マーケティングミックスとは何かを事例で学ぶ【基本からの解説】

マーケティングミックスとは何かを事例で学ぶ【基本からの解説】

記事更新日: 2021/04/13

執筆: 編集部

マーケティングの話はカタカナ用語が多くて分かりにくいものですが、マーケティングミックスとなると「もっと分からない」という人も多いと思います。

しかし、マーケティングの話がやっと具体的になってくるのが、マーケティングミックスです。

この記事では、マーケティングミックスを基本から分かりやすく、事例をもとに説明しています。

商品やサービスの改善、顧客の拡大に役立つマーケティングミックスの概要を知るために、ぜひ参考にしてください。

マーケティングミックスとは

マーケティングミックスとは何と何をミックスするのでしょうか?

なぜミックスなの?

マーケティングは、マーケット(市場)でお客さまを獲得するための作戦と行動です。

マーケティングミックスとは、ある程度作戦を立てた後に、具体的に、どう顧客にアブローチするかを決めるフレームワーク(考え方の枠組み)です。

なぜ「ミックス」なのかは、顧客へのアプローチは必ずいくつかの観点からの行動の組み合わせになるからです。

その観点は、4Pだという人もいるし4Cだという人もいます。(4Pや4Cについては後で詳しく説明します)

ここで確認しておきたい点は、マーケティングは実行段階では必ずマーケティングミックスになるということです。

ミックスではないアプローチは実際にはないのですから、わざわざミックスという必要はないとも言えますが、最初にこのフレームワークを考えた人が「マーケティングミックス」と名付けたのでそう呼ばれているのです。

なにをミックスするのー4Pと4C

マーケティングの実行段階では、なにをミックスする(どんな観点を組み合わせて顧客にアプローチする)必要があるのでしょうか?

そのもっとも有名なものが1960年にエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱した「4つのP」と、1993年にロバート・F・ロータボーンが提唱した「4つのC」です。

<4P>
  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Promotion(広告・宣伝)
  • Place(流通)
<4C>
  • Customer value(価値)
  • Customer cost(経費)
  • Communication(情報)
  • Convenience(利便性)

4Pは商品・サービスの届け手の観点、4Cは受け手の観点で、それぞれは次のように対応しています。

4P 届け手の観点 4C 受け手の観点
Product(製品) Customer value(価値)
Price(価格) Customer cost(経費)
Promotion(広告・宣伝) Communication(情報)
Place(流通) Convenience(利便性)

自社の製品・サービスをこれらの観点から分析して、アプローチ方法を決めるのがマーケティングミックスです。

また、競争相手の製品・サービスもこれらの観点からできるだけ分析して対策を考えます。

この対応関係を見ると分るように4Pと4Cは観点の方向が逆なだけで、どちらのフレームワークを使っても、考えること実行することに大きな違いが生じるわけではありません。

マーケティング戦略での位置づけは?

マーケティングミックスはマーケティング戦略全体の中では川下、つまり実行段階に位置づけられられます。

マーケティング戦略を策定する流れ

マーケティング戦略を立てる流れは教科書的に説明すると次のようになります。

1. 環境分析 自社の製品・サービスが顧客を獲得できる可能性を、市場や競合との関係で大まかな分析を行ないます。

2. 市場分析と基本戦略の策定 さらに詳細に市場を分析して、戦うべき市場と戦い方の基本を決めます。

  • セグメンテーション(市場を細分化する)
  • ターゲティング(アプローチする顧客層を決める)
  • ポジショニング (ターゲットに自社製品をどう差別化するかの立ち位置を決める)

3. 実行戦略マーケティングミックス) 定めたポジションで顧客にどうアプローチするかを具体的に決めます。

4. 実行と評価 マーケティングミックスの施策を実行し、その結果を評価して次の施策にフィードバックします。

実際のマーケティングでは、マーケティングミックスから入って4Pや4Cを分析する中で、1の環境分析や2の市場分析を深めていくという手順もあります。

マーケティングミックスの具体例

マーケティングミックスで4P分析や4C分析を行うことで、次のような「実行内容」が決定されます。

4P  ジム: ライザップとカーブス

4C  コーヒー: スターバックスとコンビニ

4Pも4Cも、P同士、C同士が整合性の取れたものであることが重要です。例えばライザップの広告チラシをポスティングで家庭に届けても費用対効果はきわめて低いものになるでしょう。

マーケティングミックスの成功事例

ライザップ、カーブス、スターバックス、コンビニコーヒーも成功事例ですが、紹介したのは分析結果の結論(実行したこと)だけです。

それぞれの企業が具体的にどのような分析を行って、それをどう評価して、実行案を決定したのかは、いわゆる「成功事例」からは、なかなか見えてきません。

その点がガラス張りの企業などはないからです。

したがって他社の成功事例を参考にするには、成功した結果までのプロセスを限られた材料から推し量る想像力が必要です。

スターバックスのマーケティングミックス

先ほど4Cの観点から見たスターバックスのマーケティングミックスを、4Pの観点からもう少し詳しく見直してみましょう。

スターバックスが銀座に第1号店をオープンしたのは1996年で、日本における店舗数は2019年9月現在 1,497店舗に達しています。

Product(製品)

・黒エプロンのバリスタがいれる本格的コーヒー。

・スターバックス体験 (洗練されたデザイン、心地よい音楽、上質の接客、くつろいだ時間)の提供

・抹茶クリームフラペチーノなど女性客を意識した商品開発

Price(価格)

ホテルラウンジや喫茶店よりは安いが他のカフェチェーンよりは高い1杯300円~500円台でという「美味しくて割安」の価格ラインを設定。

Promotion(プロモーション)

広告宣伝を一切行わず、顧客の口コミでサードプレイス(家と職場に次ぐ、落ち着ける第三の場所)のコンセプトをプロモーション。

Place(流通)

第1号店が銀座だったように「Main&Main」と呼ばれる出店戦略で、中心街に集中的に出店。「スタバがありそうな街に出店する」ことでスタバのステータスを高めた。一杯500円以上のコーヒーを飲んでいたリッチ層、ビジネスマンに店舗立地でインパクトを与えた。

スターバックスは、このような4Pの組み合わせで短期間に業績を伸ばして、マーケティングミックスの代表的な成功例と言われるようになりました。

まとめ

マーケティングミックスは、マーケティング戦略の実行段階で具体策を決定するためのフレームワークです。

「商品・価格・広告・流通」の観点からの4P分析と、「価値・コスト・コミュニケーション・利便性」の観点からの4C分析が有名です。

自社の商品やサービスに合わせて適切なマーケティングミックスを行って、顧客拡大に結び付けましょう。

画像出典元:pixabay

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