近年、企業が取り扱う業務の範囲が拡大したことで責任者が必要となり「C*O」と呼ばれる役職が増えています。
CSOもその中の1つです。
CSOって一体どんな役職なのか、実際にどのような業務を行っているのかなど、CSOという役職についてイメージが湧かないことが多いですよね。
本記事では、CSOの概要や設置する企業が増えている理由、業務内容・必要な経験について解説します。
このページの目次
ここでは、CSOの概要や企業での位置・おおよその年収について解説します。
CSOとは、Chief Strategy Officerの略で、日本語では「最高戦略責任者」です。
外資系企業に設置されていることが多く、CEOの右腕として活動します。
グローバル化が進む中で、CEOが対応しきれない業務を担うケースが多いです。
CSOを設置することで、企業戦略の立案を中心に業務を進められ、戦略に関する意思決定が速くなります。
企業においてCSOは、CEOの業務を補佐する位置です。
企業戦略を中心に、部門や部署の最適化を行います。
CEOに近い距離で業務を進めることから、副社長がCSOに就任することも多いです。
CSOはCEOと密に連携を取り、戦略的観点で企業の成長をサポートします。
CSOのおおよその年収は700万〜1,000万円前後です。
ベンチャー企業であれば、700万円前後、大手外資系企業では1,500万円以上が見込まれます。
CSOは経営戦略や企画立案、プロジェクトの立ち上げなど、企業の根幹となる業務を担う役職です。
そのため、CSOは既存の役職者が就任したり、「CSO候補」として求人募集されたりしています。
CSO候補として採用される場合は、おおよそ700万円前後の年収からスタートするケースが多いです。
外資系企業を中心にCSOは設置されていましたが、近年は日本企業にも増えています。
ここでは、CSOを設置する企業が増えている理由を3つ解説します。
CSOを設置していない企業の多くは、経営戦略を外部コンサルタントに外注していますが、近年、業務の多角化やIT・グローバル化により、企業戦略が複雑化しています。
中長期的に企業を成長させるためには、経営戦略を内製化したほうが効率が良いと考えるケースが多いのです。
経営戦略を内製化するためのリーダーとして、CSOを設置する企業が増えています。
CSOはCEO(最高経営責任者)と非常に近い距離で業務を進めるため、次期CEOの育成に最適なポジションです。
CSOはこれまでCEOが対応していた、具体的な経営対策や従業員のマネジメント業務を受け持つケースが多いため、効率的にCEOとしての能力を身につけられます。
大手企業の中にもCSOをCEO候補として育成し、その後CEOに就任するケースもあります。
CSOは企業戦略に関するトップであるため、スピード感のある意思決定が可能です。
CSOを設置しない従来までの体制の場合、各部門の決定権がCEOにあることも多く、意思決定に時間がかかっていました。
経営戦略に決定権があるCSOを設置すれば、CEOの意思決定を待たずとも、状況に合わせた対策がとれるようになるのです。
「CSOを設置する意味はわかったけど、具体的に何をする人なの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
続いては、CSOの業務内容を4つ解説します。
CSOは企業内でも重要なポジションなので、CEOや各部長との橋渡しを行います。
経営トップであるCEOが決定した経営計画をもとに、CSOが各部長と連携を取り、戦略を実行していきます。
CEOが対応しきれない業務をCSOがカバーする形です。
CSOは各部門の橋渡しだけでなく、自身もプロジェクトリーダーとして活動します。
戦略内容を深く理解したCSOがプロジェクトリーダーとして現場の指揮を取ることで、効率的に業務を進められるのです。
CEOと共に策定してきた経営戦略を実行するためには、CSOのようにCEOとの意思疎通がとれていることがカギとなります。
企業の中長期的な経営戦略の策定もCSOの重要な業務です。
例えば、新規事業の立案やメイン事業の規模拡大など、3年・5年・10年以上と、企業が成長するための戦略について検討します。
現状のプロジェクトを進めるだけでなく、企業の将来を見据えた戦略の立案もCSOの業務といえるでしょう。
策定した戦略の実行に向けた組織体制の構築も、CSOの業務の1つです。
具体的な戦略を立てたとしても、スムーズに実行できなければ意味がありません。
企業が抱えている課題や今後の成長に必要な問題に対処できるよう、CSOが組織を構築していきます。
各部門と連携し、従業員のモチベーション維持・課題の共有を行い、戦略実行に向けた組織作りが必要です。
C*Oは、CEOやCOOなど複数存在しているため、違いがわからなくなる場合も多いでしょう。
