労務管理の基本は、法令の内容を正しく理解し、法令を遵守した上での管理体制を作ることです。
この記事では、労務管理で重要な法定三帳簿と雇用に関する手続きを解説します。
労務管理では個人情報の取扱やコンプライアンス重視など注意点が多くあります。
労務管理システムの導入を検討し、効率と法令順守を行いましょう。
このページの目次
労務管理の基本は、法令を理解し、適正な手続き、管理をすることです。
労務管理をするためには、労働関係法令の内容を正しく理解する必要があり、また法令を遵守し、適切な管理体制を構築する必要があります。
労働関係の法令には、労働基準法をはじめとして、安全衛生法、健康保険法等の各種保険関係の法律、労働災害防止法、労働契約法等、様々な法令があります。
そのためには、労働関係に関する法令にはどのようなものがあり、適正な管理とは何か、どのような手続きが存在しているのかを正しく理解しておくことが大事です。
参考:やさしい労務管理の手引き
労務管理と似たような仕事に、人事や総務、勤怠管理等がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。
一般的に労務管理といった場合、労働関係に関する各種法令に基づき、労働者の労働や勤務時間、手続き関係等を管理することをいいます。
ですので、労務管理は、法令に定められた内容に従って、業務をする必要があります。
労務管理に対して、人事や総務とは、それらも含めた上での、様々な会社内の仕事も加わっていることが多くあります。
人事は、組織体制の中での労働者の配置の問題や、給与額の問題、労務管理にプラスして会社内の体制の問題が加わってきます。
会社内の体制は、法令に定められているものではありませんので、会社ごとに様々なやり方や方法があり、仕事内容や業務内容も会社ごとに異なってきます。
総務にも労務管理が含まれていることもありますが、労務管理以外の会社内の一般的な事務関係の仕事が加わることもあります。
総務も法令に基づいて規定されている仕事内容ではありませんので、会社ごとにその業務内容は異なります。
人事や総務に対し、労務管理と一般的に言う場合、労働関係の法令に遵守した管理をする必要がありますので、どのような会社でも似たような業務内容になります。
勤怠管理も、労務管理と同じような意味合いで使われる場合がありますが、出勤や退勤等の労働時間を管理する出勤簿や賃金台帳の管理を指すこともあります。
出勤簿や賃金台帳も法令により、記載事項や様式が決められており、これらも労務管理の一部です。
勤怠管理は、労務管理の中に含まれています。
法定三帳簿とは、法令により帳簿の作成、記載事項、保存期間が定められている3つの書類のことで、「法令により定められた3つの書類」として、法三帳簿と一般的には言われているものです。
法定三帳簿は、次の3つになります。
法定三帳簿は、労働者を雇用している場合は法令により作成が義務付けられていて、記載事項や様式、保存期間が定められています。
各種帳簿の記載事項は、以下の通りです。
法定三帳簿の詳細はこちらの記事に掲載されています。
実際の労務管理で必要な書類と手続きにはどのようなものがあるのでしょうか。
雇用契約書、労働条件通知書は、労働者を雇用する際に必要となる書類です。
雇用契約は、労働基準法が定めるラインを下回った条件で締結することはできません。
労働基準法に定められた労働条件に関する基準は、強行法規ですので、必ず守らなければならず、この基準を下回った部分は無効となり、労働基準法が定めた基準が適用されることになります。
また、雇用契約の締結にあたっては、法令が定める重要な項目については、労働者に対して必ず書面を交付する義務があります。
雇用契約書と労働条件通知書の詳細はこちらの記事に掲載されています。
就業規則は、職場においての規律や共通の労働条件を定めたものになります。
常時10人以上の労働者を使用する事業場は、必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
就業規則では、法令により必ず記載しなければいけない事項(法定記載事項)と任意記載する事項(任意記載事項)があります。
また、就業規則の内容も法令や労働協約に違反することはできません。
安全衛生法では、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医の選任を、職場の規模、業種ごとに定めて、義務付けています。
労働者の人数がある程度以上に増えてきた場合は、安全衛生法に基づき管理者を選任し、安全衛生管理体制を構築する必要があります。
また、管理者や産業医の選任は、労働基準監督署へ報告する義務がありますので、この点も注意が必要です。
労働者を雇用した場合、各種社会保険の手続き、労働保険の加入手続きが必要です。
社会保険は、健康保険と厚生年金保険からなります。
社会保険の加入は、法人の場合は必ず加入しなければなりません。
個人自営業の場合は、常時5人以上の労働者を使用する事業所が適用対象となるのですが、業種によっては、適用事業所とならない場合もありますので、注意が必要です。
労働保険は、雇用保険と労災保険とからなります。
労働保険は、適用事業所で働くすべての労働者が原則として対象となります。
法人、個人自営業を問わず、労働者を1人でも雇用する事業所は、すべて適用事業所となります。
退職は、労働者からの申出によって労働契約を終了することをいいます。
解雇は、雇用者から一方的に労働契約を終了するです。
ただし、解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合でなければ、労働者を解雇することはできません。
労働者からの意思表示による退職の場合、退職の意思表示から2週間で効力を生じることになっています。
多くの職場では、就業規則で「労働者が自己の都合により退職しようとするときには、少なくとも14日前までに申し出なければならない」と定めていることが多くあるようです。
就業規則で、休職や異動の手続きが定められている場合は、就業規則に則り手続きをする必要があります。
