クリティカルシンキングとは、客観的な視点を持って、物事の本質を見極める思考方法です。
この記事では、クリティカルシンキングについて解説します。
また、クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いについても説明します。
クリティカルシンキングを活用できると、課題解決力と意思決定力が向上するなどメリットが多くあります。
整理して考えているのに課題解決にたどり着けないという人は、クリティカルシンキングが上手く出来ていないかもしれません。
クリティカルシンキングの正しい「批判的思考」を理解し、実践例を参考に鍛え方を身につけましょう。
このページの目次
クリティカルシンキングとは、前例・主観・常識に疑問を持って、客観的な視点から物事の本質を見極める思考方法の事です。
「主観や意見に流されず、提案を鵜吞みにせず、課題の目的を見出し、物事を正しく疑って最適な結論を導き出す」のがクリティカルシンキングです。
クリティカルシンキングは「批判的思考」と訳されますが、単純に攻撃的な批判するという意味ではありません。
クリティカルシンキングの批判とは「そもそも提示されている問題自体が間違っているかもしれない」という批判的な視点を持ち続けることを意味します。
クリティカルシンキング | クレーマー・批判 | |
目的 | 問題解決、改善 | 相手の論破、マウンティング |
批判する対象 | 自分の思考、主観や思い込み | 相手の粗探し |
クリティカルシンキングは、あらゆる物事や人が多様化して、経験則や前例が通用しない場面が多くなっていることから必要性が高まっています。
経験則や前例が通用しないということは「自分で考えて結論を導く力」が必要です。
ビジネスでは、需要の細分化によって課題解決策が複雑になり、「出社」「通勤」「オフィス」が不要という前例がない考え方が加速したり、人材も海外からの採用が増えて異文化への理解も求められています。
そのため、クリティカルシンキングの思考方法が「多様化」「前例がない」「自分で考えて結論を導く」に有用とされています。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いは「思考のスタート地点とゴール地点」です。
クリティカルシンキング(批判的思考) | ロジカルシンキング(論理的思考) | |
物事の見方 | 多角的に観察する、客観的に疑う | 物事を分析・整理する、整合性を見つける |
思考のスタート | 主観や前提に疑問を持ち、根拠や前例は無視して仮説を立てて考える | 前例や問題の規則性・根拠を見つけてる |
思考のゴール | 物事の本質の発見して課題を解決する | 規則性・根拠から道筋立てて結論を説明する |
2つの違い | ゼロベースで物事を考える | 論理的整合性が取れていれば、主観や前提までは検証しない |
ロジカルシンキングだけでは、データや前提に間違いがあったり、論理的整合性が見つけられない場合は成立しません。また、思考のクセによって導き出した論理は的外れになり、物事の本質や解決策には繋がりません。
ですが、クリティカルシンキングとロジカルシンキングを相互活用すれば、ヌケヤモレを防いで多角的に考えることが出来ます。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングは、補完し合う関係性で、どちらも必要な思考方法です。
クリティカルシンキングは物事の本質に気付くための思考方法をルート化しているため、活用するメリットがあります。
物事の本質に気付くことは、目に見えない価値観を理解し、表面的な出来事や言葉に振り回されないために必要な力です。また、多様化している考え方を受け入れる力になります。
クリティカルシンキングによって、物事の本質に気付き、課題を解決してより良い方向へ導くことが出来ます。
クリティカルシンキングで導き出した結論は自信をもって提示できるため、課題解決力と意思決定力が向上します。
問題点をうやむやにせずに疑問と仮説を行うクリティカルシンキングによって、解決策を導き出したプロセスを説明できるようになることが「自信を持った結論」になります。
「自信を持った結論」によって、他人に流されない課題解決力と意思決定力が向上し、物事を進めていけるようになるのがクリティカルシンキングのメリットです。
クリティカルシンキングの多角的に考える力は、自由な視点で仮説を立てる事によって、新しい発想や解決方法を生み出すことにも役立ちます。
