【事例つき】電子契約が自治体で導入されている理由!メリットや注意点も解説

【事例つき】電子契約が自治体で導入されている理由!メリットや注意点も解説

記事更新日: 2026/09/15

執筆: 遠藤亜美

地方自治法施行規則の改正によって、電子契約の導入が全国の自治体でも進んでいます。

本記事では、自治体が電子契約を導入する背景やメリット、導入時の注意点をわかりやすく解説します。

 

電子契約の成果が出ている自治体の事例も参考にして、貴自治体でも導入を推進させましょう。

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電子契約の導入が自治体で進んでいる理由

まず電子契約の導入が自治体で進んでいる理由について解説しましょう。

具体的には、以下の4点が考えられます。

  • スマート自治体が推進されている
  • 地方自治法施行規則の改正
  • 電子契約可能な契約が多い
  • コスト削減の必要性

スマート自治体が推進されている

電子契約が自治体で進むのは、デジタル技術を活用し、自治体が担う業務の簡略化と効率化を目指す「スマート自治体」が、国をあげて推進されているからといえます。

スマート自治体が目指す姿は、具体的に以下の通りです。

  • 人口減少が深刻化しても、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供し続け、住民の福祉水準を維持できる
  • 職員を事務作業から解放することで、職員でなければできないコア業務に注力できる
  • ベテラン職員の経験をAIなどに蓄積・代替して団体の規模・能力や職員の経験年数に関わらずミスなく事務処理を行う

参考:スマート自治体研究会(※)報告書 ~「Society 5.0時代の地方」を実現するスマート自治体への転換~ 概要

この一環として電子契約が実現すれば、スマート自治化が大幅に進むのは火を見るよりも明らかです。

地方自治法施行規則の改正

2021年1月に地方自治法の同施行規則が改正されたことも、自治体による電子契約導入を大きく後押ししています。

この改正によって、主に次の3つが大きく変わりました。

事業者署名型電子契約(立会人型)が利用可能になった

改正された新しい施行規則では、これまで利用できなかった「事業者署名型(立会人型)」の電子契約が認められました。

事業者署名型電子契約とは、電子契約システムの事業者が立会人となって電子証明を発行し、契約が成立する仕組みです。

これにより、契約当事者がそれぞれ電子証明書を取得する必要がなくなりました

マイナンバーに基づく「当事者署名型」の電子署名が利用可能になった

「当事者署名型」とは、契約を交わす当事者がそれぞれ電子証明書を取得し、自ら署名を行う方式です。

認証能力が非常に高く、本人性や非改ざん性を強く担保できる一方で、電子証明書の取得やシステム利用のための手続きに手間とコストがかかる点が課題でした。

しかし、マイナンバーカードを利用した「当事者署名型」電子署名が導入されたことで、高いセキュリティが求められる契約にも電子契約が安心して利用できるようになったのです。

クラウド型電子署名で遠隔地でも契約可能になった

法改正により、自治体の電子契約に民間の事業者が介入できるようになったことから、クラウド型の電子契約も可能になりました。

クラウド型電子署名なら、複数の自治体や事業者と同時に契約を交わす際にも、物理的な距離に関わらず契約が可能です。

また、災害時や緊急時でも迅速に契約を締結できるため、地域住民へのサービス提供もスピーディーに対応できるようになりました。

電子契約可能な契約が多い

契約書は種類によって、電子化できるものとできないものがあります。

しかし、とくに以下のように自治体にとって頻度が高い契約形態が電子契約できるようになったことも、導入事例を増やす決定的な理由になっています。

  • 取引基本契約書
  • 秘密保持契約書
  • 雇用契約書
  • 労働者派遣契約書
  • 売買契約書
  • 請負契約書
  • 委任契約書
  • 業務委託契約書
  • 注文書・注文請書 など

