マーケティング用語の1つである「O2O」はオンライン(WEB)からオフライン(実店舗)などへ消費者を呼び込む施策のことです。
O2Oは様々な業種や職種に活用できる手法ですが、その本質について知らないままでは効果的な導入ができず、活用のチャンスを逃してしまうかもしれません。
当記事では、O2Oの意味やメリット、成功事例やオムニチャネル・OMOとの違いなどについてご紹介します。
このページの目次
まずは、O2Oの基本的な意味や施策例についてご紹介します。O2Oの概念について、大まかに掴んでいきましょう!
O2Oは「Online to Offline」を略した言葉です。
Webやネット上などの「オンライン」から、実店舗などの「オフライン」へ顧客を誘導し、送客するマーケティング施策を指しています。
代表的な例は以下の通りです。
その特質から、実店舗とサイトを合わせ持つ企業との相性がよく、飲食店や小売店などの「サービス業」を中心によく取り入れられるマーケティング手法となっています。
よりO2Oについて具体的にイメージするために、続いてはO2Oの主な施策について見ていきましょう。
最も代表的なO2O施策の1つは、クーポンやポイントの還元・付与です。オンラインのサイトやアプリでクーポン・ポイントを発行し、実店舗で利用させます。
また、アプリの会員登録時などにメルマガへの登録を促し、メルマガでクーポン・ポイントを発行する会社もあります。
このメールの送り方も様々で、シンプルにクーポンを配るだけでなく「必ずポイントが当たる抽選ページ」をメルマガ購読者のみに送るといった施策も行われています。
TwitterやInstagramなどのSNSも、O2Oに活用できます。Twitterで行われているコンビニのクーポン抽選などは、目にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この施策ではオンラインでその会社のSNSをフォロー(もしくは認識)してもらい、特定の条件(リツイートなど)を満たしてもらいます。
条件を満たした方にはクーポンやポイントが発行され、それらが実店舗で活用される…といった流れです。
基本的な人の流れはアプリやサイトと変わりませんが、SNS上での拡散力に期待が持てる点やSNS上で積極的なコミュニケーションが取れる点がアプリ等とは異なります。
スマホなどの位置情報と、アプリを連動させることによるO2O施策も見られます。こちらは少しイメージが掴みにくいかと思いますので、以下に施策例をまとめました!
このように、アプリやサイトと位置情報を組み合わせて購買を促す手法も、O2O施策の1つです。
もう1つ、自社のECサイトと実店舗での販売を併用することによるO2O施策も実施されています。
例えば実店舗での買い物で貯まったポイントを、ECサイトでの買い物で使用できるなどです。
ECサイトの強みはいつでも、どこからでも買い物ができること。その強みを生かして、実店舗の在庫状況をECサイトで確認できるようにするサービスも展開されています。
O2Oがどんなマーケティング手法なのか、大まかに掴めたでしょうか。
よりその意味について把握するために、ここでO2OとOMOやオムニチャネルなどとの違いについて紹介します。
オムニチャンネルは、オフライン(実店舗)やオンライン(ECサイトなど)を切り離さずに連携させ、顧客との接点を増やすことで売上拡大を狙うマーケティング方法です。
ネットでも実店舗でも、どこで購入しても同じ利益・同じサービスを提供できる仕組みです。
オムニチャネルとO2Oには、以下のような違いがあります。
O2O | オンラインとオフラインを切り分け、オンラインからオフラインへの流入を目指す |
オムニチャネル | サイトやアプリ、実店舗などあらゆるオンラインとオフラインをどんどん統合して、顧客と多くの接点を持つことを目指す |
O2Oはオフラインとオンラインを切り分け、オフラインでの購入を促すマーケティング施策です。
一方オムニチャネルは、オンラインもオフラインも全て統合することで顧客に購入を促そうとしており、この点が一番の違いになっています。
OMOは「Online Merges Offline」の略語で、訳すと「オンラインとオフラインの融合」という意味です。
言い換えると、「オンラインであっても実店舗であっても顧客情報を基に個人に合わせた体験を提供」する施策です。
このマーケティング施策は、常にデジタルと繋がっている時代背景があり、顧客がチャネルの違いを意識することなく、モノやサービスから得られる体験や経験を提供する事を軸に考えられています。
OMOとO2Oの違いとしては以下のような部分が挙げられます。
O2O | オンラインとオフラインを切り分け、オンラインからオフラインへの流入を目指す「企業目線」の施策 |
OMO | 顧客のあらゆる体験を中心として、オフラインとオンラインを融合し購買を促進する「顧客目線」の施策 |
先ほどのオムニチャネルも、OMOも、O2Oも、購買を促進するための施策である点には違いがありません。しかしO2Oは企業目線の施策である一方、OMOは顧客の体験を踏まえた顧客目線の施策になっています。
O2Oの意味やオムニチャネルとの違いについて解説しました。O2Oがどういったマーケティング手法なのか、だんだん掴めてきたでしょうか?
