を利息と同時に返済する必要があることです。

融資は身近な例だと、車や住宅を購入する時のローンです。融資を受けて車や住宅を購入し、毎月元本と利息を返済します。

出資と融資の違い

出資と融資はそれぞれ違う事が確認できました。出資と融資双方の違いがメリット、デメリットになるのでまずは、それぞれの違いについて簡単にまとめてみます。

内容 出資 融資
返済の必要性 なし あり
利息 基本的にはなし 基本的にはあり
経営関与 あり なし
資金提供者に支払うべきもの 配当金 利息
支払うべきものの経費性 経費にはならない 経費になる
税金の影響 あり なし
担保・保証人 なし 基本的にはあり
資金提供者が重視すること 将来性 安定性(返済能力)

 

出資を受けるメリットとデメリット

出資と融資について簡単に確認をしたので、ここからは具体的に出資と融資双方のメリットとデメリットについて確認してみましょう。

まずは出資を受ける場合のメリットとデメリットからです。

出資を受ける場合の3つのメリット

出資を受けるメリットは主に3つです。3つのメリットを具体的にみていきます。

1. 返済の必要がない

出資は借金ではなく投資をしてもらう事です。借金ではないので返済をする必要がありません。

借金の返済や支払いに悩まされると、資金繰りがメインの仕事になってしまい経営者は十分な力を発揮する事ができなくなります。

出資は返済の必要がないため、経営者は元本や利息の支払いの資金繰りについて頭を悩ます事なく、利益を出すことに集中ができ、心にゆとりができます

2. 利息の支払いがないため利益を確保しやすい

1つ目のメリットの関連になりますが、出資は基本的に利息がありません。

利息の支払いがないという事は、支払利息分の経費が少なくなるため、利息分の利益を確保しやすくなります

3. 担保・保証人が不要

融資を受ける場合、通常は担保や保証人が必要になります。

その場合、経営者が保証人となる事が多いですが、個人が保証人となるため会社が返済できなくなれば保証人となった経営者個人が返済をする事になります。

しかし、出資の場合は担保や保証人が不要になります。

 

出資を受ける場合の3つのデメリット

「返済の必要がない」という出資ですが、出資にもデメリットがあるのでみていきます。

1. 経営が自由にできなくなる可能性がある

出資をしてもらうと出資を受けた会社は出資者に対して株式を交付します。日本の中小企業の多くは「経営者=株主」となっています。

会社の経営権は経営者のものではなく、株主のものです。そのため出資者に株式を交付した結果、経営者よりも出資者の方が株式保有割合(議決権割合)が多くなると、最悪の場合新しい株主に会社を乗っ取られてしまう危険性があります

議決権割合 主な権利の内容
10%以上 解散請求権
50%超 株主総会の普通決議を単独で成立可能(取締役の解任など)
66%以上 株主総会の特別決議を単独で成立可能(事業の全部譲渡など)

議決権割合による主な株主の権利は上記です。出資を受けた後に、新しい株主が50%超の株式を保有する場合は注意が必要です。

2. 税金が高くなる可能性がある

出資を受けるという事は、資本金が増加する事でもあります。資本金が増加すると税金にも影響が発生する可能性があるので、3つほど紹介します。

 (1) 均等割の増加
法人には所得がプラス、マイナスに関わらず発生する均等割があります。

均等割は資本金等の額や従業員数によって違いますが、資本金等の額が増加すると均等割の額も増加する事があります。

市区町村によって均等割の金額が違いますが、資本金等の額が1,000万円を超えると均等割が増えます

 (2) 800万円以下の交際費が損金不算入
交際費は年間800万円まで経費(損金)になるという話を聞いた事はありませんか?しかし、年間800万円の交際費が全額損金になるのは資本金が1億円以下の中小法人です。

 (3) 税額控除が使えなくなる
中小企業者等が機械等を取得した場合には、特別償却と税額控除のどちらかを適用する事ができますが、資本金の額が3,000万円を超える法人は税額控除を受ける事ができません




