契約書の保管期間は最長10年?法律上の保管期間とおすすめ方法

契約書の保管期間は最長10年?法律上の保管期間とおすすめ方法

記事更新日: 2021/11/19

執筆: 川崎かおり

契約書には法律で定められた保管期間があり、期間中の廃棄は違法です。

企業は増え続ける契約書を大切に保管しなければならず、契約書の保管業務が企業全体の業務効率を落としているケースも少なくありません。

契約書の業務負担が大きくなっている企業は、効率的な保管を実践し、会社のリソースを温存しましょう。

契約書の保管期間や保管方法、さらには契約の効率化に有益な電子契約のメリット・デメリットを紹介します。契約書保管の負担を軽減すれば、業務のムダを省けます。

契約書の保管期間は最長10年!

契約書は、契約の正当性を担保するための書類です。法律では安易に廃棄することを禁止し、一定の保管期間を定めています

契約書の保管期間について見ていきましょう。

1. 保管期間の一覧

契約書や重要な関連書類・図書の保管については適用される法律が異なる上、保管の起算日も同じではありません。

「こっちの契約書が○年だから、こっちも○年だろう…」など、安易に考えないようにしましょう。

以下は、主な契約書・関連書類の保管期間をまとめた表です。

保管期間 文書種類 起算日 根拠となる法律
2年 健康保険・厚生年金保険・雇用保険に関する書類 保険関係が完結した日 健康保険法施行規則34他
3年 労災保険に関する書類 保険関係が完結した日 労働者災害補償保険法施行規則51
5年 賃金その他労働関係に関する重要な書類 最後の記入をした日 労働基準法施行規則56
5年 雇入れ又は退職に関する書類(雇用契約書・労働条件通知書・解雇通知等) 労働者の退職又は死亡の日 労働基準法施行規則56
5年 産業廃棄物処理の委託契約書 契約終了日 廃棄物処理法施行規則8の4の3
7年 取引証憑書類(請求書・契約書・見積書等) 帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の翌日から2か月を経過した日 法人税法施行規則59,67
7年 有価証券の取引に際して作成された証憑書類(受渡計算書・預り証等) 帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の翌日から2か月を経過した日 法人税法施行規則59,67
10年 建設業の営業に関する図書(完成図・打合せ記録・帳簿、契約書等) 当該建設工事の目的物の引渡しをした日 建設業法施行規則28
10年 満期または解約となった契約書 満期または解約の日 法定保存年限には該当しないが、実務上10年保存が妥当とされる


一般的な契約書・関連書類の保管は、5~10年とされているものがほとんどです。ただし、現在も契約が続いている契約書については、保管期間の上限がありません。契約が続く限り、永久的に保管が必要です。

また、建設業は長期間にわたって成果物の責任を負う義務があるとされます。必然的に契約期間が長く設定されており、他業界よりも保管の手間がかかるものが多いでしょう。

契約書の保管方法は?

法律で保管が定められている契約書は、紛失・破損がないよう適切に保管しなければなりません。

省スペースで効率的な保管を実現するには、どのような方法を取ればよいのでしょうか?

契約書・関連書類の保管方法について紹介します。

1. 担当部署を決めて管理する

契約書の保管を担当者・担当課に任せると、属人化・紛失等の恐れがあります。業務で発生した契約関係の書類は、担当部署で一元的にファイリング等をして管理するのがベターです。

契約書・関連書類については、案件ごと・企業ごと・年ごとなどに分けてファイリングを行いましょう。保管方法としては以下のようなものがあります。

  • 書類に穴を開けてインデックスを付け、リングファイルに保管
  • インデックス付きのクリアシートに入れてファイルボックスに保管


契約書を何度も見直すことがない場合は、閉じっぱなしのリングファイルに保管してかまいません。

しかし引っ張り出してコピーしたりチェックしたりすることがあるのなら、ファイルボックスを使った方が業務を効率化できます。

2. 契約書保管台帳を作成する

契約書をファイルに綴じて保管する場合、別途「契約書保管台帳」を作成しておくと便利です。契約書を綴じる人には、併せて以下の項目を台帳に記載してもらいましょう。

  • 契約締結日
  • 担当部署・担当者名
  • 相手企業・担当部署・担当者名また契約者名
  • 契約期間
  • 契約書の種類
  • 契約書を綴じたファイル番号


契約書保管台帳は紙ベースで作ってもよいですが、社内共有できるExcelやドキュメントに作っておくと便利です。

契約書を見たい人は、自分のPCから契約書がどこにあるかを探せます。

3. 書類をPDF化して保管する

自社に契約書の保管スペースがない場合、契約書をスキャンしてPDF化し、閲覧できるようにしておくとよいでしょう。スキャン済みの契約書は、社外の倉庫やレンタルスペースに入れておけばOKです。

