取締役会は設置すべき?メリット・デメリット、設置の手順を徹底解説

取締役会は設置すべき?メリット・デメリット、設置の手順を徹底解説

記事更新日: 2018/11/30

執筆: 高浪健司

取締役会を設置するしないについては、必要に応じて自由に決めることができます。

とは言え、いくら自由だとしても、会社を設立するならやはり設置するべきなのでは?など、取締役会の設置は非常に悩ましいところです。

そこで今回は、取締役会設置の必要性からメリット・デメリット、設置の手順まで詳しく解説していきます。

取締役会とは

取締役会とは、株式総会にて株主から会社の経営に任命された3名以上の取締役から構成され、業務執行に関する会社の意思を決定する「意思決定機関」のことです。

この取締役会は、2006年に会社法が改正されてから設置の義務がなくなり、必要性に応じてそれぞれ自由に決められるようになりました。

しかし、上場企業に関しては取締役会の設置が義務づけられているため、将来的に上場を視野に入れているなどの場合は、基本的に取締役会の設置が必要です。 

また、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をする場合も、一部のVCは取締役会の設置を出資の条件としていますので、VCからの資金調達を予定している場合も、取締役会の設置を検討すべきです。

取締役会の役割と権限

それでは、取締役会というのは具体的にどのような役割があり、どういった権限を持つのかをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

取締役会の役割

取締役全員で構成されている取締役会では

  • 会社の業務執行の決定
  • 取締役の職務執行の監督
  • 代表取締役の選定および解職

の3点が主な役割となり、これらはすべて会社法第362条第2項によって定められています。 

これらのことから分かるように、会社をどのように運営していくのかの方向性を決定し、その決定された運営事項が適切に行われているかを監督するのが、取締役会の責務です。

取締役会の権限

会社経営において多く発生する決定事項のうち、以下の事項を決める際は取締役に委任することができず、必ず取締役会にて決定する必要があります。

  • 重要な財産の処分および譲受け
  • 多額の借財
  • 支配人やその他の重要な使用人の選任及び解任
  • 支店やその他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 社債の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
  • 取締役の職務の執行が法令や定款に合うような体制の整備
  • 定款の定めに基づく取締役などの責任の免除
  • その他、重要な業務の執行

このように、重要な業務執行の決定に関しては、必ず取締役会にて決定しなければなりません。なお、取締役会の開催については、最低3か月に1回程度行う必要があります。

なぜ、最低3か月に1回程度、取締役会を開催する必要があるのか。それは、代表取締役をはじめとする取締役には、それぞれの職務執行の状況報告を3か月に1回以上行う義務があるためです。

取締役会設置のメリット

取締役会を設置することによって、得られるメリットがいくつかあります。取締役会の設置によって得られるメリットを紹介していきます。

1. 迅速な意思決定

取締役会を設置することで、株主総会の決議を要することなく、業務執行の意思決定をすることができます。つまり、迅速な会社経営が可能となるのです。

2. 信用性の向上

取締役会設置会社は、対外的にしっかりとした会社であるという見方をされ、会社への信用度があがります。会社の信用度があがると、融資や取引する際などにも有利となります。

3. 取締役の専断防止効果

取締役会の存在は、特定の取締役が独断で物事を決め、取引してしまうなどの専断行為の防止にもなります。

4. 機関変更がスムーズ

事業を展開していくなかで、公開会社や監査役会設置会社などへの変更も考えられます。

会社の機関設計を変更する場合、取締役会を設置しなければなりませんので、予め取締役会の設置があれば、公開会社への変更や、監査役会の設置もスムーズです。

取締役会設置のデメリット

それでは続いて、取締役会を設置することによって生じるデメリットを説明していきます。

1. 役員報酬の負担が増える

取締役会の設置に伴う員数は「取締役3名以上」「監査役1名以上」が、必須条件となっています。そのため、最低でも4人分の役員報酬を支払う必要があります。

2. 株主の決定権が減る

株主総会にて決定が定められている事項以外、業務執行などの意思決定は基本的に取締役会にて行われます。そのため、株主の決議事項が制限されることになります。

3. 株主総会の招集に手間がかかる

株主総会を招集する際、取締役会の設置がない場合、招集の方法に制限がないので、口頭での通知で構いません。しかし、取締役会の設置がある場合は、原則的に書面にて通知しなければなりません。

また、定時株主総会を招集する際も、計算書類や監査報告書を添付しなければならないといった手間がかかります。なお、取締役会の設置がない場合は、計算書類や監査報告書といった書類添付は不要です。

取締役会の設置方法

会社を経営していくうちに規模が拡大し、取締役会を設置したいという状況になることもあります。そこで、取締役会の設置方法を説明します。

1. 役員の確認

先述のとおり、取締役会を設置するには、「3名以上の取締役」と「1名以上の監査役もしくは会計参与」が必要ですので、この条件を満たしているかを確認します。

2. 定款変更案を作成

取締役会を設置すると、今まで株主総会で決定していたことを、次からは取締役会にて決定するようになります。そのため、今までの定款内容が変わりますので、定款の変更案を作成します。

3. 株主総会の開催の決定と招集

定款変更と役員選任は株主総会にて決議します。そのため、株主総会開催日を決定し、株主へ招集通知を出します。なお株主への通知期間は、株主総会開催日の1週間前までが原則です。

4. 株主総会にて決議

定款を変更し、取締役会・監査役の設置、そして新たに役員の選任などについて決議します。

5. 代表取締役の選定と決定

取締役会設置会社においては、取締役会の中から代表取締役を選定しなければなりません。そのため、取締役の決定後、その中から代表取締役を選定します。

6. 取締役会設置の変更登記申請

登記変更を行うための変更登記申請書を作成し、原則2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ変更登記の申請を行います。

登記変更については、以下の記事を参考にしてください。

 

結局、取締役会の設置は必要か?

新会社法が施行されて以降、それまで設置が義務づけられていた取締役会も、設置するかしないか自由に決めることができるようになりました。

では、どのような会社が取締役会を設置するべきなのでしょうか?

これについては冒頭でも記述したとおり、会社を大きくして将来的に上場を目指すような会社や、VCから資金調達をすることが想定される場合などは、取締役会の設置は必要です

一方、将来的にも特に急成長を目指していないという中小企業などの場合、取締役会を設置するメリットはありません。したがって、そういった会社は無理してまで設置する必要はありません。

ちなみに、最近の中小企業の動向を見る限り、取締役会を設置しないという会社がほとんどです。

まとめ

今回は、取締役会の役割や権限、そして設置した際のメリット・デメリットなどを詳しく解説してきました。

取締役会は、会社を設立する際に設置するかしないかを決める必要があります。しかし、結局のところ「株主=代表取締役」といった比較的小規模な会社を継続してやっていくのであれば、取締役会の設置は特に必要ありません。

ですが、取引先や金融機関などの信頼を得ながら、将来的に会社を大きくしたい場合、特に上場を目指している場合は、取締役会の設置を検討すべきです。

画像出典元:Pexels

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