3月決算は実はそれほど多くない?決算月のルールと決め方のポイント

3月決算は実はそれほど多くない?決算月のルールと決め方のポイント

記事更新日: 2018/11/07

執筆: 小石原誠

初めて起業をする際に起業家の頭を悩ませることの一つが「決算月をいつにすべきか」です。

さんざん悩んだ結果、世間では3月決算が多いみたいだしひとまず自分もそうしておくか…となんとなく決めてしまう起業家も少なくないでしょう。

今回は、各企業の決算月に関する考え方をご紹介しながら、決算月を決める際のルールと決め方のポイントについてご説明していきます。

決算月に関するルールを知ろう

決算月の決め方に関するルールはない

決算月をいつにするか、つまり事業年度を何月から始めて何月で締めるかは、法律などで決め方が定められているわけではなく、起業家が任意で決めることができます。かといって当然、適当に決めていいわけでもありません。

今回ご紹介するいくつかのポイントを考慮して、事業運営が行いやすいように決算月を設定すると良いでしょう。

ちなみに、決算月については起業時に作成する定款に必ずしも記載しなければならないというわけではないのですが、特別な事情などがない限りは定款にも記載することが通例です。

決算月は途中で変更することもできる

一度決めた決算月は二度と変更できないわけではありません。定款の変更や行政機関への届け出などの手続きを踏めば年度途中でも変更できることを覚えておきましょう。

実際に有名な企業が決算月を途中で変更している事例もあります。

ただし、事業が動いている中で決算月を変更するとなると、1年未満で決算を行わなければならなくなり、この際に様々な会計上の処理を行わなければならないのでやや面倒です。

途中で変更できるからといって「これでいいや!」と決めるのではなく、余程のことがない限りは変更をしない、という前提でしっかり考えて決めましょう。

企業はどのように決算月を決めている?

では、ここからは実際に企業がどのように決算月を設定しているか、いくつか具体例を交えて説明していきます。

決算月を3月としているのは全体の2割ほど、ただし大企業は3月が多い

まず、なんとなく「決算月は3月」というイメージが強い方も多いかと思いますが、実際には決算月を3月としている企業は全体の約2割ほどに留まっています。

ところが、資本金が100億円以上の企業に限定すると、実に75%もの企業が3月を決算月としています。

決算月は3月というイメージが強いのは、有名な大企業の多くが3月としているからでしょう。

なぜこれらの企業が決算月を3月としているのかというと、これは行政機関の年度設定が4月スタートの3月締めになっていることが関係していると考えられます。

特に大企業は公共事業など行政機関と関係ある業務を行っていることが多いため、年度設定は行政機関に合わせた方が事業運営上都合がよいというわけです。

逆に、比較的小規模な企業、特にスタートアップの場合は行政機関に合わせる必要があまりなく、また後述の通り節税対策などを考慮するために3月以外を決算月としていることも多いです。

小売業は2月を決算月とすることが多い

決算月の設定には業界ごとに特徴があるのですが、その特徴が特に色濃いのが小売業であり、小売業の企業は2月を決算月としていることが多いです。

小売業の多くが決算月を2月とするようになった理由は明確にはなっていないのですが、一説には2月は客足が鈍くなり閑散期となるために作業量が多い決算を済ませてしまうようになったから、とされています。

グローバル化に伴い世界基準の12月決算とする企業も

日本では決算は3月というイメージが強い一方で、アメリカやヨーロッパなどの世界各国では12月決算がスタンダードとなっています。

そのため大手企業を中心にグローバル化に伴い12月決算へと変更する企業も多くなってきています。

特に海外に子会社がある場合は、子会社と親会社の決算時期は同じにするというルールがあるために、12月へと変更を余儀なくされることもあります。

12月決算としている企業として具体的には、以下のような企業が挙げられます。

インターネット関連企業、製薬・化粧品関連企業、あるいはタイヤ・ゴムメーカー、機械メーカーなどが12月決算にしていることが多いです。

これらはいずれも業務及び取引が世界中で行われているために、世界のスタンダードに合わせているものと考えられます。

決算月の決め方のポイントは?

ここまで、企業の決算月の設定に対しての考え方についてご説明してきました。

では、これから起業をしようとする起業家は具体的にどのように決算月を決めれば良いでしょうか。

3つのポイントをご紹介します。

1. 消費税の免除期間を最大限確保する

資本金の額が1,000万円未満の場合には、最大で2期(※)まで消費税の納税が免除されることになっています。ここで注意すべきなのが「2年」ではなく「2期」だということ。

例えば、4月頭に会社を設立したとして、決算月を12か月後の3月とした場合と9か月後の12月とした場合、どちらも同じ「1期」となり、消費税の免除が適用される期間に差が出ます。

(例)2018年4月に会社設立をした場合

決算月 3月 → 2020年3月までの丸2年間、消費税が免税

決算月12月 → 2019年12月までの1年9ヶ月間、消費税が免税

そのため、消費税の免除期間を最大限確保したいのであれば、1期(初年度)から丸々12か月間となるよう決算月を設定しましょう。

※ 平成24年12月までは2期目まで免除対象となっていましたが、25年1月以降、2期目は1期目の上半期の課税売上高または給与支払等の額が1,000万円以下の場合のみ免除と変更になりました。

決算後 2か月以内に決算申告と納税を行う点に注意

企業は決算を行ったら2か月以内に決算の申告と納税を行わなければなりません。例えば、3月31日が決算日であれば5月31日が期日となります。

特に少人数・小規模で事業展開を行う場合、納税により一時的に資金繰りが悪化してしまうこともあり得るので、決算後2か月以内は納税を行うためにお金が必要となることを意識して決算月を決めるべきでしょう。

ちなみに、決算申告時に行うのは国税の法人税・消費税と、地域によっては地方税の法人事業税・法人住民税が該当します。

特に前者の国税のうち消費税は先述の通り免除申請ができますが、法人税の税率は最大で利益の35%と大きなものになるので注意しましょう。

自社及び他社の業務繁忙期との兼ね合いで決めても良い

基本的に決算作業には人手も時間もかかるものです。もちろん1人で起業するような場合であってもそれは同様です。

そのため、決算月はまず自社の業務繁忙期は避けて設定ができればベターです。

先述のとおり、例えば小売業の場合には2月とするように「顧客の視点に立った」繁忙期の見通しを立てれば良いですが、他社から業務を受託するようなBtoBビジネスの場合には、仕事を受注する他社の業務繁忙期について考慮してみるのも良いでしょう。

まとめ

今回は、起業時に悩むことが多い決算月の決め方に関するルールとポイントについてご説明しました。

なんとなく決算月は3月というイメージが強く、実際に大手企業の多くは3月を決算月としているのですが、それに合わせて3月を決算月としてしまうのは早計です。

業務の繁忙期や節税対策などを考慮して、会社としての資金繰りや事業運営に支障をきたさないよう決算月を設定しましょう。

画像出典元:写真AC, Burst

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