CDO(最高デジタル責任者)とは?企業のDX戦略での役割と必要性を解説!

CDO(最高デジタル責任者)とは?企業のDX戦略での役割と必要性を解説!

記事更新日: 2021/06/23

執筆: 佐藤杏

日本では、デジタル庁の新設や、「CDO」という役職を設置する企業や自治体が増えています。

この記事では、CDO( 最高デジタル責任者)の役割と必要性、求められるスキルについて解説します。

CDOの役割や権限は企業によって異なる部分はありますが「DX戦略の司令塔」であることは変わりません。

実際にCDOをおいている企業と自治体3例から、具体的なCDOの役割を紹介します。

この記事から今後のDX戦略におけるCDOの設置の必要性や役割が理解できます。

CDO( 最高デジタル責任者)とは

CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)とは、企業や組織でDX化・デジタル化など企業のデータ活用を推進する役割を担う役職名です。

CDOは、Chief Data Officer(最高データ責任者)の略としても使用されています。

この記事では、CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)を解説します。

CDOは「DX戦略の司令塔」

CDOは、一部署のリーダーではなく社内部署の垣根を越えた「DX戦略の司令塔」です。

デジタルやITなどのDX戦略を、社内デジタル化の延長戦上の戦略ではなく、会社や業界全体を巻き込んで行う必要性から生まれた役職です。

さらには、IT業界や国を越えたDX戦略から新規ビジネスにアプローチする戦略を行うために経営陣と一緒に動ける人材とされています。

CIO(最高情報責任者)との違い

CDO( 最高デジタル責任者) 自社のDX戦略の社内・社外の調整役と責任者
CIO(最高情報責任者) 自社のDX戦略に関する社内技術チームの調整役と責任者


CIO (Chief Information Officer:最高情報責任者)とは、社内ITシステムの管理・保守・運用を担当する、社内のITエンジニアの最高責任者です。

CDO(最高デジタル責任者)とCIO(最高情報責任者)は同じDX推進を担っていますが、役割が違います。

CDOにとってCIOは、立案したDX戦略のITやデータ戦略の実務に関する相談役です。

CDOが進めるDX戦略に「自社のITシステムやエンジニアで対応できるのか?対応するにはどうしたらいいのか?」を検討・統括する「DXの技術・実務側の最高責任者」がCIOになります。