コスト削減の必要性

総務省の統計によると平成7年には3,234あった市町村数が、平成26年には1,718(北方領土を除く)にまで激減しています。

その主な理由は財政難と人口減少による吸収・合併です。

しかも「日本の地域別将来推計人口推計」では、2040年までに、さらに896の自治体が消滅する可能性があると推計されています。

この現状を踏まえ、多くの自治体が抱える財政の危機的状況を改善するためには、電子契約導入をはじめとするDXの推進による大幅なコスト削減が求められているのです。

自治体が電子契約を導入するメリット

続いて、自治体が電子契約を導入するメリットについてさらに掘り下げていきましょう。

具体的には、主に以下の5点になります。

非来庁型のサービスを導入できる

これまでは窓口での書面契約が主流でしたが、電子契約を活用すれば、庁舎に出向くことなく、24時間いつでも契約手続きを行うことが可能です。

特に、高齢者や遠方に住む住民にとっては、来庁の負担が軽減され、自治体のサービス利用がより便利になります。

さらに、災害時や感染症の拡大などで対面の手続きが難しい状況でも、サービスの提供を続けることが可能です。

契約の効率化

電子契約では、多くの契約内容がデフォルト化されているので、契約書の作成や加筆・修正時間が紙に比べて大幅に短縮できます。

また、従来は契約内容の承認に、複数の機関や部署に書類を回す必要があり、そのすべてで署名、押印を経なければなりませんでした。

その点、脱ハンコやオンラインを活用した契約内容の承認作業の短縮化によって、契約プロセスを著しく効率化できるようになります。

文書の保管や管理がしやすくなる

自治体における契約書類の数量は膨大です。

それぞれに保管義務期間が定められているため、紙の契約書の場合は、大規模な保管スペースも確保しなければなりません。

特定の契約書類を探すのにも、大変な時間と労力を要する場合があります。

しかし電子契約になれば、電子データで管理できるので保管スペースも必要なくなるでしょう。

デバイス上で検索や閲覧もできるので、いちいち探す手間が省け業務効率化も実現します。

コスト削減

電子契約になれば、印紙が必要なくなりますし、書類の郵送も不要です。

よって電子契約を導入すると、印紙代、郵送費、印刷代、保管スペース代といったコストを大幅に削減できます。

コンプライアンスの強化

電子契約の導入は、自治体のコンプライアンス強化につながります。

紙の契約書には偽造や改ざんといったリスクが伴いますが、電子契約では電子署名とタイムスタンプの付与でリスク回避が可能です。

また、IPアドレスによるアクセス制限や特定の人に承認権限を付与できるため、契約書の情報が流出するリスクを減らすことができます。

また、誰がいつ契約書にアクセスし、どのような変更を加えたのかもデータ上に履歴が残るため、内部統制の強化にもつながる点がメリットです。

 

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自治体の電子契約システム導入事例

ここからは、実際に電子契約を導入した自治体の事例を具体的に紹介しましょう。

それぞれに明らかな成果が出ているので、ぜひ参考にしてください。

鹿児島県志布志市

もともとスマート自治体への転換に積極的だった志布志市は、2022年10月から庁内の一部で電子契約を導入。

翌年7月には、庁内全体で本格導入を果たし、約半年強の間に対象案件の約9割の契約を電子契約に切り替えることに成功しました。

導入直後は戸惑いの声も聞こえましたが、一件一件丁寧な説明を繰り返すことで確実に理解が進んだようです。

そして、来庁せずに契約がすむ利便性が、多くの事業者に大変喜ばれる結果となりました。

紙の契約の場合、印紙代や郵送代を含め1件あたり200〜数千円、ことによっては1万円超というケースもあったため、大幅なコストカットに成功しました。

参考元:「スマート自治体」を目指す志布志市、電子契約「クラウドサイン」で電子化率9割を達成 クラウドサインの適法性と丁寧な導入支援を評価

茨城県

業務のデジタル化に大変積極的だった茨城県は、全都道府県の中でもっとも早くに立会人型電子契約の導入に成功しました

2020年10月に事業者(立会人)署名型が可能となる法改正を、内閣府の規制改革推進室に要望。

翌1月に法改正が実施されると、同年5月末、いの一番に電子契約の導入を果たしました。

最初は、職員にもかなりの戸惑いがあったようですが、まず全体の2割に強い理解を促して、そこから自然に広がるという流れを目指し、見事に奏功します。

導入後2022年3月末までに、電子契約で対応する旨の公告を行った約1,700件のうち約1,200件を電子契約にできました。

印紙税と郵送代、事業者の交通費などのコストカットに加えて、事業者が間違った印紙を貼付していないかの確認作業が省けたことで業務負担も激減したようです。

参考元:都道府県で初めて立会人型電子契約サービスを導入した茨城県庁。スピーディーなデジタル化の成功要因は?

奈良県生駒市

奈良県生駒市は、2022年2月、関西圏においてごく早期の電子契約を導入

それ以前は、書面での契約が極めて非効率なうえ、長い者だと10年間の保管義務があるため、そのスペースの確保にも大変な負担がありました。

まず​​10の事業者との実証実験を始めたところ、削減できたコストは概算で以下のようになりました。

  • 生駒市→年間300万円以上
  • 事業者→年間5,300万円以上

また、作業短縮時間は、

  • 生駒市→約7,000時間
  • 事業者→約1万6,000時間

と、70~92%の削減効果があることが判明しています。

参考元:市で締結する全ての契約の電子化を目指す。手厚いサポートでスムーズな導入を実現。

愛知県豊田市

愛知県豊田市では、2023年4月から電子契約を導入しました。

まず、工事請負契約に限定してサービスをスタートします。

同年4月1日〜8月4日までで88件の契約締結があり、うち80%にあたる約70件が電子契約でした。

混乱を避けるために、あえて2段階でのスタートという方法をとり、工事請負契約以外の契約は同年9月1日から順次導入している状況です。

成果としては、以下のようなものがみられます。

  • 来庁する業者数が10分の1に激減
  • 導入後約半年で、16,000枚の用紙削減

参考元:事業者への粘り強い説明の成果もあり入札契約(工事請負契約)のおよそ8割を電子化

神奈川県茅ヶ崎市

神奈川県茅ヶ崎市は、2022年4月から電子契約を本格導入しました。

以後、工事請負契約・委託契約、賃貸借契約、製造請負契約などで積極的に電子契約を進めています。

導入から2023年8月までで、契約検査課の執行分だけで316件中284件と約9割が電子契約という普及ぶりを見せています。

すでに全庁では約1,000件の電子契約が締結されており、役所内の人件費が約230万円、印紙税が約275万円カットできました。

参考元:市民の安心安全に貢献する非対面・非来庁型行政サービスを実現

◾️電子契約の導入前に読んでおきたい記事はこちら!