続いては、O2Oを導入した成功事例についていくつかご紹介します。実際の導入事例をもとに、具体的にイメージを膨らませてみましょう!
ユニクロでは、アプリ公告によるO2Oとアプリ・実店舗双方を活用したオムニチャネルをかけ合わせた戦略が取られていました。
まず、ユニクロには会員登録の行えるアプリが用意されています。こちらで会員登録をすると、実店舗で使えるクーポンが取得可能に!
アプリに登録したオンライン上の顧客を、実店舗(オフライン)へ誘導することに成功しています。
ユニクロの施策はそれだけで終わりません。
というのも、ユニクロはこのアプリに「実店舗にある商品記載のバーコードをスキャンすると、その商品のレビューが見られる」機能を実装!
これにより、顧客が商品の評価を確認するためアプリを登録する…という、逆の誘導にも成功しています。
O2Oの視点を取り入れた「クーポン」と、オムニチャネル的施策である「アプリへの統合」を両立した成功事例になっているのです。
東急ハンズも、O2Oを活用したお店の1つです。しかし東急ハンズは、よりリアルタイムでの購入を促せるという点で優れた施策を行っています。
まず、東急ハンズでも会員登録制のアプリが使用可能です。アプリに登録するとお得なクーポンや情報をもらえるのですが、このほかにも独特の機能が2つ実装されています。
1つは、全国の「今」売れた商品をピックアップする機能!ほぼリアルタイムでの更新を行うことで、顧客の購買意欲を高めています。
もう1つは「各店舗」の在庫状況をチェックできる機能です。これにより、アプリを持った顧客の「すぐ、確実に商品がほしい」というニーズに答えています。
更新頻度は約15分に1回と、よりリアルタイムでの状況を知ることが可能です。
豊富な商品を取り扱い、様々なニーズに答える東急ハンズならではの事例と言えるでしょう。
O2Oは「企業目線」の施策と先ほどお話ししましたが、必ずしもそれが「顧客の目線・ニーズ」と離れるわけではありません。
アドバンスクリエイトの「保険市場」は、サイトから店舗への誘導率が約8割となっている保険比較サイトです!