契約書をPDF化して共有すれば、わざわざファイルを探して、インデックスをたどって、該当の契約書を開く…、このような面倒な作業は不要となり、作業効率が上がります。

書類をPDF化して保管する際の注意点としては、「紙ベースで契約したものは紙で保管しなければならない」ことです。

万が一契約トラブルで裁判沙汰になった場合、PDFデータのみでは真正性を担保できません。「ただのコピー」と見なされて、証拠として認められない恐れがあります。

契約書をPDF化した場合でも、原本は法律にしたがって破棄せずに取っておきましょう

4. 外部委託する

近年は、業務に関連して発生する種々の書類をまとめて保管してくれるサービスがあります。

多くの場合、綴じたりスキャンしたりに対応してくれるほか、セキュリティ対策・災害対策も高レベルです。

サービスの種類としては、「契約書を保管するための人員だけを派遣してくれるサービス」「保管スペースから人員の確保まで丸投げできるサービス」などがあります。条件を決めて探せば、自社のニーズに合うものが見つかるでしょう。

5. 国税に関する契約書は電子保存が可能

基本的に「紙を電子化した契約書は効力がない」のですが、国税関連の契約書・関連書類は例外です。

「電子帳簿保存法」により、適切な方法にのっとって電子化されれば、紙の契約書を電子化したものでも、紙と同様の効力が認められることとされています。

例えば紙の契約書をスキャンして電子化する場合、以下の要件を満たせば、電子保存可能です。

  • 肉眼で確認できること(見読性の確保)
  • 必要に応じて書面に出力できること
  • 機器の解像度が200dpi相当以上であること
  • カラーで読み取れる画像であること
  • 納税地・事業所からデータにアクセスできること
  • タイムスタンプが付与してあること
  • 過去の契約も検索できること
  • マニュアルを備えていること
  • 税務署長の事前承認を受けること


「税務署長の事前承認を受けること」については、、2022(令和4年)4月1日から施行される改訂版では廃止されることが決まっています。

タイムスタンプの付与期限についても改訂が見られ、現行の「遅延なく」は「最長約2か月と概ね7営業日以内」と改められる予定です。

国を挙げてデジタルトランスフォーメーションを推進している日本では、業務の電子化を後押しする動きが加速しています。今後は、より広範囲な書類が電子保存可能となるかもしれません。

契約書の保管で生じる問題点

契約書を紙ベースで保管した場合、さまざまな手間・コストが発生します。

契約書の保管について、企業が頭を悩ませがちなポイントを見ていきましょう。

1.作業スペースが減る

契約書の枚数が増えるほど、広い保管場所が必要となります。空きスペースの確保が難しい場合は、業務に使う場所までも契約書に奪われてしまうことがあるでしょう。

また、「契約書は各自で整理しておく」などとしている企業だと、契約書の管理が属人化します。整理整頓できない人は契約書・関連書類が個人スペースを侵食し、仕事に集中できません。

2. 業務効率が落ちる

契約書を保管するためには、まとめたり綴じたりインデックスを付けたりとさまざまな作業が必要です。

データ化する場合はスキャン作業も行う必要があり、社員は契約書の整理だけで多くの時間を費やすこととなるでしょう。

基本的に紙ベースで保管された契約書は、綴じたり出したりするだけで手間暇が掛かります。

誰かが適切な処理を行っていない場合は探す手間が倍増することもあり、業務効率がよいとはいえません。

3. 外注・外部に保管するとコストが掛かる

契約書・関連書類の保管を外部委託したり、保管スペースを借り上げたりした場合、当然ながらコストが発生します。

料金はベンダーによって異なりますが、契約書が増えるほど委託料・利用料は高額になるでしょう。

契約書の保管に悩んだら電子契約書がおすすめ!

ハンコ文化が浸透している日本でも、近年は電子契約への移行が進んでいます。紙の契約書の保管に悩んだら、電子契約に移行することも検討してみてはいかがでしょうか。

電子契約の概要について紹介します。

1. 電子契約とは電子データ上で締結する契約

電子契約とは、紙ではなくオンライン上で取り交わす契約です。

現在はテレワークの普及や社会全体のデジタルトランスフォーメーションの影響により、契約をオンラインに移行する企業が増えています。

主に以下の4つの法律が関係するため、覚えておくとよいでしょう。

  • 電子帳簿保存法:国税関連の書類・帳簿等の電子データ保存に関する法律
  • 電子署名法:電子署名の法的効力について定めた法律
  • IT書面一括法:書面に代わりに電子的手段で交付・手続きを認めた法律
  • e-文書法:商法・税法で保管が義務付けられた書類を電子データで保存することを認めた法律

 

2. 押印の代わりに電子署名を使用

民事訴訟法第228条では、証拠力のある文書の条件として、「本人の意志で作成されたこと」「押印があること」を挙げています。すなわち、文書を法的に有効にするためには、「本人の押印」が必要です。

電子契約の場合、「本人の押印」に当たるのが「電子署名」です。電子署名法第2章3条には、本人による電子署名がある文書は、真正に成立したものと推定されると記載されています。

