企業研修は、対象となる社員や目的によって選択すべき研修が異なります。
さまざまな種類があるため、導入で迷っている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、研修の種類を形式別・テーマ別・階層別に紹介します。
研修学習手法の種類や導入までのステップ、研修の費用相場なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
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このページの目次
企業における研修とは、社員を対象に実施する勉強会や講座のことです。
実施する目的をわかりやすく解説します。
研修の目的を、企業側と社員側に分けて紹介します。
企業が研修を実施する目的は人材育成です。
対象となる社員にあわせて研修をおこない、業務に必要な知識やスキルの向上を目指します。
社員一人ひとりの生産性を上げることが、経営戦略の達成や利益向上につながるのです。
社員が研修に参加するのは自己成長のためです。
知識やスキルを身につけることで、キャリアアップやキャリアチェンジに役立てることができます。
学んだ技術を実務で活かすことで自信がつき、仕事に対する満足度も高められるでしょう。
企業研修でよく利用される3つの形式について解説します。
それぞれのメリットとデメリットをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
集合型研修とは、複数の受講者に対して対面形式でおこなう研修です。
別名「座学研修」とも呼ばれています。
メリット |
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デメリット |
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オンライン研修とは、インターネットを介して実施する研修です。
Web会議システムなどを利用したライブ配信型が一般的です。
メリット |
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eラーニングとは、動画や教材、テストなどの学習コンテンツを活用した研修です。
受講者が個々でアクセスして、オンラインで学習します。
メリット |
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デメリット |
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続いて、テーマ別に研修の種類を紹介します。
一般的な企業で実施されている、主な研修をまとめました。
仕事の進め方を学ぶための研修には、以下のような種類があります。
ビジネスシーンで求められる、作法や立居振舞を学ぶための研修です。
挨拶の仕方や言葉遣い、身だしなみ、名刺交換の方法などの知識を身につけます。
顧客や取引先に対して不快な思いをさせず、信頼を得られるような人材を育成するのが主な目的です。
ビジネスにおける考え方やスタンスなど社会人としての基礎姿勢を、身につけるための研修です。
同僚や顧客などの「相手目線」で考えられる人材を育成します。
業務を遂行する強い精神力やチームにおける影響力を学ぶことで、組織の成果につなげます。
コミュニケーションの質を高め、よりよい人間関係を構築するための研修です。
他者を理解するための聴く力や、自らの主張をわかりやすく伝える力などを学習します。
チームの関係性が高まることで業務効率がアップする、ミスが減少して生産性が向上するなど、さまざまな効果が期待できます。
社会的なルールを守るための研修は、以下の通りです。
ハラスメント研修では、職場で起こり得るハラスメントについて学びます。
発生させないための予防方法や、発生した場合の対応策など正しい知識を身につけることが目的です。
ハラスメントを発生させない環境の構築につながり、円満な社内コミュニケーションの実現を目指します。
コンプライアンス研修とは、社会人としての規範や責任感を養うための研修です。
法律や規則、リスクについて学ぶことで、企業に悪影響を及ぼすような不祥事を未然に防止します。
内部統制の強化やコンプライアンス違反への迅速な対応につながります。
リスクマネジメント研修では、企業が直面するであろうリスクを軽減するための知識を習得します。
一般的なリスクや事例をさまざまな視点から学ぶことで、危機管理能力を高めることが目的です。
ハラスメント研修や情報セキュリティ研修など、リスクに関わる研修が範囲に含まれます。
ビジネススキルを学習するための研修をまとめました。
インターネット関連の知識や操作方法、情報システム運用のために必要なセキュリティ対策を学ぶ研修です。
ITスキル研修の範囲は広く、初心者向けからエンジニア向けまでさまざまな種類があります。
情報セキュリティ研修では、サイバー攻撃や不正アクセスなどの脅威や予防策を学ぶことが可能です。
プレゼンテーション研修とは、聞き手に自らの主張をわかりやすく伝えるための能力を身につけるための研修です。
資料の作成や話の構成、話し方などを学び、魅力的なプレゼンテーションをおこなえるように育成します。
提案力・交渉力の向上や、営業成績のアップなどの効果が期待できるでしょう。
マネジメントに関する研修には、以下のような種類があげられます。
マネジメント研修とは、管理職に必要なマネジメントの知識やスキルを習得するための研修です。
部下の管理・育成や目標管理、リーダーシップについて学び、組織の運営や成果創出に貢献できる人材に育てます。
チームビルディング研修では、チームのメンバーがお互いに協力しあう体制の構築を目指します。
アクティビティやゲームなど、体験型のプログラムを取り入れるのが一般的です。
チームが一丸となって物事を達成する経験をすることで、チームワークの重要性を体感します。
仕事を通して学ぶ教育訓練法(OJT)や、経験者が直接指導をおこなうメンター制度に必要な知識やスキルを習得するための研修です。
部下や後輩に対して、適切な指導や育成ができる人材を育てるために実施します。
新入社員・若手社員の定着や、社員同士で学び合う文化を醸成します。
経営に関する研修は以下の通りです。
経営戦略研修とは、戦略的思考力やリーダーシップなど企業のリーダーに必要なスキルを身につけるための研修です。
事業の分析や施策の策定、戦略に関する意思決定を学び、経営的な視点を養います。
状況の変化に対応しながら、競合より優位なポジションを確保することが目的です。
次世代幹部育成研修は、経営を担う幹部候補を早い段階から育成する研修です。
