契約書の保管期間は法律で定められており、会社法では「10年」、法人税法では「7年」です。
本記事では、契約書の種類ごとの保管期間を一覧表で紹介し、適切な管理方法についても詳しく解説します。
自社の管理体制をしっかりと構築し、契約書管理の業務効率化とリスク削減を推進しましょう。
このページの目次
契約書の保管期間は、主に会社法、法人税法、電子帳簿保存法といった3つの法律によって厳格に定められています。
保管期間を遵守しない場合、罰則が科される可能性もあるため、注意が必要です。
会社の経営に関わる法律関係を定めた会社法では、会社の「事業に関する重要な資料」の保管を義務付けており、その資料の一つに該当する契約書の保管期間は「10年」です。
したがって、契約期間が終了して10年以降の契約書には保管する義務はありません。(会社法432条第2項)
会社に課税される税金や納める税金などについて定めた法人税法では、契約書の保管期間は「7年」と定められています。(法人税法 第126条第1項、法人税法施行規則 第59条第1項)
取引先との契約書のほか、注文書や領収書などの証憑類、帳簿関係の書類などが含まれます。
ただし、以下のように欠損金が生じた場合は保管期間が10年となります。
電子データによる契約書の保存期間は、電子帳簿保存法において、紙の場合と同様のルールが定められています。
上述の通り、「会社法で10年」「法人税法で7年」という保管期間に変わりはありません。
契約書の種類によって保管期間は異なります。主な契約書の種類と保管期間は以下の通りです。
契約書の種類 | 保管期間 | 根拠となる法律 |
売買契約書 |
5 |
民法第522条 |
請負契約書 |
5 |
民法第656条 |
賃貸借契約書 |
5 |
民法第617条 |
金銭消費貸借契約書 |
5 |
民法第515条 |
商業帳簿、決算関係書類 |
10 |
商法第46条 |
定款、株主総会議事録、取締役会議事録 |
10 |
会社法第120条、第130条、第331条 |
従業員の給与台帳、源泉徴収簿など |
7 |
法人税法第132条、所得税法第231条 |
売上に関する請求書、領収書など |
7 |
消費税法第30条 |
固定資産の取得に関する契約書、領収書など |
7 |
法人税法施行令第68条 |
契約期間が1年未満の契約書(請負契約書、業務委託契約書など) |
3 |
電子帳簿保存法第10条第1項第1号 |
※上記は一例です。契約書の種類や内容によっては、保管期間が異なる場合があります。
ここからは契約書の主な保管方法と、それぞれのメリットやデメリットなどについて解説します。
原本やコピーでの保管は馴染みのある方法ですが、以下のような課題があります。
契約書を紙で保管する場合には、トラブルが起きないようにあらかじめルールを設けることが重要です。
契約書を撮影・縮小し、マイクロフィルムに保存する方法です。
マイクロフィルムは、歴史公文書や新聞のアーカイブとしても使用されています。
メリット
デメリット
契約書をスキャンしてPDF化し、クラウドや社内サーバーに保存する方法です。
ただし、契約書は国税関係書類のため、単にPDFデータにすれば良いというわけではありません。
契約書を電子データで保管する際には、電子帳簿保存法に定められたスキャナ保存の要件を満たす必要があり、確実に対応できるシステムを導入するのがおすすめです。
メリット
デメリット
企業に代わって、契約書などの機密文書を保管・管理する会社もあります。
外部機関では契約書の保管に加えて、検索や電子化、不要な契約書の廃棄などのサービスも利用が可能です。
メリット
デメリット
契約書の締結に電子契約を導入し、電子契約書として保存する方法です。
電子契約は、一定の要件を満たす電子署名とタイムスタンプによって改ざんしにくい状態で保存することができ、原則として紙文書と同様の法的効果があるとされています。
電子契約の導入には、必ずしも専用のシステムが必須ではありませんが、効率性やセキュリティの面を考慮すると、電子契約システムの導入がおすすめです。
メリット
デメリット
契約書はただ保管すればよいというだけのものではなく、保管中や保管の前後にもいくつか注意点があります。
保管期間は、契約が終了した日から起算されます。契約期間が定められていない契約の場合は、契約が履行された日から起算されます。
電子契約の場合、電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、電子データで保管できます。電子署名やタイムスタンプを活用することで改ざん防止にも役立ちます。
税務調査が入った場合、保管期間が過ぎていても契約書を提示する必要があります。税務調査は7年前まで遡って行われる可能性があるため、少なくとも7年間は保管しておくことが推奨されます。
契約書の保管期間は、法律によって厳格に定められています。
保管期間を遵守し、適切な方法で契約書を管理することで、コンプライアンスを遵守し、ビジネス上のリスクを回避することができます。
保管期間が過ぎた契約書の適切な破棄も重要な作業です。
ここでは、不要になった契約書の正しい処理方法や注意点について解説します。
すでにお伝えしている通り、契約書には法律で定められた保管期間があり、期間を過ぎた契約書は正しく破棄する必要があります。
契約書を破棄する手順
また、デジタルな契約書を安全に破棄するためには、専門のソフトウェアを使用し、データを完全に上書きして復元ができないようにします。
さらに、廃棄した契約書のリストを作成しておくと証拠が残せるので安心です。
保管期間内に契約書を誤って破棄してしまった場合のリスクは主に3つです。
まず、契約書の保管義務を怠った場合、行政指導や過料(罰金)が科される可能性があります。
次に、税務調査時に契約書がないと、不正な契約ではないかと疑われ、追徴課税になってしまう可能性が高いです。
最後に、契約内容を証明する書類がないと、取引先との契約条件を確認できず、不利な状況に陥る可能性があります。
保管期間を超えた契約書を長期間保管し続けると、書類の整理や保管スペースの確保が必要になり、管理の手間が増大します。
また、紙の契約書を適切に廃棄せずに放置すると、第三者による持ち出しや紛失のリスクが高まります。
法的に問題がないからといって放置せず、定期的に契約書の保管期間を確認し、計画的に破棄する仕組みを整えることが重要です。
契約書の保管を効率化するには、以下のシステムを活用するのがおすすめです。
電子契約システムを導入すれば、契約書を電子データとして安全に保管できるため、印刷・郵送・保管コストの削減や検索性の向上、セキュリティ強化などが可能です。
特に、リモートワークが普及する中で、オンラインで即時締結が可能な点は、大きなメリットといえます。
ただし、法的要件をクリアした電子契約システムを導入する必要があるため、システム選定時には十分な確認が必要です。
契約書を一元管理できる契約書管理システムを導入するのも有効な方法です。
紙の契約書をスキャンして電子データ化できるシステムや、重要な契約書の閲覧・編集を制限する機能などが備わっています。
契約書管理サービスは、契約書を全社で共有できる環境を整えられる点が特徴で、複数の部署で契約書を共有する企業におすすめです。
文書管理システムとは、電子化された文書情報の作成及び取得、活用、保存、廃棄までを一元管理するシステムです。
契約書だけでなく、稟議書や取引履歴などの関連資料も統合して管理できるので、業務効率化につながります。
契約書の保管期間は法律で定められており、企業には厳守する義務があります。
契約書ごとの保管期間を正しく理解し、自社に適した管理方法が見つけられれば、保管スペースの削減や業務効率化などのメリットを得られます。
保管期間を過ぎた契約書も放置したままにせず、確実に処分できるように、電子契約システムや契約書管理システム、文書管理システムなどを活用し、効率的な契約書管理体制を構築しましょう。
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