CCO(チーフカスタマーオフィサー)とは、簡単にいうと「顧客の満足度に対して最高の責任を持つ者」です。
「商品やサービス」中心の戦略から「顧客」を中心とした戦略へと転換が求められている現在。顧客の満足度向上を担うCCOは、より重要度を増しています。
今回の記事では、CCOはどんな役割を持っていて、なぜ設置されるのか。そして、どういった業務を行なっているのかを分かりやすく解説しています。
また、実際にCCOを設置した事例についても紹介しているので合わせてご確認ください。
このページの目次
CCOとはChief Customer Officer(チーフカスタマーオフィサー)の略で、日本語では「最高顧客責任者」と表されます。
簡単にいうと、顧客の満足度向上に対して責任を持つ役職のことです。
実は、CCOもCEOも、CxO(最高x責任者)の一つ。xの部分には業務や機能が入ります。CCOであれば「顧客」CEOであれば「経営」といった具合です。
他にも以下のようなCxO(最高x責任者)があります。
CCOという役職の歴史は浅く、世界のトップ企業1000社のうちCCOを設置している会社はわずか6.7%です。日本だと尚更耳にすることは少ないでしょう。
(参考データ:Chief Customer Officer Councill:http://www.ccocouncil.org/site/cco-study.aspx)
世界的に見ても普及しきっていないCCOですが、近年設置する企業が徐々に増えてきています。顧客体験を中心としたビジネス戦略が求められているからです。
商品を売って終わり、という考え方はすでに前時代的な考え方へと変わりつつあります。
CCOの役割を一言で表すと「顧客中心のビジネス戦略を考えて企業利益を最大化すること」です。少し抽象的で分かりづらいと思います。
そこで、CCOの役割を以下の4つに分けてみました。
1. 顧客に提供する価値の最大化
2. 顧客獲得のため分析・戦略立案
3. 戦略を社内で共有する
4. 顧客重視の姿勢を社内外で共有する
それぞれの内容を確認してもらえれば、CCOはどういった背景から求められ、どういった目的のために設置されているのかが分かります。
詳細は以下で分かりやすく解説しますね。
CCOの役割で1番大きいのは「顧客に提供する価値の最大化」です。顧客に提供する価値が向上すれば、企業の売り上げも増加します。
継続的に価値を提供できれば、リピーターを獲得したり、自社製品を選んでもらいやすくなるからです。
一例ですが、以下のような要素を検討することになります。
これまでは、サービスやモノを中心とした企業主観のビジネスがほとんどでした。良質な商品を作り、提供する。そこに価値の大部分を見出していたわけです。
しかし、接客や企業のサポートなどが口コミやレビューという形でシェアされるようになり、いい商品を売って終わりという時代ではなくなったのです。
顧客に提供する価値を最大化できるかが、CCO最大のミッションであるといっても過言ではありません。
顧客獲得のため、今後どのような動きをとれば良いかという分析&戦略を立案するのもCCOの役割です。部署やチームの垣根を越えて会社全体を見渡した戦略が必要になります。
例えば、顧客を収益性別に分けて、収益性の高い顧客に対してどのようにアプローチするか。収益性の高い顧客とはどういった客層なのかをといった分析を行い戦略を立てていきます。
役割的に、経営者と同じような目線で会社全体を見なくてはいけません。立案した戦略を進めるためのリーダーシップも求められるでしょう。
経営の目線から、顧客の分析や戦略の立案を行うのもCCOの役割です。
CCOは顧客中心の考え方を従業員にまで浸透させなければなりません。
CCOが顧客の声を汲み取って戦略を練っても、従業員にまで戦略やマインドが共有されていなければ本当の意味での変革は困難となります。
CCOは会社の内部から変革を起こすという役割も担っているわけです。
そのためにも、顧客に関する意見交換の場を作ったり、戦略を実行に移すためのサポートを施すなどもCCOには求められています。
CCOの設置自体が顧客重視をアピールしています。顧客重視の姿勢をアピールすることは、社内への影響はもちろん、社外に向けても重要な意味を持ちます。
社内に対する影響は、上記でも述べたとおり、顧客重視の姿勢や考え方を共有しやすくなる点です。これまでの会社方針とは全く異なるということを従業員に示すきっかけになります。
社外に対する影響は、企業イメージです。顧客を重視する姿勢を示すことは、会社のイメージを向上させる可能性があります。
特に、商品中心の経営方針を構築してきた企業にとって、CCOの設置は大きな意味を持つでしょう。CCOの設置そのものが、企業にとって重要な意味を持つのです。
次に、CCOは具体的にどういった業務を行うのかを紹介していきます。まず前提を確認しておきましょう。
企業ごとに、抱える課題は異なるので全てのCCOに当てはまる業務というのは存在しません。会社の実態に応じて、フレキシブルな対応が求められます。
それでも、CCOの活動事例から、共通する業務内容を見ることができます。今回は、代表的な業務を3つピックアップさせていただきました。
1. ミーティングによる意見交換の場を設ける
2. データ分析によって意思決定を行う
3. カスタマーサービスの改革を行う
詳細は以下をご覧ください。
CCOは顧客が何を求めているのかを正確に、網羅的に把握する必要があります。加えて、社内で顧客を中心とした文化を作り上げることも重要です。
実際に顧客と接している部署とミーティングして顧客の声を拾い上げるほか、違う部署同士で顧客に関するミーティングを行わせ顧客に対する共通認識を作り上げていきます。
顧客との意見交換の場を設けるCCOもいます。顧客の意見を取り入れることで、顧客中心の商品を開発していく訳です。
CCOはこういった「場所を作ること、仕組みを整えること」が重要な業務になってきます。