管理能力や意思決定力、ビジョンを作る力などを高めることを目的としています。
優秀な次世代リーダーを輩出することで、企業の成長につなげます。
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社員の立場によって、適した研修は異なります。
階層別に具体的な研修内容を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
新入社員向けの研修は、社会人としての基礎を身につけるための研修が主です。
ビジネスマナー研修やコンプライアンス研修、OA研修などがこれに該当します。
入社2〜3年目の若手社員には、より効率的に業務を進めるための知識やスキルが必要です。
プレゼンテーション研修やロジカルシンキング研修、コミュニケーション研修などがあげられます。
中堅社員向け研修では、チーム全体の成果を向上するための知識やスキルを身につけます。
たとえばOJT・メンター研修やフォロワーシップ研修、セルフマネジメント研修などです。
リーダーをサポートし、部下と円満な関係を構築できる人材を育成します。
リーダーとして活躍できる人材を育成するための研修が必要です。
マネジメント研修や次世代幹部育成研修、リスクマネジメント研修などが該当します。
上記で紹介した研修の種類とあわせて、研修学習手法をチェックしておきましょう。
基本的な学習手法の種類とそれぞれの目的を解説します。
ロールプレイングは、特定の状況や役割を想定して演じながら学ぶ研修学習手法です。
接客業や販売業など、顧客とコミュニケーションが重要視される職種に適しています。
リアルなやり取りを再現することで、実践的なスキルが身につきやすいことがメリットです。
さらにコミュニケーション能力や問題解決能力の向上にも役立ちます。
グループワークを取り入れた研修では、複数人が集まって同じ目標や課題に取り組みます。
特定のテーマにそって話し合い、グループとして結論を出す形式が一般的です。
コミュニケーション能力が向上し、さらに社員同士が協力する過程で信頼関係を築けます。
課題解決力やフォローアップ、リーダーシップを実践的に学ぶことが可能です。
個人ワークは、社員一人ひとりが自ら学ぶ研修学習手法です。
参考書や専門書、eラーニングなどを活用して、それぞれが自分のペースで学習します。
場所や時間を選ばないため、忙しい社員でも無理なく進められることがメリットです。
自分に必要な知識やスキルのみを選択して学ぶことができ、コストもあまりかかりません。
他の研修と組み合わせて実施する研修学習手法です。
研修で学んだ内容を課題や宿題で振り返ることで、知識の定着につなげます。
主に新入社員や若手社員、中堅社員が、新しい知識やスキルを身につけるときにおすすめです。
チェックテストは、研修後に効果を測定するために実施します。
知識やスキルの向上を数値化でき、社員の成長を可視化できることがメリットです。
研修の理解度を把握することで、必要に応じてカリキュラムの調整やフォローを実施できるでしょう。
チェックテストの実施を知らせておけば、社員の学習意欲向上にもつながります。
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では実際にどのように研修を導入すればよいのでしょうか。
自社に適した研修を実施するために、基本的な流れを確認しておきましょう。
まずは自社が抱えている問題点を洗い出しましょう。
組織としての理想や社員に求める役割を踏まえたうえで、現状との違いを明確にします。
研修の対象となる社員や上司にヒアリングすることも重要です。
明確にした問題点をもとに、具体的な研修目的を設定します。
各階層の社員に対して、どのような研修が必要なのかを検討しましょう。
研修目的が複数ある場合は、優先順位をつけておくと絞り込みやすくなります。
研修目的を達成するために必要な期間を予想します。
期間がわからない場合は、仮の期間を設定して次のステップに進みましょう。
それから社員にどうなってほしいのか、具体的な研修のゴールを設定します。
研修期間の長さに応じて、マイルストーン(中間目標)をいくつか設定しておくのもおすすめです。
これまでのステップをもとに研修方法を決定します。
対象となる社員や階層ごとに、テーマや形式、研修学習手法を選択しましょう。
研修実施のために必要な準備やコストの算出なども、あわせておこなってください。
社員がどのような姿勢で研修に取り組んでいるのかを確認します。
研修後にアンケートや評価で振り返りをおこない、効果を測定して、次回以降の研修の改善に役立てましょう。
受講者へのフォローアップを実施して、社員のスキルアップを促進しましょう。
一定期間が経過したタイミングで再び集まり、学んだ知識やスキルを復習します。
学んだことを定着させ、知識やスキルをどのように活かすかを明確化することが重要です。
研修にかかる費用相場と期間をまとめました。
コストや導入までの期間の目安を、あらかじめ確認しておきましょう。
研修費(研修サービス) | 3~4時間(半日):10万円~15万円 6時間(全日):15万円~30万円 |
研修費(個人事業主) | 3~4時間(半日):6万円~12万円 |
会場費 (小規模) | 1万5,000円~5万円 |
会場費 (中~大規模) | 12万円~80万円 |
設備費 | 5万円~15万円 |
公開講座 | 18,000円~3万円/1名 |
社外に委託する社外研修は、種類や依頼する講師、会場によって大きく差がでます。
会場費 (小規模) | 1万5,000円~5万円 |
会場費 (中~大規模) | 12万円~80万円 |
設備費 | 5万円~15万円 |
eラーニング | 初期費用:20万円~30万円 月額費用:3万円~7万円 |
社内研修では、研修を外部に依頼する研修費はかかりません。
eラーニングシステムの費用はユーザー数によって変化することもあるので、あらかじめチェックしておきましょう。
新入社員研修 | 1~3ヶ月 |
中途採用研修 | 1週間 |
上記の期間はあくまで目安であり、職種や研修内容によって大きく差が出ます。
専門的な知識やスキルを学ぶ必要がある職種は長い研修期間が必要なので、適切に設定しましょう。
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自社に適した研修を導入するためには、まず種類を把握しておく必要があります。
形式別・テーマ別・階層別に種類を紹介したので、最適な研修を選択するために役立ててください。
研修学習手法や導入から実施までのステップ、研修の費用相場や期間など、研修を実施するための知識も、あわせてチェックしておきましょう。
画像出典元:O-DAN