工数管理は意味がない?行う理由とメリット、管理のポイントを解説

工数管理は意味がない?行う理由とメリット、管理のポイントを解説

記事更新日: 2020/04/30

執筆: 編集部

働きやすい現場にする」、「生産性を向上させる」といった目標を達成するには「工数管理」が必要という意見を耳にします。

工数とは「ある作業を完了させるために必要な時間と人数」のことを意味していますが、「工数管理」その方法を理解・実践することは難しいと感じている方もいらっしゃるでしょう。

しかし現在では生産性アップを手助けするツールは数多く、かつてよりも工数管理のハードルは下がっていると言えます。

この記事では工数管理の意味やそれを行なうメリット、おすすめの工数管理ツールをご紹介します。

この記事を読めば、従業員にとって働きやすい現場を作り出す秘訣・明日から使えるツールについて理解できます。

「工数管理」とは?

工数管理を説明するためには、まず「工数」の意味を理解しなければなりません。

工数とは「ある作業を完了させるために必要な時間と人数」のことです。

身近な言葉では「作業時間」が一番意味の近い言葉になるでしょう。

この、特定の作業を完了させるために必要な時間と人数を計算し管理することが「工数管理」の意味です。

工数の単位と計算の仕方

工数を表す単位には以下の3つがあります。

  • 人月(にんげつ)
  • 人日(にんにち)
  • 人時間(にんじかん)

それぞれの単位の意味を例を挙げて説明します。

単位 意味
1人月 1人で作業した場合1ヶ月で完了する
30人日 30人で作業した場合1日で完了する
720人時間 720人で作業した場合1時間で完了する

たとえば、ある顧客がソフトウェア開発会社にソフト開発を依頼します。会社はその開発作業には、3人体制で行えば2ヶ月で完了すると見積もりました。そうすると計算では次のようになります。

2ヶ月×3人=6人月

この計算結果をもとに、ソフト開発会社は顧客に対し、この作業ではこれくらいの工数がかかるので、人件費はだいたいこれくらいになりますと説明できます。

このように、特定の作業にどれくらいの時間と人が必要とされるのかを計算し管理するのが「工数管理」です。

工数管理を行う理由

先ほどの例で説明したように、工数を計算し管理することは、人件費つまりコストを把握することにつながります。

さらに、企業内では一般的にひとつのプロジェクトだけでなく、複数のプロジェクトが同時進行で行われています。

経営者側からすれば、事業全体のコストは決算書などを見れば把握できます。しかし、それぞれのプロジェクトに関しては、決算書から読み取ることはできません。

それで、それぞれのプロジェクトにどれくらいのコストがかかるのか把握するために工数管理がとても大切な役割を果たします。

工数管理を行う6つのメリット

工数管理をきちんと行うことは、経営者側にも現場側にもメリットをもたらします。それぞれの側にどんなメリットが生まれるのか、合計6つのメリットを紹介します。

工数管理による経営者側のメリット3つ

現場からの工数の報告を分析することで以下のメリットが得られます。

1. 確実な利益確保が見込める

工数管理をきちんと行えれば、特定のプロジェクトに関し、何人でどれくらいの期間をかければ完了するか計算できます。これによりそのプロジェクトの利益を確保できます。

もし、工数管理がきちんとできていなければ、特定の仕事を受注しても、想定以上の人数と時間がかかり、人件費つまりコストが一気に膨れ上がるでしょう。

正しく工数管理ができれば、企業として収益を向上させることができます。

2. プロジェクトの修正・対策ができる

一定の期間にわたるプロジェクトは、細かいスパンで工数管理できます。予想と比べて日数や人数、つまり工数が費やされているならば、その後のスケジュールを修正したり改善することができるでしょう。

3. 不採算プロジェクトを減らせる

特定のプロジェクトに必要な工数のデータが揃うならば、そのデータに基づき、どのプロジェクトが黒字なのかもしくは赤字なのかを把握できます。

もし常に赤字になるようなプロジェクトを取引先から受注しているのであれば、そうした取引は縮小もしくは停止できるでしょう。

工数管理による現場従業員のメリット3つ

現場での工数管理を容易にするために、作業分解構成図(Work Breakdown Structure:略してWBS)を作るのがおすすめです。

プロジェクト全体を細かな作業に分解した構成図を使えば、それぞれの作業の工数を管理できます。つまり、「誰が・どんな作業に・どれくらいの時間」をかけたのかが一目瞭然になるわけです。

