株主総会の特別決議とは?要件や決議内容、普通決議との違いを解説

株主総会の特別決議とは?要件や決議内容、普通決議との違いを解説

記事更新日: 2019/11/29

執筆: 編集部

株主総会では、実質的な会社の所有者である「株主」と運営側が同じ場に立ち、さまざまな事項を可決・承認します。

そしてこの時、決議方法の一つとして使われるのが「特別決議」です。株主総会では非常に重要とされる決議方法ですが、意味や要件を正しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。

本記事では、株主総会で行われる特別決議についてわかりやすく解説します。特別決議に必要な要件や普通決議との違いなど確認し、特別決議への理解を深めましょう。

特別決議とは

特別決議とは、株主総会において採択される決議の一つです。主に会社の根本にかかわる重要な議題を扱うため、議決要件は通常の決議よりも厳しく設定されています。

会社法の定める特別決議

会社法とは、2006年5月1日より施行された重要な法律。このなかには、会社に関するさまざまなルールや規定が記されています。

特別決議の定足数・議決要件については、「会社法309条2項」で次のように定められています。

定足数 ※1 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席
議決要件 出席した当該株主の議決権の 3 分の 2 以上の賛成が必要

(※1決議の実施に必要な人数)

ただし、定足数・議決要件とも、必要があれば定款によって変更することが可能です。

特別決議を含む株主総会決議の種類

特別決議について知るには、まず株主総会について少しでも理解しておくのがベターです。株主総会の概要を見てみましょう。

1. 株主総会とは

株主総会とは、株主・経営陣の双方が集まって、会社のさまざまな重要事項を決定する「最高意志決定機関」とも言えるものです。

種類としては、以下の2つがあります。

定時株主総会

・臨時株主総会

まず定時株主総会は、事業年度が終了した後、一定期間内に招集される株主総会です。開催は会社法により義務づけられており、決算承認や事業報告などが行われます。

開催時期は「3カ月以内」が一般的とされているため、3月決算が多い日本の会社の場合、6月中旬~後半に集中する傾向があります。

また、臨時株主総会とは、必要な時に随時招集される株主総会です。例えば取締役欠員による補充役員の選任などがこのケースに当たり、必要があればいつでも・何度でも株主を招集できます。