融資を受けるメリットとデメリット

出資のメリットとデメリットが確認できたので、次は融資のメリットとデメリットについて確認してみます。融資には出資と違うメリットとデメリットがあります。

融資を受ける場合の2つのメリット

融資を受ける場合のメリットは主に2つです。2つのメリットを具体的にみてみます。

1. 経営権を保持しながら資金調達ができる

融資は出資とは違いお金を借りる事です。融資の場合、お金を借りたからといって貸主に株式を交付する必要はありません。

そのため、現株主は融資を受けても株主構成が変わる事なく資金調達をする事ができます

2. 税金に影響がない

先ほど何点か紹介しましたが、出資を受けて資本金の額が増加すると有利な税制を受けられなくなる可能性があります。

しかし、融資の場合は資本金の額に変化がないため、有利な税制を引き続き適用する事ができます

 

融資を受ける場合の3つのデメリット

1. 返済が必要

融資は借金なので基本的に毎月決まった金額を返済する必要があります

資金に余裕がある時に返済をしたり、返済が滞っていると金融機関の印象が悪くなり、次回融資を受ける際に融資を受けられなくなる可能性があるので注意しましょう。

2. 利息が発生する

無利息で融資を受ける事ができれば嬉しいですがそんな事はありません。金融機関は無利息で融資をしても、最後まで返済されるか不明なためリスクしかありません。

そのため、融資を受けた場合は基本的に元本返済と同時に利息の支払いが発生します。支払う利息は経費になりますが、自己資金が十分であれば発生しない経費なので、その分利益が圧縮されます。

3. 担保・保証人が必要

起業してまもない法人は担保となるような土地や建物の不動産を持っていない事が多いです。そのため、プロパーで融資を受けることができない場合は保証人が必要となります

 

出資を受けるためには「将来性」がポイント

出資を受ける場合には将来性がポイントになってきます。

出資者が投資で利益を得るためにはどうしたら良いでしょうか?

出資者は投資の「配当金」「キャピタルゲイン」で利益を得ます。投資をした時の価額よりも、売却をする時の価額が高ければその差額が利益です。

「この法人に投資をしていれば将来株価が高くなるだろう」という将来性が見込めなければ出資を受ける事は難しくなります。

出資を受ける場合には「収益の見込み」「技術力」など、その企業の強みや将来性を出資者にアピールしましょう。

融資を受けるためには「安定性(返済能力)」がポイント

融資を受ける場合には安定性(返済能力)がポイントになります。

貴方がお金を貸す、貸した時に気になるのは何ですか?「貸したお金が全額戻ってくるか」ではないでしょうか?それは金融機関も同じです。

融資を受ける場合には机上の空論ではなく、根拠が示されて実現可能な事業計画書などで毎月安定して返済ができる根拠をアピールしましょう。

まとめ

出資と融資は双方にメリットとデメリットがあります。

出資は返済をする必要がない事が魅力的ですが、場合によっては会社が乗っ取られ取締役を解任させられる危険性があります。

一方、融資は株主構成が変わる事なく資金調達ができるので、融資後も引き続き自由に経営をする事ができます。

出資を受ける事によって、株主構成が変化し会社の経営が困難になっては意味がありません。それならば、毎月返済をしてでも融資で資金調達をする事をオススメします。

どうしても出資を受けたい場合は、出資後の議決権割合に注意をして、過半数を新株主が取得する事のないようにして出資をしましょう。

なお、資金調達の方法は出資・融資だけではありません。その他の資金調達方法については以下の記事でまとめているので、こちらもぜひ参考にしてください。

 

自社に合ったVC・投資家を効率的に見つけませんか?

起業ログを運営するプロトスター会社は、起業家が最適な投資家探しをしたいというニーズに応え、国内最大級の起業家・投資家検索サービスStartupList(スタートアップリスト)を提供しています。

StartupListでは、投資家の投資レンジや評価基準、過去の経歴等から自社に合った投資家を検索可能。StartupList上で、見つけた投資家とそのままコンタクトをとることもできます。

現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。

  

画像出典元:写真AC

この記事に関連するラベル

最新の記事

ページトップへ