保険市場のサイトでは、サイトから店舗の予約を行ったり、保険料を試算したりすることができます。
その誘導率の高さの秘訣は、年3,000回以上も行われるサイトの機能改善と情報の更新!とことん顧客の利便性を追求したO2Oを徹底することで、実店舗への誘導率を上げている事例です。
企業目線で、オフラインからオンラインへの顧客流入を目指す「O2O」。続いては、そんなO2Oのメリットについて解説します。
自身の携わっている事業や企業の特質とO2Oの相性はよさそうか、考えながら読んでみてくださいね。
O2Oには、施策による効果を計測しやすいというメリットがあります。実店舗で使われたクーポンやポイントを確認すれば反響が分かりますし、難しい解析などを行う必要もありません。
少ない負担で計測できるため、小さい店舗や少人数経営のお店などでも導入を検討できます。
新規顧客を獲得しやすい点も、O2Oのメリットの1つです。
今は多くの顧客が、ネットで店舗について検索をしてから行動を起こします。
オンラインで情報を調べるような「ある程度の購買意欲を持っている」層にアプローチをかけられる点は、O2Oならではのポイントでしょう。
先ほど触れたような位置情報を使うO2Oであれば、より少ない負担で店舗に来てもらうことも可能になるため、さらに新規顧客の増加が見込めます。
また、O2Oは活用方法によって効果の即効性を高められます。この点もO2Oのメリットに挙げられるでしょう。
分かりやすい例としては、使用期限付きのクーポンなどです。一定期間内だけ使えるクーポンを発行することで、その期間内での来店を促します。
施策による効果をなるべく早く実感したい場合や、効果を出したい時期が決まっている場合、O2Oを導入する価値があるのではないでしょうか。
続いては、O2Oのデメリットについてご紹介します。事前にデメリットについてよく把握しておき、それらを補えるようなO2Oの導入を検討してみてください。
顧客の流入を促すことができるいっぽう、顧客一人あたりの単価が上がりにくいのはO2Oのデメリットです。
発行できるクーポンやポイントも限られますし、お得に購入できるからといって急にその顧客の購入金額が上がるわけではありません。
O2Oは新規顧客やリピーターを生むことはできますが、顧客一人あたりの購買単価を上げるためには違う施策を組み合わせる必要が出てきます。
既存商品の価格設定を工夫したり、セットメニューなどのクーポンを発行してクーポン商品1つあたりの単価を上げたりするのが良いでしょう。
また、オンラインを活用するからこそ同業他社と比較される機会が増える点もデメリットの1つです。
先ほどO2Oは新規顧客やリピーターを生むことができるとお話ししました。しかし、他のお店と簡単に比較できることで、顧客が流出する危険性もあるのがO2Oです。
だからこそ、O2Oではオンライン→オフラインの導線を確保しつつ「自社に顧客を留める」工夫をする必要があります。
お得なポイント制度を導入するなど、他社にはできない自社ならではの付加価値を提供することが大切です。
最後に、O2Oの効果を高めるためのポイントについてまとめました。ぜひ、自社のサービスにO2Oを取り入れる際の参考にしてみてほしいです!
O2Oの効果を高めるためには、まずオンラインからオフラインに誘導したい顧客層を決めましょう。
飲食店であれば、学生層をターゲットにするか家族層をターゲットにするかだけでも、効果的なクーポンの傾向が変わります。
オンラインからオフラインへの誘導率を上げるためにも、ターゲットの性別や年齢層などについては最初に決定しておくのがおすすめです。
加えて、O2Oの定番でもある自社サイトやアプリを活用するのもおすすめです!それぞれ以下へポイントをまとめました。
アカウント登録をした顧客へDMやクーポンを発行する…などはO2Oの施策としておすすめできますが、まずはサイトの充実を図りましょう。
有益な情報を定期的に発信したり、実店舗の情報を分かりやすくまとめたり…まずは顧客が「使いたい」と感じるサイトを作ってみてください。
その上で、オフラインに誘導するクーポンやポイントの発行、アプリとの連携などを行うのがおすすめです。SNSなどを活用して、それらの情報を拡散するのもいいでしょう。
新しい施策にはコストがかかりますから、色々と手を出すよりまずは即効性の高いアプリの開発に費用を割いて、O2O施策を始めるのがおすすめです。
ポイントは、「オンラインの顧客が実店舗に行きたくなる」施策をスモールステップで進めること。
O2Oは即効性の高さが魅力の1つですから、施策の反応を確認・分析しながら進めることでより効果を高めることができます。
アプリの開発は様々な会社が請け負っていますから、焦らず依頼先を検討しましょう。
成功事例でご紹介したユニクロのように、オムニチャネル的な視点を取り入れて「オンライン・オフライン双方向の施策」を行うのもポイントです。
この2つの視点を持って、それぞれに流入の導線を確保できるよう計画してみましょう!
O2Oの意味や導入事例、効果的に導入するためのポイントなどについて見ていきました。
O2Oは、オンラインとオフラインを活用して顧客の購買意欲を促すマーケティング手法です。その長所を生かすことで、迅速に効果を実感することができます。
自社の製品やサービスとの相性を見つつ、ぜひO2Oの導入を検討してみてくださいね。
画像出典元:o-dan
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