会社設立時に取締役会を設置する義務があるのだろうか、と疑問に感じる方もいらっしゃることでしょう。
結論から言ってしまえば、会社設立時の取締役会設置の義務はありません。
では、どういった会社で取締役会を設置すべきなのか、をこの記事で解説していきます。
このページの目次
会社法では、取締役会設置は義務づけられていません。
しかし、これから紹介する一部の株式会社は、取締役会を設置する決まりとなっています。
会社法では以下のように定められています。
第327条 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
一 公開会社
二 監査役会設置会社
三 委員会設置会社
取締役会設置の義務がある、
について、一つずつみていきましょう。
公開会社とは、「定款に株式の譲渡制限がない株式会社」のことです。
上場会社とは異なるので、きちんと区別してください。
非上場会社でも、定款に株式の譲渡制限を設ける条文がなければ、公開会社ということになります。
しかし実際のところ、非上場企業で公開会社にするメリットはなく、世の中にある非上場の公開会社は定款作成上のミスであることがほとんどです。
よって、会社設立時に公開会社にしたいがために、取締役会設置が必要になるということはありません。
公開会社については、以下の記事も参考にしてください。
監査役会は、会社の業務や会計を監査する役割を持ちます。
これは会社が上場する際に必要になるものですが、会社設立時から設置するメリットはなく、実際に会社設立時点から設置することはほぼありません。
委員会設置会社とは、指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つの委員会を設置した会社のことを指します。
健全なコーポレート・ガバナンスを維持するために設けられた制度で、上場した大企業などが導入しています。
委員会設置会社も、会社設立時から設置する場合はほぼないといえます。
ここまでの内容を踏まえると、会社設立時に取締役会を設置する義務や必要性が生じることはないということが分かります。
では、どういう会社で取締役会を設置すべきかというと、それは急激な成長、早期の上場を目指すスタートアップです。
上場をする際には、取締役会を設置していることが条件となります。また、一部のVC(ベンチャーキャピタル)では、取締役会設置を出資の最低条件としている場合があります。
そのため、会社設立後すぐ、VCからの資金調達を予定している場合などは取締役会設置を検討すべきといえます。
取締役会設置会社においては、取締役が3人以上であることが条件となっているため、会社のメンバーが3人以上いないと取締役会を設置できないという点には注意が必要です。
このように、ある程度会社としてチームができていないと、取締役会を設置することはできません。
VCが取締役会設置を条件としているのも、ここに理由があります。
会社設立時に取締役会を設置する義務はありません。
また必要性が出ることも基本的にありません。
早期の上場を目指すスタートアップに限って、検討の余地があるといえます。
取締役会設置のメリット・デメリットについては以下の記事で解説しているので、検討する場合は参考にしてください。
会社設立時には取締役会は必要ない、ということがおわかりいただけたかと思います。
しかし、「取締役会設立はしなくてもいいことはわかったが、会社設立は進んでいる」という方もいらっしゃるでしょう。
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