「なぜやるのか」「どのようにやるのか」「今やるべきか」「誰がやるのか」など立場や目線を変えることを意識すると、主観や固定概念にとらわれずに考えることが出来るようになります。
クリティカルシンキングでは次にあげる3つの考え方が基本になります。
クリティカルシンキングはすぐに身につくものではありません。普段から問い続けることを習慣化させることでクリティカルシンキング思考が身についていきます。
クリティカルシンキングの目的(ゴール)は、問題点の先にある物事の本質を見極め解決することです。
目的が不明確なまま思考を始めると、思考が堂々巡りを起こし結論が出ない時間だけが過ぎたり、問題点を洗い出すだけで満足してしまったりしまいます。クリティカルシンキングでは、問題の目的(ゴール)を意識することが、物事の本質にたどり着く最短ルートです。
過程ではなく「目的」に重きを置き「何のために考えるのか」「何を解決したいのか」を意識した考え方を身につけましょう。
クリティカルシンキングでは、考え方のクセと偏りは必ずあるものであると理解して補正する視点を持ちます。
先入観や固定観念は物事の本質を見抜く邪魔になりますが、クリティカルシンキングは先入観や固定観念を含めて多角的に分析する力が必要です。
考え方のクセと先入観を理解するには、色々な立場から想像することを身につけましょう。
クリティカルシンキングは、問い続ける姿勢が重要です。
ひとつの結論が出てもそこで考えることを辞めず、なぜその結論に至ったのか、本当にその結論で正しいのか、と深掘りしていくことを続けましょう。ひとつの問題を解決したとしても、その先にまた新たな問題が発生することもあります。
クリティカルシンキングは、目的に向かって進むためには問い続けることでしか本質にたどり着けない思考方法と理解しましょう。
この章では、クリティカルシンキングの効果的な鍛え方を紹介します。
クリティカルシンキングを身につけるにはコツが必要です。普段から2つのことを意識することで自然にクリティカルシンキングに慣れていく事が出来ます。
クリティカルシンキングの客観的に物事を見る力とは、自分の主観を抜きにして第三者目線で物事を見ることができる洞察力のことです。
客観的に物事を見るには、事実・意見・感情を区別して考え、冷静に観察・分析する力を鍛えましょう。
1、物事を注意深く観察するクセを持つ
2、情報に興味をもって触れ、インプット量を増やす
3、物事の表面的な部分を理解しつつも疑いをもって触れる
4、自分の失敗や経験を記録して、原因・理由を分析してみる
クリティカルシンキングでは、多角的な目線をもって仮説を立てるスキルを鍛えましょう。
クリティカルシンキングは、前例や経験に沿った仮説だけでなく、常識や根拠は無視して仮説を立てて検証することが本質を見極めるヒントになります。また、仮説の設定が問題の目的を意識することに繋がります。
1、正反対の立場の目線で仮説を立てる
2、問題が時系列で変化していく場合を考えてみる
3、問題に対して「So What?(だから何?) Why So?(なぜそうなのか)」と問う習慣を持つ
クリティカルシンキングが出来ない人には次のような特徴があります。自分に当てはまると思ったら要注意です。
自分の考えを曲げようとせず固執する人は、クリティカルシンキングができません。「自分の考えは間違っていない」という固定観念を捨てないと、仮説を検証することもせず、そもそもの目的にたどり着くことはできないからです。
また、自分の考えに固執する人は、色々な立場からの視点を想像する事も出来ません。
他人の意見を鵜呑みにする人もクリティカルシンキングができません。クリティカルシンキングに必要な「問い続ける」ことを放棄しているためです。
もっともらしい意見だとしても疑問点を探し、それをクリアにすることで本質を捉えることができるのです。
クリティカルシンキングが出来ない人は、事実・意見・感情を区別して考え、冷静に観察・分析する力を鍛えることを意識しましょう。
クリティカルシンキングで自分の思考を批判・否定するのは「攻撃的批判」ではないので、怖からずに問い続け姿勢が必要です。
クリティカルシンキングの必要性と実践方法・鍛え方についてまとめました。
多様な考え方を必要される現在はクリティカルシンキングとロジカルシンキング双方が必要です。
クリティカルシンキングは、実際にやってみることが最も効果的なトレーニングです。日常の中で「物事の本質」について考えるクセを付けていきましょう。
画像出典元:O-DAN
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