ここでは、「CEO」「COO」「CFO」の違いを解説します。
CEOとは、Chief Executive Officerの略で、日本語では「最高経営責任者」です。
取締役会によって就任が決定し、企業としての方向性や事業戦略についての決定権と責任を持ちます。
経営戦略における責任はCEOが負いますが、現場で戦略の決定・実行を行うのがCSOです。
CEOが対応できない部分をCSOが補佐する形となり、現場全体の戦略を最適化します。
COOとは、Chief Operating Officerの略で、日本語では「最高執行責任者」です。
COOの具体的な業務は、企業の営業内容によって異なりますが、CEOやCSOが決定した経営戦略を現場に落とし込み、業務の中核を担います。
CSOとの違いは実務の発生有無で、直接的な現場の指示はCOOが行うケースが多いです。
CFOとは、Chief Financial Officerの略で、日本語では「最高財務責任者」です。
CSOとは管理・責任を負う部分が異なり、CFOは企業の財政面の管理が主な業務です。
資金調達や運用・コストコントロールに関する責任を負い、CEOやCSOと連携して、事業資金の調整なども行います。
続いては、CSOになるまでに積んでおきたい経験を5つ解説します。
新規プロジェクトの発足や運営などの経験を積んでおくと、CSOとして活動しやすいです。
CSOは自身で立案したプロジェクトのリーダーとして活動することも多く、リーダー経験がなければ計画を完了させられない傾向にあります。
プロジェクトの運営を経験しておけば、現実的なスケジュール・予算感を持った上で新規プロジェクトの発足が可能です。
企業がプロジェクトを進める上では、予想外の課題も発生します。
プロジェクトを進めていくために、自社・取引先間で発生した課題の解決が必要です。
CSOとして活動するにあたって、プロジェクト進行中に発生した課題解決の経験が重要といえるでしょう。
CSOは複数の部署と連携を取りながら、新規プロジェクトの発足・運営を行います。
部署によって業務内容や発生する課題が異なるため、複数の部署を管理した経験があると有利です。
CSOとして就任した後、それぞれの部署の課題に対する理解や最適な回答ができなければプロジェクトを進めることはできません。
CSOには、組織・運営の改革経験も求められます。
新たに策定した経営計画を実行するためには、目的遂行に最適な組織作りが必要です。
所属部署の組織・運営改革を実施した経験があれば、策定したプロジェクトに合わせた組織構成ができます。
CSOになる前に組織作りや運営改革を経験しておくと、従業員の理解も得られやすく、経営計画の実行にも追い風となるでしょう。
CSOが立案した経営計画を実際に実行してくれるのは従業員ですから、あらかじめコミュニケーションをとっておきましょう。
日々従業員がこなしている業務の内容や必要な時間・コストを、コミュニケーションを取りながら確認し、データでは見えない気苦労なども把握します。
立案した計画をスケジュール通りに進めるためには、従業員からの理解が必要になるので、人として信頼されることも不可欠です。
続いては、CSOに向いている性格を3つ解説します。
CSOはCEOの補佐として活動することが多いことから、知識を選り好みせずに吸収する人が向いています。
CEOのみならず、さまざまな部署と連携を取る必要があり、特定の知識だけを吸収していては、コミュニケーションに支障が出てくるかもしれません。
経営計画の立案には、これまでの経験だけでなく幅広い知識も求められるので、多岐にわたって吸収する人がCSOには向いています。
CSOはCEOやCOO、複数の部署からの意見を聞くことが多いポジションなので、意見に偏りがない人が向いています。
複数の意見から1つの答えに導くこともCSOの業務です。
部署ごとに出た案を中立の立場でまとめて、最適な方向性に進めることができる人は、CSOに向いているといえるでしょう。
CSOには、状況に応じて的確で素早い意思決定が求められます。
CEOが確認するよりも前に、部門やグループ企業で発生した問題をスピード感を持って解決することが必要です。
各部門との連携を円滑に行い、現場の声を的確に拾い上げ、意思決定に結びつけられる人がCSOに向いています。
CSOは、CEOの補佐として活動し、中長期的な経営戦略の策定を実施する最高戦略責任者です。
多くの部署や役職者と連携しながら業務を進めるため、中立の立場で意見をまとめられる人が向いています。
経営戦略の内製化やスピード感のある意思決定を実行したい場合には、CSOの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
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