就業規則に定められていない場合は、会社と労働者との話し合いにより内容を決定します。
妊娠、出産、産休産後の休業や介護による休業の場合は、育児・介護休業法に基づき取得する必要があります。
育児・介護休業等を申し出たことや、取得したことによる解雇は明確に禁止されています。
労務管理には、従業員の職場整備を行う事も含まれています。
労働者の労働時間は、徹底管理する必要があります。
現在の法律では、労働者の残業時間は上限が定められていますので、これを超過して残業をさせることはできません。
労働時間は、基本給の他、時間外労働、深夜労働時間、休日労働時間等に応じて、法令に基づいた計算方法によって賃金を計算する必要があります。
休憩時間の取得や休日の取得、年次有給休暇の取得も適切に管理する必要があります。
労働時間や労働日数等を適切に把握し管理することで、法令を遵守した形で労務管理になります。
従業員の安全衛生や健康管理も会社が講ずべき措置となっています。
事業者は、健康診断を必ず実施する義務があります。
また、安全衛生管理体制の構築や総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医の選任も、事業所の規模や業種ごとによって定められています。
安全衛生管理体制を構築することで、快適な職場が形成できることとなります。
会社のリスクマネジメントの観点からも、職場内のハラスメント対策を構築していくことは重要な施作となっています。
職場内のハラスメントには、大きく分けて、パワーハラスメントとセクシャルハラスメントの2つがあります。
職場のパワーハラスメントは、典型的な事例として次の6つの類型があります。
また、職場のパワーハラスメント対策として、予防・解決するためには次の7つの取り組みが有効だとされています。
職場のセクシャルハラスメントには、次のようなものが該当します。
職場のセクシャルハラスメントを防止するための措置を講じることは、男女雇用機会均等法により定められた義務です。
労務管理では、徹底すべき観点が2つあります。
労務管理は、法令に記載された管理事項が基本となります。
法令に定められていますので、記載事項が定められている場合があり、様式が決まっていたりします。
労務管理に関する書類は保存期間も法令で定められています。
各種官公庁への届出や、報告、申請が必要な書類も厳密に決められています。
法令で義務付けられているものですので、怠った場合、罰則規定もあります。
労務管理を担当する場合は、常に現行の法律と法改正を意識しましょう。
労務管理で管理する機密情報は、各種労働者の労働条件から、労働日数、労働時間、出勤時間、退勤時間から、基本給等の賃金、年次有給休暇の取得等、多岐にわたります。
労務管理で使用する帳簿類は、保存期間も定められているものが多く、使用が終わったからといって、簡単に破棄できるようなものではありません。
労務管理では、膨大な情報をいかに管理すべきかというもの重要な視点となります。
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51〜100人
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画像出典元:「オフィスステーション 労務」公式HP
「オフィスステーション 労務」とは、大手企業を含む35,000社以上に導入(※)されている実績豊富な労務管理システム。
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勤怠や給与、年末調整、マイナンバー管理などの外部ソフトとの連携やe-GOVへの対応、セキュリティの高さなども魅力。
無駄な出費を抑え、低額で利用することができるのも大きな特徴です。
※「オフィスステーション」利用実績数
オフィスステーション 労務の料金プランは1種類。
初期費用は登録料の11万円(税込)で、毎月従業員ひとりあたり440円(税込)がかかります。
名目 | 費用 |
登録料 | 110,000円(税込) |
従業員ひとりあたりの月額利用料 | 440円(税込) |
ユーザー数 | 無制限 |
商社
251~500人
管理者向けにおすすめ
色々なシステムを検討して最後にスマートHRとオフィスステーションの2択になり、価格面をみてオフィスステーションに決めました。管理者にとってはオフィスステーションの方が使いやすいと感じました。
コンサルティング
11〜30人
社会保険の手続きの一部には対応しておらず
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基本的な労務管理全般 | 月額300円 /ユーザー |
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プロフェッショナルプラン | 8,080円~ | フレックス制などに対応 | 月額700円 /ユーザー |
エンタープライズプラン | お問合せ | 従業員情報のカスタム項目 | お問合せ |
月額料金は年額プランの場合の金額です。どのプランでも初期費用はかかりません。
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1001人以上
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11〜30人
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労務管理の基本について解説してきました。
労務管理は労働に関する情報管理と従業員が働くために必要な環境整備を行う事です。
手続きといった作業から相談窓口まで、管理すべき事柄が多岐にわたります。
働き方が多様化していている事や大企業では手作業で管理する事は難しくなっています。
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画像出典元:pixabay
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