会社設立の手続きは煩雑で大変です。必要となる書類などを把握して揃えるだけでも大変なのに、それぞれの書類に記入方法などのルールが定められています。
できれば書類準備は間違いないよう準備して、行政機関での手続きを一発でスッキリ終わらせたいですよね。
そこで今回は、会社設立の際に必要となる書類一覧を解説!
定款認証と法人登記の手続きごとに説明していきます。
このページの目次
さっそく、会社設立に必要となる書類を一覧で確認してみましょう。
まず、会社設立の際には、公証役場での「定款認証」と法務局での「法人登記」の2つの行政機関での申請が必要になり、それぞれで複数の種類の書類を提出することになります。
なお、定款認証及び法人登記を申請する際には、書類提出による手続きとインターネット上で行う手続きとが選べますが、今回は全て書類提出による手続きを行う場合を想定します。
まず公証役場での定款認証の手続きと必要書類等について説明していきます。
定款認証とは、会社の憲法ともいうべき書類「定款」について、その効力を発行させるべく公証人の認証を受ける手続きのことを言います。
ここで必要となる書類は、認証を受ける定款、発起人の印鑑証明書、申告書の3種類です。
これらと手数料を合わせて持参して申請手続きを行うことになります。
認証を受ける定款を3部持っていきます。
3部のうち1部はそのまま公証役場で保管され、1部は次の手続きである「法人登記」の申請に使用し、残った1部を会社で保管することになります。
公証役場に保管する定款については後述のとおり、収入印紙4万円分を貼り付けることになるので、郵便局や法務局であらかじめ収入印紙を購入して持参していきましょう。
「発起人の本人確認書類」を持参する必要があります。
ここでいう本人確認書類は、印鑑証明書(発行3か月以内のもの)もしくは写真付きの公的身分証明書(運転免許証・パスポートなど)となります。
なお、発起人が複数いる場合には全員分のものを提出しなければなりません。
このとき、印鑑証明書を使う場合には、原本とコピー両方を用意して提出すると、原本の方は返してもらえます(原本還付)。
ただし役場によっては、原本還付がされない場合もあることには注意です。
平成30年11月30日以降、定款認証の際に提出することになったのが、この「申告書」という書類です。
正確には「実質的支配者となるべき者の申告書」といいます。
何を申告するのか?と疑問を持たれるかと思いますが、端的にいうと会社の実質的支配者となるべき人物が暴力団員または国際テロリストに該当しないことを申告するものです。
公証人法施行規則の一部改正により新たに導入されたばかりのルールなのでまだ広く浸透していませんが、定款認証を申請する法人はすべてこの申告書を提出しなければならないので注意が必要です。
日本公証人連合会のホームページに申告書の様式がアップロードされているので確認しておきましょう。
定款認証の際に必要となる費用は、
収入印紙については郵便局もしくは法務局であらかじめ購入して持参していきましょう。
後者の手数料については現金で持参してください。
基本的には定款認証の際にはこれまでご説明してきた書類等で事足りますが、定款認証の際にはその場で定款の修正を求められることがあります。
定款の修正には発起人全員分の実印が必要となるので、必ず用意しておきましょう。
なお、印鑑の購入がまだの方は、早急に準備してください。以下の記事を参考にご覧ください。
公証役場での定款認証の手続きが無事に終わったら、次は法務局での法人登記の手続きに移ります。
法人登記の際には定款認証のとき以上に多くの種類の書類等が必要となります。
それぞれ法務局のホームページ内の「商業・法人登記の申請書様式」ページに様式がアップロードされているので、こちらを参考にして揃えましょう。
また、提出書類は定められた順番と方法でセットして提出しなければなりません。本章の最後に説明しますので、こちらも漏らさず確認しておいてください。
まず必要となるのが「登記申請書」です。株式会社の登記の場合には正しくは「株式会社設立登記申請書」という書類となります。
先述のとおり様式がアップロードされているのでそれに沿って作成しましょう。なお会社の代表者印の押印が必要なので、忘れないようにしてください。
また、登記申請書には後述のとおり「登記してもらう内容」を記載することもできます。
登録免許税とは会社登記を行う際に法務局に支払うお金です。
金額は15万円かもしくは資本金額の0.7%が15万円を超えればその金額となります。
登録免許税の支払い方法には
1. 金額分の収入印紙を購入する
2. 金融機関や税務署で現金納付する
という2通りがあります。1の場合には収入印紙を、2の場合には納付の際に受け取る領収証書を、A4用紙に貼り付けて提出することになります。押印は必要ありません。