CCOは、従業員や顧客、あるいはデータなどからピックアップした情報をもとに今後、企業に必要となる動きを練っていきます。
例えば、データの内容から「顧客の維持率」に問題があると把握した場合、顧客の維持率を向上させるにはどういった取り組みが必要となるのか、といった戦略を立てていきます。
商品提供後のアフターサービスは今のままで良いのかといった具合に、ありとあらゆる面をデータ、数字、情報をもとに分析を行います。
データを分析し、戦略を立てることもCCOに任せられた業務の一つです。
CCOは社内のサービス提供体制に関して、具体的な改革を行うことになるでしょう。
例えば、カスタマーサービスはCCO設置後、改革の対象となる部門の一つです。
多くの企業に設置されているカスタマーサービスは、何か問題があった時に対応するといった「受け身」の姿勢をとっています。しかし、それでは顧客に価値を提供することはできません。
場合によってはカスタマーサービスの垣根を超えて、他の部署と同時並行して改革を行う必要も出てきます。
企業ごとにどういった動きを行うのかは異なるものの、サービスの提供体制にメスを入れるCCOは多いです。
次に、CCOの設置事例を見ていきましょう。今回はアメリカ企業を1つ、日本企業を2つ紹介します。
1. ウォルマート(アメリカ)
2. FORCAS(日本)
3. HiKOKI(日本)
詳細は以下をご覧ください。
2018年、世界トップ企業である「ウォルマート」にCCOが設置された事例です。ウォルマートは外部からCCOを任命しました。
ウォルマートは世界最大のスーパーマーケットチェーンです。つまり、世界を代表する「モノ」売り企業。モノを商品として取り扱っているウォルマートも顧客を中心とした会社経営に切り替えたのです。
任命されたCCOは、オフライン店舗とオンライン店舗をリンクさせることによる利便性を向上を図りました。結果として、この働きかけによりオンライン店舗の売り上げは43%増を達成。
CCO設置によって業績をさらに伸ばした代表的な事例です。
(参考:https://success-lab.jp/cco/)
FORCASはマーケティングに関するプラットフォームを提供する会社です。CCOを設置することで、顧客の意見を取り入れたサービス開発に乗り出しました、
具体的には、プロダクトの仕様やデザインの仕様をを顧客と一緒一検討するといった動きです。
以前までは、プロダクトの使用やデザインの使用は顧客の声はある程度反映しつつも、100%反映する形ではありませんでした。
CCOを設置して大々的な社内改革を行なった事例ですね。
(参考:https://success-lab.jp/cco-in-japan/)
株式会社ReproもCCOを設置しました。こちらもマーケティングプラットフォームを提供する会社です。
CCOのインタビューによると「徹底したクライアントファーストを追求する」「顧客と一緒に歩いていける環境を作っていきたい」と述べています。CCOの設置によって意識改革を図ろうとしているのがよくわかります。
今回紹介した、CCOの役割を明確に意識して就任した事例ですね。
(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000080.000013569.html)
ここからは、自社にCCOを設置すべきかどうかを3つの指標をもとに解説していきます。具体的には以下3つの指標です。
1. 顧客が何を求めているかという統一見解がない
2. 顧客を重視する文化が社内で共有されていない
3. 他社との差別化が難しいと感じている
会社には様々な部署がありますよね。もし、部署間で顧客に対する認識の違いがあるのならCCOを設置した方がよいかもしれません。
これまでも述べてきたとおり、商品が良ければいい。サービスが良ければいい。売れれば問題ないという時代は終わりました。
商品を購入する前の店員の対応、お店の雰囲気など、顧客の体験が重要視されているのです。
部署間の認識がずれていると、具体的な改革へスムーズに移行できないですし、そもそも改革の必要性にすら気づけないかもしれません。
顧客が何を求めているのかが社内で見えてこないのであればCCOの設置によって、社内の統一見解が出てくる可能性があります。
自社の都合ばかりを考えて顧客を重視する姿勢が共有されていないのであれば危険です。
CCOを設置することで、顧客に関して言及する文化が育まれるようにしましょう。
例えば、顧客のことを考える文化がないせいで目先の利益ばかりを追ってしまうかもしれません。
これでは、リピーターという重要な資産を逃す可能性があります。
顧客を中心とした文化を企業ないで育てたいのであれば、CCOの設置を検討していてはいかがでしょうか。
他社との差別化が難しいと感じていて売り上げが伸び悩んでいるのであれば、CCOの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
他社がCCOを設置していないということは、顧客対応やサポート体制の面で差別化する余地があるからです。
特に、CCOを設置している日本企業は少ないのでチャンスです。CCOの設置が差別化の糸口につながるかもしれません。
CCOの役割は、顧客の満足度を最大化することです。
従来の会社経営のように、商品やサービスに注力するだけでは、顧客の満足度を最大化することが難しい時代になりました。
CCOの設置は会社にとって重要な意味を持ちます。CCOの設置は会社が顧客重視のスタイルに変更するという意思表示でもありますし、根本的な変革を行うということでもあるからです。
CCOは会社全体で顧客重視の姿勢を持つために、部署やチームをまたいで環境作りを行わなくてはなりません。
顧客重視が常識となりつつある現代。今後、よりCCOの重要度は増していくでしょう。
画像出典元:o-Dan
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