これにより現場従業員にもいくつかのメリットが生まれます。

1. 作業の改善点が見える

現場作業の工数を定期的に計測し管理すれば、効率が良い・悪い部分が見えてきます。どんなところでやり直し作業が多いかなども観察できます。

見えてきた改善点を修正することで、生産性を向上させることができます。より効率的に働く方法が見つかれば、残業時間を減らすなど労働時間の削減も可能でしょう。

2. 働く意欲が増す

工数の計測を定期的に行えば、作業工程の改善結果もデータとして残ります。新しい計測結果が良ければ、それは作業工程改善が成功したことの証拠です。

こうしたことを現場の従業員も目にするようになれば、従業員も働く意欲が増すでしょう。工数管理が成功し、人件費などのコストが削減でき利益が確保できれば、その利益が給与や福利厚生などの形で従業員にも還元されるかもしれません。

工数管理を成功させる2つのポイント

工数管理を行うことで経営者側・従業員側双方にメリットが生まれます。次に、工数管理を成功させるために気をつけるべきポイントを2つ紹介します。

1. 予実管理を実践した工数管理

予実管理とは、予想と実績の両方を入力し管理することを意味します。

工数管理では結果つまり実績のみに注目しがちですが、予想を立ててそれを実績と比較することも必要です。

特定のプロジェクトに関する工数の予測を立て、プロジェクト進行中にその予測と途中結果を比較することで、プロジェクトの途中でも必要な修正を加えることができます。

プロジェクト完了後も予想と実績を比較すれば、失敗した原因、成功した理由などが分析できます。

工数管理を成功させるには、工数を予想して計測し、日・週・月単位で予想と実績を比較することができるでしょう。

2. 工数管理データを共有する

工数管理のデータは経営陣が経営に関わる意思決定を下す助けになるだけでなく、従業員のモチベーションを上げる助けにもなります。

工数管理データを従業員同士でも共有することでより効果を生み出すでしょう。

工数管理データをそれぞれの従業員やチームで分析できれば、現場から作業の見直しや改善がなされるようになります。そうなれば、企業は組織としてより前向きに強くなることができるでしょう。

おすすめの工数管理ツール6選

工数管理は企業にたくさんのメリットをもたらします。

しかし、工数管理は手間がかかる、現場に導入するのは困難という意見もあるでしょう。

そうした不安要素は工数管理ツールを導入することで解消できます。

最後に、簡単に工数管理ができるおすすめのツールを6つ紹介します。

1. Backlog

Backlogではプロジェクトのスケジュール作成に使われるガントチャートを利用できます。そうすることで各プロジェクトの担当者・開始日・期限日をガントチャートを使って編集でき、修正が必要であればリアルタイムで編集や更新ができます。

Backlogのおすすめポイント

  • Backlogのプラットフォームだけでチーム内のメンバーの作業状況を共有できる
  • プロジェクトの担当者・スケジュール・優先順位を個別に設定できる
  • 複数のプロジェクトを同時に管理できる

 

Backlogの料金プラン

スタータープラン 個人のタスクを管理する 2,400円/月
スタンダードプラン 個人や小規模なチーム向け 11,800円/月
プレミアムプラン 小~中規模のチーム向け 19,800円/月
プラチナプラン 中~大規模チーム向け 50,000円/月

※すべてのプランに30日間の無料トライアルあり

 

2. ZAC

ZACはERPつまり人事・生産・財務・会計など経営に必要な情報を統合管理できるシステムです。ZACには機能のひとつとして工数管理機能が搭載されています。

ZACのおすすめポイント

  • 案件ごとの作業時間を入力することで「どのプロジェクトに」「誰が」「何時間」参加したかということがわかり詳細な工数管理ができる
  • 作業工程単位で時間集計ができどの作業でムダが生じているかなどの業務分析となるdデータが取得できる
  • 案件ごとの人件費配賦を自動計算してくれる

 