なお無地のA4用紙であれば問題ないのですが、法務局のホームページからダウンロードできる様式もあるので、不安な場合はそちらを利用すると良いでしょう。
公証役場で定款認証の申請を行った際に返却される認証済みの定款のうち1部を提出します。
公証役場で定款が認証されたら、法人登記の前に資本金を発起人の口座に入金します。
資本金を入金したら
をそれぞれ作成、製本を行ったうえで法人登記の際に提出します。
まず、払込証明書は以下の項目を記載することで作成できます。
これらの項目を記載し、会社の代表者印を「払込証明書の左上」「代表取締役氏名の右」の2か所に押印すれば払込証明書の作成は完了です。
次に、入金を行った口座の通帳のコピーをとります。コピーは通帳の表紙、表紙の次のページ、そして入金が記帳されているページの3枚を準備します。
払込証明書及び通帳のコピー3枚が準備できたら、4枚の書類を重ねて左端に2か所ホッチキス止めをし、各ページの境目に会社の代表者印を押印すれば、製本完了となります。
設立する会社の代表取締役及び取締役となる人物全員分の「就任承諾書」を作成し提出します。
就任承諾書には就任を承諾する旨の記載、日付、住所、氏名を記載のうえ個人の印鑑を押印するのですが、この際、押印する印鑑及び添付する書類が「取締役会を設置するか否か」で変わってくるのでよく確認してください。
また、就任承諾書にはその人の印鑑証明書もしくは本人確認書類(住民票記載事項証明書や運転免許証等のコピー等)を添付する必要があります。
これも「取締役会を設置するか否か」で必要となる書類が変わるので気を付けましょう。
取締役会を設置するかどうかをまだ決めていない方は、以下の記事を参考に決めてしまいましょう。
結論から述べてしまえば、基本的に取締役会を設置する必要はありません。
監査役を設置する場合には、監査役となる人物の就任承諾書及び本人確認書類(住民票記載事項証明書や運転免許証等のコピー等)の提出が必要です。
就任承諾書の記載内容は代表取締役・取締役の就任承諾書と同様であり、押印は認印で構いません。
会社の代表印を法務局に届け出ることによって、その印鑑が会社の実印となります。
法務局が指定する「印鑑届書」の様式を用いて書類を作成してください。
法人登記を申請する際には、下記のとおり登記してもらう内容を法務局に提出する必要があります。
以前は、これらを「OCR用申請用紙」という専用用紙に記入し提出していましたが、現在は法務局がOCR用申請用紙での読み取りを行わなくなったため、OCR用申請用紙の配布は行わなくなりました。
その代わりに、登記内容の提出は
1. 登記申請書に記載する
2. 登記事項を記載した紙を別途添付する
3. 磁気ディスク(CD等)にテキストデータとして保存して提出する
のいずれかの方法を取ることとなっています。登記申請書に記載するのが最も手っ取り早いです。
さて、ようやく法人登記の際に必要となる書類などが準備できました。
定款認証よりも複雑で大変だと思いますが、法人登記の場合にはさらにセット方法までもルールで定められているので、最後まで気を抜かずに正しくセットして提出しましょう。
まず、提出書類を以下の順番に重ねます。
1. 登記申請書
2. 登録免許税分の収入印紙または領収証書を貼り付けたA4用紙
3. 公証役場の認証を受けた定款
4. 資本金の払込証明書 及び 通帳のコピー
5. 代表取締役・取締役の就任承諾書 及び 印鑑証明書等
6. 監査役の就任承諾書 及び 本人確認書類
これらを重ねたら左側2か所にホッチキス留めをします。
その後、1. 登記申請書と、2. 登録免許税分の収入印紙または領収証書を貼り付けたA4用紙 との境目に会社の代表者印を押印し、完成です。
「印鑑届書」と「登記事項を記載した用紙 または 磁気ディスク」についてはそれぞれ別途提出するものですので、まとめてホッチキス留めをしてしまわないよう気を付けてください。
今回は、会社設立の際に必要となる書類について、定款認証と法人登記それぞれの手続きごとに詳しく解説してきました。
特に法人登記については必要となる書類の種類が多く押印が必要なものもあるのでよく確認しながら準備しましょう。
会社設立の手続きに時間をかけたくない!という場合には、行政書士や司法書士に代行を依頼するのも手です。
もちろん代行する際には手数料や顧問契約などが必要になりますが、会社設立後にも様々な行政手続きが必要となることも考えれば、この段階で頼れる士業の先生を見つけておくのも良いでしょう。
会社設立に割ける時間やマンパワー、費用などを考慮して、最善の方法を検討してください。
必要書類がそろったら、いよいよ手続きを進めていきましょう。会社設立の流れについては以下の記事で解説しています。
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