新会社法が施行されて以降、取締役会の設置が自由となり、設置しないという中小企業が増えました。しかし、設立当初は設置がなくても後に業績が伸び、新たに取締役会を設置する必要が出てくる場合もあります。
そこで今回は、新たに取締役会を設置する際の手順と変更登記手続きを、詳しく解説していきます。
このページの目次
取締役会設置の手続きに入る前に、まずは取締役会の設置条件を確認しておきましょう。
まず、取締役会を設置するには、「取締役3名以上」と「監査役もしくは会計参与1名以上」の、合計最低4人以上の役員を必ず置かなければならないというのが最低条件となります。
なお、監査役についてですが、基本的に取締役会設置会社では置かなければなりませんが、中小企業などの株式譲渡制限会社では例外として、監査役の代わりに会計参与を置くことも可能とされています。
ここでよく見受けられるのが、人員(役員)確保のために、とりあえず両親など親族や身内を役員に置くといったケースです。
役員というのは一定の法的責任を背負う立場です。無理をしなければ役員を確保することができない状況なのであれば、取締役会自体、設置しない方が賢明です。
取締役会設置会社にする前に、設置する必要性があるのかどうなのかを、今一度確認するようにしてください。
以下の記事では、取締役会を設置しなくてよい場合・設置すべき場合について解説しています。設置を悩んでいる場合は、参考にしてください。
取締役会を設置する際には、実際の運用をイメージして、設置の必要性を判断し、取締役会を設計していくことが大切です。
取締役会はDXすることが可能なため、設置前にオンラインでの効果的・効率的な開催方法をイメージしておきましょう。
初めて取締役会を開催する方におすすめのオンラインツール、FUNDOORでは、取締役会に必要な手順がステップで明示され、直感的な操作で取締役会を設置・開催できます。
それでは続いて、実際に取締役会を設置するための手順を解説していきます。
取締役会を設置する場合、段階的に進めていかなければなりませんので、下記を参考にしっかりと確認しておきましょう。
株主総会の開催を決定
取締役会が設置されていない会社が新たに取締役会を設置する場合、まず株主総会を開催し、取締役会の設置や役員(取締役3名以上、監査役・会計参与1名以上)の選任、さらに定款を変更する必要があります。
これらを決定するため、株主総会の開催を決定します。
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株主への招集通知
株主総会の開催日が決定したら、株主総会の開催日1週間前までに、それぞれ株主に対して招集通知を出します。ただし、定款にて別途招集期間が設けられている場合は、その定款に従って通知をおこないます。
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株主総会の開催
定款の変更など会社の重要事項を決議する場合は、株主総会の特別決議が必要となります。また、議決権を行使することができる株主が過半数出席しなければ、決議することはできません。
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役員の選任と定款変更
株主総会の特別決議にて、定款変更・取締役会と監査役の設置・役員の選任を決議し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で、議決が成立します。
なお、定款の変更が必要となるのは、おおむね以下の項目です。
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代表取締役の決定と就任の承諾
取締役会を設置する場合、必ず「代表取締役」を決めなければなりません。一般的に代表取締役は、株主総会にて選任された役員の中から選任されることになります。
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登記申請書類作成と申請
株主総会議事録など、法務局へ登記申請するための書類を作成します。なお、作成した登記申請書は、原則として2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ提出、申請を行います。
取締役会の設置に伴う手順は、おおむね以上となりますが、取締役会の設置に関して抑えておきたいポイントが3つあります。
ポイント1
取締役会の設置に関する事項は、必ず株主総会を開催し「取締役会設置会社である旨」の定款変更を決議する必要があります。
ポイント2
取締役会を設置するには、取締役を3名以上置く必要があります。万が一、取締役が3名に満たない場合は、株主総会にて新たに選任しなければなりません。
ポイント3
取締役3名以上とは別に、監査役を置く必要があります。監査役を置いていない場合は、こちらも株主総会にて新たに選任しなければなりません。
また、監査役を選任したら「監査役設置会社である旨」の定款変更も必要です。
※ 前項で記述したとおり、中小企業などの株式譲渡制限会社では、監査役の代わりに会計参与を置くことができます。
以上のように、取締役会の設置に関するポイントは大きく3つあります。ぜひこのポイントをしっかりと抑えておきましょう。
新たに取締役会を設置する場合、これまでの登記事項からいくつ追加や変更が生じてきます。
必要書類を準備して、本店所在地を管轄する法務局にて変更登記を申請しなければなりません。
なお、一般的に登記申請に必要となる書類は下記のとおりです。
基本的に必要な書類は以下です。
これらの他にも、追加書類が必要になる場合があります。
登記申請をおこなう上で必要な書類は、このようになっています。
ただし、会社によっては実際に変更する内容などに違いがあり、その際添付する書類も変わってくる可能性があります。
取締役会を設置する際に必要とされる、登録費(登録免許税)は3万円です。
また監査役を設置する場合や、株式の譲渡制限に関する規定を変更する場合にも3万円が必要となり、さらに取締役変更や監査役変更、監査権限に関する登記にも1万円が必要です。
つまり、非取締役会設置会社から取締役会設置会社へと変更する際、必要となる登記免許税は合計7万円ということになります。
※ 取締役変更や監査役変更、監査権限に関する登記費用ですが、資本金が1億円を超えている会社に関しては、1万円ではなく3万円となります。
商業・法人登記変更手続きは、変更が生じたときから2週間以内にしなければならないと定められています。
これを過ぎてしまうと、登記懈怠(とうきけたい)と呼ばれ、代表者個人に罰則が発生する可能性もあります。
そのため登記変更はスピーディに行う必要があります。
登記変更は煩雑で時間のかかる手続きであるため、司法書士に外注する方法がもっとも簡単です。
しかし「外注できる知り合いにいない」「今は余裕がない」など外注が難しい場合もあると思います。
そのような方におすすめしたいのが、オンライン登記書類作成サービスです。
こちらの「GVA 法人登記」であれば最短7分程で書類を作成することが可能です。
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新たに取締役会を設置する変更登記が完了し、取締役会設置会社となれば、定期的に取締役会を開催しなければならなくなります。
そこで多くの人が抱く疑問点が「取締役会はどのくらいの頻度で開催すればよいのか?」ということです。
まず、取締役会というのは業務執行取締役の業務執行を監督する役割があります。
そういった役割を十分に果たすことができるよう、代表取締役などの業務執行取締役においては3ヶ月に1回以上、職務執行の状況を取締役会に報告しなければなりません。
つまり、職務執行の状況を取締役会に報告しなければなりませんので、最低でも取締役会は3ヶ月に1回以上開催する必要があるわけです。
取締役会を設置する以前は特におこなう必要はありませんでしたが、取締役会設置会社となれば、やらなければならないことも、おのずと増えてくるということを、しっかり覚えておくと良いでしょう。
なお取締役会での決議方法・開催方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
さて、今回は取締役会の設置に伴う手順や登記変更手続きなどについて、詳しく解説してきました。
2006年に新会社法が施行され、必ず設置しなければならなかった取締役会も、現在では任意での設置が認められるようになりました。
そのような背景から取締役会を設置しない中小企業も増え、今では設置していない中小企業がほとんどというのが現状です。
しかし、なかには会社の業績が伸び、新たに取締役会を設置したという会社もありますし、近い将来取締役会の設置を検討している、ということもあるでしょう。
いずれにせよ、取締役会設置会社になると、会社組織としての有り方など、より一層レベルの高い組織運営が必要となることを認識しましょう。
なお冒頭でも紹介しましたが、取締役会の設置を悩んでいる場合は、以下の記事を参考にしてください。
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