自治体が電子契約を導入する際の注意点

実際に自治体が電子契約を導入する場合に、どのような点に注意すべきかについて解説しましょう。

ワークフローが変化する

電子契約を導入すると、それまでとはワークフローが大きく変化します。

よって、以下のような作業を適切に行う必要があるでしょう。

  • 最適な電子契約サービスを探す
  • システム導入の予算を確保する
  • 職員・スタッフへの研修

とくに電子契約システムは、機能や予算、規模感など諸条件に見合ったものを選択する必要があります。

またシステムの操作自体は、さほど難解ではありませんが、一部から導入への反対意見があるかもしれません。

その対策も、あらかじめ講じておく必要があるでしょう。

取引先の合意が必要

電子契約は取引先の理解がなければ成立しません

そのためには、メリットだけではなくデメリットも正直に伝えて、リスクへの対処法についてもきちんと説明しましょう。

取引先も人材教育や予算の確保、さらに導入までには一定の期間を要するはずですので、相手のペースを尊重して導入にまでこぎつけることが大切です。

電子契約できない契約がある

現行法では、電子契約できない契約があるので注意が必要です。

具体的には以下のようなものがあります。

  • 事業用定期借地契約
  • 企業担保権の設定または変更を目的とする契約
  • 任意後見契約書

上記の契約は、公証人を立会人とする公正証書の作成が義務化されているため、デジタルではなく紙の契約書でなければなりません。

 

◾️電子契約に関する注意点やメリットなど詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自治体におすすめの電子契約システム4選

ここからは、参考までに自治体におすすめの電子契約システムを4つ紹介します。

それぞれに特徴があるので、用途に合わせて適切なサービスを選択してください。

 

クラウドサイン

画像出典元:「クラウドサイン」公式HP

特徴

クラウドサインは、電子契約締結から契約書管理まで一貫したクラウド型のサービスです。

自治体でも多数の導入実績があり、2024年11月時点で250自治体を突破しています。

また、国の定めた情報セキュリティ評価制度であるISMAPに登録されているほか、LGWAN環境下で他システムとも連携できる点も特徴です。

料金

詳細についてはお問い合わせが必要です。

 

電子印鑑GMOサイン

画像出典元:「電子印鑑GMOサイン」公式HP

特徴

電子印鑑GMOサインは、月額費用と送信料が群を抜いて安いのが特徴で、自治体向けの料金プランも用意されています。

動画コンテンツ配信とセミナーを随時開催しており、メールやチャットでの問い合わせ、勉強会による導入支援も丁寧に行っているので安心です。

料金

  フリー ライト スタンダード ビジネス エンター
プライズ
月額基本料
(年間契約)
0円 8,800円 24,000円 要問合せ
ユーザー数 1ユーザー 無制限
送信数 月5件 無制限
署名タイプ 契約印のみ 契約印、実印
承認ワーク
フロー設定
紙文書電子化
操作ログで利用
状況可視化
承認フロー
の固定
延長タイム
スタンプ
1,000件/月 2,000件/月
無断アカウント
作成禁止

※税抜

 

DocuSign

画像出典元:「DocuSign」公式HP

特徴

DocuSignは、世界180ヶ国以上、100万社以上の企業で導入実績がある世界トップレベルの電子契約システムです。

ただし、公式サイトやマニュアルがすべて英語であることや、日本企業に比べてサポートが手薄な点には注意しましょう。

料金

詳細についてはお問い合わせが必要です。

 

Shachihata Cloud

画像出典元:「Shachihata Cloud」公式HP

特徴

Shachihata Cloudは、印鑑でお馴染みのシヤチハタ株式会社の電子契約サービスです。

ExcelやWordの書類フォーマットをそのまま利用できるので、業務フローをほとんど変えずに契約業務をデジタル化できます。

また、手持ちの印鑑をシステム内に登録することも可能です。

料金

詳細についてはお問い合わせが必要です。

 

電子契約サービスについて資料を請求する

まとめ

自治体にとって、DXは喫緊の課題です。

中でも電子契約は最優先課題の一つといえるでしょう。

コスト削減や業務効率化、ペーパーレス化、何より事業者の来庁回数も激減させることができるので、導入後のメリットは計り知れません。

記事内でご紹介したものをはじめ、自治体での導入実績がある優れた電子契約システムが数多くリリースされています。

それぞれの特徴を比較し、最適なものを見つけたら早速導入に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。

画像出典元:Pixabay

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