両者のうち「特別決議が採択されるのはどちらなのか」と疑問に思われるかもしれませんが、実際にはどちらの場合でもあり得ます。

特別決議が行われるか否かは、扱う事項の重要度次第。会社の運営や基本方針に関して重要な決定事項があれば、定時・臨時問わず特別決議が行われるのです。

2. 議決は「資本多数決」

株式総会での議決には多数決が用いられます。ただし、通常の選挙のように「1人1議決権」が与えられるのではなく「1株1議決権」が基本です。

これは「資本多数決」と呼ばれるもので、株をたくさん持っている方の意見が有利になる仕組み。株主総会では、資本貢献度に応じて議決権が与えられるのです。

3. 特別決議を含む決議の種類

株主総会では、決定事項の重要度によって定足数や議決の要件が異なります。

なんらかの事項が議題にかけられる際は、会社法309条1~4項に記載される方法のうち、適切な決議が選択されねばなりません。

以下が株主総会で行われる3つの主な決議です。

・普通決議

・特別決議

・特殊決議

このうち最も一般的なのが、通常の株主総会で行われる普通決議です。

表の下に下りるほど扱う決定事項の重要度は高くなり、定足数や議決のための必要要件も厳しくなります。

例えば最も重要とされる事項を扱う特殊決議の場合、

頭数は「総株主の半数以上」、議決には「総株主の議決権の4分の3」

頭数は「総株主の半数以上」、議決には「総株主の議決権の4分の3」が必要です。

また、とりわけ重要度の高い事項に関しては「株主全員の同意」が必要となるケースもあります。

特別決議を要する事項

株式総会でどんな事項が特別決議にかけられるべきかは、会社法により定められています。ここでは、「特別決議が必要となる事項」をいくつか見てみましょう。

1. 会社の根本に関わる事項

・資本金の額の減少

・定款の変更

・事業の全部の譲渡

・解散 など

会社の在り方が大きく変わるような事項については、特別決議が必要です。上記のほか、吸収合併、会社分割なども特別決議が必要となります。

2. 株主の利益に関わる事項

・株主に株式の割当てを受ける権利を与える

・株主との合意による自己株式の有償取得の場合の取得事項の決定

・募集株式の事項の決定

上記のように株主の利益に関わる事項についても、株主が直接議決に参加します。

例えば、会社が資金調達のために新株を発行したり自己株式を処分したりする場合、「株式を引き受ける者」を募集せねばなりません。

これに伴い会社は「募集株式の数」「算定方法」など決定する必要があり、これが特別決議にかけられるのです。

3. 会社の役職変更に関わる事項

・監査役の解任

・累積投票により選任された取締役の解任

会社の重役の変更についても、株主の意向が問われます。特に監査役や投票により選ばれた取締役の解任には、必ず特別決議が採用されねばなりません。

一方で取締役・会計参与・監査役の選任や会計監査人の選任・解任・不再任では、「特殊普通決議」が行われます。

これは役員の選任・解任に関して行われる決議で、議決要件は次のとおりです。

定足数 議決権を行使可能な株主の議決権の過半数
議決要件 出席株主の議決権の過半数

このように、会社経営陣が変更する場合は役職や「選任か、解任か」により決議方法が異なります。

4. 取締役の責任を軽減する事項

役員等の会社に対する損害賠償責任の一部免除

取締役には損害賠償責任があり、これを免除するには株主全員の同意が必要です。しかし、一部免除については特別決議で容認することができます。

取締役の責任を限定的にすることで、会社はリスクを取って経営しやすくなるというメリットがあります。

5. 可決されても承認されないケースもあるので注意

特別決議では、たとえ可決されたとしても、それを覆すことができる2つの要素が存在します。

・拒否権

・黄金株

まず、拒否権とは、特別決議で行われる重要な決議の承認を阻止できる権利です。

拒否権を持つための条件は「株式の1/3を所有している」こと。この権利が行使されれば、可決された事項でも承認は困難です。

また、株式を1/3も持っていなくても、黄金株があれば拒否権を発動できます。黄金株とは、「拒否権付きの株」のこと。こちらも拒否権と同様に特別決議の可決を妨げることが可能です。

ただし、黄金株は企業にとって有益にも有害にもなり得るあやういもの。その性質から、ほとんどの場合譲渡制限がかけられています。

特別決議と普通決議の違いとは

特別決議と普通決議では、扱う事項の重要度が異なります。具体的にどのような部分が異なるのか、双方の違いを比較してみましょう。

1. 定足数・議決要件の違い

  定足数 変更 議決要件 変更
普通決議 議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席 出席株主の議決権の過半数 不可
特別決議 株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数の株主の出席 出席株主の議決権の3分の2

前述のとおり、重要度の低い事項を決定するのが普通決議。一方、より重要度の高い事項については特別決議が採用されます。

両者を比較すると、定足数は「株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数」が必要という点で同じ。

しかし、議決要件は、特別決議が出席した当該株主の議決権の「3 分の 2 以上」の賛成が必要であるのに対し、普通決議は「過半数」でよいとされています。

また、定足数・議決要件の変更についても違いがあります。

まず特別決議の場合、定款に定めれば1/3までの軽減が可能です。また、議決要件についても2/3以上の加重が認められています。

一方、普通決議の場合も、定款による軽減や排除など変更を行うことは可能。しかし、こちらは議決の要件を変えることはできません。

2. 採択される事項の違い

  決議を要する事項
普通決議 役員報酬の決定、剰余金の配当・処分資本金額の増加など
特別決議 定款の変更、事業譲渡・解散、資本金額の減少、役員の責任の一部免除、株式併合など

まず普通決議は、会社を共有物、株主を共有者であることを前提にした「管理行為」に関わる事項で選択されます。例えば、剰余金の配当や欠損補填のための行為についてなどです。

一方特別決議は、先述したとおり会社の基本的な部分に関わる重要な事項を承認する際に行われます。

まとめ

特別決議は、株主総会の決議のなかでもより重要度の高い決議方法です。この方法で採択が行われる際は、株主や会社の利益・不利益に大きく関わる可能性が高いと承知しましょう。

普通決議ではなく特別決議と申し送りがあった場合は、詳細を慎重に確認して、株主総会に臨んでください。

ただし、重要度に応じて定足数や議決要件もシビアになるので、可決へのハードルは高くなることにも注意しておきましょう。

画像出典元:BURST、Unsplash

最新の記事

ページトップへ