ZACの料金プラン

データセンター利用料 月額/50,000円
ソフトウェア保守料 月額/ライセンス費用×1.5%

 

3. Group Task

プロジェクトに携わるメンバーの仕事の進捗状況を見える化ですぐに把握できるタスク管理ツールがこのGrop Taskです。プロジェクトの中で誰がどの仕事を行っているのかを把握できるので、どれくらいの時間その仕事に携わっていたのかがわかれば、工数管理にも利用可能です。

GroupTaskのおすすめポイント

  • 必要最小限の機能だけにすることで誰でも簡単に操作できる
  • グループ内のメンバーの仕事の見える化ができる
  • フリープランでも無制限で利用を継続できる

 

GroupTaskの価格

プラン 料金

保有できる
カテゴリー数

保有できる
タスク数

ストレージ容量

フリー 0円/日 無制限 50 5GB
ライト 23円/日 無制限 無制限 10GB
スタンダード 50円/日 無制限 無制限 20GB
プレミアム 83円/日 無制限 無制限 40GB

 

4. ChatWork

コミュニケーションツールのChatWorkも使い方によってはタスク管理ひいては工数管理にも流用できます。少人数のグループによるプロジェクトの工数管理では、普段使っているコミュニケーションツールでプロジェクトのタスクを管理し、作業にかかった時間を報告してもられば、工数管理ができるでしょう。

ChatWorkのおすすめポイント

  • プロジェクトメンバーでチャットグループを作りタスクを共有できる
  • タスク完了が通知できる
  • データのやり取りも可能

 

ChatWorkの価格

プラン 料金 グループチャット数 ストレージ容量
フリー 0円 14 5GB
パーソナル

1ユーザー/月
400円

無制限 10GB
ビジネス

1ユーザー/月(年間契約)
500円

無制限 10GB/1ユーザー

エンター
プライズ

1ユーザー/月(年間契約)
800円

無制限 10GB/1ユーザー

 

5. イノピーエム

低価格で導入できるということで中小企業にもおすすめなのがイノピーエムの工数管理ツールです。プロジェクトごとの利益やチームの働きが見える化できるので、コストの管理、業務効率化のポイントなどがすぐにわかります。

イノピーエムのおすすめポイント

  • スマホで工数の入力が簡単にできる
  • 工数管理・プロジェクト利益計算が自動で見える化される
  • 自動で作成されるレポートによりチームや個人の働きが見える化できる

 

イノピーエムの料金プラン

1ヶ月契約 1,000円(1人/月)

初期費用0円
プロジェクト数無制限
最低5人/5,000円から利用可能

12ヶ月契約 600円(1人/月)

初期費用0円
プロジェクト数無制限
最低5人/3,000円から利用可能

 

 

6. TIME TRACKER NX

工数の入力と可視化が簡単にでき、現状の把握と改善を始めることができる工数管理ツールがTIME TRACKER NXです。

TIME TRACKER NXのおすすめポイント

  • 工数の入力が簡単にできる
  • ガントチャートなどプロジェクト管理のための基本機能が搭載されている
  • Standard EditionとProfessional Editionの2つがある

 

TIME TRACKER NXの料金プラン

ライセンス Standard Edition Professional Edition
5ライセンスパック 180,000円 360,000円
10ライセンスパック 300,000円 600,000円
50ライセンスパック 1,200,000円 2,400,000円
100ライセンスパック 2,000,000円 4,000,000円

 

まとめ

工数管理とは、特定の作業を完了させるために必要な時間と人数を計算し管理することでした。工数を計算すれば、特定のプロジェクトに必要な人件費、つまりおおまかなコストが分かります。

一般的に企業は複数の事業やプロジェクトを同時に進行させています。それぞれのプロジェクトのコストが分かれば、そのプロジェクトに収益性があるのかないのかなどが分かります。

現場の従業員も工数管理により業務の改善点が見えてきます。業務効率化・生産性の向上などの効果を期待できるでしょう。

中小企業でもコストをかけずに導入できる工数管理ツールを導入すれば、従業員に負担をかけることなく工数管理ができます。経営陣と従業員双方にメリットがある工数管理をこの機会に徹底的に実施してみるのはいかがでしょうか。

画像出典元:pixabay

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