CDOの具体的な役割

1:DX戦略の推進

CDOの役割は、自社のDX戦略の推進プロジェクト全体を統括することです。

DX戦略を進めるために必要な技術・予算・スケジュール・人材などを判断し、経営陣に説明・実行の責任をCDOが担っています。

DX戦略を促進するためにデータを活用しためマーケティングやビジネスを強化させて、DX化による業務改善と生産性向上のロードマップを策定します。

2:社内にDX戦略を定着させる

CDOには、DX戦略のロードマップを社内に浸透させて実行するチームの責任者です。

CDOは、アナログからデジタル・ビジネスへ転換するために社内組織の意識改革や変化を促進することを期待されている役割があります。

CDOはDX戦略に必要ならば、会社全体の組織改革にも関与するため、DX戦略チームのリーダーではなく経営者的な立場となっています。

3:DXを活用した新規ビジネスの進出

CDOは部署の垣根を超えてプロジェクトをまとめて、新規ビジネスの進出も視野に実行するため、リーダーではなく経営陣として扱われます。

自社が管理するデータを経営改革に役立つように運用する、ITやAIを駆使してDX戦略を進めて、新規ビジネスの進出をリードするのがCDOの役割です。

ITやDX促進のための新しいビジネス構築、などDXに関する包括的なコンサルタントを任されています。

CDOが必要とされる理由

1:DX戦略の重要性が高まっているから

CDOが必要とされる理由の一つは、DX戦略の重要性が高まっているからです。

Strategy&が2020年7月のCDO調査では、CDOという名の役職を設置した企業は回答全体の13%でした

ですが、DX戦略やデジタル部署を設置している企業47%あるため、どの企業もDX戦略の重要視しています。

DX戦略は、自社の強みを理解した上で、強みを活かした新規ビジネスモデルを作り出せるかを求められるため、専門知識と経験が必要なCDOの必要性が高まっています。

参考:2020年Chief Digital Officer(CDO)調査

2:DX戦略の方向性と責任を明確にするため

CDOが必要とされる理由に、DX戦略を強化していくうえで「責任と権限の所在を明確にする」があります。

IT部署のリーダーがCDOの役割をしても「他の部署の責任は他の部署」など全体的な責任がない事でDX戦略を強固な姿勢で促進できない可能性があります。

「DX戦略の運営と推進の責任=CDO」と明確することで、社内にもDX戦略を意識させるためにCDOを置く企業が増えています。

3:DX戦略に対応できる組織作りが急務

CDOの必要性は、DX戦略に対応できる組織作りが急務という点です。

日本が他の国に比べてDX活用が遅れている現状があり、DXやデジタルビジネスのスペシャリストを必要としています。

CDOという役職を置くことで、IT部署と兼任ではなく「ITやDXに対応できる組織作りに本腰を入れていく」ために必要な役職となっています。

CDOに必要な3つのスキル

1:デジタルマーケティングに関する知識

CDOはDX戦略の中心的な役割のため、デジタルマーケティングに関する知識は必須です。

エンジニアとしての高いスキルよりもデジタルマーケティングをDX戦略に活用した新ビジネスや新しい仕組みを提案・実行・定着させるスキルの方が重要です。

2:コミュニケーション能力

CDOは、DX戦略のために社内改革や他社や業界を含めた戦略を行うため、コミュニケーション能力が必要です。

CDOが策定したDX戦略のロードマップや計画は、CDO自身が行うことよりも、実務的なことは部下やチームメイトに入ってもらわなければなりません。

また、他社や業界とタッグを組むこともあるため、社内・社外でも円滑なコミュニケーションを築ける能力が必要とされています。

3:人材育成能力

CDOは、自身が考えたDX戦略プランを一緒に理解して実行するための人材育成能力が必要です。

自身のDX戦略に対して理解と同意を持ってチーム運営や片腕になってくれる人材を育成するスキルが求められます。

社内・社外でDX戦略の人材を増やすことで、戦略実行の促進と定着を図ります。

実際にCDOをおいている企業と自治体3例

味の素CDO 福士博司氏

2019年(令和元年)から味の素のCDOに福士博司氏が就任しています。

味の素のDCOの主な戦略は「既存事業組織にはない機能や弱い機能をDXで強化しな

がら、最終的には事業そのものを変革していくこと」と「働き方にDX戦略を取り入れ生産生徒効率化を図ること」としています。

参考:DXで企業価値の飛躍的向上を目指します。

住友商事株式会社CDO 南部智一氏

住友商事株式会社は、2019年4月1日付で新たな役職としてCDOを設け、南部智一氏が就任しています。

住友商事株式会社のCDOは「全社デジタル戦略の企画・立案・推進を担当する責任者として、グループ内外の人材を戦略的に投入し、「DXセンター」を統率と全社DX推進を含む既存事業変革、並びに新規事業開発の一層の推進」としています。

参考:Chief Digital Officer新設について

三重県の常勤CDO 田中淳一氏

三重県では、2021年4月に地方自治体で初の常勤CDOに一般社団法人ローカルソリューションズ代表理事の田中淳一氏が就任しています。

三重県の市町を含めた行政の変革のみならず、社会全体を巻き込んだDX戦略の取組を推進するため、デジタル社会推進局を設置し、常勤CDOが司令塔になっています。

知事直轄の独立した組織として設置されているのは三重だけで注目されています。

参考:デジタル社会推進局について

まとめ

CDO( 最高デジタル責任者)についてまとめました。

DX戦略では重要な役職であるCDOは今後も企業や自治体でも増えていくと考えられます。

CDOの設置やDX戦略に必要な人材について検討しましょう。

画像出典元:O-DAN

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