ただし、本人の電子署名でも本人性が担保されていなかったり改ざんが容易だったりするものは認められません。

法的に有効な契約書を作成するためには、以下の条件を満たすことが必須です。

  • 電子署名または身元確認済み 高度電子署名(押印)がある
  • 電子証明書(本人性の証明)がある
  • タイムスタンプ(改ざん防止)がある

 

3. 電子契約の種類は「立会人型」「当事者型」

電子契約は、本人性の証明の違いにより、「立会人型」「当事者型」の2種類に分類されます。

立会人型は、当人以外の第三者が電子署名を付与する仕組みです。本人認証はメール等で行うのが一般的で、本人は指定されたアドレスにアクセスすることで「本人である」と証明します。

一方当事者型は本人が第三者機関に「電子証明書」を発行してもらう仕組みです。

第三者機関である「電子認証局」が厳正なチェックを行うため、信頼性は極めて高いといえます。電子契約の署名としては、立会人型よりも法的効力が強いでしょう。

立会人型・当事者型それぞれにメリット・デメリットがありますが、近年はより手軽な立会人型の電子署名が増えています。

「改ざん性が高く、法的効力が弱いのでは?」と懸念の声がありましたが、政府は「立会人型でも法的効力がある」という見解を示しました。

本人性を担保できてさえいれば、どちらの方法でも問題はありません。

4. 電子帳簿保存法による電子データを保存するための要件

国税に絡む契約を結んだ場合は、電子帳簿保存法に従って電子データを保存しなければなりません。

文書保存では「真実性の確保」「可視性の確保」が要件です。

真実性の確保 可視性の確保
【関係書類等の備付け】施行規則第3条第1項第3号
  • 帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)の備付けを行うこと
【見読可能性の確保】施行規則第3条第1項第4号
  • 保存場所にシステムの操作説明書を備え付け、はっきりよく見える状態で出力できるようにしておくこと
【検索機能の確保】施行規則第3条第1項第5号
  • 取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること
  • 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
  • 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

 

参考:電子帳簿保存法上の電子データの保存要件|国税庁

電子契約書のメリット

オンライン上で契約を締結すれば、業務効率アップにつながるといわれています。

紙ではなくオンラインで契約をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

1. 保管場所を確保しなくてよい

最初から最後まで電子データで作成された契約書については、USB・外付けHD・クラウドサーバーなどに保管することが可能です。

紙ベースの契約書のように保管スペースを確保する必要がなく、契約書の数が多くなっても困りません

2. 契約締結までの時間が短縮される

紙ベースの契約の場合、契約者双方の押印が必要です。契約書を郵送したり直接相手の会社に出向いたりして、ムダな時間が掛かります。

しかし、オンライン上で全てが完結する電子契約なら、データをやり取りするだけです。契約プロセスが短縮され、契約締結までが早くなります。

3. 検索しやすい

ファイリングした契約書を探すためには、台帳を見たりファイルを探したりと手間が掛かります。ファイルの場所が違うだけで探す労力が大きくなり、社員の負担が増えるでしょう。

一方、電子契約なら、PCから検索して該当ファイルを探せます。どんなに数が多くても、必要な契約書を表示させるのはあっという間です。

4. コストカットできる

紙の契約の場合、インク代・収入印紙代や郵送代が必要です。契約書の保管・整理に人を雇ったり外部サービスを活用したりすれば、人件費もばかにならないでしょう。

電子契約なら、こうしたコストの全てをカットできます。

電子契約書のデメリット

効率アップ・コストカットにつながる電子契約ですが、導入により手間が増える一面もあります。「デメリット」と思われがちなポイントを見ていきましょう。

1. 取引先の理解が必要

電子契約サービスの種類によっては、取引先の合意がないと使えないものがあります。この場合、取引先に電子契約について理解してもらう必要があるでしょう。

このとき相手が快諾してくれたとしても、導入に関する負担は自社で負わなければなりません。取引先へのレクチャー費等、予定外の出費がかさむ恐れがあります。

一方万が一取引先に断られた場合は、相手の合意なしでも利用できるサービスを選ぶか、その相手だけ紙ベースで契約するかのどちらかを選択するしかありません。

2. 全社的な講習が必要

電子契約は、一部門だけで導入しても意味がありません。業務効率化を目指すなら、全社的に電子契約に切り替える必要があります。

この場合、当然ながら業務フローの大幅な変更は避けられません。社員の理解を得るとともに、システムについての教育・コンプライアンスの徹底が必要となるでしょう。

まとめ

契約書には法律で定められた保管期間があり、「契約が終わったから」と廃棄するのは厳禁です。

2度と見返すことのない契約書でも、会社法や法人税法等に従って適切に管理・保管しましょう。

契約書の保管業務が作業効率を落としていたり、作業スペースを圧迫したりしている場合は、電子契約へ切り替えるのがおすすめです。

近年は国が電子契約化を後推ししており、紙の契約書のほとんどは電子契約できるようになっています。

契約書をクラウドサーバーなどに保管すれば、場所を取ることもファイルを探してさまようこともありません。

業務効率は向上し、自社本来の業務に集中しやすくなるはずです。

画像出典元:o-dan

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