一定の株式を所持すると、株主総会の招集通知が送付されます。
株主総会に参加できるというのは、自分の意見を利害関係者として述べることができる貴重な機会です。
しかし必ずしも参加できるとは限りません。ではそのような場合、株主としての自分の意思表示を伝えるにはどうすればよいのでしょうか。
当記事では、株主総会における委任状の意義や取り扱いについて良く知らなかったという人の為に、委任状についてわかりやすく解説しています。
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株主総会には大きく分けて2種類あります。1つは定時株主総会、2つ名は臨時株主総会です。
どちらの場合も招集通知を発送し、発送した側はそれに対して委任状を取得します。
それぞれの総会の意義は以下になります。
会社法296条に毎事業年度一定の時期に招集しなければならないとあり、決算日から3か月以内に開催されるものです。
この株主総会の日とは、決算書の「決算確定の日」を指します。日本の中小企業の場合、実務上決算日から2か月以内に開催されるのが一般的です。
臨時とう名の通り、定時総会のように必ず開催しなければならないものではありません。
株主の意見を伺わなければならない事象が発生した場合に開催します。開催理由として多いものは、役員が死亡した場合や代表者に変更がある場合です。
委任状は総会開催ごとに取得します。その年の定時総会の委任状のみ作成すれば、それですべての総会を賄えるというものではありません。
総会にはそれぞれ議題が設定されているため、その内容に応じて誰に委任するのか明記するためです。
定時株主総会、臨時株主総会など、株主総会に出席しないのであれば、それぞれに委任状の提出が必要です。
収集した委任状は、総会開催側が総会終結の日から3か月間保管します。例えば5月20日に定時総会を開催し終結した場合は、そこから3か月なので8月まで保管します。
また委任状を提出する側は、企業への返信期限の記載があります。株主総会へ出席できない場合には、その期限内に委任状を返信します。
原則は「1株1議決権」です。これは会社法で決まっています。ただし、単元株の制度を採用している場合は、1単元につき1議決権になります。
例えば、1単元株を100個と規定している場合は100株所持していて初めて1議決権の権利が発生します。
会社法310条で委任状に対する規定がされています。委任状は代理人を通じて議決権を行使するための書面です。
この制度を悪用しないために上場企業の場合は規制が設けられていますが、非上場の場合は特に規制がありません。
この規制は会社法ではなく証券取引法で規定されています。
そのため、「委任状争奪戦」ともいえる紛争が起こりやすいのもこのためです。参考までに「委任状争奪戦」について説明しておきます。
役員であるA氏が、株主総会でどうしても決議したい事案があるとします。
この事案を通すために、事前にA氏に一任するという旨を記載した委任状を可決できる個数だけ先に確保してしまう手法です。
つまり委任状にはそれだけの価値があるということがわかります。
委任状には以下のような意味も求められます。
他にも関係する法令等はありますが、特に気を付けなければいけないものは上記2点です。
売買を繰り返しており、株価だけに注目してたまたまその株を所持していたという人もいます。
そういう人の場合、誰を選んでいいのかわからない、特に何もないといったことが現実です。
ではこのような場合、誰を代理人にすればよいのでしょうか。
一般的に、代理人として記載するのは会長や議長、職種によっては理事長を指名します。
また、すでに委任状に記入がない場合は議長へ委任とします、といった旨の内容が記載されている場合もあります。
委任状とよく似ているものに議決権行使書というものがあります。
わかりやすく表現すると、自分が持っている1票を誰に委任するのかを記載しているのが委任状であり、議決権行使書はあくまで自分が持っている1票を自分で行使します。
この2つはよく間違われるので注意が必要です。
白紙で提出する行為自体がだめだということはありません。白紙で提出した委任状はその後どのような扱いになるのか、ということがポイントになります。
会社のルールと言われる「定款」にどのような記載がされているか、それによりこの白紙の委任状の扱いが変わります。
定款の内容に従って粛々と処理します
(出典:金子登志尾監修「商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締役会」の中の参考:神﨑ほか「書式集」22頁より)
一般的に白紙でも有効とみなし取り扱います。多くの場合は、「招集権利者に一任」とします。
またまれに、株主総会にも出席せず委任状も送られてこないといったケースがあります。この場合は「無投票」という扱いになり、議決事項の多数決に含めることはできません。
絶対にはずせないポイントは「いつ開催の株主総会か」という点です。株主総会はその総会ごと委任状を作成しなければいけません。
委任状作成には、「〇〇総会」という総会名と開催日が必要です。また、委任状に記載する代理人の記載も必要です。
希望する代理人がいる場合はその代理人の住所と氏名を記載します。いない場合は一般的に白紙で提出します。
では、委任状はどのような文言になることが一般的なのでしょうか。
それは以下の通りになります。
この委任状は、総会を開催する企業側が株主に対して総会招集の案内とともに送付することが一般的です。
ただしその企業により扱いが異なるので、同封されていない場合には上記の文言で作成します。
今では株主総会のヘルプツールも登場し、株主総会にまつわる様々な業務クラウド上で処理できるようになりました、
その一例が株主総会クラウドというサービスです。
郵送の場合であれば、書類作成〜委任状の回収は骨の折れる作業となってしまいますが、上記のようなクラウドサービスを利用すれば、招集通知の送付から委任状の回収まですべてオンライン上で完結するためスピーディに総会の準備を行うことができます。
また、書類作成や郵送といった紙周りの処理が大幅に効率化するだけでなく、回答状況の管理や、株主情報や開催履歴の管理までも一括で省力化できるのが特徴です。
料金は、スモールプランは株主1人あたりにつき980円(株主15名まで)、スタンダードプランでは980円/株主に加え別途、基本料金14,800円が必要になります。
月額料金が不要で、株主総会1回ごとの課金方式であるため、通常のサブスクリプションサービスとは違ってリーズナブルに運用することができます。
委任状は総会ごとに必要で保管期間は3か月です。白紙で提出というケースもありますが、その場合は定款により扱いが異なります。
株主総会は株主が経営者に意見が言える貴重な機会です。
たまたま売買のタイミングで所持していたということもありますが、総会に参加しない、興味がないといった場合でも委任状を提出して経営に参加することが大切です。
画像出典:photo-ac
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